ファンに問う
JRAは昨日、有馬記念のファン投票の最終結果を発表した。
有効投票総数は304万4279票。今年の皐月賞と天皇賞(秋)を制したエフフォーリアが史上最多となる26万742票を獲得して1位に輝いている。2位はグランプリ4連覇がかかるクロノジェネシス。3位が今年の菊花賞馬タイトルホルダー。以下、ソダシ、シャフリヤールと続く。上位5頭のうち4頭が3歳馬とは珍しい。今年の有馬は「ラストランの最強馬クロノジェネシス vs ハイレベルの3歳馬」という構図になりそうだ。
【2021年有馬記念ファン投票結果】
①エフフォーリア 260,742
②クロノジェネシス 240,165
③タイトルホルダー 207,285
④ソダシ 154,889
⑤シャフリヤール 143,842
それにしても26万票はすごい。少し前まで10万票を超えれば「勝ち負け」という時代が長く続いた。もちろん投票スタイルの変化は見逃せない。コロナ禍でネットで競馬を楽しむ人が増えたせいある。しかし一番の要因は豪華プレゼントを用意して、手軽に投票でき、かつ無効票を減らす仕組みを作ったJRAの企業努力であろう。売上に直接結びつかないファン投票に、ここまで力を注ぐ姿には感銘すら覚える。
せっかくなので、過去10年ごとのファン投票の結果を振り返ってた。
【2020年有馬記念ファン投票結果】
①クロノジェネシス 214,742
②ラッキーライラック 212,674
③コントレイル 212,622
【2010年有馬記念ファン投票結果】
①ブエナビスタ 111,323
②ローズキングダム 85,733
③アパパネ 76,197
【2000年有馬記念ファン投票結果】
①テイエムオペラオー 109,140
②ナリタトップロード 89,111
③エアシャカール 85,791
【1990年有馬記念ファン投票結果】
①オグリキャップ 146,738
②ヤエノムテキ 125,717
③スーパークリーク 122,736
【1980年有馬記念ファン投票結果】
①カツラノハイセイコ 154,640
②モンテプリンス 119,601
③カネミノブ 117,265
かつての有馬記念ではファン投票の順位とオッズが連動しないことが話題のひとつになったりした。カツラノハイセイコもオグリキャップも単勝オッズでは4番人気。それを組織票の弊害と捉える向きがあっことも今となっては懐かしい。近年ではわりと一致する傾向にあるのも、重複投票への監視が厳しくなったせいだろうか。
「ファンが投票によって出走馬を決める」というギミック自体、既に成立しなくなっていることをファンは承知している。ファン投票上位だからと言ってソダシが出てくることはないだろうし、有馬を狙うような馬ならばファン投票のずっと前からローテーションを決めていることが普通になった。
以前から訴えているが、せっかくファン投票を行うなら、年間にもっとも感動したレースを問うてみるのはどうだろうか。サッカーJリーグには「年間最優秀ゴール賞」が存在する。これに倣って「年間最優秀レース賞」を創設して、ファン投票でナンバーワンを決める。それを有馬記念の昼休みに結果を発表。ターフビジョンにレースのビデオを流して、優勝馬の関係者を表彰するのである。有馬記念当日のイベントとしては悪くあるまい。
投票の条件は「感動した」。この一点のみ。GⅠレースに限る必要はない。のちに「伝説」と呼ばれるレースほど実はGⅡ以下であったりする。その感動をなんらかの形で公式記録に残すことは、少なくともファン投票による出走馬選定より意味があると思えてならない。おそらく純度の高い投票結果が得られるはず。ちなみに私はマカヒキが勝った京都大賞典に1票。さて、あなたは?
***** 2021/12/10 *****
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コメント
たるみ様
コメントありがとうございます。
レースで年を振り返ると騎手もセットになりますので、より思いが深くなりますよね。ホントにやってみる価値はあると思います。
投稿: 店長 | 2021年12月11日 (土) 21時17分
わかりやすくて、申し訳ない気もするのですが、三津谷隼人騎手の最終騎乗、初重賞制覇の京都ハイジャンプです。
馬はとても良く見えたのですが、鞍上が重賞勝ちどころか、特別勝ちもないまま、引退する騎手とあって、完全に軽視してしまいました。それがあの激走!素直に感動するとともに、競馬という競技の不可思議さを改めて感じました。
投稿: たるみ | 2021年12月11日 (土) 02時02分