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2021年12月 2日 (木)

【訃報】ダイワテキサス

通算11勝、うち重賞5勝の名馬ダイワテキサスが先月28日に亡くなった。現役引退後は種牡馬、乗馬を経て、2015年から功労馬として余生を過ごしていたという。28歳だから、その存在を知らないというファンも多いかもしれない。なにせデビューは1995年7月。「新馬戦がエアグルーヴの2着」と聞けば、我々世代にとっては懐かしいが、若いファンにしてみればもはや昔話であろう。

彼に関しては1998年7月18日に新潟競馬場で行われた日本海ステークス(準OP・芝2000m)でのレースぶりが鮮烈だった。堂々の1番人気で臨んだダイワテキサスはエーピーランドを直線半ばで競り落とすと、瞬く間に7馬身差をつけて圧勝。その勝ち時計1分57秒7に仰天した覚えがある。それまでのコースレコードはサイレントハンターの1分58秒4。それを一気に0.7秒も縮めてみせたから凄い。

Daiwa1

父はリファール系のトロメオ、母はローブデコルテという名前ながら2007年にオークス馬を勝った持込馬のローブデコルテではない。その母カイムラサキはニッポーテイオーの母チヨダマサコの妹で、ニッポーテイオーの父リィフォーはトロメオの父でもあるから、ダイワテキサスとニッポーテイオーはきわめて似た血統背景を持つことになる。ダイワテキサスが日本海Sで見せた強さは、秋の天皇賞馬ニッポーテイオーに通じるものがあった。

Daiwa2

残念ながらGⅠには手が届かななかったが、それでも重賞5勝は立派のひと言であろう。JRAでは珍しい「GⅠ未勝利馬の引退式」が施行されたことがそれを証明している。ちなみにJRAが内規で定める引退式実施の対象馬には「GⅠ競走の勝ち馬」だけでなく、「重賞5勝以上(牝馬、障害馬は4勝以上)」の規定がある。つまり、競走成績の総合評価としてダイワテキサスの戦績はGⅠ勝利になんらひけを取るものではない。

Daiwa3

2000年の有馬記念では13番人気ながら3着に入って話題となったが、その能力からすればGⅠで勝ち負けしてもなんら不思議はなかった。そんなダイワテキサスはオーナー自らが探し出して購入した一頭だったと聞く。決してファッショナブルな血統でもなく、未勝利脱出に6戦を要したこともあり、「有馬記念に出走できるようになるとは思わなかった」と振り返っていらっしゃるが、そのぶん彼への愛情も大きかったに違いない。平成の競馬シーンを彩った名馬の冥福を祈ろう。

 

 

***** 2021/12/2 *****

 

 

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