避けられぬ事故
19日に住之江で行われた競艇の第36回グランプリの優勝戦は4艇が転覆・失格の大波乱。3連単、3連複が不成立となり、売り上げの約96%にあたる41億1426万3700円が返還されて話題となった。返還額は2002年に宮島で行われたグランドチャンピオン優勝戦の24億3513万3800円を大きく上回る新記録。宮島では2艇がフライング。今回の住之江は1マークの攻防での接触事故。理由は違えど、どちらも大舞台であることは変わりない。一流レーサーがギリギリの勝負を挑んだゆえの顛末であろう。
競馬も舞台が大きくなればなるほど勝負は厳しさを増す。
日本ダービーは過去の88回で1887頭がゲートに入ることを許されたが、うち16頭はゴールにたどり着くことができなかった。1956年は、1コーナーに殺到した馬群が接触して転倒。吉川英治の持ち馬エンメイが予後不良となり、吉川はこのショックが原因で以後競馬から遠ざかってしまう。1969年の1番人気タカツバキもスタート直後に両サイドから挟まれて落馬、競走中止の憂き目を見た。マイネルブルックやエキマエのように単独で故障を発症することも珍しくはない。
ダービーで落馬や競走中止が起こりやすいのは、多頭数も原因のひとつではあるが、やはりレース内容が激しいせいであろう。馬はギリギリの仕上げを施されるし、多少危険を冒してでも騎手は勝負に打って出る。
日本の騎手のフェアプレーぶりには定評がある。それでも事故は避けられない。馬の故障は時間と場所を選ばず、不測の展開も災いの元になる。レースの安全度を落馬という点から見れば、平地の方が安全に映る。しかし、いったん事故が起きると、平地は障害より密集した展開が多いので、大きな連鎖反応を起こしやすい。
香港スプリントで落馬し、その後骨折が判明したピクシーナイトの手術が無事終了したと伝えられた。まずは良かったと安堵したい。術後の経過が順調なら競走馬としての復帰も見込めるとのこと。予断は慎まなければならないが、スプリンターズSで古馬を一蹴した、あの驚愕の脚をもう一度見たいと願うのは私だけではあるまい。そのピクシーナイトの素質を早くから見抜いていた福永祐一騎手も年内に手術の見込み。こちらも早い復帰を祈りたい。
一方、5月の落馬事故から復帰に向けてリハビリ中の北村友一騎手は、まだ背骨にボルトが入った状態だという。復帰まではあと半年ほどかかる見込み。有馬記念に乗れないのは残念などという言葉では足りないだろうが、クロノジェネシスが勝てば復帰への大きな後押しになるはずだ。
勝負事には事故やアクシデントはつきもの。有馬記念とて例外ではない。メリーナイスやサクラホクトオーの例もある。常にそういう覚悟を抱きつつ、今週もいつも通りレースを見届けたい。
***** 2021/12/23 *****
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