実は大事なひいらぎ賞
ちょうど1週間前の当欄でエリカ賞を「もっとも有名な500万条件」と書いたところ、とある方から「ひいらぎ賞の方が有名では?」という声をいただいた。
なるほどそうかもしれない。ただ私の中では、朝日杯に抽選で漏れた馬たちの残念レースといった印象がぬぐえないのも事実。それが「もっとも有名な」のフレーズを遠ざけてしまった感がある。
実際、ひいらぎ賞の歴史は朝日杯を除外された馬たちが紡いできたと言っても過言ではない。時代の流れと共に消えてしまうことも珍しくない500万条件戦でありながら、そのレース名は半世紀前から続いている。80年代半ばの一時期を除けば、かつての朝日杯と同じ中山マイルという条件も変わることがない。
その歴史の長きにわたって、ひいらぎ賞を勝ってGⅠ級のタイトルを獲得した馬を列記してみる。コーネルランサー、カブラヤオー、プレストウコウ、ダイナガリバー、メジロライアン、サクラチトセオー、新堀インディ、アサクサデンエン、マイネルホウオウ、ミッキーアイル、ダノンキングリー、そして昨年のシュネルマイスター。すべてが朝日杯の除外馬というわけではないが、朝日杯のバックアップという役目は十分に果たしている一方で、抽選システムの鋼材にも思いは及ぶ。
ひいらぎ賞優勝馬で注目すべきはGⅠホースだけではない。1997年の優勝馬シンコウエドワードは、NHKマイルカップではあのエルコンドルパサーの2着にも好走したスピード馬だが、種牡馬リアファン(Lear Fan)の産駒としては日本における最多獲得賞金を誇る。
99年の優勝馬マルターズホークもサザンヘイロー(Southern Halo)の日本における賞金王。同じ日にスプリンターズSを勝ったブラックホークの甥でもある。
メジロライアンは種牡馬アンバーシャダイの賞金王で、シンボリインディは種牡馬エーピーインディ(A.P.Indy)の日本賞金王。マイネルホウオウもスズカフェニックス産駒の中ではいちばん稼いでいる。ひいらぎ賞は出世レースであり、ときに種牡馬の代表産駒を炙り出すレースでもある。昨年のシュネルマイスターもその一端であろう。今年の優勝馬ティーガーデンの今後に注目しよう。
~ひいらぎ賞歴代優勝馬~
2021 ティーガーデン
2020 シュネルマイスター
2019 スマイルカナ
2018 ダノンキングリー
2017 マイネルキャドー
2016 アウトライアーズ
2015 ドーヴァー
2014 キャットコイン
2013 ミッキーアイル
2012 マイネルホウオウ
2011 チェリーメドゥーサ
2010 フレンチカクタス
2009 ギンザボナンザ
2008 メジロチャンプ
2007 レオマイスター
2006 カタマチボタン
2005 マッチレスバロー
2004 マチカネオーラ
2003 マイネルデュプレ
2002 カフェベネチアン
2001 アサクサデンエン
2000 ミヤビリージェント
1999 マルターズホーク
1998 シンボリインディ
1997 シンコウエドワード
1996 スピードワールド
1995 ゴールデンカラーズ
1994 オートマチック
1993 ヒゼンマサムネ
1992 サクラチトセオー
1991 オンエアー
1990 シンボリダンサー
1989 メジロライアン
1988 アンシストリー
1987 タイガーローザ
1986 スズラバン
1985 ダイナガリバー
1984 ブラックスキー
1983 ビゼンニシキ
1982 ウメノシンオー
1981 ニシノエトランゼ
1980 トドロキヒホウ
1979 キタノリキオー
1978 ホクセーミドリ
1977 シービークロス
1976 プレストウコウ
1975 ザグロス
1974 カブラヤオー
1973 コーネルランサー
1972 (実施せず)
1971 カネアキバ
***** 2021/12/18 *****
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