競馬場のホルモン
私が住まう大阪・天満界隈は「じゃりんこチエ」に出てくるようなホルモン焼きの人気店が軒を連ねている。店から漂う煙に誘われてついつい入ってしまうこともしばしば。どの店も旨いから、出鱈目に入ってもハズレに遭ったことがない。どこもアタリ。関西ホルモン文化の成熟度合いにはいつも感心させられる。
肉食文化の欧米や中国、朝鮮半島ではホルモンはごく一般的な食材だが、日本でその旨さが広く認識され出したのは比較的最近になってから。私が子供の頃は酒飲みオヤジの食い物というイメージが強かった。それこそ「じゃりんこチエ」の世界である。それが、ビタミンとコラーゲンがたっぷりで美肌効果が期待できるとあって、巷にはホルモン好きの女性が急増。ホルモン焼きに集まる女性は「ホルモンヌ」と呼ぶ風習まで誕生した。
「ホルモン」の語源はドイツの医学用語説が有力とされるが、一方でもともと日本では廃棄していた部位だったことから、「放るもの=ホルモン」と名づけられたという説もある。実際、関西のホルモン文化を目の当たりにした我が身としては、この説を強く支持したい。由来はともあれ、食材として無駄なく利用でき、その上スタミナの源ともなれば万々歳。一報で、かつてホルモン天国だった競馬場からは年々その姿が見えなくなりつつある。
そのような中にあって阪神競馬場の「HORUMON人(ホルモン人)」は貴重な一軒と言えよう。阪神開催中の土日の昼メシはココと決めている。ホルモン丼、肉吸いご飯、どて煮。みなことごとく旨い。旨さの秘密は調理にあろう。ホルモン丼も注文を受けてから具在を焼いて、ここしかないという絶妙のタイミングで熱々のご飯の上にザっと載せて出してくれる。だからホルモンの歯応えが違う。
こちらのお店がありがたいのは「今日のご飯」があるところ。日替わりのおかず一皿とお椀に盛られたご飯のセットで300円だから安い。最近は入場時に200円分のグルメクーポンがもらえるから、実質100円で食べられる。写真は「大根とカルビの煮たやつ」。ご覧ください、この巨大な大根を。最初は冗談かと思ったが、中心まで味が染みわたっていて実にうまかった。
先週食べたのは「ホルモンステーキ」。もちろん注文を受けてから奥でジューっと焼いてくれる。ホルモンとステーキ? いったいどんな一皿が出てくるのか? ワクワクしながら待つのもまた嬉しい。で、出てきたのはこちら。
はい、レバーでした。この焼き加減がまた絶妙。ニンニクと甘辛いタレがまた食欲をそそる。思ったより野菜がたっぷりなのも、独り暮らしのおっさんには嬉しい。
さあ、来週はどんな朝ごはんになるのか。残り2週の阪神開催を満喫しよう。
***** 2021/12/15 *****
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