フランケルの底力
阪神ロングラン開催も残すところあと3日間。28日の最終日は行けないので、私にとっては今週の土日が最後ということになる。
この3か月間、昼前に家を出て、仁川駅を降りてすぐのうどん屋さんでうどんを啜り、しかるのちに阪神競馬場の入場門をくぐるというルーチンが長く続いた。そんな平和な日々が、一時的とはいえ終わってしまうのが残念でならない。中京に行けば競馬は続いているが、そこには阪神のような美味しいうどんがないのである。
仁川駅近くに暖簾を掲げる「フランケル」はミシュランガイドにも掲載された本格的な一軒。王道の「ぶっかけ」から、「鮭のクリームソースうどん」や「麻婆うどん」など和洋折衷織り交ぜた豊富なメニューはどれも水準をはるかに超えてくるから凄い。おでんや天ぷらなどのサイドメニューも豊富。競馬場の隣でなければ長っ尻必至だが、競馬を観に来たのだと思えば後ろ髪を引かれながらも席を立つしかない。
その一風変わった、しかし競馬ファンには馴染みのある店名は、もちろん14戦14勝の名馬にして名種牡馬 Frankel に由来する。
競馬絡みは店名だけに留まらない。店内にはグリーンチャンネルを放映する2台のモニターが大音量でレースを中継しており、お茶は蹄鉄を使ったおしゃれなコースターに置かれ、ソダシのぬいぐるみにはコントレイルの当たり馬券が添えられている。ひと昔前に競馬場の隣で土日だけ営業していた居酒屋の風情。なのにミシュラン。そのギャップが楽しい。
きりりとエッジの立った太麺は、「冷」なら強いコシが、「温」ならびよーんと粘りのある歯応えがたのしめる。ふわりと鼻腔をくすぐる小麦の香りが消える間もなく駆け上がる心地良い喉越し。麺の美味しさを味わうならやはり「ぶっかけ」がお勧めだ。
「麻婆うどん」の麻婆は普通に美味い。なんならうどんではなくて白メシでガガーっとかき込みたくほど。一口食べるたび身体中から汗が噴き出す。うどんが強いから、麻婆もこれくらいでないと負けてしまうのかもしれない。
豊富なサイドメニューの中でも私は「鶏天」にハマっている。ちょこっと下味が付けられた巨大な鶏天の衣にツユがまとわりつくことで美味さが激増。ただ、こればかり食べると肝心の麺が入らなくなる。そういやおでんも食べたいし、「キタアカリの天ぷら」という悶絶必至のサイドメニューもある。さすがフランケル。底力が違う。
うどんを茹でるのに15分ほどかかるから、店内は常に満席。外も行列が絶えない。それでも競馬前のひとときを過ごすには、最高の一軒と言い切れる。そんなお店とも今週末を最後にしばしのお別れ。明日の阪神カップは Frankel 産駒のグレナディアガーズで勝負だ。
***** 2021/12/24 *****
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