朝の一杯
土日の朝は近所の喫茶店でモーニングセットを注文してからスポーツ紙を眺めることを日課にしている。昭和9年創業の老舗。自家焙煎のコーヒーが美味いのはもちろん、スポーツ紙が充実しているのが嬉しい。それにしても、こういった昭和の風情が残る喫茶店もずいぶん少なくなりましたな。
その日のレースをザっと眺めながら、気になる馬や騎手に付けられた予想の印をチェックする。その過程で思わぬ馬が目に留まることも。最近ではチャンピオンズCのアナザートゥルース。阪神JFのラブリイユアアイズなんかもそうだった。理由は分からないがなんとなく気になる。そういう馬は必ず買うことにしている。むろん痛い思いをすることも少なくない。先週土曜の中日新聞杯は前夜までショウナンバルディから買うと決めていたのに、ここでヤシャマルに目が留まって本命を変えてしまった。さすがにゴールの瞬間は悶絶したが、こうした「ひらめき」は馬券検討の上で大事にしたい。
ほどよい音量でクラシック音楽が流れる落ち着いた空間に朝のフレッシュな頭。それだけでも十分何かをひらめきそうなものだが、私はコーヒーの果たす役割が大きいと感じている。
コーヒーは17世紀になってアラビア半島から欧州に広まった。それが近代競馬の歴史とほぼ重なるのは偶然か。ともあれ当時の人は既にコーヒーに眠気を覚ます効果があることを知っていたようだ。科学的に言えばコーヒーに含まれるカフェインの作用。カフェインは脳を覚醒させ、集中力を高めてくれる。「ひらめき」はそのアウトプットにほかならない。
東京に住んでいた頃は、競馬場に着いてから朝の一杯を嗜むことにしていた。馴染みはフジビュースタンド6階の「ときわ家」。3階の「エクセルシオールカフェ」のコーヒーも美味しいのだけど、「ときわ家」だとコーヒーチケットが使えるというメリットがある。それで通い詰めたら、ここがもっとも落ち着ける店になった。ただ、この店で素晴らしいひらめきを得たという記憶はほとんどない。10時という時間が「朝の一杯」というには遅過ぎたのであろう。
もちろんコーヒーをたくさん飲んだところで、良い結果が得られないことも経験的にわかっている。むしろ気持ち悪くなるだけ。カフェインの過剰摂取は、めまいや心拍数の増加、不眠の原因になりかねない。要はコーヒーには飲むには、相応しい時間と場所があるということ。それを探すのがコーヒー屋さん巡りのだいご味でもある。
***** 2021/12/17 *****
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