念願のチャレンジカップ
12月最初の土曜日。関東の競馬ファンであれば名物レースのステイヤーズSが行われる日であろうが、今年から関西の競馬ファンになった私にしてみれば「チャレンジCの日」ということになる。
関西で暮らすようになってから間もなく1年。これまで観る機会がなかった関西の重賞を片っ端から観戦してきたが、中でもこのチャレンジCはぜひとも観ておきたいレースのひとつだった。
古馬による芝の2000m。格付けもGⅢでしかない。GⅡ格付けで日本最長距離のステイヤーズSのような興味深さはないが、チャレンジCにはそれに負けぬ歴史の深さがある。創設は戦後間もない1950年。宝塚記念(1960年)や大阪杯(1957年)よりも古い。過去の勝ち馬にシーザー、タニノハローモア、タニノチカラ、ホクトボーイ、ヒカリデュール、ニホンピロウイナー、ワカオライデン、ドウカンヤシマ、マーベラスサンデー、タップダンスシチー、スズカマンボ、ドリームジャーニー、キャプテントゥーレ、そして昨年のレイパパレ。どう考えてもこっちの方が凄いじゃないか。優勝賞品の「チャレンジカップ」そのものも、そのシンプルさゆえに歴史を感じる。
今年のチャレンジCは11頭立て。道中2番手につけたC・ルメール騎手の1番人気ソーヴァリアントが直線で先頭に立つと、瞬く間に後続を突き放して重賞初勝利を飾った。2着との差は驚愕の3馬身半。最後は手綱を抑えていたから、追えば4馬身以上離していた可能性も高い。歴史の深いチャレンジCでも過去最大着差ではないか。少なくともグレード制導入後に限れば最大着差記録は3馬身だから、それを上回っている。
お母さんのソーマジックは牝馬3歳三冠に皆勤して3着、8着、7着と健闘したが、重賞タイトルには手が届かなかった。ソーヴァリアント自身もデビュー2戦目の初勝利をカフェイン検出で取り消されたり、勝ちパターンのセントライト記念で人気薄馬の激走に遭うなど不運な印象もあったが、今日の激走でそんな鬱憤は晴らせたに違いない。
ルメール騎手は「GⅠでもチャンスがあるでしょう」と振り返った。能力を確認できただけではなく、賞金加算と阪神への輸送に成功したアドバンテージは大きい。目指すは同じコースで行われる来年の大阪杯か。レイパパレの再現を期待したい。ただ個人的には有馬記念に出てもらいたいという思いも。父・オルフェーヴル、母の父・シンボリクリスエスなら、暮れの中山でこそ見てみたいと願うのが東西を問わず競馬ファンの性(さが)であろう。でもそれは来年に取っておくとするか。
***** 2021/12/4 *****
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