見る目
今日の東京5レースで行われた新馬戦は芝のマイル戦に16頭。好発から内目の3番手でレースを進めた柴田大知騎乗の3番人気コウキが、直線坂下でラチ沿いから先頭に踊り出ると、デコラシオンに半馬身差をつけて優勝した。良馬場の勝ち時計は1分36秒5。
私にとっての今年の東京競馬はこれにて終了。このあとは眼科を受診して、明日の朝には大阪に戻る。この馬を見るためにわざわざ東京に足を運んだと言っても過言ではない。だから喜びもひとしお。それというともコウキの母・ナリタシルエットにも、その母・ナリタレインボウにもひとかたならぬ縁があればこそ。そういう馬の産駒がJRAの新馬戦で勝つシーンに立ち会えるなんて、なかなかない。そもそも新馬を勝つこと自体が難しい。
コウキの父はエピファネイア。先日発表された社台スタリオンの種付け料は1800万円で来年度の国内最高額となる見込みだが、コウキ自身は昨年夏のセレクションセールで1100万円で落札されている。購買側としてはお買い得。それを「見る目がある」とするのも間違っていないが、セールという枠組全体を考えれば正当な値付けができていないのだから見る目がない。
今日の新馬戦で1番人気2着のデコラシオンは社台ファーム生産で4000万円。2番人気3着のヴィアルネッサンスはノーザンファーム生産で5000万円。それを1100万円の日高生産馬が負かした。もちろん、社台もノーザンも見据える先は来年のクラシックであろうから、今日のレース結果ひとつで結論が出るものではない。だから1000万円の馬が5000万円の馬を負かしたと、面白がるつもりもない。
馬の価格は馬の強さではなく、その馬を手に入れたいという欲求の強さによって決まる。そういう意味では「見る目がない」のではなく「見てもいない」のであろう。少なくとも馬券予想の役に立つ要素ではない。それでもメディアは価格を書き立てる。キャリアの浅い2歳馬には、それくらいしかネタがないのであろう。
コウキの生産牧場にお祝いの電話を入れると、コウキの母・ナリタシルエットはこの春に亡くなってしまったという。それは知らなかった。なにせ牧場には2年以上も顔を出していない。つくづくコロナのご時世を実感する。ほかにもいろいろと変わってしまったとのこと。期せずして長電話になった。切り際はちと早いが「よいお年を」。師走も近い。
***** 2021/11/27 *****
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