神様に会いに
午前中にポッカリ時間が空いたので、今日も今日とて京都を歩いてきた。目指すは上賀茂神社。9月にも訪れたが、そのときは神馬「神山(こうやま)号」がお休みしていた。仕方なく鳥居脇に店を構える「神馬堂」のお餅を食べて引き揚げた覚えがある。
今回はそのリベンジ。この秋いちばんの冷え込みをものともせず鴨川沿いを歩き続けると、鮮やかな朱色の鳥居が見えてきた。
祝日ではあるが人出は土曜ほどではない。寒さの影響もあろう。それでも、神馬舎の前には人だかりができていた。今日、勤労感謝の日は新嘗祭が行われるので神山号も出勤しなければならない。お疲れ様です。
神山号は御覧の芦毛馬。秋の日差しを浴びて白く輝く馬体と紅葉のコントラストが実に美しい。
芦毛馬を見て血統を気にするのは競馬ファンの性(さが)であろう。一方で神馬は神の遣いであり信仰の対象でもある。神馬は神馬。血統を気にすることは神への冒頭かもしれない。
だが、既にニュースにもなっているのでバチが当たることもなかろう。実はこの神山号は「マンインザムーン」の名前で競走生活を送っていた。しかも母はダンスインザムードという良血である。父チチカステナンゴの初年度産駒として牧場の期待も高く、社台レースホースでは1億円の募集価格が設定されて話題にもなった。しかし2年半の現役生活で挙げた勝利は2勝のみ。もちろん種牡馬になることはできなかったが、こういう仕事に就けたことは幸運と言って良かろう。引退馬の幸せは種牡馬や繁殖牝馬になることだけはない。
神山号は神様であるからお参りするとご利益がある。ただし参拝の方法はちょっと変わっている。賽銭箱にお金を入れて二礼、二拍手、一礼するのではない。いくばくかのお賽銭を支払うとニンジンがもらえるので、それを食べさせてあげるのが参拝の作法である。
普段はお賽銭の額を十円と決めている私だが、さすがにここは百円を奮発。それを見ていたのかニンジンを口元に持っていくともぐもぐと勢いよく食べてくれた。これは好感触。もはやジャパンカップの馬券は的中したも同然だ。
念ために書いておくが手は出さない方がよい。マンインザムーンが2勝に留まったのは、その気性の荒さのせい。私はそれを知っているが、それを知らない参拝客が顔を撫でようとして手を出したその瞬間、ブン!と頚で跳ねのけられて驚いていた。まるで「軽々しく触るな!」と言わんばかり。さすが神様ですね。現役時代を彷彿させる仕草に嬉しくなる。11歳はまだまだ若い。
***** 2021/11/23 *****
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