レース選択の謎を解け
明日のみやこSの出馬表を見て驚いた方は多いのではあるまいか。そう、ダート未経験のダンビュライトの出走である。知人が同馬に出資していることから、その動向をつぶさにチェックしてきた筆者としても「意外」の思いを禁じ得ない。
みやこSは今年で11回目と比較的歴史の浅い重賞だが、トランセンド、エスポワールシチー、ローマンレジェンドと、いきなり3年連続してチャンピオン級の優勝馬を輩出し、その立場を確固たるものとした。
一方で、過去にはブライトラインやクリンチャーといった芝の重賞ウイナーがダートでの重賞初勝利を果たした舞台でもある。とくにクリンチャーは2018年の京都記念を勝って昨年のみやこSを制した。2019年の京都記念を勝っているダンビュライトにとっては心強い前例であろう。
今週の重賞には、他にも気になる出走馬が2頭いる。まずは今日の京王杯2歳Sでブービーに敗れたファンデル。馬名の響きからして牡馬かと思えばそうではない。立派な牝馬。しかも関西馬である。そこが分からない。芝1400mの重賞なら今日の阪神でファンタジーSが行われるではないか。なぜわざわざ輸送をしてまで牡馬相手の一戦を選んだのか。来春のNHK杯を意識してのことかもしれないし、敢えて厳しいレースを経験させたいのかもしれないし、ただ単にGⅡの方が賞金が高いからかもしれない。
気になるもう一頭はファンデルとは逆のパターン。ファンタジーSに出走したオルコス。関東所属の牝馬であり、9月の中山でマイルの新馬戦を勝ったことから、同じマイルのアルテミスSあたりを使うのかと思っていたら、わざわざ関西に遠征して6着と敗れた。
関東所属の牝馬がファンタジーSを使うケースは少ない。なぜか。ファンタジーSを使う馬の大半は阪神JFを目標に据えているのだから、短期間の間に2度の長距離輸送を強いられる。そもそもアルテミスSが創設されたのは、そんな経緯もあってのこと。430キロ台のオルコスには酷なシチュエーションに思えなくもない。あるいは、そのまま栗東に入って阪神JFに備えるのだろうか。
馬の調子、相手関係、コース、賞金、騎手の都合に馬主の都合……等々。競馬におけるレース選択は、私よりも競馬に詳しいプロたちが様々な要素を考慮した上で決定する。もちろん外野がとやかく言う問題ではない。だが、それを探ることはファンの楽しみのひとつ。それが馬券に繋がることもある。
みやこSのダンビュライトはAJC杯と京都記念の2つのGⅡを勝っているが、GⅠの舞台ではもうひとつ足りない競馬が続いていた。その理由のひとつに「ダート嫌い」があげられる。そう分析するのは他ならぬ音無調教師である。GⅡまでのレースなら地下馬道から直接本馬場に入ることができるが、GⅠではダートコースを横切って馬場入りしなければならない。そこで馬がやる気を無くしてしまうと言うのだ。
だとすれば、みやこSでは「やる気をなくす」どころで済むはずがない。なにせどこまで行ってもダートである。そういえば追い切りもダートコースは使わず、坂路一辺倒だった。とはいえ、天皇賞やアルゼンチン共和国杯を捨てて、敢えてダートを選んだ理由も必ずあるはず。出てくる以上は、GⅡ・2勝馬の能力全開を期待したい。
***** 2021/11/06 *****
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