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2021年10月 5日 (火)

ノーベル賞と私

私がノーベル賞をもらったみたいなタイトルを付けてしまったが、もちろん私ごときが選ばれるはずがない。選ばれたのはプリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さん。日本のノーベル物理学賞受賞は2015年の梶田隆章さん以来6年ぶりになる。真鍋さんはコンピュータによるシミュレーション・モデルを用いた地球気候研究の創始者。二酸化炭素の増加こそが温暖化要因であると予測した人物だ。

競馬ばかりで、ノーベル賞とかシミュレーションなんぞに興味はないやろ!

周囲からはそう思われているかもしれないが、決してそんなことはない。1990年頃、私はノーベル賞関連のフォーラムを取り扱う事務局で働いていたことがある。その数年後には競走馬シミュレーションゲームにどハマりした。ノーベル賞とシミュレーションの日々。私が真鍋さんの快挙に興奮する理由をお分かりいただけるだろうか。今度は「シミュレーション・ゲームとシミュレーション・モデルを一緒にするな」というお叱りが来るかもしれないが、2015年物理学賞の梶田さんが私の学部の先輩であったことも手伝って、最近になってもノーベル賞への興味が薄れることはない。

競馬との関わりで言うなら、梶田さんと同じ2015年に生理学医学賞を受賞した大村智さんであろう。大村さんがゴルフ場で発見した微生物から開発したイベルメクチンは、今年になって新型コロナの特効薬としてにわかに注目を集めたが、もともとは動物用の寄生虫病薬として1979年に発表されたもの。ウマを含む多くの動物に劇的な効果を発揮し、今も馬を扱う多くの現場でイベルメクチンが投与されている。嫌がる馬の口を押さえて無理やり薬を飲み込ませるのは、牧場や乗馬クラブで年に数回行われる一大イベントだ。

Bokujo2

とはいえ、大村さんにしても始めからウマをターゲットにしていたわけではない。人間に使う抗生物質探しは製薬会社が大々的に行っていて競争が激しい。それならと、大村さんは動物向けの薬に目を付けた。そこがミソ。当時、動物薬は人間の使い古しの抗生物質ばかりで、オリジナルな研究はほとんどなかった。いずれ人間にも応用できる。そういう思いがあったであろうことは想像に難くない。

ウマの腸内には回線虫などの寄生虫が生息し、これが原因で疝痛や腸破裂を引き起こし、時に死に至ることもある。そんな症例が近年激減したのはイベルメクチンのおかげ。私などはその業績だけでノーベル賞を差し上げたい。

Bokujo

明日は化学賞、そして明後日は毎年盛り上がりを見せる文学賞の発表が控える。ブックメーカーのオッズで村上春樹さんが上位人気に推されるのも毎年のこと。凱旋門賞と並び、すっかり10月上旬の恒例イベントになった。

 

 

***** 2021/10/5 *****

 

 

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