1枠白帽
天皇賞に出走するコントレイルが1枠1番を引いた。
GⅠの中でも、もっとも枠順が注目される一戦。人気にも少ならず影響を及ぼすに違いない。グランアレグリア、エフフォーリアを凌いで1番人気を背負うことになるのだろうか。
東京の芝2000mはスタートして100mほど走っただけで2コーナーを迎えるため「外枠不利」が定説となっている。外枠に先行馬が入った場合、騎手とすれば内側に進路を取らざるを得ない。その距離のロスが不利だというのである。ただし、もともと内側にいた馬も進路が狭くなったり、前後の馬と接触する可能性もある。しかもコーナーに入ったところでは、急速にペースが落ちるもの。渋滞を引き起こした馬群の中では、内も外も関係なくアクシデントが起きる。
「外枠不利」は枯れた格言だが、これは下級条件も含めた話。「総じて」のエクスキューズを忘れてはならない。シンボリクリスエスは大外18番枠から連覇を成し遂げた。逆に1枠1番の優勝となると本日種牡馬引退が報じられたメイショウサムソンまで遡らなければならない。
とはいえ、コントレイルにはまた別の事情がある。
「ウチは白帽に縁がある。大丈夫」
私の隣に立っていた男性が呟いた独り言は今も忘れぬ。2013年の日本ダービーのパドックでのこと。その視線の先には1枠白帽を被った武豊騎手とキズナの姿があった。その男性はノースヒルズの関係者だった。
ノースヒルズの勝負服がGⅠを勝ったシーンを思い出すと、たしかに白帽であることが多い。
ノーリーズンの皐月賞に、
ヘヴンリーロマンスの天皇賞(秋)に、
そしてキズナの日本ダービー。
さらにはアーネストリーの宝塚記念、ビリーヴの高松宮記念、ビートブラックの天皇賞(春)、そしてキズナのお姉さんファレノプシスがエリザベス女王杯を勝った時も1枠白帽だった。
逆に言えば、大のおとなが縁にすがり、ゲン担ぎに一喜一憂するほど、GⅠの舞台は厳しいということ。完璧の仕上げで、完璧なレースをしても、それだけでGⅠは勝てない。なぜか。ほかの馬も同じように死力を尽くすからである。だから「運」の出番となる。勝敗が運に左右されるのだとしたら、ほんのわずかでも運を味方につけたい。そういう意味でコントレイルは一歩リードだ。
*****2021/10/28 *****
| 固定リンク
« 左回り始めました | トップページ | 定量58キロ »
「競馬」カテゴリの記事
- 【訃報】スティンガー(2023.09.21)
- オールカマー、いまむかし(2023.09.22)
- クラブ興隆の果てに(2023.09.20)
- 阪神パンステークス(2023.09.19)
- 甦る血(2023.09.18)
コメント