競馬場の声
1番人気のコパノフィーリングがスタートで躓くと場内から驚きと悲鳴が入り混じったような大きな声が上がった。
場内での飲食は解禁されたが、大声を出しての観戦は相変わらず控えるよう呼びかけられている。それでも9月に比べると、明らかな叫び声も聞こえるようになってきた。今日発表された大阪府の新型コロナ新規感染者数は65人。日曜、月曜以外で2桁に収まったのは久しぶりだ。ともあれ、許されるか許されないかは別として、競馬場に徐々に「声」が戻っていることは感覚的に間違いない。感染状況が観戦スタイルをも変えている。
躓いて出遅れたコパノフィーリングだが、そこからが速い。50mも走らぬ間に2番手から先頭をうかがう勢いの愛馬を鞍上は必死になだめている。それでも3コーナーの手前で勝利を確信したかのように先頭へ。そのままゴールまで押し切った。2着との着差は3馬身半。スプリント戦では「大差」と言っていい。力の違いを見せつけて、習志野きらっとスプリントに次ぐ2つめの重賞制覇を果たした。
帰りのバスは空いていた。先月までと異なり、最終レースまでの滞在が認められているせいか。これはこれで助かる。
「今のレース2着何やった?」
私の隣に座った見知らぬおじさんが話しかけてきた。
「んーと……①ですね」
「なんや、リーディングやないか。あかんなぁ。おもろくもなんもないやんか」
言われて気づいた。1着コパノフィーリングの森泰斗騎手は全国リーディング1位、2着メイプルグレイト吉村智洋騎手は兵庫リーディング1位で全国リーディングは森騎手に次ぐ2位につけている。なるほど、それで馬単1360円なら悪くない。それにしても、こんなおじさんでもちゃんと森泰斗騎手のことを知っていることに驚いた。
「昨日も2つ勝っとったやろ。それがわざわざ来るんやから、勝つわけや。もう、かなわんな」
おじさんの話は園田駅まで止まらなかった。園田のバスで話しかけられたのは初めて。これもマインドの変化の現れか。あるいはこれまでがたまたまだったのか。来週の兵庫クイーンカップでも検証を続けよう。園田での定点観測は続く。
***** 2021/10/15 *****
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