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2021年10月24日 (日)

セイウンスカイの再来

「セイウンスカイみたいだったな」

タイトルホルダーが後続を5馬身も引き離してゴールを果たし、ひと呼吸おいて繰り広げられた激しい2着争いを見届けた直後のことである。ステラヴェローチェの4着を確認して、がっくり肩を落とす私の背後からベテランファンの声が聞こえてきた。

京都競馬場と阪神競馬場の違いこそあれ、菊花賞を逃げ切ったのは1998年のセイウンスカイ以来のこと。横山典弘騎手の天才的な逃げ切りを23年ぶりに再現したのがその息子・武史騎手だったことは奇縁か、それとも必然か。いまになって思えば必然だったように思えてならない。それほどタイトルホルダーのレースぶりも、そしてその後のガッツポーズも、すべてが父・典弘騎手に重なって見えた。

両者の1000mごとのラップを比較してみるとこうなる。

セイウンスカイ  59秒6-64秒3-59秒3=3分3秒2
タイトルホルダー 60秒0-65秒4-59秒2=3分4秒6

武史騎手はセイウンスカイの菊花賞も参考にしていたと明かしたが、たとえ意識していたとしてもここまで酷似させることは簡単ではなかろう。セイウンスカイを上回る5馬身という着差は、中間の5ハロンに1秒以上のゆとりがあったせいか。レース中盤にラップが落ち着いたとき、他の有力馬が動かなかったのはなぜだろうか。阪神での菊花賞が42年ぶりであることはたしかだが、阪神3000mのレースが42年ぶりだったわけではない。なのにほかの騎手たちはまるで金縛りにでもあったかの如く動かなかった。そこが騎手のマジックなのである。今後は長距離戦での武史騎手から目が離せそうにない。

Titleholder

この夏急逝した父ドゥラメンテに捧げるGⅠ勝利―――。

それは間違いない。だが、タイトルホルダーの無尽蔵にも思えるスタミナを見せつけられると、どうしても母系の方にも目が行ってしまう。モティヴェーター、シャーリーハイツ、ビーマイゲスト。母系には欧州のスタミナ豊かな血脈が次々と注ぎ込まれている。鞍上さえも驚いた心肺機能の強さは母系に秘められているように思えてならない。

そういう意味では31日の阪神9レースに予定されている古都ステークスにも注目だ。芝3000mで行われる準オープンのハンデ戦。そこにあのメロディーレーンが登録してきた。母はタイトルホルダーと同じメーヴェ。菊花賞馬の姉として菊花賞と同じ舞台に挑む。注目しよう。

 

 

***** 2021/10/24 *****

 

 

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