1年8か月目の変化
久しぶりの東京競馬場は人で埋め尽くされていた。いったいなんだ? この人混みは?
入場制限が解かれたわけではない。入場に際してはスマホのQRコードを読み取られて、身分証を提示して、リストバンドを付けてもらった。むろん座席も間隔を空けて使われている。なのにこの人の多さはどうしたことか。ラチ沿いでの観戦も許され、パドックを取り囲む人垣はスタンド上階まで続いているではないか。
聞けば今日から入場人員が倍増されたらしい。ただ、倍と言っても4479人だったのが9362人になっただけ。1万人にも届いてない。なのにこれほどの「混雑感」を受けるとは思わなかった。コロナ前なら5万人も珍しくなかったはずだが、今となってはこの5倍もの人混みは想像し難い。良くも悪くも我々はすっかり人のいない競馬場に慣れてしまった。
客は増えたが場内の飲食店は8割方が休業中。5レースが終わっても、6レースが終わっても、7レースが終わった後ですら行列が途切れることがない。セブンイレブンを覗いたら、弁当、おにぎり、サンドイッチの棚は早々に空になっていた。明日の天皇賞を現地観戦される方は注意されたい。
スタンドでは「こんな賑やかな競馬場は何十年ぶりかなぁ」というベテランの声が聞こえてきた。いくらなんでも「何十年ぶり」ということはあるまい。正確には1年8か月ぶり。だが思わずそう呟いた感覚は理解できる。立錐の余地なきスタンドで10万の大観衆が地鳴りのごとき歓声を上げたコロナ前の競馬場は、遥か昔のことのようにしか思えない。
場内を歩いてみれば、内馬場や日吉が丘は相変わらず立ち入り禁止のまま。ウイナーズサークルにも近づけないようになっている。コロナの爪痕は残しつつ、人混みは少しずつ復活したといったところか。様々な変化に、もはや戸惑ってもいられない。少しずつ慣れていくしかないのである。
**** 2021/10/30 *****
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