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2021年9月 6日 (月)

馬肥ゆる季節

昨日あたりから、昼間は夏の暑さが残りつつも朝夕は過ごしやすくなってきた。ふと空を見上げれば雲が高い。天高く馬肥ゆる秋。食べ物が美味しくなる季節だ。

昨日の新潟9R・飯豊特別に出走してきたアヴェラーレの馬体重は、前走ニュージーランドTからプラス22キロ。母アルビアーノが好きな一頭だったことに加え、知人が1口出資しているという事情もあってデビューからずっと注目してきたが、春に比べてまるで別馬のようになっていた。人気薄馬の出し抜けを食らってクビ差2着に敗れたが、馬体増が敗因だったとは思えない。その証拠に後続はしっかり千切っている。

アヴェラーレ以外にも、昨日は小倉7Rのスーパーウーパーがプラス16キロで優勝、8Rのムジックがプラス10キロで2着、12Rのコートダルジャンもプラス12キロで2着した。札幌8Rは1着ペドラフォルカ(14キロ増)、2着ミツルハピネス(20キロ増)、3着タウゼントシェーン(14キロ増)と2桁体重増が表彰台を独占。続く9Rも12キロ増のスカーレットスカイが4馬身差独走である。ここまでに名前を挙げた8頭はすべて3歳馬。馬体増は成長力の証であろう。「天高く馬肥ゆる秋」の故事は現代にも生きている。

馬が家畜化される以前、雪が解け、草木が芽吹く春が過ぎ、青草をお腹一杯食べられる夏がやってきても、夏の暑さに弱い馬はすぐに太ることはない。ようやく過ごしやすい秋を迎えると、草木が実を付け栄養価を増えることも手伝って馬はみるみる太り、再び訪れる冬に備えるのである。

Aki

家畜化され、食べ物の心配をする必要のなくなった今も、その習性はDNAに刻み込まれたままだ。馬は秋になると当然のごとく食べ、筋肉は盛り上がり、毛艶はいちだんと美しくなる。俗に言う「夏の上がり馬」も、晩夏から初秋にかけて馬の体調がアップし、春とはまるで別馬のような活躍を見せる馬が現れるからこその表現である。

競馬においては、日本のみならず世界でも秋に重要なレースが数多く開催される。人間のカレンダーに合わせて、年末にクライマックスを迎えたいという興業的な思惑もあるだろうが、もとはといえば競馬が馬の能力検定であった時代の名残である。能力検定だから、馬の体調がベストの時期に行う、というのがその理由だ。

「天高く馬肥ゆる秋」というフレーズは、もともとは中国の言葉。「秋になると辺境から異民族が馬で襲来するぞ」と警戒を呼びかける、まあ一種のスローガンである。それがいつしか日本では「食欲の秋」を現す言葉に変貌したわけだが、そういうことは他の言葉でも間々あること。だが、さらに飛躍させて、「天高く馬肥ゆる秋。お馬さんはグルメなんですね」なんて発言をするTVキャスターもいたりして、これには閉口してしまう。

馬に関する故事やことわざが他の動物に比べて圧倒的に多いのは、馬が人間にとって身近な存在であったことの証である。一方で、その誤用が蔓延るのは、それだけ日本人の生活から馬が遠ざかったことの現れなのかもしれない。残念なことではある。

 

 

***** 2021/9/6 *****

 

 

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