「競馬の日」に相応しいのは
トレンドワードをチェックしていたら「競馬の日」という言葉が上位に来ていた。
たしかに一部では今日9月16日を「競馬の日」と呼ぶ向きもあるが、厳密にはJRAがそう呼んでいるに過ぎない。なぜか。それは9月16日がJRAの創立記念日だから。JRAの手帳にもそう書いてある。ならば「競馬の日」というよりは「JRAの日」であろう。
競馬絡みの記念日は意外に少ない。7月31日の「トゥインクルレースの日」は大井のローカル記念日だし、9月23日の「愛馬の日」にしても競馬というよりは馬事振興である。
ちなみに戦前の「愛馬の日」は4月7日だった。明治天皇が「馬事勅諚」を発して馬匹改良を命じた1904年4月7日を記念してのもの。戦後いったん廃止されるが、1968年、動物愛護週間に合わせた秋分の日にJRA馬事公苑が「愛馬の日」を復活させた。ただ、東京五輪・パラリンピックの開催に伴い、馬事公苑版「愛馬の日」も事実上消滅してしまっている。
ではあらためて「競馬の日」や「競馬記念日」を敢えて制定するとすれば何月何日が相応しいのか? そういうことを考え始めると時が経つのを忘れるますね。
本命は4月24日。1932年のこの日、我が国初のダービー競走が開催された。日本競馬の実質的な出発点。先人の苦労を忘れてはならない。
そのダービー創設に奔走し、「日本競馬の父」とも呼ばれる安田伊左衛門の誕生日である8月31日も候補のひとつになろうか。ただ、ローカル開催期間中では記念日を認知しにくいかもしれない。
もし「競馬の日」ではなく「馬券の日」をつくるなら、11月4日が相応しいのではないかと秘かに考えている。実は1935年のこの日、根岸競馬6レースで、馬券を買った人全員が的中という慶事が起きているのだ。
3600mの障害コースを走り抜けた1番人気メイラン(木戸騎手)と2番人気プランプトン(梶騎手)の接戦は、ついに決着がつかなった。すなわち同着である。しかもこのレースは2頭立て。発売された馬券は単勝だけだから、外れ馬券は無かった。
配当は「特払い」。当時は1枚20円の馬券に対して17円だから、当たっても赤字だ。観客は苦笑いであろう。しかし、やはりめでたい。それを祝しての「馬券の日」というわけ。むろん現代の競馬において、全員的中が再現される可能性は限りなくゼロに近い。
***** 2021/9/16 *****
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コメント
3rdhornさま
コメントありがとうございます。
たしかに、競馬法成立の日こそ競馬の起点であり、「競馬の日」の最大候補ですね。安田伊左衛門氏の功績を称えることもできますし、3月24日は競馬カレンダーの日程的にもほどよい気がします。
投稿: 店主 | 2021年9月21日 (火) 07時05分
以前、(大正12年)3月24日の競馬法成立にちなみ、
毎年のこの日に、安田伊左衛門氏が
競馬法成立当日の質素な祝杯(冷酒、するめ、蜜柑)を挙げ、感激を新たにし、一層、公正な競馬の施行を念じた、とのコラムをJBBAの会報?で目にし、心打たれた覚えがあります。
競馬の日=中央競馬会創立記念日ではあんまりです。
投稿: 3rdhorn | 2021年9月17日 (金) 03時14分