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2021年7月17日 (土)

京の底力

けたたましいセミの鳴き声で目が覚めた。

梅雨明けの大阪は朝からうだるような暑さ。日が昇るにつれて、セミの合唱もボルテージが上がってくる。今日はエアコンの効いた部屋に閉じ籠って馬券でも買って過ごそう。

しかしこれが当たらない。当たる気配すらない。これは馬券を買う環境を変えるべきであろう。なら、どうしたらよいのか。

考えた末に出した結論は。

「そうだ、京都行こう」

実はウインズ京都に行ったことがない。祇園にあるウインズの建物の前を通ったことはある。だがそれは決まって夜。だって私が京都に行くのは競馬場に行くためですからね。祇園に足を踏み入れるのは、そりゃあ夜になってからですよ。

Kouji

工事中の京都競馬場を横目に電車に揺られること45分。大阪を凌ぐ暑さの京都五条に降り立ち、目に留まったうどん屋さんの暖簾をくぐった。

Benkei

暑いほどにカレーうどんが恋しくなるのはなぜであろう。しかも京都のカレーうどんは総じて美味い。こちら「辨慶」のカレーうどん例外ではなかった。上品な辛さ。カレーの香りに負けぬダシの風味。スタッフの気配りも文句なし。祇園祭が中止になったのは残念やけど、こうしてお店を開けてお客さんに来ていただけるのだから、これで文句を言ったらバチが当たる―――。独特の京都弁でそう語るスタッフの声に京都の底力を感じた。

Curry

京都のウインズは建仁寺の筋向い。祇園の花見小路に面して建ってる。見慣れた「JRA」のロゴもなく、一見して場外馬券売り場だと気づかない。夜はなおさら。そこが重要なのであろう。先日のウインズ元町と比べて格段に空いていたのも印象的だ。

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五条駅から祇園界隈をぶらぶら歩き、建仁寺を抜けてウインズ京都で馬券を買い、八坂通りを五重塔まで登って北に折れ、八坂神社の境内を抜けて知恩院の山を登って降り、最終的に平安神宮経由で下鴨神社までたどり着いたところで、あの長い参道を前に力尽きた。幾度となく柏手を打ち、あるいはも両手を合わせ、ひたすら馬券的中を祈願したわけだが、馬券はことごとくハズれ。まあ、神様にしても仏様にしても、こんな節操のない人間の言うことなど聞く耳は持つまい。

Yasaka

三条に戻って久々に「せき川」を訪れた。前回訪れたのは2年前の京都2歳Sの夜。紅葉シーズンの土曜日とあって、河原町も祇園も人であふれていた。当然飛び込みで入れる店などない。そこをどうにか座席を用意してくれたのが、こちらのお店である。あれから1年半余りが過ぎ、世界の在り様は大きく変わった。本来なら今日は祇園祭の真っ最中の土曜である。だが、入店時の段階で客は私ひとり。誰もいない店内に一瞬「コロナ休業」を心配した。

実際に先月までは2か月間の休業を強いられていたらしい。カウンターに立ってお客さんと向き合えるのが何よりだと大将もお弟子さんも笑う。昼のうどん屋さんと同じ。本心であろう。

さみしい一人客に女将さんが話し相手になってくれるのもありがたい。しかしどうしても話題はコロナに流れがち。それが気づけば政治の話になる。それだけ飲食店が抱える不満は半端ではないということ。そもそも長らく政治の中心地だったお土地柄でもある。祇園祭にしても疫病対策としての政治的な意味合いが強かった。だから政治は「まつりごと」なのである。良くも悪くも政治に翻弄されたお土地柄。それでも民は前に進むことを諦めない。あらためて京都の底力を感じた。

 

 

***** 2021/7/17 *****

 

 

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