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2021年5月10日 (月)

歓喜と落胆と

7日付で「JRAの正式発表はまだだが、 今年の日本ダービーも無観客での開催が濃厚になった」と書いてしまったが、そのJRAからダービーの有観客開催が発表になった。己の不明を恥じると同時にJRAの英断に喝采を送りたい。15万の大観衆は無理でも、競馬の祭典がファンの前で行われることに価値がある。ただし油断は禁物。先日の天皇賞で、指定席当選の歓喜から一転「無観客」の憂き目を見た私としては、どうしても慎重な物言いにならざるを得ない。

そう思いつつJRAの指定席サイトを確認したら、ちゃんと東京・中京・新潟の3場が選べるようになっていた。「感動した」と書けば言い過ぎだが、緊急事態の渦中に住む身には奇跡に思える。

昨日もちらっと書いたが、おとといからJRAは東京・中京・新潟の左回りばかりの3場開催に切り替わっている。それでなくても今年は京都の改修工事と福島の被災とが相まって、例年より左回りコースの使用頻度は多いが、3場開催がすべて左回りになるのは珍しい。サウスポーたちの歓喜の声に混じって、右回り巧者の落胆の声が聞こえてきそうだ。

Left

馬にも「利き手」ならぬ「利き足」がある。それに関係があるのが手前脚。左回りのコーナーでは右トモ→左トモ→右前→左前の順に脚が地面につく。これがいわゆる左手前。この時、推進力を生み出すのは左トモである。

最終コーナーを回って、直線を迎える。しかしコーナリングの時と同じ左手前で走り続けていては、左トモに疲労が溜まってスピードが落ちてしまう。そこで騎手は直線に向いてから、手前を替えるよう馬に指示を出す。そこからが本当の勝負。「左回りが得意」という馬は、コーナーリングの得手不得手というよりは、「右手前で走るのが得意」な馬だったりする。

ディープインパクトは坂路調教でも右手前ばかりで走るほど右手前が好きだった。直線だけで後続を5馬身千切った日本ダービー。33秒5の脚で突き抜けたジャパンカップ。生涯2度の左回りでのレースが圧勝だったことと無関係ではあるまい。

手前を替えるのが得意な馬もいれば、苦手な馬もがいる。シンボリルドルフは上手な代表。一方、オグリキャップは下手だった。有終の美を飾った1990年の有馬記念。以前からこの癖に気づいていた武豊騎手が、根気よく手前の替え方を教え込んだというのは有名な話。そして迎えた本番、オグリキャップは最後の直線で武豊騎手の指示通りに手前を替え、1着でゴール板を駆け抜けた。

人間の「右利き」「左利き」は先天的なものだろうが、競走馬はふだんの調教で矯正が可能。また、新潟は得意でも、東京ではさっぱりという馬もいる。「右回り巧者」。「典型的なサウスポー」。そう言われる馬たちがいるのは事実だが、その理由は単にコーナーリングの問題に留まらない。馬場の特徴、滞在競馬か当日輸送か、気候の問題もある。それを単に「右利き」「左利き」に喩えるのは無理があろう。しかしその一方で、コースごとに得意不得意があるのも間違いない。

昨日のNHKマイルカップで1番人気に推されながら3着に敗れたグレナディアガーズは2勝馬だが、その勝ち星はいずれも右回りコースであげたものだった。一方、人気薄ながらハナの2着と健闘したソングラインも同じ2勝馬だったが、その2勝は左回り、しかもぶっちぎりの圧勝である。偶然かもしれないが、左回りの競馬ばかり見続けていれば、ついそんなことを考えたくもなる。


 

 

***** 2021/5/10 *****

 

 

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