« 2021年4月 | トップページ | 2021年6月 »

2021年5月31日 (月)

ダービーの重圧

ダービーから一夜明けて、あらためて昨日の激闘を振り返ってみた。逃げるエフフォーリアと横山武史騎手。追うシャフリヤールと福永祐一騎手。2頭のシルエットがピタリと重なり、たまたまシャフリヤールの頸が下がった瞬間がゴールだった。

競馬人にとってダービーは夢であり憧れであり目標でもある。だからこそ有力馬に乗る騎手のプレッシャーは並大抵ではない。それは競馬の怖さを知っているベテランほど強くなっていく。

Yutaka

武豊騎手がスペシャルウィークでダービーを初制覇した際は、「この1週間は満足に眠れなかった」と打ち明けた。さらにその2年後、アグネスフライトの河内洋騎手は前日土曜のレースをすべてキャンセル。極限まで精神を集中させて大願を果たしている。

2000

ひと昔前までダービー当日の地下馬道には特別な空気が漂っていた。パドック脇の花壇にしゃがんだり、壁に向かって独り言を続けたり、トイレに響くえづき声は、様々なやり方で重圧と戦う騎手たちの姿である。英国の競馬研究家によると本命馬の敗因は千を越えるらしい。「飛行機が落とした影に驚いて……」なんて例に比べれば、「人気の重圧」はかなり上位にくるはずだ

最近の若い騎手たち重圧とは無縁の存在だと思い込んでいた。「なにせプレッシャーを楽しむ」などと言い出す人たちである。横山武史騎手の「走るのは馬だし、自分がジタバタしてもしょうがない」というコメントにも、最近の若い騎手はたいしたもんだと素直に感心してしまった。

しかし、彼にしても重圧がゼロだったわけではあるまい。土日は5鞍で1・2番人気に支持されながら未勝利。11鞍の騎乗機会で人気を上回る着順はひとつもなかった。

加えて福永騎手のレース後の言葉である。

「ワグネリアンのダービーで大きな自信をもらいましたし、今日のゴール前でも情熱と冷静の間というか、フフッ、しっかり判断できたのも、そんな経験が生きたのだと思います」

そう振り返った福永騎手は1998年、2番人気キングヘイローで挑んだダービーでよもやの「逃げ」の手に打って出た。結果14着と辛酸を舐めている。報道陣に「平常心で騎乗できたか?」と問われると、虚ろな目で「頭が真っ白になった」と答えた。あれから23年、ダービーの難しさをあらためて思う。もっともそれを痛感しているのは、おそらく横山武史騎手本人だろう。

ただ、これも多くの名手が辿って来た道にほかならない。この悔しさを味わえるのも一流の証だ。今回の横山武史騎手と同じように「勝てば史上最年少優勝」などと騒がれ、虚ろな目でレースを振り勝ったあの日の福永騎手もまだ21歳と若かった。下を向く必要はない。

 

 

***** 2021/5/31 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月30日 (日)

無念が呪いになる前に

「ノーザンファーム生産馬はダービー10勝目」

「福永騎手は史上3人目となるダービー連覇」

「優勝馬主のサンデーレーシングは金子真人氏に並ぶトップタイとなるダービー4勝目」

「ディープインパクト産駒は単独トップとなるダービー7勝目」

……等々。

日本ダービーともなれば様々な記録が話題になって当然だが、私はハナ差でエフフォーリアを差し切ったシャフリヤールの、その勝ち時計にまず驚いた。

勝ち時計の2分22秒5は、2018年にロジャーバローズが記録した2分22秒6をコンマ1秒更新するダービーレコード。その中身が凄い。藤原英昭調教師が「もう少し流れると思った」と振り返ったように、前半の1200m1分12秒7の流れはむしろスローに近く、普通ならレコードタイムが出るようなペースではない。この時点で私は4~5番手を進むエフフォーリアの2冠を確信していた。

驚いたのはそこから。先頭から6馬身後方に控えたシャフリヤールは、後半の1200mを推定1分8秒8というスプリント戦にも匹敵するような猛ラップでまとめて、しかもレコードタイムをたたき出したのである。

「前が止まったわけではない」

福永騎手はレース後にそう語った。直線で前を行くエフフォーリアはバテていたわけではない。「差し切るのは困難……」。そう思うよりも早く、シャフリヤールのギアがもう一段上がった。最後は頸の上げ下げ。そう書くと「運」というニュアンスが強くなるが、「運」の勝負に持ち込むまでの能力は特筆すべきであろう。エフフォーリア陣営とすれば、「あの脚を使われては」が正直なところではないか。両馬を生産したノーザンファームなら「そこがエピファネイアとディープインパクトの違い」と言うかもしれない。エフフォーリアの募集価格2800万円に対しシャフリヤールは1億2000万円。違いは価格に現れる。だからこそ個人的にはエフフォーリアに勝ってほしかった。

むろん、敗れたとはいえエフフォーリアも同タイムで走っているのだから、なんら恥じることはない。横山武史騎手も上手く乗った。しかし舞台が舞台である。やはり勝たねば意味がない。父・エピファネイア、その父・シンボリクリスエス、母の父・ハーツクライ。「ダービー2着馬の無念」がやがて「呪い」と呼ばれることもある。妙なジンクスの芽は早めに摘んでおいた方がよい。

Fusaichi

エフフォーリアが先頭に立つのがちょっとだけ早かったのでは、という声もあるが、私はあれで良かったと思う。サトノレイナスの追撃も及ばないと分かった瞬間、ほとんどの人がエフフォーリアの勝利を確信したのではないか。そのエフフォーリア目掛けて馬群からただ一頭抜け出たシャフリヤールが差し切ったとき、私の脳裏にはフサイチコンコルドのダービーが甦った。武豊騎手の悲願が打ち砕かれるように横山武史騎手の夢もスルリとこぼれ落ちたあのレース。思えばノーザンファームの最初のダービー制覇でもあった。

 

 

***** 2021/5/30 *****

 

 

| | コメント (2)

2021年5月29日 (土)

格付けの壁を越えろ

東京から大阪に向かう新幹線を途中下車してココに立ち寄った。

Paddock

緊急事態宣言下でもスタンド2F「中競」さんのドテ丼は健在。

Don

さらに東海地方は絶賛梅雨入り中であるはずがこの青空。そう、ここは中京競馬場。まもなく重賞・葵ステークスがスタートする。

Sky

葵Sは重賞に格上げされてから今年が第4回。なのに格付けがなく「重賞」表記のまま。今年が中京開催であることは関係ない。今年1月、JRAは葵SのGⅢ格付けを見送ると発表した。日本グレード格付け管理委員会の承認を得られなかったのだという。グレードレースの格付けおよび昇格申請が承認されない初めてのケースとなった。

重賞レースが格付けされるには、過去3年間の平均レースレーティングと直近の年間レースレーティングのそれぞれが基準値を超えることが求められる。3歳GⅢの基準値は105ポンド。実際、重賞昇格してから昨年まで3年間の平均レーティングは106.41で条件を満たしていたが、昨年のレースレートが104.50に留まってしまった。勝ち馬ビアンフェを筆頭に上位入線馬4頭が、その後目立つ活躍をしていないのだから仕方ない。

ダイタクヘリオス、カルストンライトオ、カノヤザクラ、カレンチャン、そしてロードカナロア。かつての葵Sと言えば、歴史を彩る名スプリンターたちが1・2着馬にその名を刻む出世レースであった。ところが4年前に重賞に格上げされ、同時に施行時期が2週間繰り下げられてからというもの、むしろレースレベルが低下した感がある。日程繰り下げの影響でサマースプリントシリーズを目指す有力馬の参戦も減ってしまった。気づけば函館スプリントSは再来週ではないか。

そんな今年の葵Sを制したのはレイハリア。馬にとっては父・ロードカナロアとの親子制覇達成であり、亀田温心騎手にとっては嬉しい初重賞制覇となった。

Aoi

とはいえ、気になるのはレーティングである。ひとつ前の10レースで1400mのレコードタイムが記録された絶好の馬場状態にもかかわらず、勝ち時計は1分8秒1と平凡。13番人気馬による勝利であった事実も動かない。穴党としては荒れる競馬は歓迎だが、レーティングを思えば堅い方が良い。レイハリア、ヨカヨカ、オールアットワンス、ファルヴォーレの今後のさらなる活躍に期待しよう。

 

 

***** 2021/5/29 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月28日 (金)

府中の2400mに挑む牝馬

今年のオークスを制したユーバーレーベンが屈腱周囲炎を発症してしまったそうだ。屈腱炎ではないとはいえ故障の事実は動かしようがない。あらためてオークスの過酷さを思う。

5つある3歳クラシックレースで、もっとも消耗度が激しいレースはオークスで間違いあるまい。

まだ体が完成しきっていない3歳春の牝馬が、府中の2400mで競うGⅠとなれば、その厳しさは我々の想像を遥かに超える。本家英国とは異なり、我が国では当初秋のレースとして施行されていたのも、3歳の牝馬にとって春の長距離レースは過酷という配慮があったからだ。

最少キャリアでのオークス優勝記録は2006年カワカミプリンセス。デビューから4戦目でのオークス制覇であった。

Oaks_20210528211701

だが、1939年のオークスでは、ものすごい記録が生まれている。なんと、オークスがデビュー戦というヒサヨシが、2着ホシホマレを大差で破ったのである。だが、後になってヒサヨシから興奮剤の反応が検出されて失格。2着だったホシホマレが繰り上がり優勝となった。だがしかし、当時の薬物検査は現在とは比べものにならないほど精度は低く、“濡れ衣”を指摘する声は今も残る。もしそのまま確定していれば、現在では為し得ない快挙だけに、惜しい気がしないでもない。

オークスが春に写ったのは1953年から。記念すべき春のオークス馬第1号となったジツホマレは、果敢にも連闘でダービーを目指す。が、ダービー当日になって出走を取り消した。その理由は「過労」と記録されている。これまでに数え切れぬほどの出走取消を見てきたが、過労が原因で取り消された例はほかに聞かいたことがない。オークスの過酷さを象徴するエピソードだ。

それでも、これまでに10頭の3歳牝馬がオークスからの連闘でダービーを走った。なかでもオークスを勝ち、ダービーでも僅差3着と好走したチトセホープの快挙は今も語り草だが、今日ははフエアマンナを紹介しておきたい。

もし1956年のダービーで、エンメイとトサタケヒロの2頭が落馬する大事故に巻き込まれなければ、フエアマンナが「オークス&ダービー」連勝の大記録に届いていた可能性は十分にある。事故のアオリをもろに食らいながら、それでも6着に食い込んでみせたフエアマンナのレースぶりは、関係者でなくとも「まともなら……」と思いたくなるものであったとされるからだ。

ちなみに、フエアマンナは3連闘でダービーに挑戦した唯一頭のオークス馬でもある。今後この記録が破られることはあるまい。今年のダービーで前売り2番人気に推されている牝馬・サトノレイナスは早々にオークス回避を宣言してダービーに照準を定めてきた。今年2戦目という臨戦過程もゆとりたっぷり。フェアマンナに比べれば遥かに恵まれているその走りに注目だ。

 

 

***** 2021/5/28 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月27日 (木)

一国の宰相になるよりも

ダービーの出走馬が確定した。実は、知人の持ち馬が今年のダービーに出走するかもしれないと強く意識した時期がある。そういう意味でこの半年余りは楽しみと緊張の連続であった。

「持ち馬」と言い切るからには、すなわちクラブ出資馬などではない。1頭持ちの個人馬主である。勢い気持ちの入り方も半端ではなかった。ダービー出走の18頭に入ることの難しさ、特に個人馬主がダービー出走の栄誉に触れることの偉大さを、あらためて噛み締めた半年間。正直負け惜しみ半分だが、いい勉強になった。個人馬主でありながら、金子真人氏のように毎年のように「ダービー優勝」を意識されている方もいるのだと思うと、気が遠くなってくる。

「九州の炭鉱王」とも呼ばれた上田清次郎氏(故人)は、中央競馬馬主協会連合会の会長も務め、阪神競馬場には胸像が建てられているほどの大馬主だが、特にダービー獲得に執念を燃やした人物としても知られている。

1949年から四半世紀に渡って合計10回、都合13頭をダービーに送り込みながら(0,2,1,10)。ついに志を得ることはなかった。

惜しかったのは、1954年のダイナナホウシユウと65年のダイコーターであろう。どちらもダービーでは1番人気。だが運がなかった。ダイナナホウシユウはデビューから無キズの11連勝で皐月賞を勝った大本命馬だったのに、大一番のダービーでまさかの出遅れ。ゴールデンウエーブの4着に敗れた。

ダービー直前になってシンザンの馬主からトレードで譲り受けたダイコーターのエピソードは今も語り草だ。トライアルのNHK杯を楽勝し、ダービーでも1番人気が予想される馬のトレードは世間から激しい批判を浴びるが、本番では道悪に泣かされてキーストンの2着に敗れる。検量所でダイコーターを出迎えた上田氏は、「“一国の宰相になるよりもダービーオーナーとなる方が難しい”という言葉をこれほど身に染みて感じたことはない」と呟いたとされる。

翌日の新聞各紙は「ダービーは金で買えなかった」との見出しでこれを報じるが、実際に金で買えないのは「運」であろう。ダービーはもっとも運の良い馬が勝つレースと言われる。ダイコーターにもダイナナホウシユウにも、ちょっとだけ運が足りなかった。

個人馬主としてダービーに13頭を送り出したのは称賛されるべき立派な記録だ。だが、もちろん上には上がいる。今年のダービーにヨーホーレイクを送り出す金子真人氏は、なんとこれが21頭目のダービー出走。しかも過去20頭の出走で4勝だからすごい。金子氏にその気さえあれば、今すぐにでも総理になってしまいそうだ。

Kaneko

 

 

***** 2021/5/27 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月26日 (水)

スーパームーンと皆既月蝕

今宵は全国的に皆既月蝕。しかも今回はスーパームーンと重なるという。普段より大きな満月が欠けてゆく姿はさぞダイナミックに違いない。そう思って空を眺め続けたが、残念ながら大阪は雲が厚過ぎた。皆さんのお住まいの地域では見ることができましたか?

大阪では見ることができなかったので、皆既月蝕のスーパームーンの代わりに2016年AJCC2着のスーパームーンの写真を掲載しておきます。

Supermoon1

てっきりアドマイヤムーン産駒だろうと思い込んでいたのだが、ブライアンズタイム産駒だったんですね。この勝負服にあの厩舎だから、出れば人気を集める存在だった。

Supermoon2

皆既月蝕は英語で「ルナエクリプス」だが、JRAの現役競走馬にルナエクリプスという馬もいる。エスケンデレヤ産駒の4歳牡馬。馬体重が530キロをゆうに超える巨漢馬だから、まさしくスーパームーン級の「皆既月蝕」と言って良い。今週あたり出てくれば話題になったかもしれないが、残念ながら短期放牧中。写真がないのが残念だ。

 

 

***** 2021/5/26 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月24日 (月)

ドラマティック・ジョッキー

オークスが終わって、今年もダービーウィークが始まった。最終登録は18頭。でもダノンザキッドが回避して、フルゲートが18頭に制限されてからは初のフルゲート割れが決まってる。

岡田さんならユーバーレーベンをダービーに登録していたんじゃないか。

つい、そんなことを考えた。というのも、昨日触れたマイネヌーヴェルにオークス&ダービー連闘プランがあったことを思い出したから。桜花賞で10着と敗れた直後にも関わらず、「前から考えてこと」と前置きしつつ、オークスの好走を条件にダービー参戦プランを我々の前で披露してくれたのである。なかには呆れる人もいたが、マイネヌーヴェルへの期待とともにダービーへのあくなき執念が伝わってきて、思わず身震いしそうになった。ユーバーレーベンの鮮やかな勝ちっぷりを見れば、きっと「連闘でダービーも」という考えが頭に浮かんだに違いない。チャンスがある限り挑み続ける。そういう人だった。

殊勲のミルコ・デムーロ騎手は「ゴールした瞬間に岡田さんを思い出した」と語った。かつてはリーディング上位の常連だった彼も、今年はリーディング17位と苦しんでいる。色々な事情があって騎乗依頼も思うように集まらない。そんな苦境の中、岡田繁幸氏は彼に騎乗機会を与えてくれた。彼が言ったように人生は難しい。でも決して捨てたものではない。

Mirco1

母国のダービー騎乗を断って臨んだネオユニヴァースの日本ダービー。東日本大震災直後にヴィクトワールピサで勝ったドバイワールドカップ。エイシンフラッシュで天覧競馬を勝って見せたのも彼だった。馬上での涙にソダシのファンもきっと惜しみない拍手を送ったことだろう。彼にはドラマティックなシチュエーションが実に似合う。

Mirco2

種牡馬ゴールドシップにとってもこの勝利は大きい。ステイゴールドの系統ではオルフェーヴルに次いで2頭目のGⅠ馬の父となった。勝ち上がり頭数の比較ではオルフェーヴルの9頭の倍の18頭。種牡馬ゴールドシップへの期待はますます高まる。そんなゴールドシップをビッグレッドファームに連れてくることができたのも、岡田さんの熱意に小林英一オーナーが応えたから。日高の種牡馬がクラシックを勝ったのはメイショウマンボのオークス以来8年ぶり。安平の種馬ばかりが勝っても夢がない。

 

 

***** 2021/5/24 *****

 

 

 

| | コメント (0)

2021年5月23日 (日)

人生は難しい

3代母まで「マイネ」の名が続く母系に加え、父も母の父も岡田繁幸氏が獲得に心血を注いだ種牡馬。今日のオークスが。3月に亡くなったばかりの岡田繁幸氏のレースだったことは間違いない。

Nuvel

個人的にはユーバーレーベンの祖母マイネヌーヴェルこそオークス向きと考えていた。父がブライアンズタイムで母の父はザビール。さらに母系には、アスコットゴールドカップ連覇の名ステイヤー・ドラムタップスの名前もある。距離に不安があるはずがない。実際、岡田氏もオークスへの自信を口にしていた。だが、4番人気で迎えたオークスは11着と大敗。競馬は難しい。

それから2世代を経てようやく掴んだオークスのタイトル。だが、岡田氏はそれを観ることはできなかった。人生は難しい。ミルコがインタビューで語ったこの言葉にはいろいろな意味が含まれている。聞く人によって受け取り方はさまざまであろうが、私にはそういう意味に聞こえた。

 

 

***** 2021/5/24 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月22日 (土)

サンドイッチは料理だ

関西からJRA開催が消えて3週目。緊急事態宣言が延長されようがされまいが、しばらくJRA競馬場に行くことはできない。その間はグリーンチャンネルとパソコンを組み合わせて自宅を簡易WINS化して凌ぐことになる。今朝もとりあえず3杯分のコーヒーを落とし、近所のパン屋さんでサンドイッチを購入。TVの前に座ったところで長い一日が始まった。

5月1日付で「関西のたまごサンドはだし巻きを挟んだタイプが多い」と書いたが、だからと言って「ダシ巻きサンド」などと呼んだりはしない。あくまで「たまごサンド」。だってそう書いてある。

Dsc_2993

このブログではことあるごとに「競馬場の食事はサンドイッチがベスト」であると訴えているが、それは自宅WINSでも同じ。右手でパソコンのマウスやスマホを操作しながらでも、サンドイッチなら左手一本で食べられる。これがハンバーガーだと案外難しい。やってみればわかる。しかもハンバーガーだと、あの忌まわしき包み紙が手や口の周りを汚すので、馬券検討に集中できない。

巷にハンバーガー専門店は溢れているのにサンドイッチ専門店が少ないのはなぜだろうか。「サンドイッチも売っている」という店はある。なのに専門店となると少ない。少なくとも手軽さという点においては、ハンバーガーにヒケを取らぬメニューのはずなのに。

「サンドイッチも売っている」お店で出しているのは、たいてい「ハムやら玉子やらを挟んだパン」であって、サンドイッチとは呼べないものもある。私は声を大にして叫びたいのだけど、サンドイッチはサンドイッチであってパンではない。れっきとしたひとつの料理である。だからおいしいサンドイッチを作ろうと思うなら、まずおいしい料理を作ろうという気概を持たねばならない。

かつて私の実家では、毎年大晦日になると20人前のフルーツサンドを作るのが慣わしだった。大量のホイップクリームを千疋屋の見習いの如く泡立てる作業は生半可ではない。元旦には右手が上がらなくなるほど疲れるため、ついに自分のお年玉をはたいて電動ミキサーを購入したほどだ。

サンドイッチを作るにおいて、多くの人が間違いを犯すのが具材を挟んだパンを切る工程だ。形を整えようとして体重をかけて上から押したり、漬け物のように重しを置いてしばらく放置する人がいるが、これはやってはいけない。具材から水気が出てやたらと硬いサンドイッチができあがってしまう。また、まるで餅を切るかの如く、包丁の柄に親指を置き、全身の力を込めて一気呵成に断ち切ろうとする人もいるが、これではパンが潰れてしまう。

親指と人さし指で軽く柄をつかみ、ノコギリを引く要領で手前に引く。すると、包丁の自重で自然に刃がパンに落ちていく。まあ、この切り方は簡単とは言えないし、包丁も十分に研がれていなければならないし、もちろん使う食パンも新鮮でなければならない。つまり簡単ではない。だからこそ「料理」なのである。

ところで、だし巻きのたまごサンドとゆで卵のたまごサンド、果たしてどちらが旨いのか?

Dsc_2995

私からすれば両者は別物である。だからその答えは「どちらも旨い」でよい。今日のたまごサンドはケチャップの酸味の奥にほのかなマスタードの風味がピリリと感じられて、きちんとした料理であることを実感できた。

 
 
***** 2021/5/22 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月19日 (水)

日常化するコロナ記事

JRAは18日、栗東トレセンに所属する厩舎従業員1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。当該従業員は現在、隔離されて療養中。なお22日以降の中央競馬は感染拡大防止の措置をしつつ、予定通り開催される。(5月19日・スポーツ報知)

News

ちょっと前ならトレセンでの陽性者発生は競馬開催に関わる重大事であった。だが最近はそうでもないようだ。紙面の片隅に追いやられた記事の大きさがそれを表している。ともあれ、これだけの情報では陽性者発生に伴う一斉PCR検査が行われているのかどうかも分からない。

5月1日に厩舎関係者から陽性者を出した佐賀競馬がPCRの実施と開催中止を選択した一方で、14日に競馬場スタッフから陽性者を出した金沢は、その2日後に2282人の観客を入れて予定通り開催した。こと競馬に関しては、陽性者発生時の対応ルールが今ひとつ見えにくい部分がある。

対してプロ野球は明確だ。ほとんどのチームにおいて、選手・スタッフに関わらずチーム内に陽性者が確認されれば、ただちに全員がPCR検査を受けることになっている。そのおかげで、昨日の広島カープなどは主力選手抜きで戦う羽目になった。日本ハムのように試合そのものを中止した例もある。さらなる陽性者を炙り出す可能性のあるPCR検査に二の足を踏む気持ちは分かるが、「1匹見かけたら10匹隠れてる」のゴキブリ的感覚がなければ根絶は難しい。

それにしても今朝の「スポーツ報知」に激しい既視感を覚えたのは私だけだろうか。同紙のバックナンバーをめくっていただければ、それをわかっていただけると思う。


JRAは11日、栗東トレセンに所属する調教師1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。当該調教師は現在、隔離されて療養中。今週15日以降の中央競馬については感染拡大防止の措置をしつつ、予定通り開催するとしている。(5月12日・スポーツ報知)


JRAは12日、栗東トレセンに所属する厩舎従業員1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。当該従業員は現在、隔離されて療養中。今週15日以降の中央競馬については、感染拡大防止の措置をしつつ、予定通り開催するとしている。(5月13日・スポーツ報知)


栗東トレセンでは先週も新型コロナの陽性者が確認されていたわけだが、それを伝える記事は日付や肩書を変えただけでほぼ同じ。それだけコロナの陽性が日常的になりつつあることの証であろう。JRAのプレスリリース自体がもはやテンプレート化しているに違いない。今日もまた身近に陽性者が判明した私の境遇を思えば、トレセンがこの程度で済んでいることを安堵すべきなのだろう。

 

 

***** 2021/5/19 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月18日 (火)

クロフネの血

近年は桜花賞好走組がそのままオークスでも馬券になることが多い。桜花賞のゴール寸前を思い起こすと、「オークスで快走する馬が見える」ともいわれる。ひと昔前までは、800mの距離延長をどう解くかがオークス最大の鍵だった。だが、NHKマイルカップが制定されてからは、距離に不安を抱くような桜花賞好走馬は、わざわざオークスに出て来ない。

とはいえ、2017年のレーヌミノルのようなこともある。ステイヤーが少なくなった昨今の競馬において、オークスは距離適性が問われる数少ないレースのひとつであろう。そういう意味では徹底して距離にこだわってみたい。

ところで桜花賞当日付で私はこう書いた。


「普通なら止まってもおかしくないような苦しいところから、もうひと踏ん張りする底力には正直驚かされた。次走は名言されていないが、クロフネの娘が府中の2400mでどういう競馬をするのかを観てみたい気がする。」


とはいえ、これは「オークスに出て欲しい」という気持ちの表れであって、「オークスも勝てる」と言ったわけではない。オークスをナメてもらっては困る。

Sprise

同じクロフネ産駒のクロフネサプライズが挑んだ2013年のオークスを覚えておいでだろうか。1番人気に推された桜花賞は、1000mの通過が58秒9というハイペースにも関わらず4角手前で早くも先頭。さすがにゴール前は脚が上がったが、それでも4着に粘った。それを「負けて強し」と判断した私は、4番人気のオークスでどどーんと彼女から勝負したが、結果は12着惨敗である。そんな苦い思い出があるからソダシに全幅の信頼は置きにくい。

そもそもクロフネ産駒は、これまでJRAの重賞648回出走して障害を除き40勝もしているのに、その中に1800mを超える距離での勝ち星はひとつもない。そんな単距離志向の種牡馬を父に持つソダシが府中の2400mをこなせるものだろうか。

01_20210518212501

もちろん距離適性は父だけで決まるものではない。母の父のキングカメハメハは万能だし、ゴールデンハインドのように万葉Sを勝つようなクロフネ産駒だっているのである。それでも長い歴史の中で、多くの桜花賞馬が距離の壁に泣いてきた事実は動かしようがない。それがオークスというレースの存在意義でもある。そういう意味ではソダシの敵は17頭の出走馬たちではなく、彼女自身。馬券は別にして、純白の体内に流れているであろう真っ赤なその「血」に打ち勝つシーンがあるのなら、それはぜひとも見てみたい。

 

 

***** 2021/5/18 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月17日 (月)

付加賞の重み

日本ダービーの最終登録が昨夕締め切られた。皐月賞馬エフフォーリアを筆頭に登録したのは18頭。つまり除外馬はない。

フルゲートぴったりになったのは抽選の余地がないことが明らかだからであろう。それはレベルの高さの裏返しでもある。収得賞金順のボーダーラインはグレートマジシャンの1650万円。シーザリオの子で注目を集めたルペルカーリアは、京都新聞杯で2着しながら涙を飲んだ。京都新聞杯2着といえば、おととしのダービー馬・ロジャーバローズが記憶に新しい。サトノレイナスの異例の参戦がなければ歴史は違っていたかもしれないが、競馬の世界では結果のみが歴史でもある。

日本ダービーの1着賞金は2億円。2019年にケンタッキーダービーの1着賞金が186万ドル(約2億330万円)に増額されたことで、それまで守り続けていた「世界最高賞金ダービー」の地位から陥落したという記事を見かけたが、これは厳密には正しくない。1着馬に2600万円(昨年実績)もの付加賞が上乗せされる日本ダービーの方が、実質的にケンタッキーダービーよりも実入りは大きい。

実は、遥か昔はさらに付加賞に重みがあった。例えば1着賞金が1万円の時代で、かつ付加賞制度のあった9回のダービーのうち7回は、本賞金より付加賞の方が多かったと記録に残る。すなわち馬主の負担が相当に大きかった。当時の登録料は200円だから馬主は1着賞金の50分の1を負担していたことになる。1着賞金2億円の現在に当てはめると、400万もの登録料を支払う計算だ。

そんな大金を一括で支払うとなれば、躊躇いがあっても仕方ない。そこで登録を4回に分けて行う方式(現在は3回)が取られる。何度も繰り返し行われるクラシック登録は、巨額な登録料の分割払いの意味もあって生まれた。現在では、2歳秋の第1回登録が1万円、3歳1月の第2回登録が3万円、そしてダービー直前の最終登録に36万円を収めることになっている。合計40万円。第2回までの登録料はさほど負担を感じさせないが、それでもクラシック登録のない3歳馬は少なくない。

1950年はクモノハナが皐月賞とダービーの2冠を制したが、もしウイザートが出ていたら勝負の行方はわからなかった。なんとダービーの直前まで11連勝もしたウイザードに、クラシック登録がなかったのである。それから38年後、空前の競馬ブームを引き起こすオグリキャップにも登録がなく、ウイザードと同様、クラシックとは無縁の3歳春を余儀なくされている。

未登録の理由は能力判断によるところがもっとも多いと思われるが、意外にも関係者の手続き忘れというのも後を絶たない。馬にしてみればたまったものではなかろう。そこで登場したのが追加登録制度という救済手段。未登録の馬でも一定の資格を得て200万円を払えば、クラシックに出られることになったのである。今年の皐月賞でアサマノイタズラが追加登録料200万円を払って出走したことは、記憶に新しい。テイエムオペラオーが皐月賞を勝ち、メイショウマンボがオークスを勝てたのも、この制度のおかげだ。

Oaks

「レースに出走するだけで200万も!?」。競馬を知らぬ人は驚くかもしれない。だが、アルゼンチン2冠馬ジェントルメンは、1998年のブリーダーズカップに挑戦するために、80万ドル(当時のレートで約9600万円)もの追加登録料を支払っている。まあ、これは極端な例としても、海外のビッグレースの追加登録料は1000万円前後のケースがほとんど。日本の追加登録システムは、欧米に比べれてずいぶんとお得感が漂う。

 

 

***** 2021/5/17 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月16日 (日)

梅雨と緊急事態と

なんと梅雨入りしてしまった。

気象庁は「近畿地方は梅雨入りしたと見られます」と発表。近畿地方としては、平年より21日早く、昨年より25日早い梅雨入り。1951年の統計開始以来最も早いという。1951年と言えばトキノミノルがダービーを勝った年。70年間無かったことが起きた。競馬ならそれもあろうが、気象現象だとちょっと心配な面もある。

なにせまだ5月中旬、ダービー、オークスはおろか、発表があった午前11時はヴィクトリアマイルすら行われていなかった。グランアレグリアの速さにも驚くが、梅雨入りの早さの方が驚きは大きい。「梅雨といえば6月」。東京ではそれが常識だった。大阪でもさほど変わりはあるまい。

思えば今年は桜も早かった。広島、福岡、長崎、松江、高松、京都、下関では統計開始以来最も早い開花を更新し、東京も昨年に並んで観測史上最も早い開花である。4月には早くも全国各地で真夏日を記録し、台風2号は4月としては異例の「猛烈な」勢力にまで発達。すでに気象的には記録づくめの年になりつつあるのなら、5月に梅雨入りしてもおかしくはない。

Rain

梅雨とは「春から夏に移る時期、その前後に比べて雨と曇りが多くなる季節現象」と定義されるそうだ。気圧配置や降水量、気温などの基準があるわけではない。だから、梅雨入りの発表についても気象庁として「宣言」という言葉を使ったことはなく、あくまでも情報の提供という立場だが、それを受け取る側が「宣言」だと思い込んでいるフシがある。この辺の事情は桜の「開花宣言」の誤用にも近い。季節感をことさら大事にする日本人ならではであろう。

客観的な基準がないのなら、いっそ「桜の開花」とか「梅雨入り」といった発表などやめてしまってはどうか―――。

そんな意見も少なくはないが、百貨店の売り場展開やCMの差し替えなどに影響するとして、なくなっては困るという声の方が大きいらしい。梅雨入りの日は除湿グッズが、そして梅雨明けの日はビールがよく売れるというのも業界の常識になっている。

一方でれっきとした「宣言」でありながら、軽視されがちなのが緊急事態宣言。今日から北海道、岡山、広島の3県で緊急事態宣言の適用が始まった。緊急事態宣言の先輩として北海道の牧場に連絡。正直言って大阪よりひどい地域なんてないだろうと思っていたが、北海道は北海道でたいへんな状況らしい。あの広い牧場で「密」なんて起きないだろうと勝手に考えていたけど、それはそれでも感染は起きる。梅雨と緊急事態。先に明けるのは、はたしてどちらだろうか。

 

 

***** 2021/5/16 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月15日 (土)

懊悩と逡巡の1か月間へ

昨日、社台・サンデーの各クラブと社台オーナーズの1歳募集馬ラインナップが発表になった。目星をつけていた馬の募集価格を見て出た溜息は安堵かそれとも落胆か。私が目を付けていた馬たちは、概ね予想通りの価格。ただ実際に買うとなればやはり馬体を見なければならない。今年も牧場ツアーは中止になったから、当然カタログとDVDに頼ることになる。それが届くのは来月。それまでに血統チェックは終わらせておこう。懊悩と逡巡の1か月間が始まった。

今年のラインナップの特徴をひと言で言えば、ディープインパクト産駒の不在であろう。そのポジションにはロードカナロアが鎮座しているが、どこか馴染めていないように見える。サンデーのラインナップにキズナ産駒が東西1頭ずつというのはちょっと少なすぎやしないか。社台のラインナップにポツンとたたずむ「エイシンヒカリ」も、どことなく不気味だ。

Hikari

母馬よりも種牡馬に目が行ってしまうのは、いまが種牡馬界の変動期であることと無関係ではあるまい。勢い外国産馬も気になる。シュネルマイスターが勝ったNHKマイルCがその象徴だ。外国産馬の優勝はクロフネ以来20年ぶりと聞いて意外に感じた方は多かったのではないか。そうでなくても、サンデーサラブレッドクラブ所属の外国産馬としては、GⅠはおろか重賞レース自体が初勝利だと聞けば、きっと驚くに違いない。この20年間、内国産馬はそれだけ強く、それを支えてきたのは一握りのトップサイアーだった。

だが、ディープインパクト亡き今、その構図は崩れつつある。Frankel に Justify。サンデーの外国産馬が気になって仕方ない。

「この血統ですから種牡馬としての価値も込みで、このお値段!」

牧場ツアーの外国産馬を売り込むマイクパフォーマンスの常套句。だが、そう叫ばれても、聞く方は苦笑いするしかない。だって国内で走るならディープインパクト産駒の方が強いのだし、種牡馬入りを期待するにしてもディープ産駒の方が確率は高い。牝馬ならなおさら。「どうせ繁殖用でしょ」「この馬ではなくて、この馬が産むディープの仔を買うよ」。外国産馬のみならず、持込馬に対してもそんな声ばかりが聞こえていた。

ところが、シュネルマイスターと同じ Kingman 産駒の外国産馬・エリザベスタワーがチューリップ賞を勝ち、Frankel の持込馬・グレナディアガーズが朝日杯を勝った。社台レースホースの外国産馬にしても、重賞勝ちとなるとミッドナイトベットが勝った1999年の金鯱賞以来22年ぶりというから、やはり状況は変化している。

とはいえ、その状況の変化に私が対応できるとすれば、内国産のマイナー種牡馬を狙うことくらい。ならばいつもと同じこと。これより1か月間、穴馬探しに没入することにしよう。

 

 

***** 2021/5/15 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月14日 (金)

天智天皇ゆかりの地で

過日、不要不急ならざる用向きにて滋賀の近江神宮を訪れた。JR大阪駅から在来線で40分ちょっと。案外近い。

人気漫画「ちはやふる」で知られた“かるたの聖地”である。同作品には東京競馬場の周辺もたびたび登場するから、ココも前から気にはなっていた。2両編成の電車を降りたそこは、のどかな無人駅。うっそうとした森を抜け、急峻な石段を上がると、鮮やかな朱塗りの楼門が現れた。

Jingu

ここでは毎年1月に競技かるたの名人位、クイーン位とならんで、「高松宮記念杯・近江神宮全国歌かるた大会」が開催される。高松宮家は近江神宮と縁が深いことから賜杯を下賜されたそうだが、「高松宮記念」と聞いて我々が思い浮かべるのは春のスプリントGⅠレースであろう。この事実を知ってからというもの、百人一種にちなむ馬が高松宮記念に出走する日を心待ちにしているのだが、これがなかなか実現しない。昨年、快速牝馬・カラクレナイの出走が実現しかけたが、前哨戦のシルクロードSで大敗を喫し、そのまま引退してしまった。

近江神宮の祭神は天智天皇。中大兄皇子として大化の改新を断行し、ここ大津に遷都したことでも知られるが、日本書紀によれば滋賀県近江八幡市一帯に馬の放牧場を開いたともされる。その地にある加茂神社では毎年5月に古式競馬の神事が営まれているらしく、JRA関係者も参列するとのこと。さしずめこちらは「競馬の聖地」といったところか。

残念ながらこの日は近江八幡まで足を延ばす余裕がなかった。そもそも人流抑制のご時世を考えれば、用が済んだらさっさと大阪に戻るのが人の道であろう。ならばせめて何か名物をと、帰途のJR大津駅で「ちゃんぽん亭総本家」に立ち寄った。お店のイチオシは屋号でもある「近江ちゃんぽん」だという。

「ちゃんぽん」というからには豚骨スープかと思ったがそうではない。カツオ節と昆布でダシをとった和風のスープ。具も定番の海鮮は使わず、炒めずに煮込んだ大量の野菜だ。食べる途中で酢をかけて味変するのが地元流らしい。

Chanpon

その味の優しさに驚いた。これは和食の為せる業。京都との近さがこの味を実現したのかもしれない。こんなお店がウチの近所にもあればイイのに、と思って念のために調べてみたら、なんと歩いて15分ほどに同じお店があるではないか。今度行ってみよう。

 

 

***** 2021/5/14 *****

 

 

| | コメント (2)

2021年5月13日 (木)

競馬場でワクチンを

昨日の朝のこと、仕事場に着くなり部下から「セールスフォースが死んだ」と聞かされた。

セールスフォースと言えば大井所属の競走馬。たしかカネヒキリの産駒で、条件ばかりとはいえ10勝くらいしていたはず。そうか、死んでしまったのか。それで「事故? それとも病気?」と聞いたら、「病気?」と聞き返されてしまった。そりゃあ、病死ってことだってあるでしょうよ。んで、あらためてよくよく聞いたら、この話だった。

Salesforce

思わず「なんだ、紛らわしい」と言ったら、そんなことを思うのは私だけらしい。いまどきクラウドサービスの Salesforce を知らない人なんていませんよ。口には出さないが、そういう顔をされた。実際それは正しいのであろう。その証拠に全国紙でも一面トップで扱っている。その記事によれば、世界中の企業や行政機関などで利用されていて、日本でも厚生労働省の新型コロナワクチンの管理システムや自治体の予約システムなどで不具合が出るなどの影響が出たという。ふーん。そうなんですか。それで話題は新型コロナの話へと流れる。

今月30日から大井競馬場がワクチンの集団接種会場として利用開始されることになった。具体的には4号スタンド5階。つまりダイヤモンドターンの上階にあるゴンドラ席フロアが会場として使われる。非出走の馬主席としても使われていたから私にとっても馴染み深いエリア。建物自体が独立棟で、フロアにはふんだんに椅子も設置されており、むろんトイレも完備。細長いフロア構造なども接種業務に向いているかもしれない。ほかにも南関東では浦和競馬場も接種会場に使われるそうだ。一方でJRAの競馬場からはそういった話は聞こえてこない。

競馬場でのワクチン集団接種の先鞭をつけたのは英国である。今年の1月にはエプソム競馬場がワクチン接種会場となった。オフシーズンだったこともあろうが、さすが競馬だけでなくワクチン接種でも世界をリードせんとするお国柄。おかげで今では国民の約半数が1回目の接種を終えて、市民はマスクなしで外出を楽しんでいる。

大井競馬場も今は無観客開催が続いているのでスタンドや駐車場の利用に支障はなかろう。このあと有観客再開が実現した場合でも、4号スタンド5階は接種会場としてそのまま継続使用するという。

そこでふと思った。残念ながら無観客開催が継続された場合、一般の競馬ファンが観ることができないナマのレースを、接種対象者は観ることになる。接種を受ける人が競馬ファンならちょっとラッキー。接種を待つ間、あるいは接種後の経過観察の合い間にも、スマホで馬券を買ってゴンドラ席からのレース観戦を楽しむ―――そんなことが可能かもしれない。

 

 

***** 2021/5/13 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月12日 (水)

スイッチコース

JRAの競馬場は右回りが7場に対して左回りは3場しかない。それが同時に開催されるのは珍しいと、おとといもそう書いた。

だが、GⅠレースに限れば右回り14レースに対して左回りは10レース。一気にその差は縮まる。その一因にもなっているのが、先週から始まった東京競馬場での5週連続GⅠ開催であろう。毎年のことだが財布が持ちそうもない。

スプリントやマイルのGⅠが年に2回、右回りと左回りのそれぞれのコースで行われるのは、興行的な側面もさることながら、右回りも左回りも関係のない普遍的な強さを求める理念の表れでもある。実際には、マツリダゴッホのように右回りが得意だという馬がいれば、スワーヴリチャードのような典型的なサウスポーも存在する。なのにJRAのハンデキャッパーは、そういった左右の得意不得意をハンデに加味することはしないそうだ。

Swarve

それにしても、と思う。米国の競馬場はすべて左回り。我が国が範としたはずの英国にしても3分の2が左回りである。なのに、JRAでは2000年に新潟競馬場がようやく3番目の左回りコースとして生まれ変わったばかり。地方競馬に目を向けても、右回りが10場であるのに対し、左回りは4場しかない。思えば、旭川、上山、高崎、宇都宮、足利、福山、荒尾など、近年廃止となった競馬場にしてもことごとく右回りであった。我が国の競馬場にはなぜこんなに右回りコースが多いのであろうか。

日本における馬券発売を伴う近代競馬の嚆矢は、1861年に横浜の洲干弁天裏で行われたレース。ちなみにこの時のコースは直線のみだった。そしてその翌年、いまの横浜山下町に作られた日本最初の競馬場は、本場の英国に倣って左回りだったとされる。

その後、1866年に関係者の念願かなって本格的スタンドを備えた競馬場が根岸の丘の上に完成した。ここで話は昨日の根岸競馬場に戻ってくる。現在は公園となっているあの競馬場跡を訪れたことがある方なら想像できるだろう。あまりの起伏の激しさにどうしても左回りのコースがとれず、やむなく右回りにしたという逸話が残る。その後、各地の競馬関係者が根岸競馬場に倣って競馬場を造成したため、日本の競馬場には右回りが多くなった―――。どうやら、これがコトの真相らしい。

根岸競馬に倣った競馬場のひとつに目黒競馬場がある。目黒は右回りであった。だが、その目黒競馬場が移転して生まれた東京競馬場は原則左回りである。これについては、当時の東京競馬クラブの理事には外国人が多く、海外に倣って左回りに戻したとする説が有力。だが、それも先ほど書いたようにあくまでも「原則」に過ぎない。かつて東京競馬場の芝の1000m、1100m、1200m、およびダートの1000m、1100mは、右回りコースで行われていた。馬たちは向こう正面から2コーナーに向かってスタートを切り、1コーナーを右に回ってゴールを目指していたのである。

1962年のダービー馬・フェアーウインは東京コースで7戦して(4,1,2,0)と着外がない。これは典型的なサウスポーではないか―――と思ってよくよく見れば、そのうち3戦(1,1,1,0)は右回りコースでの成績だったりする。中山でも4勝を挙げていることを考えれば、むしろ得意なのは右回りだったのかもしれない。

昨年3月、大井競馬場が現行の右回りコースに加え、左回り1650mのコースを新設すると発表して関係者に衝撃を与えた。当初は今年1月にも稼働の予定だったが、新型コロナの影響でこの秋にずれ込むという。実現すれば国内では東京競馬場が左回り統一されて以来38年ぶりの出来事。世界でも類を見ない「スイッチコース」が誕生する。

 

 

***** 2021/5/12 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月11日 (火)

蕎麦と馬の共通点

蕎麦という食い物は、ワインや鮨などに肩を並べるウンチクの塊だけに、あまり迂闊なことは書けないのだが、フライパンを購入したことで、自宅で蕎麦を茹でて食べる機会が増えた。うどんばかり食べているようで、根は蕎麦っ食いだったりする。

そんなワケで今日の晩ごはんは鴨せいろ。近所のスーパーで買ってきた鴨肉をフライパンで炒めてツユをつくり、同じフライパンで蕎麦を茹でた。フライパンの万能性に感謝しつつ、鴨の脂がほどよく染み出たツユに半分ほど蕎麦をくぐらせ、しかるのちに一息で蕎麦をすする。名店の味には遠く及ばぬが喉越しは痛快至極。そういやちゃんとザルも買いましたよ。ネギがあれば完璧だったが、いかんせん我が家には包丁というものがない。そんな理由で買うのをためらってしまった。大いなる反省点だ。

Kamo_20210511204401

鴨といえば、門別「いずみ食堂」の鴨そばも捨てがたい。

長さも太さもマチマチ。いわゆる田舎そばそのものの麺には、鴨肉のコクたっぷりのツユがほどよく絡まる。寒い季節でも、これを一杯食べれば、まさしく生き返る思いがする。

Izu1

この店の蕎麦は黒っぽい。その色合いを見て、つなぎを使っていないいわゆる十割蕎麦だと思われるお客さんも多いようだが、店によれば「色黒なのは蕎麦粉が粗挽きだから。つなぎは使ってますよ」とのこと。しかし、その割合は企業秘密だという。

競馬で「つなぎ」と言えば、球節と蹄部の間の部位。馬が走る時に四肢の負担を和らげるクッションの役目を果たす。これが短すぎると衝撃が緩和されずに脚を痛める可能性が高まり、逆に長過ぎてはクッションが利きすぎてスピードが殺される恐れもある。

「つなぎ」はバランスが命。それは蕎麦でも馬でも同じことだ。

 

 

***** 2021/5/11 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月10日 (月)

歓喜と落胆と

7日付で「JRAの正式発表はまだだが、 今年の日本ダービーも無観客での開催が濃厚になった」と書いてしまったが、そのJRAからダービーの有観客開催が発表になった。己の不明を恥じると同時にJRAの英断に喝采を送りたい。15万の大観衆は無理でも、競馬の祭典がファンの前で行われることに価値がある。ただし油断は禁物。先日の天皇賞で、指定席当選の歓喜から一転「無観客」の憂き目を見た私としては、どうしても慎重な物言いにならざるを得ない。

そう思いつつJRAの指定席サイトを確認したら、ちゃんと東京・中京・新潟の3場が選べるようになっていた。「感動した」と書けば言い過ぎだが、緊急事態の渦中に住む身には奇跡に思える。

昨日もちらっと書いたが、おとといからJRAは東京・中京・新潟の左回りばかりの3場開催に切り替わっている。それでなくても今年は京都の改修工事と福島の被災とが相まって、例年より左回りコースの使用頻度は多いが、3場開催がすべて左回りになるのは珍しい。サウスポーたちの歓喜の声に混じって、右回り巧者の落胆の声が聞こえてきそうだ。

Left

馬にも「利き手」ならぬ「利き足」がある。それに関係があるのが手前脚。左回りのコーナーでは右トモ→左トモ→右前→左前の順に脚が地面につく。これがいわゆる左手前。この時、推進力を生み出すのは左トモである。

最終コーナーを回って、直線を迎える。しかしコーナリングの時と同じ左手前で走り続けていては、左トモに疲労が溜まってスピードが落ちてしまう。そこで騎手は直線に向いてから、手前を替えるよう馬に指示を出す。そこからが本当の勝負。「左回りが得意」という馬は、コーナーリングの得手不得手というよりは、「右手前で走るのが得意」な馬だったりする。

ディープインパクトは坂路調教でも右手前ばかりで走るほど右手前が好きだった。直線だけで後続を5馬身千切った日本ダービー。33秒5の脚で突き抜けたジャパンカップ。生涯2度の左回りでのレースが圧勝だったことと無関係ではあるまい。

手前を替えるのが得意な馬もいれば、苦手な馬もがいる。シンボリルドルフは上手な代表。一方、オグリキャップは下手だった。有終の美を飾った1990年の有馬記念。以前からこの癖に気づいていた武豊騎手が、根気よく手前の替え方を教え込んだというのは有名な話。そして迎えた本番、オグリキャップは最後の直線で武豊騎手の指示通りに手前を替え、1着でゴール板を駆け抜けた。

人間の「右利き」「左利き」は先天的なものだろうが、競走馬はふだんの調教で矯正が可能。また、新潟は得意でも、東京ではさっぱりという馬もいる。「右回り巧者」。「典型的なサウスポー」。そう言われる馬たちがいるのは事実だが、その理由は単にコーナーリングの問題に留まらない。馬場の特徴、滞在競馬か当日輸送か、気候の問題もある。それを単に「右利き」「左利き」に喩えるのは無理があろう。しかしその一方で、コースごとに得意不得意があるのも間違いない。

昨日のNHKマイルカップで1番人気に推されながら3着に敗れたグレナディアガーズは2勝馬だが、その勝ち星はいずれも右回りコースであげたものだった。一方、人気薄ながらハナの2着と健闘したソングラインも同じ2勝馬だったが、その2勝は左回り、しかもぶっちぎりの圧勝である。偶然かもしれないが、左回りの競馬ばかり見続けていれば、ついそんなことを考えたくもなる。


 

 

***** 2021/5/10 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 9日 (日)

祝・パイロキネシスト優勝

昨日付で紹介した佐賀のパイロキネシストが、今日の佐賀スプリングカップを見事に逃げ切った。9歳にして初めてのタイトル獲得。関係者の皆様、おめでとうございます。

パイロキネシストは、昨日のプリンシパルSを勝ったバジオウの母・フローレスダンサーが勝った7年前の新馬戦メンバーの一頭。ほかにもドゥラメンテ(産駒・タイトルホルダー)やクルミナル(産駒・ククナ)など、すでに父や母となりクラシックに産駒を送り込んでいる同期もいる中にあって、現役競走馬として走り続けるパイロキネシストの姿には、どことなく励まされるような思いがする。なにせ私もトシを取った。

実は(最近はこんなことばかり書いている気がするけど)今日は佐賀に行こうと思ってた。こないだ新大阪駅を歩いていたら、新鳥栖に乗り換えなしで直行できる新幹線があることを知ってしまったである。新鳥栖までは3時間弱。長いと言えば長いが、乗り換え無しというのは気分が良い。14時06分発の「さくら」に乗って、あとは寝てれば17時前に新鳥栖に着く。競馬場まではタクシーで10分。それくらい時間と費用をかけてでもナマの競馬が見たい。そう考えるのは私ひとりではなかろう。自室に閉じ籠ってグリーンチャンネルを見るのはもう飽きた。

そもそも、10分おきに東京・中京・新潟の競馬を見せられるのって辛くないですか? 同じように4コーナーを回って、同じような直線の攻防が繰り広げられる。異なるのは内馬場の光景と芝の傷み具合だけ。勝負服だって同じような柄ばかり。1レースからぶっ通しで3時間ほど見たところで音を上げて家を出た。よしもう佐賀へ行くしかない!

向かった先は新大阪駅

……ではなく、近所のうどん屋さんです。千日前通りの「うどん屋麺之介」で肉ごぼ天うどん。ご覧くださいこの素晴らしいごぼ天のフォルムを。せめて昼メシだけでも佐賀気分を味わうことにする。

Nikugobo

正直、このご時世とはいえ競馬場へ行くことがすべてダメだとは思わない。行くべきなら行けばいい。しかし今日敢えて佐賀に行くとなればある程度の批判を覚悟しなければなるまい。なにせ新型コロナで開催中止の憂き目を見てから、まだ何日も経っていないのである。

それにしても、私が単勝を買った馬はどれだけ人気馬であっても負けるのが常。それどころか「注目」と宣言しただけでも、実力を発揮できないことが多い。ところがパイロキネシストは勝ってくれた。佐賀行きが叶わなかったことを忘れるほど嬉しい。もし負けたら昨日の記事のせいになりかねなかった。

 

  

***** 2021/5/9 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 8日 (土)

馬事王が背負うもの

今日の東京メイン・プリンシパルSは2番人気のバジオウ(戸崎圭太)が2番手追走から、直線で抜け出して完勝。たった1枚しかないダービーへの切符を手に入れた。(写真は昨年11月の初勝利時のもの)

Bajio

ダービーに出るとなれば、礼儀としてその血統表をチェックせねばなるまい。

バジオウのお母さんフローレスダンサーはハービンジャーの初年度産駒として4000万円で募集されると、2歳8月のデビュー戦を完勝。クラシックの期待がかかったが、クラシックへの出走にはあと一歩届かず、4歳2月に屈腱炎を発症して引退を余儀なくされた。クラシック出走は母の悲願だ。

さらその母は桜花賞馬ダンスインザムード。その兄・エアダブリンとダンスインザダークは、どちらもダービー馬になっていてもおかしくないポテンシャルの持ち主だった。しかしそれを許さないのがダービーの怖さ。名牝・ダンシングキイの無念を晴らせるか。バジオウの走りには一族の悲願もかかっている。

ところで、フローレスダンサー唯一の勝利となった2014年8月9日札幌の新馬戦を一緒に戦ったメンバーの中に、いまだに現役で頑張る一頭がいることをご存じだろうか。

Pyro

新馬戦で10番人気ながらフローレスダンサーからコンマ5秒の5着に粘ったパイロキネシスト(父・パイロ)は、その後JRAで4勝を挙げる活躍をしたのち、9歳になった今年から佐賀競馬に移籍した。偶然にも明日の佐賀7レースで行われる重賞・佐賀スプリングカップにもするので、ぜひ注目してください。

 
 
***** 2021/5/8 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 7日 (金)

ケイバを止めるな

緊急事態宣言の延長が正式に決まった。来週火曜までの予定だったのが、さらに5月いっぱい続くのだという。ある程度予想されていたこととはいえ、宣言にさらされる当事者としてはやはり厳しい。中京遠征は延期。帰省もできない。仕事にも多少なり影響が出る。

とはいえ私が受ける影響などたかが知れている。飲食業や観光業の方は死活問題であろう。むろん今回の宣言延長で医療従事者の方々の負担が劇的に改善する保証もない。よって私の我慢は当たり前である。

不謹慎の誹りを覚悟で、それでも敢えて小市民の愚痴を書かせていただく。今年の日本ダービーも無観客での開催が濃厚になった。JRAの正式発表はまだだが、そこはお上の目が厳しい。むしろ範を示す立場でもある。2年連続で無敗のクラシック2冠に挑むエフフォーリアの走りも、ウオッカ以来14年ぶりの快挙を目指すサトノレイナスの果敢なチャレンジも、我々は直接その姿を目撃することはできない。競馬史という限られた視点に立てば大きな損失であろう。

そんな視点にこだわるべきご時世ではないことは承知している。だから愚痴なのである。本来なら酒場で競馬仲間にぶつける話だが、大阪ではお店で酒が飲めないからここにぶつけることにした。とはいえ今これを書いている私は決して酔っているわけではない。

Stand_20210505222501

「何があっても競馬を止めてはいけない」

このために競馬関係者がどれだけ神経を擦り減らしてきたか。それを私は知っている。だからうかつに牧場を訪れたり競馬場に顔を出すこともしない。こっそり飲みに行ったり、帰省をしたりしないのも、その延長線上にある。万事競馬のため。そうとでも思わない限り、私はこの緊急事態を乗り越えることはできそうもない。思い返せば、昨年もGW明けから5月いっぱいまで宣言が延長された。激しい既視感にめまいを覚える。

 

 

***** 2021/5/7 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 6日 (木)

コロッケの日

連休は終わったけど緊急事態宣言が続いているので、投稿も続ける。今日5月6日は「コロッケの日」らしい。コロッケは好きですか?

いま私が住んでいる近所の商店街の一角に大人気のコロッケ専門店がある。その名も「中村屋」。関西の人気TV番組「ごぶごぶ」に何度も登場しているから、食べたことはなくても店の名は知っているという人も多いかもしれない。間口わずか1間ほどの店先からは、揚げ油の香ばしい匂いが漂い、開店前から閉店まで行列が途切れることがない。

メニュー表には「メンチ」や「トンカツ」といった記載もあるが、ほとんどの客が買い求めるのはコロッケ。1個80円。1個だけ買ってすぐに口に運ぶ人がいる一方、10個、20個と大量買いする人もいる。TVで見聞きした情報では一日に3000個も売れるらしい。その味付けは企業秘密だという。

Korokke

買ったばかりの熱々のコロッケをほおばる。衣はさっくり、中身のジャガイモはほくほくと甘く、その奥にほのかにピリっとした辛みを感じて、それがまたジャガイモの甘さを引き立てる。ジャガイモ好きとしては、このタイプのコロッケがいちばんうまい。カレーやカボチャは邪道。お肉もコーンもいらない。ジャガイモだけがい。

そういえば、川崎競馬場パドック脇売店のコロッケも似たようなタイプだった。サイズはちょっと大きめ。そのぶん1個150円と値が張るが、競馬場内だと思えば仕方ない。周囲の客は「肉がまったく入ってねぇじゃねぇか!」と笑いながら文句を言っていたが、私にはそれで良かった。あのコロッケ屋さんは今頃どうしているのだろうか。南関東は無観客開催が続いて久しい。

遠く離れた郷里の競馬場に思いを馳せつつ、2個目のコロッケを口に運んだ。「中村屋」のコロッケの難点は、ついついその手が止まらなくなること。あまりの安さに、いっぺんに5個も6個も買ってしまうのがそもそもいけない。などと言いつつ早くも3個目。まあ、今日だけはコロッケの日に免じてヨシとしよう。

 

 

***** 2021/5/6 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 5日 (水)

緊急事態宣言下のGW日記⑦

今日も今日とて自室からネットで競馬観戦。正直つまらない。つまらないけど、これしか手段がないのだから仕方ない。そんな思いで馬券を買ったところで当たるはずもない。せめてTVで中継をやってくれないものか。ネット中継の解像度では、馬のつくりの細部や騎手の表情までは読み取ることができない。

ともあれ、今日は全国6場で70ものレースが行われたわけだが、もっとも多くネットで閲覧されたのは、GⅠ・かしわ記念ではなく、兵庫大賞典でもなく、いわんや門別で3鞍行われたフレッシュチャレンジでもなかろう。それは船橋8レース。つまりこちらの一戦である。

Yahoo

騎手が落馬してカラ馬となった一頭が、ラチ沿いにコースを逆走。直線に向いて熾烈な叩き合いを繰り広げる先頭集団に正面から突っ込んできた。幸い騎手の方が気づいてカラ馬を回避したことで、正面衝突という事態は避けることができたが、一歩間違えれば大惨事だったと記事は言っているわけだが、ポイントはそこではない。「不成立ではないか?」という声が沸き上がっているようなのである。

結論から言えば、この映像を観る限り不成立には当たらない。最終的に不成立を決めるのは開催執務委員長。つまりヒトの判断だから、どう転ぶかはケースバイケースとしか言いようがないわけだが、ルールとしては不成立となるケースについて以下のように明文化されている。


①災害や投石等の妨害行為その他の事由により、競走または開催執務委員の職務の執行に重大な支障があったとき。
競走中止馬によるもの等、当該競走の出走人馬に起因するものは不成立とはならない。(ただし、それらが走路を占拠した等の理由により、所定の走路での競走の継続が不可能となったと認めたときは、不成立とする)。
②競走が所定の走路と異なる走路で行われたとき。


つまり「競走中止馬によるもの等、当該競走の出走人馬に起因するものは不成立とはならない」のである。逆走しようが追走しようが、競馬においてカラ馬は想定されるファクターであり、騎手たちはそれを避けて騎乗馬の全能力を発揮することが求められる。馬の逆走を想定した訓練も受けているし、それで致命的な不利を受けたとしても、レース中の不可抗力として受け入れなければならない。競馬は何が起きるかわからないのである。

それでも、今回のケースが極めて危険であることに変わりはない。実際、過去には同じようなケースで不幸にも正面衝突してしまったケースがあった。

1996年12月2日の浦和競馬の最終第10レースは1600mに8頭立てで行われた。スタート直後に騎手が落馬したミヤギセイリュウは、ゲートと外ラチとの隙間をすり抜けて逆走。2コーナー付近でレース中の馬群と鉢合わせしてしまい、その中の1頭、エースフォンテンに激突してしまったのである。ちなみに結局このレースは不成立になった。このあたりが「ケースバイケース」と書かざるを得ない所以。ポイントは何を以て「重大な支障」とするか。それが難しい。私個人はゲートやハロー、あるいは部外者や動物の乱入など「出走人馬以外の要因」によるアクシデントなら不成立。そうでなければすべて競馬に含まれるものだと考える。

ただし、これには「真正なスタート」が切られていることが前提となる。2010年12月8日の4レースは、カンパイの旗が振られたことに気付かぬまま、出走全馬がゴールまで全力疾走してしまった。馬の消耗度合は大きく、あらためてレースをやり直すこともできない。それで珍しい形での不成立となった。私としてもこのケースでの不成立はやむを得ないと思う。

.Fuseiritsu

 

 

***** 2021/5/5 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 4日 (火)

緊急事態宣言下のGW日記⑥

いつもの喫茶店には3紙のスポーツ紙が置いてある。日刊、スポニチ、そしてサンスポ。ただ、今朝はどうしても報知を読む必要があった。別に巨人が広島相手に薄氷の勝利を収めた昨日のプロ野球の記事を読みたかったからではない。報知の紙面でいろいろ確認しなければならないことがあったから。それでコンビニを3軒回って、ようやく手に入れた。

Hochi01

関西だから報知の人気がないということもあるのだろうけど、そもそも最近はスポーツ紙を置いてないコンビニもあったりするから困る。いや、困っているのは私を含めた少数派か。困る人が少ないからコンビニもスポーツ紙を置かぬのであろう。

ニュースはネットでじゅうぶん。スポーツニュースならなおさら。何よりネットであれば料金はかからない。スポーツ紙の凋落著しい昨今とはいえ、昨年の売上部数が2000年対比で6割減だったと聞けば、さすがに穏やかではいられない。朝夕の通勤電車で「スポーツ紙の花」が咲いていたのは、もはや昔の話になった。

とはいえ、紙面でなければわからないこともある。私が朝からコンビニ巡りをして紙面入手に奔走したのも、そういう事情があるから。ほとんどのスポーツ紙はネットにも記事を載せているが、そもそもその内容を私はアテにしていない。スポーツ紙だってタダのものにコストをかけるわけにはいかんのである。だからネットの記事で白老ファーム生産のラウダシオンの生産者が「社台ファーム」になっていても、私は決して驚かない。事情を知らぬ人がこれを読んで社台ファームにお祝いの電話を入れちゃったりしたら、電話を受けた方は驚くだろうけど。

Net

なぜこんなことが起きるのか。答えはシンプル。必要なチェックがなされていないから。ネットの情報なんてしょせんそんなもの。私はそう理解している。だからこのブログに書いてあることも、あまり信用しないでくださいね。

 

 

***** 2021/5/4 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 3日 (月)

緊急事態宣言下のGW日記⑤

例によって近所の喫茶店でスポーツ新聞を読みながらコーヒーをすすっていたら、おもわず「えっ?」と声に出してしまった。今日と明日の佐賀競馬が中止になったという。その理由が新型コロナだというのだから穏やかではない。

厩舎関係者から陽性者が1人出たことは、土曜のうちに発表になっていた。ただ、そのリリースには「濃厚接触者はいない」と書いてあったはず。それが翌日に2人増えて3人になったとあっては、中止の判断もやむを得まい。こりゃあ関係者全員PCR検査だな、と思っていたら、今日の夕方になって新しいリリースが出た。厩舎関係者を対象にPCR検査を行い、さらに2人の陽性が判明したという。これで都合5人。さらに濃厚接触者への調査は続くだろうが、このルートからはもうこれ以上は増えないでほしい。

今日は高知に行く予定をしていたことは前にも書いた。実は私、高知競馬の重賞レースを観たことがないのである。なんでも今日は重賞の福永洋一記念が行われるらしい。ならばぜひ行きたい。そう思った。

福永洋一記念は迎えて12回目。例年なら福永洋一・祐一の父子の来場で盛り上がるレースだが、昨年に続いて父子の来場は見送られた。つくづく新型コロナが恨めしい。福永祐一騎手は昨日の天皇賞を制したばかり。父子2代の春天ジョッキー来場となれば、競馬場は多いに盛り上がったに違いない。

ともあれ私も高知入りは見送ることにした。ファンや関係者の注目度は、福永騎手に及ぶべくもないが、コロナリスクという観点ではさほど変わりはあるまい。

Katsuo

高知へ行く代わりに近所のスーパーで鰹のタタキを買ってきて、それを食べながらネットで福永洋一記念のレースを観ることに。さらに昨日買ったばかりのフライパンでインスタントラーメンを作って、丼に移すことなくフライパンから直接食べた。つまり高知名物「鍋焼きラーメン」。ま、そもそもウチにはラーメン丼というモノが無いんですけどね。ラーメンというより焼きそばに近いモノが出来上がってしまったが、それでも高知の雰囲気は少しは味わうことができた気がする。

Ramen

パソコンの画面を凝視しながらずるずるとラーメンを啜る。穴党の夢を打ち砕くスペルマロンの強さには脱帽するばかり。やはり、いつかはこの目で見ておきたい。

 

 

***** 2021/5/3 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 2日 (日)

緊急事態宣言下のGW日記④

大阪は今日も朝から雨が降ったりやんだり。天皇賞の馬場状態を気にしながら、朝メシを食べるために外出した。えーと、これは不要不急です。メシ食わないと死んじゃうので、

「街の人出はぜんぜん減ってない」
「みなコロナ慣れしてしまっている」
「もはや緊急事態宣言でも効果はない」

などなど。TVや新聞にはさんざん言われているが、うちの近所(大阪市北区)に限れば普段の日曜に比べりゃ静かなモンですよ。臨時休業ばかりの商店街では人も集まるまい。

Rinji

とはいえ、いまの私にとってはこれこそが死活問題である。もとより三度の食事は飲食店が頼り。自炊ができないわけではないが、鍋も食器もないのだからどうにもならない。うどん屋さんでテイクアウトしたうどんに添えるために板付きの蒲鉾を買ったまではいいが、いざ食べる段になって包丁がないことに気づいた。そのまま齧るという手もあるが、それではあまりに味気ないので、文具のカッターでスライスしたのである。以来、家でうどんさえも食べることをやめてしまった。

そんなわけで、飲食店探しをあきらめてこちらを購入。

Tost

フライパンですね。記念すべき初フライパン利用はトーストとした。食パンだけではない。これさえあれば肉や玉子も焼ける。肉じゃがやカレーを作ることもできる。パスタや蕎麦も茹でられる。つまり万能なのである。種牡馬で言えばキングカメハメハ。それで調子に乗ってお昼は蕎麦を茹でることに。茹で時間は4分。ツユと天ぷらも用意して準備は万端。久しぶりの蕎麦に心が躍る。なにせ大阪に来てから、うどんばかりだったもんなぁ。4分経過を知らせるスマホアラームが祝福のファンファーレよろしく高らかに鳴り響いて私はガスの火を止めた。

だが、ここで大問題が発覚したのである。

ザルがない……。

蕎麦は生き物である。悩んでいる暇などない。熱湯と格闘しながら、どうにか冷水で締めて、久しぶりの蕎麦にありつくことができた。その代償は両手の火傷である。まあ、これくらいたいしたことはない。むしろ、ワサビがないことの方が画竜に点睛を欠く思いがした。

Soba

ヒリヒリする両手をいたわりながら天皇賞をTV観戦。馬券はフライパンの万能性にあやかって万能種牡馬を父に持つユーキャンスマイルとした。

しかし、ユーキャンスマイルは後方から直線で差を詰めただけの7着。2週目も外回りならもう少し追い込めたかもしれない。実際、「内回り→外回りの方がレースが面白くなるのに残念」という声も聞こえてきた。だが、それではスタートしてからすぐに3コーナーを迎えることになってしまい、枠順による有利不利やポジション取りに伴う余計なトラブルが生まれてしまう。チャンピオンコースは公平であることが重要。だいたいが、仮に直線があと100m長かったとしても、ユーキャンスマイルが馬券に絡んでいたとは思えぬ。

実際、今回の天皇賞はどの馬も持てる実力のすべてを出し切ったように見えた。中でもワールドプレミアとディープボンドは素晴らしい。カレンブーケドールを交わしてからわずか30mほどの脚に、本物のステイヤーの走りを久しぶりに観た気がした。

 

 

***** 2021/5/2 *****

 

 

| | コメント (0)

2021年5月 1日 (土)

緊急事態宣言下のGW日記③

土曜の朝食は近所の喫茶店でスポーツ紙を読みながら取ることにしている。今朝はたまごサンド。なかなかの分量があるが、スポーツ紙を読みながらだとあっという間に無くなってしまう。こちらのお店では自家製のマヨネーズで和えているらしく、いくら食べても胃にもたれない。

Sand

紙面の片隅に「夏の福島競馬が無観客で行われる」という記事を見つけた。毎夏の来福を何よりの楽しみとしてきた我が身にしてみれば、なんとも辛い事実である。むろん大阪からでも駆け付ける覚悟をしていた。福島競馬場と仙台空港をノンストップで結ぶバスがあるので、空路を使えば実は神奈川の自宅から向かうより早かったりする。

それにしても、なぜ無観客なのか。福島市に緊急事態宣言が出ているわけでもないし、7月の感染状況が今からわかるわけでもあるまい。

その答えは2か月半前に遡る。2月14日に東北を襲った地震により、福島競馬場は思いのほか大きな被害を受けていた。「思いのほか」という表現にはワケがある。この地震では宮城県蔵王町や福島県国見町、相馬市などで震度6強を記録した。だが、福島競馬場のある福島市桜木町の震度は「5強」。大きな揺れには違いないが、周辺の建物で大きな被害は報告されていない。福島競馬場のスタンドを除けば、ということになる。

地震直後に行われた被害確認作業で天井パネルの落下、スプリンクラー破損による漏水、電気系統の故障などが次々と発覚。しかも建物内部の筐体部分にも影響が判明し、この時点で春はおろか夏の開催にも使えないことは明らかだった。春は新潟、夏は中山で、それぞれ代替開催されそうだという話が伝わってきたのは2月の末。しかし、夏はやるという。観客さえ入れなければスタンドの業務エリアは使えると判断したのか。ただ、そこまでしてわざわざ福島で競馬をする理由がわからない。無観客でやるくらいなら、わずかでも観客を入れて中山でやった方がファンのためではないか。

そんなことを考えてながらスポーツ紙を読んでいれば、大量のたまごサンドもあっという間に口に収まってしまう。関西のたまごサンドはだし巻きを挟んだタイプが多いのだが、こちらのお店では茹で玉子を使用。どちらも美味しいです。

 

 

***** 2021/5/1 *****

 

 

| | コメント (0)

« 2021年4月 | トップページ | 2021年6月 »