2000 阪神大賞典 ナリタトップロード
ナリタトップロード(渡辺薫彦)
2000年の暮れ、5歳(現表記では4歳)のナリタトップロードはステイヤーズSに出走してきた。いつものように渡辺薫彦騎手の手綱。菊花賞馬の看板を思えば、単勝1.3倍の一本被りも仕方あるまい。しかし、あろうことか4着に敗れた。大一番の有馬記念を前に、沖調教師はついに乗り替わりを決断する。指名されたのは有馬記念2連勝中の的場均騎手だ。
当時、渡辺騎手は中山コースで一度しか勝ったことがなかった。それがナリタトップロードで勝った前年の弥生賞にほかならない。一方の的場均騎手は関東のトップジョッキーのひとり。当然、中山のコースは熟知している。それでも当時はこの乗り替わりに驚く人が少なくなかった。ミルコ・デムーロ騎手でさえGⅠを前に普通に降ろされる現在のご時世からすれば、ちょっと想像が難しい。
しかし、沖師は渡辺騎手を完全に見捨てたわけではなかった。的場騎手は、既に調教師試験に合格しており、翌年2月での騎手引退が決まっている。いわば期間限定の乗り替わり。このまま渡辺騎手が手綱を取り続けても同じことの繰り返しだろうから、一度離れたところからトップロードのレースを見届けさせようという作戦だった。
ナリタトップロードは的場騎手の手綱で有馬記念9着。続く京都記念でも3着と勝つことはできなかったが、渡辺騎手に手綱が戻った阪神大賞典(※写真)では後続に8馬身差をつける圧倒的なレースで優勝を果たしている。3分2秒5は当時の世界レコード。調教師となった渡辺師は、この阪神大賞典こそが「ベストレース」と言って胸を張る。そんなパフォーマンスを生み出したのも、沖調教師が下した苦渋の決断のおかげかもしれない。
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店主敬白
***** 2019/03/14 *****
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