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2018年9月21日 (金)

王侯馬は現れるか

日曜阪神の5レースが5頭立てになった。2歳新馬の芝2000m戦。たしかに集まりやすい条件とは思えぬが、新馬の使い出しが早まった昨今、秋開催に5頭とはさすがに珍しい。なにせ同日の中山では、同じ芝2000mの新馬戦に14頭が揃っている。しかもそのうち2頭が関西馬ときた。ここまでナメられては関東馬も黙ってはいまい。

ただしその関西馬2頭は「阪神の不成立を恐れて中山に投票した」という可能性もある。出走頭数が5頭に満たなければ競走は成立しない。そこまで見越していたのだとすればたいしたものだが、JRAとすれば、もうちょっとバランスよく分散して欲しいところであろう。5頭立てでは思うように馬券も売れまい。

少頭数の究極は1頭立て。我が国における最後の単走競走は、1943年11月6日の京都で記録されて以来例がない。勝ったのはマルフミ。楽勝だった。この眼で見た訳ではないが断言できる。なにしろ一頭で走ったのだから負けるわけがない。それでちゃっかり1着賞金5千円をゲット。これを当時は「王侯馬」と呼んだ。

欧米ではレースをする前から相手が怖気づいてしまって、単走で勝つことをウオークオーバー(walk over)と呼ぶ。最近では1997年12月7日の米国ハリウッドパーク競馬場、バヤコヤハンデキャップ(GⅡ)でシャープキャットが米国競馬史上15年ぶり、31回目の単走を演じた。1980年にはGⅠ・ウッドワードSでスペクタキュラービッドが単走で1着賞金73300ドル(約1700万円)をさらっている。GⅠレースでの単走など日本の感覚では想像もできないが、日本と海外のそれぞれの「入着」に対するインセンティブの差に、何か要因が潜んでいるのかもしれない。

Tansou 

日本でも明治40年10月26日の横浜ダービーを買ったダイニメルボルンあたりから単走記録を散見できる。当時の横浜英語では walk over を「オーコーバ」と発音し、それが転じて「王侯馬」となったわけ。しかしこの当て字のセンスには舌を巻く。音訳した外国語が、そのものズバリの日本語として通用する稀有な例であろう。

ちなみに、マルフミの単走が実現したのは、その強さに相手が怖気づいたわけでは決してない。この競走が、優勝馬はレース後のセリで売却されなければならないという「種牝馬還元競走」(クレーミングレースの一種)であったことが嫌われたせい。なにせ同馬はこの年、平地と障害合わせて15戦も消化しながら、勝ったのはこの一戦だけという有り様。王侯馬に相応しい実績や背景はなかった。だがしかし、日本競馬史上最後の単走馬であることには違いない。

むろん現在でも単走競走実現の可能性はある。JRAもレース施行規定において単走の可能性を否定していない。もし日曜阪神の5レースで4頭が取り消せば75年ぶりの王侯馬復活。だが、その可能性は限りなくゼロに近いと考えて良いだろう。

 

***** 2018/09/21 *****

 

 

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コメント

カンパイもcome backの横浜英語発音だった、なんて説がありますね😄カンパイはたまにありますが王侯馬はもう二度と現れないでしょう。見てみたい気もするのですが😅

投稿: 店主 | 2018年9月23日 (日) 12時53分

これまで競馬に関する書物はかなり読んできたつもりですが、「王侯馬」という表現は、初めて聞きましたcoldsweats01
勉強になりますflair

投稿: ギムレット | 2018年9月22日 (土) 19時24分

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