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2018年9月30日 (日)

目指せ史上初

スプリンターズSは1番人気のファインニードルが勝ち、高松宮記念との春秋スプリントGⅠ制覇を果たした。メディアは「史上5頭目の偉業」だと讃えている。ただ、高松宮杯がスプリントGⅠに生まれ変わってから、まだ22年。春秋制覇は5頭目だが、「秋春連覇」のビリーヴとカレンチャンを含めれば両GⅠ制覇は7頭いる。ほぼ3年に一度の割合ではないか。しかもサクラバクシンオーの時代には春のスプリントGⅠは存在しなかった。それらをすべて勘案すれば、ここで「史上」の冠はふさわしくない。

それならば、「史上初の偉業」にチャレンジしたレッドファルクスの方にスポットを当ててはどうか。グレード制が導入されて34年。JRAでは671回ものGⅠレースが行われてきた。その中でJRAの同一GⅠレース3連覇に挑戦した馬は過去に7頭しかいない。しかも一頭として3連覇を為し得なかった。メジロマックイーンはライスシャワーの強襲に屈し、ゴールドシップはまさかの大出遅れである。

メジロマックイーン(天皇賞・春)
アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯)
デュランダル(マイルCS)
トランセンド(JCダート)
ジェンティルドンナ(ジャパンC)
ゴールドシップ(宝塚記念)
コパノリッキー(フェブラリーS)

そして史上8頭目の挑戦となったレッドファルクスも、3連覇どころか見せ場すら作ることができずに敗れた。やはり3年もの間、チャンピオンであり続けることは簡単ではない。広島カープの3連覇はそれだけに価値がある。しかも2年間でもチャンピオンであり続けた牡馬であれば種牡馬としての価値は十分。生産界が放っておくまい。だから牡馬による3連覇は挑戦そのものが希少という側面もある。そういう観点に立てば、レッドファルクスの挑戦はもっと注目を集めてよかった。鞍上がミルコだったならば、また違ったかもしれない。

GⅠでなく「重賞」のくくりであれば、3連覇は史上11頭いる。だが、その多くが長距離戦であったり、障害レースであることは偶然ではあるまい。JGⅠ3連覇を果たしたオジュウチョウサンが有馬記念を目指したくなるのも分かる気がする。

Red1 

史上初となる同一GⅠ3連覇の偉業を逃したレッドファルクスは今後どうするのだろう?

暮れの香港に行くことは考えにくい。マイルチャンピオンシップに向かう手もあるが、これまで勝ったことのない1600mでいきなり勝てるほどGⅠは甘くはあるまい。

Red2 

ただ、今年に限ればJRAにもうひとつスプリントGⅠが用意されていた。11月4日の京都で行われるJBCスプリント。JRA史上初のダートスプリントGⅠにレッドファルクスの出走はないだろうか。なにせ地方最強スプリンターのキタサンミカヅキを完封した実績の持ち主。血統的にも申し分ない。JRAのダート短距離陣が手薄な今だからこその思いもある。ぜひ考えて欲しい。

 

***** 2018/09/30 *****

 

 

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2018年9月29日 (土)

カレーの思い出

今日の東京は朝からずっと雨が降り続いている。夏が終わったばかりだが、秋の終わりを思わせるような冷たい雨。犬の散歩にも出られない。それで仕方なく自宅で「競馬サロン・特製カレー」を作っております。ゴロっと切った豚肉を赤ワインで煮込んでいるところですね。

Nabe 

カレーは好きで、贔屓のプロ野球チームの優勝を祈願して「ペナントレース開幕から優勝決定まで毎日昼飯はカレー」という無謀かつ無意味な願掛け行為に出たことは以前本稿にも書いた。その反動か知らんが、今では自宅でカレーを食べるということがあまりない。外で食べるにしても、よほどお気に入りの店か(神保町の『ガヴィアル』とか)、よほど他に選択肢がない(大井の『松屋』とか)に限られているような気がする。

カレーライスを日本に定着させたとされる店は、東京や大阪などあちこちに見かけるが、「少年よ大志を抱け」でお馴染みのクラーク博士が日本にカレーを広めるのに一役買ったという説があるのをご存じだろうか。

貧弱な体の学生を気遣った博士は米食を禁止し、パン食を強く推し進めた。だが「カレーライスだけはその限りにはあらず」としてこれを認め、その具材として北海道で身近に収穫される玉ネギ、ジャガイモ、ニンジン、そして豚肉を推奨したと言われる。典型的な「日本のカレー」はこうして誕生した―――というわけだ。

Sapporo 

2006年の道営競馬開催の最終日を見るために札幌競馬場に向かう途中、ちょいと北大に寄り道してみたことがある。道営競馬の存廃論議が高まっていた11月で、その日はひどく寒く、しかも今日の東京と同じような冷たい雨が容赦なく叩きつけていた。まるで道営の将来を暗示するかのような暗鬱な天気。「ひょっとしたら今日が道営最後の日かもしれない」と思えば、気持ちの整理も必要となる。そこで回り道をして、心の準備を整えつつ、ゆっくりと競馬場に向かったのである。

その時、北大構内にある札幌グランドホテル直営のレストラン『エルム』で「クラークカレー」を食べた。ご飯の上に肉やニンジンやジャガイモやカボチャといった具材が丁寧に敷き詰められたカレーは見た目にも美しく、カレーの深い香りと、新鮮な野菜の歯応え、そして肉の柔らかさは今も強く印象に残る。クラーク博士の当時のものとはまるで違うものであろうけど、それでもその味にクラーク博士の深い智慮を賜った思いがしたものだ。

Clark 

機会があればまた食べたいと思って、その後も札幌に行くことも度々あったのだけど、土日が定休日の『エルム』は、JRA札幌開催とはどうしても相容れない。かといって、この先道営の札幌開催が行われることもあるまい。仕方ないから、こうして自分でカレーを作っている。今日は上手くできたと思うのだが、果たしてその味はどうだろうか。

Curry 

 

***** 2018/09/29 *****

 

 

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2018年9月28日 (金)

菊花賞馬の毎日王冠

1800mの毎日王冠と、2400mの京都大賞典。どちらも2着馬までに天皇賞・秋への優先出走権が与えられるステップレースでありながら、この600mの差によって出走馬の性質は大きく異なる。

【京都大賞典】
スーパークリーク
メジロマックイーン
マーベラスクラウン
ヒシアマゾン
マーベラスサンデー
シルクジャスティス
セイウンスカイ
テイエムオペラオー
ナリタトップロード
タップダンスシチー
スイープトウショウ
オウケンブルースリ
ローズキングダム
ラブリーデイ
キタサンブラック

【毎日王冠】
オグリキャップ
ラッキーゲラン
プレクラスニー
ダイタクヘリオス
シンコウラブリイ
ネーハイシーザー
バブルガムフェロー
サイレンススズカ
グラスワンダー
エイシンプレストン
テレグノシス
ダイワメジャー
カンパニー
カレンブラックヒル
エイシンフラッシュ
エイシンヒカリ
リアルスティール

過去30年のそれぞれの優勝馬からGⅠホースを抜粋してみた。ご覧の通り、京都大賞典には菊花賞馬や春の天皇賞馬といったステイヤーがズラリと並ぶのに対し、毎日王冠には11頭ものマイルGⅠウイナーが顔を揃えている。毎日王冠を制するにはマイラーの資質が欠かせない。

Daiwamejar 

だから毎日王冠の想定馬に昨年の菊花賞馬・キセキの名前を見つけて驚いた。何かの間違いではないか。しかし様々なメディアを見ても同じくそう伝えている。どうやら本気で毎日王冠に出るらしい。巷ではちょっと前から話題になっていたようだ。

8月15日に「次走は京都大賞典」といったんは発表されたはず。だが、その2日後にルヴァンスレーヴ陣営から南部杯に向かうと発表があった。京都大賞典も南部杯も10月8日のレース。そしてどちらもミルコ・デムーロ騎手のお手馬。さて、ミルコはどちらに乗るのか———。

そこまで考えたことは覚えているが、その後の顛末を知らなかった。なんとミルコはどちらにも乗るらしい。ということは15時45分発走の京都大賞典を終えてから、ヘリかなんかで移動して盛岡16時40分発走の南部杯に間に合わせようというのか。それは凄い。いよいよ我が国のジョッキー事情も欧米に近づいてきた。

———なんてはずは当然なくて、キセキが京都大賞典ではなく、その前日の毎日王冠に向かうことになっただけだった。なーんだ。でも、騎手の都合に合わせて距離に目をつぶるとは、やはり日本のジョッキー事情も変わったと言えなくもない。しかし結果的にミルコは7日まで騎乗停止。毎日王冠に乗ることはできない。それなら元の予定通り京都大賞典に向かえば良さそうなものだが、キセキ陣営はそれを選ばないようだ。

京都大賞典が菊花賞馬に優しいことは冒頭に述べた通り。逆にグレード制導入以後、毎日王冠を勝った菊花賞馬はゼロ。ミスターシービーやミホシンザンが馬券に絡む好走を見せた例はあるが、彼らは菊花賞馬である以前に皐月賞馬であることを忘れてはならない。

ただし、毎日王冠に出走した菊花賞馬のサンプル自体が少ないのも事実。ひょっとしたら、キセキが歴史を変えるかもしれない。そう思うのにはわけがある。菊花賞馬ダンスインザダークの産駒は概して長距離志向だが、その一方で、クラレントやダークシャドウなど毎日王冠で好走した産駒もいる。

もちろん母系の影響もあろう。だが、東京1800mを1分45秒前後で凌がなければならない毎日王冠は、我々が思うより相当過酷なのだろう。みんなが苦しいその瞬間、もうひとと頑張りができるか。そこでステイヤーとしての資質が問われる。ステイヤーが挑む東京1800mに注目しよう。

 

***** 2018/09/28 *****

 

 

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2018年9月27日 (木)

こんな日もある

昨日の話。

珍しく水曜日に時間が空いた。水曜と言えば南関東重賞開催日。さてさて、今週の重賞はいったい何だっけ? ルンルン気分で日程を確認すると、なんと変則日程で重賞は行なわれないではないか。

ツイてない……。

それでもせっかく空いた時間を無駄に過ごす手はない。重賞がなくてもせっかく開催しているのだから浦和に行こう。ついでに大宮に行きたいお店がある。最近増えつつある武蔵野うどんのお店。なかでもここは個性的で昼時は行列が絶えないらしい。それは楽しみ。ただし大宮駅から10分以上歩く。ようやく見えてきた軒先に行列の姿はない。「ラッキー! 並ばずに入れる」とばかりに扉に手をかけた瞬間、こんな貼り紙が眼に入ってきた。

Rinji 

がびーん!

いや、さすがの私でも定休日や営業時間程度の情報は事前にチェックしてきますよ。それでもこの「臨時休業」の4文字の前には為す術が無い。食べ歩きをなさる方は、同じような目に遭ったことがおありだと思う。私もご他聞に漏れず何度かこれを食らった。「あらかじめ電話で確認しとけ」って言われるかもしれないが、正直そこまでして食べたいわけでもない。

なので、すぐさまBプラン決行。臨時休業の魔の手や絶望的な行列対策として、予備のプランを抱えておくことを忘れてはならない。それで今回は浦和駅近くの一軒を訪れたが、これがあまり当たりとは言えなかった。なのでここでの紹介は控える。ただ固いことを「コシ」と勘違いしてやいないか。あるいは私の一杯だけ茹で時間に間違いがあったのかもしれない。なにせ今日はまったくツキのない私である。

とぼとぼ歩いて浦和競馬場に到着。

Paddock 

縁のある馬が出る。前走2着。さっき人気を見たら1番人気だった。とはいえ4歳秋にもなっていまだ未勝利。アテにはできまい。それで馬券はこんな感じ。アテにならない馬が人気を集めるメンバーなら大波乱を期待してもよかろう。

Baken 

そしたら10番人気のフクノロブロイが独走で駆け抜けてくるではないか!

よしっ! これならワイドでも太い。あとはオレの軸馬が差し込んでくるだけ。3着でもOKなんだから大丈夫だろ!

―――とテンションが上がったのは一瞬だけ。私の軸馬はブービーだった。さすがにこれはツキ云々ではあるまい。いつものこと。ところで勝ったフクノロブロイの半澤騎手は骨折による2か月以上の戦線離脱から復帰して初勝利らしい。それはおめでとうございます。TV番組「笑っていいとも」の「イケメン騎手を見抜け!」というコーナーに出演して、中居くんや若槻千夏さんにイジられまくったのは、もう12年も昔の話になりましたか。いやはや、時の経つのは早い。

6r 

馬券が外れてうつむき加減にバス乗り場へ。しかし座れたのは良いが、一向に発車する気配がない。ドライバーが降りて外の係員と何事か話し合っている。しかるのちに係員はどこかへ電話をかけた。急ぐわけではないが、時間が掛かるなら次のレースも見ていきたい。どうしようかと悩んだ末、えいやっ!と降りて再び場内へ。そしたら背後で「ビー」っと音がして、バスの扉が閉まり、何事もなかったかのように出発した。まるで私が降りるのを待っていたかのよう。それなら馬券も当たるだろうと、次のレースでも2番人気からどどーんと買ったら、またもハズれ。しかも私の軸馬はまたもブービーではないか。

再びバス乗り場に向かうとポツポツ雨が降ってきた。何をやってもダメ。仕方ない。こんな日もある。

 

***** 2018/09/27 *****

 

 

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2018年9月26日 (水)

ダービー馬の意地

今年の日本ダービー。

Derby 

勝ったワグネリアンと2着エポカドーロの差は半馬身。時計にしてコンマ1秒だった。お互い夏を無事に越し、迎えた神戸新聞杯でも両馬の直接対決が実現したが、ここまでお互い1勝1敗の両者に優劣をつけるのは難しい。単勝オッズも2.7倍とまったく同じ数字で並んだ。

それでもわずかに票数が上回った皐月賞馬エポカドーロに1番人気の座を譲ったことは、ワグネリアン陣営にしてみれば屈辱だったかもしれない。なにせ天下のダービー馬。2015年に日本で生まれたすべてのサラブレッドの頂点に立った一頭である。

その一方で歴史が示す事実も見逃せない。菊花賞で皐月賞馬とダービー馬の対決は、過去16回を数えるが、その結果は皐月賞馬の12勝4敗。かつ、皐月賞と菊花賞の2冠馬は史上8頭もいるのに対し、牝馬変則3冠のクリフジを除けば、ダービーと菊花賞の2冠牡馬は1973年のタケホープたった1頭しかいない。長いクラシックの歴史は、ダービー馬より皐月賞馬の方がチャンピオンになる可能性が高いことを如実に示している。聡明な日本の競馬ファンは、特に意識はしていなくとも、こうした事実を予想の下地に据えているのかもしれない。

しかし、なぜダービー馬より皐月賞馬の方がのちに好成績を残すのだろうか。ダービー馬こそが世代の最強馬ではないのか。

いや、米国クラシックにおいてケンタッキーダービーが最高の評価を受けるのと同様、トーナメント型のクラシックの頂点は、有力馬が初めて激突する皐月賞だとする意見も根強い。ダービーの権威は高いが、基本的に勝負付けの済んだ相手同士の戦い。そんな厳しい見方もある。

さらにもうひとつ。すべての競馬人にダービー制覇は無上の一冠。ダービーを勝ったのだから、その人馬に限れば勝負のツキは使い果たしたのではないか―――などとも囁かれる。「ダービーは運の良い馬が勝つ」。この格言はダテではない。

そんな評価に反発するかのようにワグネリアンは神戸新聞杯を楽勝し、その10分後に行われた中山競馬場のオールカマーでも昨年のダービー馬レイデオロが、アルアインを差し切ってみせた。皐月賞馬とダービー馬の直接対決が同日に行われる東西の重賞でそれぞれ実現したのは空前の出来事であろう。しかも、揃ってダービー馬か勝利を収めたとなると、これはもう絶後の可能性もある。少なくともこの日はダービー馬が意地を見せた一日だった。

All 

さらに空前の出来事はこれに留まらないかもしれない。ワグネリアンは菊花賞ではなく天皇賞・秋に向かうことを明言。一方、レイデオロも天皇賞かJCの両にらみだという。既に札幌記念で2着した一昨年のダービー馬マカヒキも天皇賞に向かうことを表明しており、天皇賞での3世代ダービー馬対決が実現しそうな雲行きになってきた。長い天皇賞の歴史の中でも、このようなことは例がない。

皐月賞を勝っていないダービー馬による古馬GⅠ制覇は、2012年エイシンフラッシュの天皇賞・秋を最後に途絶えている。空前の好メンバーが揃いそうな今年の天皇賞・秋だが、そこで再びダービー馬の意地を見ることができるだろうか。レイデオロにはぜひ出走してもらいたい。

 

***** 2018/09/26 *****

 

 

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2018年9月25日 (火)

カレーの街・横須賀

ちょいと間が空いてしまったが、横須賀で食べたうどんの話。

Sanuki1 

訪れたのは『うどん工房さぬき』という一軒。「とにかく美味いからぜひ行っとけ!」と言われて横須賀中央駅を降りてみたのだが、まずロケーションに驚き、店内の雰囲気にまた驚き、結果から言えばその味に三たび驚いた。

このロケーション。

Sanuki2 

そしてこの雰囲気。カウンターのみで半分は立ち食いスタイル。

Sanuki3 

お店のイチ押しはカレーうどんらしいが、「讃岐」を謳う店にしては珍しい。実際、私の隣に立つ男性はかき揚げ天ぶっかけを啜っているし、向かいの客は天丼セットを注文したところだ。天ぷらは注文ごとに揚げており、しかもひとつがやたらデカい。私も天ぷらとぶっかけにしようかなぁ……。

しかし結局「とりカレーうどん」を注文してしまった。ひとつにはメニューの写真がメチャクチャ美味そうだったこと。そしてもうひとつの理由として、ここが横須賀であることをあげておきたい。

横須賀はカレーの街だ。1908年に発行された海軍割烹術参考書のレシピに基づいて再現された「よこすか海軍カレー」が特に有名で、市内の多くの飲食店で食べることができる。

海上自衛隊の艦船内でも金曜日のメニューは決まってカレーらしい。その辺の事情に明るい新聞記者に聞いたところでは、艦船ごとにあるカレーのレシピは「防衛機密」扱いだとか。カレーがまずいと艦内で暴動が起きることも覚悟しなければならず、カレーの腕が良い隊員を別の部隊から引き抜くことが部隊幹部に課された「最重要任務」だという。

―――ホントかなぁ?

まあ、仮に多少の脚色があるにせよ、そういう笑い話があること自体は間違いない。いずれにせよカレーは興味の的なのである。

注文してから10分ほど待って「とりカレーうどん」が運ばれてきた。骨付きモモ肉の照り焼きにごはん玉が付いている。そのビジュアルのなんと美味そうなことか。

Sanuki4 

ひと口啜ってオーダーが間違いではなかったことを実感。コク深い味わいのカレーはとことんクリーミーで、コシのあるうどんにもよく絡む。カレーうどんのカレーとしてはパーフェクトであろう。むろん麺の美味さも申し分なく、麺だけでも十分美味いが、カレーを付けるともっと美味い。あっという間に麺だけ食べ切ってしまったが、ありがたいことに替え玉のシステムがある。それで再びカレーうどんを堪能し、わずかに残ったルーを白飯に絡めてシメた。

Sanuki5 

カレーのタイプはいわゆる「よこすか海軍カレー」とは全く異なるが、カレーの街・横須賀の底力を見た気がする。カレーうどんとしては、おそらく私の生涯ナンバーワンであろう。こんな路地裏にここまで美味いものがある。おそるべし横須賀である。

 

***** 2018/09/25 *****

 

 

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2018年9月24日 (月)

TUBUの前田さん

オーバルスプリントの結果を報じるスポーツ報知のネットニュースを見て「おや?」と思った方は、結構いらっしゃるのではあるまいか。

Hochi 

勝ったノブワイルドは5番人気ではなく4番人気。たしかにずっと5番人気だったが、直前で票が入り、ドライヴナイトを抜いて4番人気になっていた。事前に用意していた予定稿をそのまま配信してしまったのかもしれない。ただ残念ななことに、休み明けを叩かれてパドックに登場してきたノブワイルドの状態の良さを、ファンは見逃さなかった。

とはいえ、6歳にして重賞はもちろん、南関東限定のオープンすら勝っていない馬である。それがJRAオープン勝ちのドライブナイトより上位人気になるとは、当の記者も想像できなかったのではないか。4~5頭のJRA所属馬だけが1ケタ台の人気を集め、それ以外の地方馬が軒並み単勝万馬券なんてことも、ちょっと前までならザラだったはず。「馬場貸し」と揶揄されたことも一度や二度ではない。

だがしかし、こと短距離路線に限れば確実に潮流は変わりつつある。この1年間に行われた古馬短距離ダートグレード12鞍を振り返ると、地方所属馬の成績は、1着3頭、2着5頭、3着4頭。馬券に絡んだ36頭の3分の1は地方馬だったりする。逆に地方馬が絡まなかったレースは3鞍しかない。

東京盃 ①着②着
JBCスプリント ③着
カペラS ③着
兵庫ゴールドT ②着
根岸S -
黒船賞 ①着③着
東京スプリント ②着
かきつばた記念 -
さきたま杯 ②着③着
北海道スプリントC ②着
プロキオンS -
サマーチャンピオン ①着

1000mまでハロンごとのラップは、さきたま杯とほぼ同じ。ただ、そこから2ハロンの粘りが今日は違った。彼岸だというのに夏を思わせる蒸し暑い陽気が、ノブワイルドの背中を押した可能性もある。オーナーはご存じTUBEのボーカル・前田亘輝さん。その所有馬に「夏馬」のイメージを重ねてしまうのは、きっと私ひとりではあるまい。

Nobu 

冒頭のネット記事にはもうひとつ大きな間違いがある。そう、それは「TUBU」。単勝人気と違って、これは直前になって変わったわけでもあるまい。公開から30分ほどで修正されたが、ネットとはいえ新聞の題字を背負う以上、このレベルの間違いには顔をしかめたくなる。今や tube は小学生でも知る単語。字面をパッと見ればその違和感に気付きそうなものだが……。

 

***** 2018/09/24 *****

 

 

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2018年9月23日 (日)

おクスリは悪者か

昨日の続き。

「古典的」と言われる割に、禁止薬物発覚事例が後を絶たない現状を見れば、年イチのペースで不正が実行されるのではなく、年イチのペースで摘発に相当するミスが現場で起きていると見るのが自然だろう。しかも、昨日付に掲載した一覧はあくまでもレース後の検査で発覚したもの。レース前のタレコミなどによって未遂に終わった件を含めれば、その件数は更に増えるし、もちろん発覚せずに済んだというケースだってゼロではあるまい。

地方中央を問わず、厩舎によっては「一子相伝」とか「門外不出」と呼ばれる極秘の虎の巻が存在する。なにやら場末のいかがわしい予想屋の会話みたいな話で恐縮だが、「検出されないギリギリのラインが分かるようになれば一人前」と言われる世界なのである。検出ラインまでならどんな薬物を使ってもルールの範囲内。このさじ加減が分かれば「一流」と呼ばれるし、それができなければ「一流」への道は遠のく。それこそがまさに技術の分かれ目。そういう世界である。

JRAは、かつて禁止対象薬物を大幅に広げたことがある。それにより、それまでリーディングの常連だった厩舎が突然成績を落としてしまったのは有名な話だ。もちろん、その厩舎はルール違反を犯していたわけではないし、もちろん不正をはたらこうなどと思っていたわけではないだろう。問題は、「ルールの範囲内ならば何でもアリ」というルールの基で行われている日本競馬が置かれている環境にある。

現実問題として、競走馬ほど薬物への依存関係が深い動物が、他にいるだろうか?

Makiba

草原を駆け抜ける馬という景色から、競馬に「大自然」のイメージを重ねるファンもいる。しかし、実際に競走馬が置かれた世界はあまりにも人工的だ。

もとよりサラブレッドは、自然界で生まれた動物ではないし、自然界で自立して生きていける動物でもない。300年の永きに渡り、人の手により様々な改良が施されてきたことを考えれば、ある意味「究極の人工物」とも言える。競走馬の日常には最先端の技術が惜しみなく投入され、ありとあらゆる薬物が 勝利という目標のために処方される。もちろんルールの範囲内で。

例えば、現役の牝馬に「フケ(発情)防止の薬物を使用する」というような話を聞いたことはないだろうか? 現役競走馬であれ繁殖牝馬であれ、牝馬は春になると発情する。これは自然の摂理であるが、もしレース直前に発情が始まると、競走能力に著しい影響を与えてしまう。そのため、ホルモン剤を注射してこの発情を抑制させることが日常的に行われている。もちろんルール違反ではない。しかし、過度の投与は、その牝馬が自然に持つ生理を破壊することに繋がりかねない。現役時代に大活躍した牝馬が、いざ繁殖に上がると、流産や不受胎を繰り返すというような話を聞いたことがあると思うが、現役中に過度の投薬を受けていれば、それが原因のひとつになり得る。

ほかにも、スクミを止める薬や、劇的に疲労を回復させる薬などいわゆる特効薬系の薬物が使われ、さらに体質改善や体調管理などのサプリメント系の薬物が使われ、もちろん風邪や解熱、皮膚病予防などの一般的な治療薬が日常的に使われている。その量と種類は、一般的な人間の比ではない。

馬だって風邪を引いたらクスリを飲む。競走馬も人間も同じことだ。問題は「すべての薬=悪」という誤った認識が世間に広まってしまうことであり、それを避けるためにもオープンな議論が待たれるところである。

 

***** 2018/09/23 *****

 

 

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2018年9月22日 (土)

ボルデノンがヤバいワケ

門別6日間、園田3日間、帯広ばんえい2日間、そして金沢が1日―――。

今月は地方競馬の開催中止が相次いだ。しかもその理由は、地震、台風、システムトラブルと多岐に渡る。そして今日、さらに珍しい理由で盛岡競馬が中止となった。岩手競馬の競走馬からレース終了後の尿検査で禁止薬物「ボルデノン」が検出された問題で、岩手県競馬組合は明日23日以降の出走予定馬を対象に事前検査を実施すると発表。盛岡競馬場で22日に開催予定だったレースは、事前検査が間に合わないため中止するという。禁止薬物の使用を理由にレースが中止になったのは全国でも初めてケースだ。

スポーツ紙に「薬物」という見出しが踊れば、それはすなわちドーピングを意味するものと、多くの読者は感じるだろう。あるいは、それが競馬面であれば「八百長」という言葉に置き換わるかもしれない。

ちなみに、不正な手段を用いて競走能力を増強することを八百長と呼ぶのは誤りである。八百長とは、あくまでもわざと負けることを指す。

その語源は、明治時代の八百屋の店主・長兵衛に由来すると言われる。長兵衛は仲間内から「八百長」というあだ名で呼ばれ、囲碁好きの力士・伊勢海と囲碁に興ずる際、商売上の打算からわざと負けていた。それが転じて、わざと負けることを相撲界で「八百長」と呼ぶようになったのが始まり。

閑話休題。競馬の話に戻る。

Dirt 

以下は、この20年で薬物違反が発覚した競馬場と使用された薬物の一覧である。

1998年10月 大井 ボルデノン
1999年 5月 北見 テオブロミン
1999年 7月 福山 カフェイン
1999年 9月 園田 カフェイン
1999年10月 門別 カフェイン
2000年 7月 高知 カフェイン・ニコチン
2001年 3月 高崎 カフェイン
2001年 5月 旭川 テオブロミン
2001年 8月 大井 カフェイン
2002年 2月 帯広 カフェイン
2003年 2月 大井 カフェイン
2005年 5月 道営 カフェイン
2005年 7月 福山 カフェイン
2006年 1月 笠松 メフェナム酸
2006年12月 園田 カフェイン
2007年 2月 笠松 フェニルピラゾロン誘導体
2007年12月 帯広 カフェイン
2008年 1月 高知 カフェイン
2008年 1月 船橋 プロカイン
2008年 3月 浦和 カフェイン
2008年 4月 水沢 クレンブテロール
2008年 5月 道営 フェニルピラゾロン誘導体
2008年 7月 大井 プロカイン
2008年10月 園田 カフェイン
2008年11月 道営 メフェナム酸
2009年 4月 名古屋 カフェイン
2010年 2月 荒尾 ニコチン
2011年 2月 笠松 フェニルピラゾロン誘導体
2011年 7月 大井 カフェイン
2013年 7月 道営 プロカイン
2013年 8月 盛岡 カフェイン
2014年 4月 名古屋 エフェドリン
2014年 5月 水沢 カフェイン
2014年12月 中山 カフェイン
2014年12月 高知 ボルデノン
2015年11月 佐賀 カフェイン
2016年11月 笠松 ボルデノン
2016年12月 水沢 ニコチン
2017年 9月 帯広 テオフィリン
2018年 7月 盛岡 ボルデノン
2018年 9月 盛岡 ボルデノン

世間の多くは競馬における薬物と言えばカフェインを想像するだろう。いわゆる「カマし」である。尿検査で比較的簡単に発覚してしまう初歩的な手法で、1985年の宝塚記念で4着(1番人気だった)したステートジャガーから検出されたことで一躍有名になった。過去20年間で発生した41件の薬物事案の中でも21件と過半数の検出例を誇る。

とはいえカフェインやニコチンは輸入飼料の製造過程で混入するケースも多く、不可抗力で摂取してしまうことも少なくない。その一方で検出技術はますます高度化。昨今では満杯の50mプールにカフェインを一滴垂らしただけでも検出できるというのだから、カフェインやニコチンの検出件数が突出しているは当然かもしれない。

カフェインとニコチンを除いた18件で検出された薬物と、その効果をまとめてみるとこうなる。

テオブロミン(気管支拡張剤)
メフェナム酸(鎮痛剤)
フェニルピラゾロン誘導体(解熱鎮痛剤)
プロカイン(鎮痛剤)
クレンブテロール(気管支拡張剤)
エフェドリン(気管支拡張剤)
テオフィリン(気管支拡張剤)
ボルデノン(筋肉増強剤)

海外、特に欧州各国では検体から自然に存在しない物質が検出された場合は、「薬物使用」と判断される。一方、時期が経てば薬物は体外に排出されるもの。人間のドーピングと同様「体外に排出されれば薬効も消える」との考えに立って検査が行われているから、治療薬を使うこと自体が咎められることはない。要はルールに定められた時期に体内に残留していなければ良いだけ。

例外は筋肉増強剤で、この場合は薬物が体外に出ても、増やした筋肉をルールの枠内で維持する方法はある。つまり、もしこのテの薬物が検出されたら、それは不正に他ならない。今回岩手で発覚したボルデノンは、そのものズバリ筋肉増強剤。しかもわずか2か月の間に立て続けて発生した。だからこそ岩手競馬組合は「日本の競馬全体の信用失墜につながりかねない」と危機感を隠そうとせず、異例とも言える全頭検査に踏み切ったのであろう。

(明日付に続く)

 

***** 2018/09/22 *****

 

 

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2018年9月21日 (金)

王侯馬は現れるか

日曜阪神の5レースが5頭立てになった。2歳新馬の芝2000m戦。たしかに集まりやすい条件とは思えぬが、新馬の使い出しが早まった昨今、秋開催に5頭とはさすがに珍しい。なにせ同日の中山では、同じ芝2000mの新馬戦に14頭が揃っている。しかもそのうち2頭が関西馬ときた。ここまでナメられては関東馬も黙ってはいまい。

ただしその関西馬2頭は「阪神の不成立を恐れて中山に投票した」という可能性もある。出走頭数が5頭に満たなければ競走は成立しない。そこまで見越していたのだとすればたいしたものだが、JRAとすれば、もうちょっとバランスよく分散して欲しいところであろう。5頭立てでは思うように馬券も売れまい。

少頭数の究極は1頭立て。我が国における最後の単走競走は、1943年11月6日の京都で記録されて以来例がない。勝ったのはマルフミ。楽勝だった。この眼で見た訳ではないが断言できる。なにしろ一頭で走ったのだから負けるわけがない。それでちゃっかり1着賞金5千円をゲット。これを当時は「王侯馬」と呼んだ。

欧米ではレースをする前から相手が怖気づいてしまって、単走で勝つことをウオークオーバー(walk over)と呼ぶ。最近では1997年12月7日の米国ハリウッドパーク競馬場、バヤコヤハンデキャップ(GⅡ)でシャープキャットが米国競馬史上15年ぶり、31回目の単走を演じた。1980年にはGⅠ・ウッドワードSでスペクタキュラービッドが単走で1着賞金73300ドル(約1700万円)をさらっている。GⅠレースでの単走など日本の感覚では想像もできないが、日本と海外のそれぞれの「入着」に対するインセンティブの差に、何か要因が潜んでいるのかもしれない。

Tansou 

日本でも明治40年10月26日の横浜ダービーを買ったダイニメルボルンあたりから単走記録を散見できる。当時の横浜英語では walk over を「オーコーバ」と発音し、それが転じて「王侯馬」となったわけ。しかしこの当て字のセンスには舌を巻く。音訳した外国語が、そのものズバリの日本語として通用する稀有な例であろう。

ちなみに、マルフミの単走が実現したのは、その強さに相手が怖気づいたわけでは決してない。この競走が、優勝馬はレース後のセリで売却されなければならないという「種牝馬還元競走」(クレーミングレースの一種)であったことが嫌われたせい。なにせ同馬はこの年、平地と障害合わせて15戦も消化しながら、勝ったのはこの一戦だけという有り様。王侯馬に相応しい実績や背景はなかった。だがしかし、日本競馬史上最後の単走馬であることには違いない。

むろん現在でも単走競走実現の可能性はある。JRAもレース施行規定において単走の可能性を否定していない。もし日曜阪神の5レースで4頭が取り消せば75年ぶりの王侯馬復活。だが、その可能性は限りなくゼロに近いと考えて良いだろう。

 

***** 2018/09/21 *****

 

 

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2018年9月20日 (木)

62歳と12日

的場文男騎手の7152勝達成から1か月余り。立会川駅から大井競馬場に向かう商店街は、いまだにその余韻を残している。

Matoba1 

大井競馬場の装飾も前開催に比べれば控えめ。

Rachi 

だが、それでも外ラチの的場模様は相変わらずだし、夜になれば場内は怪しげに赤く染まる。

Matoba2 

そんな夜に的場騎手がまたひとつ勲章を手にした。

昨夜行われた第55回東京記念。今年からSⅠに昇格した伝統の一戦でシュテルングランツの手綱を取った的場騎手は、大井の外回り2400mを悠々と逃げ切って見せた。自身が昨年のスパーキングサマーカップで記録した「60歳351日」の重賞最年長勝利記録を「62歳12日」に更新するとともに、自身の重賞勝利連続年数も38年に伸ばしたのである。

Matoba3 

ゴールではムチを持った右手を高々と振り上げて何度もガッツポーズ。最近の的場騎手にしては珍しい。7152勝達成の瞬間よりも喜んでいたのではないか。つまりそれほど快心の騎乗だったということだろう。

ところで、8月12日付の本稿「次なる高みへ」の中で、「ニュージャージー州のフリーホールド競馬場の4レースで当時83歳のジョージ・マッキャンドレス騎手が勝っている」と書いたのだが、これに問題があることに気付いた。書いた内容に間違いはない。確かに勝ってはいる。だがこの競馬場、実はトロット(繋駕)専用だった。それでも83歳の勝利は驚くべきだが、的場騎手の記録との比較に持ち出すべきではなかろう。たとえ匿名のブログでも記録には厳密でありたい。反省。

ついでにもうひとつ。

これまでの重賞最年長勝利記録を「60歳11か月16日」と表現していたメディアも散見したが、この「11か月」というのはいったい何日分なのか。月によって日数は28~31と異なるのだから記録を表す単位に使うべきではない。まあ、こと重賞最年長勝利に関しては、そこまで厳密な比較を必要とする記録は今後しばらく誕生しないとは思うが、少なくとも新記録が「月」を必要としない記録で良かった。

 

***** 2018/09/20 *****

 

 

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2018年9月19日 (水)

294頭のインパクト

先日行なわれたローズSにディープインパクトの産駒が大量に出走して話題となった。出走15頭のうちなんと10頭がディープインパクト牝馬なのだから、血統重視の方はさぞ困ったに違いない。種牡馬ディープインパクトは桜花賞に6頭、オークスにも7頭の産駒を送り込んだ。この世代の層は厚い。しかし、ことごとくロードカナロア産駒の後塵を拝している。最後の一冠でディープインパクトの逆襲は果たしてあるか。

Eye 

そんなことを考えていたら、社台スタリオンが今シーズンの種付け実績を発表した。

最多種付数を記録したのは、そのロードカナロア。なんとその数294というから驚きだ。もちろん、国内最多記録。さらに200頭超えは7頭いるのだが、そのラインナップが興味深い。

1位 ロードカナロア(294)
2位 ドゥラメンテ(290)
3位 モーリス(245)
4位 ルーラーシップ(243)
5位 エピファネイア(220)
6位 ハービンジャー(212)
7位 ドレフォン(207)

以上が、今年の「神セブン」。ご覧いただければ分かるように、そこにディープインパクトは含まれてない。それどころか、サンデーの直系種牡馬の名前がどこにもないではないか。

Kanaroa1 

生産頭数が1万頭にも達していた1990年代前半には、実際に交配をこなしていたかどうかは別として、種牡馬登録のある馬は600頭を超えていた。規模の小さな牧場にも種牡馬が繋養されていた時代。日高を走れば、牧場ごとに自前の種牡馬をアピールする看板がズラリと並んでいた。

だが、ここ数年の種牡馬の登録総数はおおむね250頭前後で推移してきる。今年6月の時点では258頭。種馬場もずいぶん数を減らした。実際に種付けをこなし、なおかつ毎年続けて産駒を送り出している種牡馬となると、おそらくこのうちの8割にも満たないだろう。あのタイキシャトルでさえ、引退名馬繋養展示事業に登録された。

一方、今年のサラブレッド生産頭数(9月速報値)は7185頭と報告されている。

生産頭数が7割に減ったのだから種牡馬も7割程度に減った———。それならわかる。だが実際には種牡馬は4割以下にまで数を減らしているのである。こうした状況を生み出したのは、近年めざましく数を増やした種付け数だ。60頭超えでも「多い」と言われ、100頭を超えれば逆に「遺伝力が弱まる」と敬遠されることもあった時代から、たった20数年しか経っていないのに、いまや人気種牡馬の200頭超えは当たり前。当時には想像もできなかった300頭も目前に迫る。

こうした200頭超えを実現してきたのはディープインパクトを筆頭としたサンデーサイレンス系種牡馬たち。市場のニーズと種付け技術の進歩がそれを可能とした。だが、そのせいで現在の競馬界にはディープインパクト牝馬が溢れかえっている。そんな状況がもたらしたのが今年の「神セブン」なのだとしたら、もはや10年後はまったく読めない。

Kanaroa2 

社台グループの次代を担うエースがロードカナロアとドゥラメンテのキンカメ系2頭であろうことは間違いないが、このペースで種付けが進めば、彼らの天下もひっくり返る。大量種付けが呼び寄せたのは、めまぐるしく主流父系が入れ替わる時代だった。10年後の種牡馬界をリードしている父系は、既に忘れ去られたはずのあんな傍流やそんな父系かもしれない。

 

***** 2018/09/19 *****

 

 

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2018年9月18日 (火)

たまには護衛艦も

三浦に行ったついでに横須賀でうどんを食べた。でもその話はあとにする。午後は大井の予定だが、1レースにはまだ早い。それでぶらっと港の方に歩いてみたら、「YOKOSUKA軍港めぐり」というクルーズツアーの案内を見つけた。

軍艦は好きだ。子供の頃はタミヤの1/700シリーズを作りまくった覚えがある。興味の的は戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦を問わない。映画「連合艦隊」は20回以上観ている。つまりミーハー。しかし最近になって、海上自衛隊を身近に感じる出来事があった。ともあれこの機会を逃す手はあるまい。勇んでクルーズ船へと乗り込んだ。

平日の正午だというのに参加者は思いのほか多い。45分間のクルーズは一日5便。土日はさらに2便増えるというが、それでも土日はほぼ満席状態なんだそうだ。人気なんですね。

ガイドさんが最新の情報を交えながら、掃海艇や護衛艦といった艦船の種類や役割、見分け方などを解説してくれる。その日どんな艦艇が入港しているか分からないから、ガイドさんも毎回楽しみなんだそうだ。このあたりはホエールウオッチングの趣にも似る。ともあれ、日々変化する国防の状況を目前に見ることができるのは横須賀ならではだろう。

横須賀本港に停泊する巨大なヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」や、海面から頭を出した潜水艦にまず圧倒される。ガイドさんは「いずもは一昨年の熊本地震の際に救援に向かったことで名前を知っている方も多いかもしれません。これ一隻で1140億円します」と説明。乗客からは「へぇー」と歓声が上がり、一斉に写真撮影が始まった。米海軍の空母ロナルド・レーガンは出港中で見ることができないが、港内の左右に日米のイージス艦が並ぶ光景を見ることができるのは、世界広しといえどもここ横須賀くらいであろう。

耳を澄ますと「ピーィ」という鳥の鳴き声のような甲高い音が聴こえてきた。よく見ると護衛艦のデッキに立った乗員が何かを吹いている。ガイドさんによれば「サイドパイプ」と呼ばれる笛で、艦内の連絡時に使うとのこと。吹き方にコツがあり、上手く吹けない隊員さんは昼休みになるとデッキに出て練習するんだそうだ。練習の手を止めてこちらに手を振ってくれる隊員もいた。こうして約45分のクルーズはあっという間に終了。停泊している艦船は日々変わるが、ガイドの説明はいつも的確で、それも人気の理由かもしれない。

護衛艦「おおなみ」(左)。試験艦「あすか」(右)

111 

護衛艦「てるづき」

116 

護衛艦「やまぎり」

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イージス艦「きりしま」

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ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」

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ところで、こうした「いずも」とか「きりしま」といった自衛艦の艦名は、一定の命名基準に従って付けられているそうだ。

護衛艦は気象、山岳、河川、地方。掃海艦や掃海母艦は島、海峡。魚雷艇は鳥、木。輸送艦艇は半島、岬―――など細かく決められているらしい。それを聞いて私が連想したのはJRAのレース名称のネーミングルール。2歳および3歳春までのレースには花、木、草が、古馬のレースには地名、河川、海洋、山岳、誕生石、月名、星座名が使われることになっている。

ということは自衛艦と同じ名前のレースがあるのではないか?

競馬ファンはすぐにそんなことを考えるからいけない。このブログは海上自衛隊の方もご覧になっている。国防と競馬を一緒にするとはなにごとだ!―――なんて、お叱りを受けたらどうしよう。

でも、そう考えずにはいられないから調べてみた。

「いせ」「みょうこう」「あたご」「いなづま」……等々。護衛艦の大半はJRAのレース名と合致する。佐賀の霧島賞も、かつてはJRAの特別レースだった。掃海艇では「あわじ」、潜水艦でも「うずしお」などレースと同じ名を持つ艦艇があるが、なぜか重賞レースと同じ名前を見つけることはできない。ひょっとしたら「JRAの重賞レース名と同じ名称を付けてはならない」などという内規でもあるのだろうか。護衛艦「なるお」とか魚雷艇「さつき」なんてあっても良さそうなもの。なにせかつての鳴尾競馬場は、旧日本海軍の飛行場となった歴史もある。

ちなみに旧軍、自衛隊を通じた命名基準のひとつに「人名不可」の大原則があるとのこと。米国はでは「リンカーン」とか「ロナルド・レーガン」などと頻繁に人名が使われるが、これを日本でやると「もり」とか「さとう」とか「たなか」になっちゃいますからね。違和感満載。護衛艦「かん」なんてのも語呂が悪い。一方、競馬では最高峰のレース名に人名が使われている。やはり競馬と同じにしてはいけないということか。馬ばかりではなく、たまには護衛艦も悪くない。うどんの話はまた後日。

 

***** 2018/09/18 *****

 

 

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2018年9月17日 (月)

社台のちゃんぽん

ちょいとヤボ用があって千葉の富里まで出かけた。

―――と書きかけたところで、ふと思った。

最近、ここに書いていることが「繋」っぽくないか?

「繋」を知らぬ方にご説明すると、社台グループの会報誌「サラブレッド」で30年以上も続く長寿連載エッセイで、筆者は「血と知と地」で1999年のJRA馬事文化賞を受賞した吉川良氏。ありし日の吉田善哉氏をはじめ、社台グループの牧場で働くスタッフやサラブレッドクラブの会員さん、さらに社台にゆかりの調教師など、馬ではなく人間ばかりを取り上げて描いている点が特徴で、「血と知と地」の大半もこの「繋」がベースとなっている。「バイブル」と呼ぶスタッフも少なくない。むろん私もそのひとり。富里に社台ファームがあった頃は、「湾岸線を飛ばして富里まで出かけた」という書き出しで始まる回が多かった。

もちろん今日の私は社台ファームに行ったわけではない。だいいち社台ファームそのものが今はそこにない。でもインターを降りてすぐの牧場跡地に寄ってみることに。

Turf 

そこが公園になっていることは5月6日付の本稿「社台の銀杏」で紹介した通り。かつてこの地にシャダイターキンが生まれ、ギャロップダイナやダイナガリバーやダイナアクトレスが放牧され、リアルシャダイやパドスールといった輸入種牡馬が検疫を受けていた。そう思うと、この公園の土や草を持って帰りたいような衝動にも駆られる。もちろんそんなことはしませんけどね。

在りし日の社台ファームに思いを馳せつつ、公園の隣で営業する『長崎ちゃんぽん・リンガーハット』に目を移せば、その店舗の外観が種牡馬厩舎のようにも見えてくる。

Ringerhat 

娘が入りたいというので入店。正直、私はあまり利用したことがない。それなら、大人しく普通のちゃんぽんを注文すりゃあいいものを、なぜか「牛がっつりまぜめん」などという難しい球を打ちにいってしまった。いわゆる肉うどん的なものを想像していたのだが、見た目も味も牛丼に近い。ただ、先日も書いたように、私は牛丼も嫌いではないですからね。美味しくいただきます。でも次は普通のちゃんぽんにしよう。たまに店内にフォスターの名曲「草競馬」が流れるのも楽しい。

Ringerhat2 

「繋というのは、第一指骨と第二指骨と蹄骨をつないでいる靭帯のところだね。そこが硬けりゃダメだ。弾力がないと痛むんだよ」

そんなセリフをかつての「繋」の中に読んだ覚えがある。言葉の主は誰あろう吉田善哉氏。それまで社台牧場・千葉分場だったこの地を、新たに「社台ファーム」と名付けて独立を果たしたのは1955年のことだ。所有繁殖牝馬わずか8頭の船出。そこから63年の歳月と様々な「繋ぎ」を経て、今日の社台グループへとたどり着いた。

ちなみにこのリンガーハットも『繋』に何度か登場している。ということは、この地に社台ファームがあった頃から営業しているということになる。今は社台グループの幹部になられたあの人もその人も、若き日はこのリンガーハットに通ったに違いない。ひょっとしたら善哉さんも―――? そう思えば、やはり普通のちゃんぽんにしてば良かった。いくらなんでも「牛がっつりまぜめん」は食べてないだろうなぁ(笑)

 

***** 2018/09/17 *****

 

 

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2018年9月16日 (日)

男を取るか、女を取るか

昨日からのJRAは明日の敬老の日を含めた3日間開催。しかも、3場を2場ずつ組み合わせた3日間ではなく、中山・阪神をぶっ通す。今日は阪神でローズSが行われた。明日は中山でセントライト記念。果たして心身および財布は明日まで持つのか? 気に病む人もゼロではあるまい。

このパターンの3日間開催が初めて行われたのは2012年のこと。この年から秋の札幌開催がなくなり、その開催日の一部が中山と阪神に割り振られた格好だ。

ローズSの施行日程が繰り上がった1996年以降、中山のセントライト記念と阪神のローズSはずっと同じ日に実施されてきた。それが3日間開催のおかげで別日での施行が可能となったのである。カレンダーの都合で毎年実施されるわけではないが、これは大きな出来事だった。

なぜこれが“大きな出来事”なのか?

World 

セントライト記念とローズSは、夏を越した3歳馬が久しぶりの実戦を迎える大事なレース。どちらもGⅡで、その先にあるGⅠを占う上で重要な意味を持つ前哨戦だ。だが、それぞれ牡馬と牝馬で路線が異なる。一流ジョッキーともなれば、春のクラシックを湧かせた牡馬と牝馬をそれぞれ一頭ずつ抱えているもの。その2頭が同じ日の中山と阪神に分かれて出走するとなっては、どちらか一頭の騎乗を諦めて他人に手綱を委ねなくてはならなくなる。牡馬と牝馬の3歳路線では春から秋にかけていくつもの重賞レースが行われるが、同じ日に東西で牡馬と牝馬の3歳重賞が行われるのは、年間を通じて実はこの日だけだった。

2011年は後藤浩輝騎手がローズSのエリンコートに乗るため、セントライト記念でベルシャザールに乗れなかったし、2010は柴田善臣騎手もラジオNIKKEI賞を勝ったアロマカフェに乗れなかった。さらにこの年は、蛯名正義騎手も3連勝中のヤマニンエルブへの騎乗を諦めてローズSでの騎乗を選んでいる。アパパネの始動戦とあれば、それも仕方あるまい。

騎手にしてみれば、春シーズンが終わった時点で、秋になったらどれくらい変わるのかと再会を楽しみにしているもの。それが叶わないというのは切ないだけでなく、他人に手綱を取られるという不安もつきまとう。実際、2008年のセントライト記念でマイネルチャールズに騎乗した松岡正海騎手は、同日のローズSに出走したブラックエンブレムの手綱を岩田康誠騎手に譲る格好となってしまった。ブラックエンブレムは3着に敗れたが、秋華賞でもそのまま岩田騎手とのコンビで出走。見事優勝を果たしている。

以前から競馬サークル内外からこうした声は挙がっていたのだが、ローズSは日曜の競馬中継を受け持つ関西テレビ放送の冠レースであることから日曜以外の実施は難しく、セントライト記念にしても、売上面などでハンデのある土曜の実施には難色が示されてきた。

Boss 

むろん乗り替わりによるプラス面や、そこに潜むドラマ性を否定するつもりはまったくない。ただ、調教師やオーナー、あるいは馬券を買うファンにしても、成長具合を確かめるには春と同じ騎手が乗った方が良いと考えるはず。成長著しい3歳馬の、秋の緒戦くらいは無用な乗り替わりがない方が嬉しい。

 

***** 2018/09/16 *****

 

 

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2018年9月15日 (土)

牛丼6000杯の果てに

昨日はたまたま池袋にいたので『松屋』で牛めしを食べた。大半の『松屋』では「プレミアム牛めし」しか提供していないが、なぜか池袋の店舗だけプレミアムより安価な普通の「牛めし」を食べることができる。しかし実際に食べてみたところで「プレミアム牛めし」と「牛めし」の違いは分からない。

Matsuya 

今日の昼は中山競馬場の『吉野家』。中山での牛丼率は9割を超えているんじゃないか。

Yoshinoya 

そしてつい先ほど食べた夕食は『すき家』神田南店の牛丼。同行者は「ちょっと昔は250円で食べられたのになぁ……」などとぶつぶつ言っていたが、350円なら十分安い。

Sukiya 

JRAに行けば『吉野家』で、大井に入りては『松屋』で、そして船橋なら『すき家』でという具合に、たいていの競馬場には牛丼店がセットになっている。日々競馬場に出入りしていれば、3度の食事が牛丼に傾くのもやむを得まい。レースとレースの合間にササッと食べられる上、安く、そして美味いとなれば、他のメニューを選ぶ理由などなくなる。

昨日今日のように2日で3食というのは極端な例だろうが、とはいえ2日に1食のペースは守っていると思う。牛丼との付き合いは学生時分からだから、年間180食を35年間続けているとして、ざっと6000杯の牛丼を食べてきた計算だ。私のこの身体は、ほとんど牛丼で出来ていると言っても過言ではない。いや、過言か?(笑)

ともあれ、こうなるともはや「お袋の味」とか「女房の手料理」なども凌駕した領域ではあるまいか。私はもっと牛丼に感謝し、もっと牛丼を大事にすべきなのかもしれない。

牛丼1杯の原価は売価の約3割である。さらに6割が人件費や店舗の賃貸料などの諸経費。企業側の儲けはたった1割でしかない。350円の牛丼を1杯売って得られる利益は35円。それを250円で出せば当然足が出る。連れが250円時代を懐かしむ気持ちは分からないでもないが、企業努力にも限度というものがあろう。綱渡りはちょっとしたことでバランスを崩して落下しかねない。

『吉野家』は1980年に一度倒産したことがある。味が落ちて客足が遠のいたことが最大の原因だが、そもそも味が落ちたのは経費削減のために材料費を大幅に削ったからだ。当時、居酒屋チェーンの『養老乃瀧』が牛丼販売を展開し始めていた。その価格、なんと1杯200円。当時としても破格と言える低価格での参入は、巨大な経費削減圧力となって『吉野家』を襲い、結果として味の低下をもたらしてしまったというわけだ。

良い味を守ることは、実は客の役目のひとつでもある。たかが牛丼と笑われるかもしれないが、生涯6000杯の味が消えては生きていけない。値下げ競争ばかりがクローズアップされがちな業界ゆえに、不安が尽きないのである。

 

***** 2018/09/15 *****

 

 

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2018年9月14日 (金)

競馬とジャズ

ジャズフェスティバル「かわさきジャズ2018」は11月8日~18日の日程で川崎市内全域で開催されるが、それに先立って、今宵は「川崎競馬ジャズナイト」と題して川崎競馬場とジャズのコラボが実現したらしい。「らしい」と書くのは行こう思いながら行けなかったから。どれもこれもみんな地震のせいだ。悔しいが仕方ない。地震の被害に遭われた北海道の方々に比べればどうということはない。

Jazz 

ジャズにちなむ馬名は少なくない。近年では福島牝馬S連覇のオールザットジャズが“ジャズホース”の筆頭格。ラブリーデイのお母さんはポップコーンジャズで、ジャズファンクは今も障害レースで活躍している。“ジャズホース”の第1号まではさすがに調べる手立てを持たないが、もっとも有名なところとしては、そのものずばり「ジャズ」という馬がいた。1972年に読売カップをはじめ、重賞を3勝したアラブの強豪だ。

馬名に「ジャズ」という文字が使われていない“隠れジャズホース”も数多い。松山康久厩舎で6勝を挙げ、種牡馬にもなった「モンテカルロ」は、毎年大きなジャズフェスティバルが開催されるモナコの地名。その父「デキシーランドバンド」は、ニューオーリンズのトラディショナルな「ディキシーランド・ジャズ・バンド」にちなむ。そのデキシーランドバンドを母の父に持つのが名ステイヤー「デルタブルース」。ミシシッピ川河口を起源とする荒々しい音楽「デルタ・ブルース」は、ジャズ発祥の源流のひとつとなった。

Delta_2 

そもそも競馬とジャズは似ている部分が多い。

どちらも極めてシンプルなエンターテイナーであり、短時間で楽しむことができる。それでいて変幻自在であり、濃密で奥深く刺激的。アレンジの才能が求められるのも同じであろう。さらにちょっとしたアドリブ(ひらめき)が妙味を生み出す。そして少しだけいかがわしく、ノメり込むと抜けられない。

そういえば、一昨年に亡くなった大橋巨泉氏は、司会者や競馬評論家として知られたが、本来はジャズ評論家だった。ジャズによって磨かれたセンスが様々な分野での成功に繋がったのであろう。

さて、行くことができなかった川崎の中継を見ていたら、本馬場入場時のBGMに普段とは違うジャズの音楽が流されていた。東京競馬場ではビッグレースの朝などにジャズバンドによる生演奏が迎えてくれる。小気味の良いテンポと軽快なリズムから生み出されるジャズを聴いていると、名手の手綱さばきや名アナウンサーの実況を彷彿とさせやしないか。こういう企画はもっと行なわれてよい。

 

***** 2018/09/14 *****

 

 

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2018年9月13日 (木)

エビショー師誕生なるか

最近やたらと「引退」のニュースを耳にする。

金鯱賞連覇など重賞5勝を挙げたヤマカツエースが引退、種牡馬入りすると聞いたのはこの日曜のこと。同じ日に元NPBの村田修一選手の引退試合が行なわれたと思ったら、一昨日は同じ松坂世代の杉内俊哉投手も引退を発表した。プロ野球に関して言えば、ぼちぼちこういうニュースが増えてくる頃合いか。広島の新井貴浩選手も引退を表明している。

まだ終わらない。欧州長距離GⅠレース3勝のオーダーオブセントジョージ引退のニュースが飛び込んできたのは昨日。そして今朝になってタッキー&翼の滝沢秀明さんの引退報道である。まあ、驚いたといえば驚いたけど、それ以上の感想は特にないんですけどね(笑) ただ人によっては一大事であろう。そういえば安室奈美恵さんの引退も近い。こちらも人によっては一大事。

厳密な意味での引退宣言ではないが、蛯名正義騎手が調教師免許の一次試験を受けることを発表した。

「今はネットでもいろいろと騒がれる時代。変なうわさが伝わるのも嫌なので、こういう形を取らせていただきました」

受験前に自ら公表した理由をこのように説明。春先から受験への準備はしていたという。

「騎手として乗っているのは楽しいけど、元気でエネルギーがあるうちに挑戦するのもいいのではないか」

これを聞いて意外に感じた。生涯一騎手を貫くのだろうと、私が勝手に想像していたせいもある。ともあれ調教師免許試験は難関。受かるとは限らないから、その場合は現役続行であろう。個人的には、彼の騎手としてのダービー制覇を見てみたいが、それは人それぞれの思い方がある。ミスター競馬といわれた野平祐二氏は。騎手としてダービーを勝つことはできなかったものの、調教師としてシンボリルドルフにより宿願を果たした。

ひと昔前なら、蛯名騎手のような実績あるベテランが「調教師試験を受ける」と言えば、それは騎手として事実上の引退宣言だった。通算1000勝以上、かつ厩舎経験20年以上の騎手に対しては1次試験が免除されていたのである。1000勝&20年のセットが、調教技術や調教師に必要な基礎知識や経験を満たすと判断されたからにほかならない。だが、近年の厩舎事情の変化により、騎手の役割がより専門化し、調教師に必要な知識や経験を身につける機会が減ったことから、2004年にこの特典は廃止された。

それにしても、JRAにも「蛯名調教師」が誕生した暁には、大井の蛯名調教師との区別に神経を使わなければならない。大井の方を「雄太調教師」と呼ぶ手もあるが、そうなると船橋の佐藤裕太調教師だと誤解される恐れがある。ならばJRAの方を「エビショー師」と呼んだ方が良いんですかね?

Ebi1 

蛯名騎手の最近の成績をあらためて見ると、なんとまる1か月以上勝っていない。8月12日札幌HTB賞のレッドローゼズ。8月に挙げた勝利はこれだけだった。最近は乗り数自体も減っている。しかも来年にはモレイラがレギュラー参戦するかもしれない。二ノ宮調教師が5年後の定年を待たずして勇退したことも、なにか影響を与えたのだろうか……?

―――なんて詮索をされたくないから本人自ら発表したのであろう。これらは的外れな憶測に過ぎない。だからこのブログでもこの件はこれまでにする。土曜の中山メイン・レインボーSには件のレッドローゼズが出走。もちろん鞍上は蛯名正義騎手だ。

 

***** 2018/09/13 *****

 

 

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2018年9月12日 (水)

票の行方

「ラジオNIKKEI」というワードがトレンド入りしていたから、「よもやラジオNIKKEI賞がGⅠ格上げか!?」と慌てて調べてみると、競馬とはぜんぜん関係のない話だった。なんでも、リスナーからリクエスト投票を募っていた音楽番組で、担当ディレクターが一部の票数を水増しし、投票結果やオンエアする曲の操作していたらしい。ちなみにこの番組は打ち切りになったという。

「それのどこがニュースなのか?」

そう思う方もいらっしゃると思う。それでも読売新聞のサイトにも出ているからそれなりにニュースバリューはあるのだろう。ニュースバリューつったって、ベガのお姉さんでパラダイスSを勝った Seattle Song の牝馬じゃありませんよ。あっちはニュースヴァリュー。競馬ファンは、とにかくなんでも競馬に紐付けたがる。私がその典型。

News 

もとはといえば「連打ツール」を悪用した不正投票への対応だったらしい。だとしたら多少気の毒な面もある。このブログでは「投票」という行為がアテにはならないということを散々訴えてきたけど、まあその話と紐付けるくらいなら無理はあるまい。

あらゆる人気投票はタチの悪い不正に悩まされてきた。メジャーなところでは、プロ野球オールスターゲームの組織票。中間発表ではまるで名前のなかった選手が、最終発表になると突如として1位で選出されるのである。親会社の従業員に投票ノルマが課せられたり、「××××おばさん」が総動員されたりしたのは、オールスター出場に企業としてのメリットがあったからであろう。

そのメリットが薄れた近年ではオールスターの組織票を聞く機会は減った。だが、2003年に突如としてトレンド入りを果たす。故障で2年間登板の無かった川崎憲次郎投手(中日)が、前日まで1位だった井川慶投手(阪神)を抜いて、先発投手部門の中間投票トップに立ってしまったのだ。

きっかけはネット上の掲示板。面白半分の投票呼びかけに、応じた人間がいた。既にネット投票の時代になっていたから、ちょっと細工すればひとりで万単位の投票は簡単にできる。とはいえ途中で投票方法を変えるわけにもいかず、結局川崎投手はファン投票選出を果たした。むろん出場は辞退している。

ファン投票と言えば有馬記念。そこに「組織票」という言葉を耳にすることがなかったわけではないけれども、川崎投手のような事件にまでは至ってない。今では、個人からの複数投票についてはネットであれハガキであれJRAも認めておらず、その対策もしっかりしている。

しかし特定の一頭への投票呼びかけが共感を呼んだことはあった。

2015年のアルゼンチン共和国杯を勝ったゴールドアクターは次走に有馬記念を展望したが、その時点では賞金除外となる可能性が高い。そこでオーナーはSNSを通じてファン投票を呼びかけた。結果、ゴールドアクターはファン投票選出馬として堂々と有馬記念のゲートに入り、見事勝利を果たしたのである。これなども見方によっては組織票の一種だろうが、そこには微塵の罪悪感も後ろめたさも感じられない。

Goldactor 

今朝早く、スマホをいじっていると「オジュウチョウサン」という言葉がトレンド入りしていることに気づいた。

まさか!? 不安に駆られて調べてみると、故障ではあるがたいしたことはなさそう。九十九里特別を回避したとしても、無事であれば有馬記念のファン投票選出は確実であろう。ひょっとしたらトップ選出もあるかもしれない。

人によって好きな馬の条件が異なるのは当然。だからこそのファン投票である。だがしかし、レースに対する感動の条件はそれほど違わないのではないか。あの年、ゴールドアクターが集めた16,298票や、今年オジュウチョウサンが集めるであろう票数は、そんなファンの気持ちの現れ。レースの結果はさておき、票の行方が今から気になって仕方がない。

 

***** 2018/09/12 *****

 

 

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2018年9月11日 (火)

水を確保せよ

「“水道が復旧”って言うから蛇口を捻ったら濁った水が出てきた(笑)」

電話の相手はそう言って笑った。たったいま、水を汲みにトラックを走らせてきたところだという。運んだ水は馬に飲ませる。昨日までは比較的被害の少ない新冠から地下水を分けてもらって運んていたが、その水も足りなくなり、今日は静内まで足を伸ばしたそうだ。

「そしたら馬が水を飲まなくなったの。何が違うのか分からないけど、馬には分かるみたい」

これまで牧場とは極力メールでやりとりするようにしていた。地震対応で多忙を極めているであろう相手のことを考えてのこと。しかし地震発生から5日目となる今日、初めてこちらから電話をかけてみた。相手は日高町のとある牧場関係者。相変わらず活気に満ち溢れた声だが、聞こえてくる話の内容は想像をはるかに超えていた。

「自衛隊が給水に来てくれているけど、まず大手が優先。そしてもちろん人間が優先」

実は週明けに日高訪問を予定していた。地震が起きる前から決めていたこと。夏前に見た当歳馬たちはどれだけ成長しただろうか。どうせならオータムセールに上場する1歳馬も見ておきたい。

そこへもっての震度7である。全道停電、新千歳空港閉鎖のニュース映像を見たときは、さすがに無理かと諦めたが、その後現地から伝わってきたのは思いのほか早い復旧のニュースであった。一転して膨らむ期待。札幌の友人は「JRを使わなければ大丈夫」と言うし、約束していた牧場から特に連絡もない。それなら大丈夫かな?

———そんな自分の考えの、なんと浅はかだったことか。

今朝になってノーザンファームの友人から「ちょっと無理だわ」と連絡が入った。まあ、仕方あるまい。なんたって震源地のすぐ隣である。ようやく電気は通ったが、今もなお町内の7割で断水が続く。ノーザンファームには数日間分の水のストックがあったので、ただちに馬に影響は出なかった。だが、それも一時しのぎでしかない。問題が遅れてやってくる場合もあることに、私は気付いていなかった。それで、もしやと思い日高の牧場に電話をかけてみたのが、冒頭の話。なんのことはない。問題がないから電話をして来なかったのではなく、電話どころではなかったわけだ。

「ここは断水しなかったから比較的マシ」と言ってきたのは浦河の牧場主。「停電はたいへんだったけど、土鍋でご飯を炊いたり、いろいろ工夫した。そういう意味では特別な経験だったのかもしれない」と前を向く。社台グループ各牧場の対応を引き合いに出しながら、こうした事態への備えに対する重要性を強く感じているということだった。牧場もひとつの企業としてBCP(事業継続計画)を考える時代なのかもしれない。

ところで皆が「たいへんらしい」と口をそろえるのが門別競馬場。スタンドのガラスや壁にひびが入るなど設備に被害が出たとことは報じられているが、ここでも水の確保が大きな問題となっている。馬たちはやはり地下水を飲んでいるわけだが、現役競走馬に未濾過・未消毒の生水を飲ませなくてはならないという判断は、馬の体調管理に心血を注ぐ厩舎関係者にしてみれば断腸の思いであろう。

Shinbun 

今日の夕刊に火力発電の完全復旧は11月以降との見出しが躍った。20%の節電が叫ばれる中で、軽々しくナイター照明を灯すわけにもいかない。既に今週の開催中止は決まっていたが、今日になって更に来週1週間の中止が発表されている。再開への道筋は依然として見えてこない。今回の地震が馬産の中心地で起きたという事実を、今更ながら痛感する。そんな現地に、いま私がのこのこ出かけていっても迷惑をかけるだけだ。一日も早く水道と電力が完全復旧するよう、願ってやまない。

 

***** 2018/09/11 *****

 

 

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2018年9月10日 (月)

クラブの日

この土日はやたらと一口出資クラブの馬が活躍した感がある。東西48鞍のうち、14勝がクラブの馬によるものだった。

キャロット 4勝
シルク 4勝
ラフィアン 2勝
サンデー 1勝
タイキ 1勝
ライオン 1勝
ロード 1勝

特に日曜の中山では朝からクラブの馬が勝ち続けたのである。

1R マイネルアルケミー(ラフィアン)

1r 

2R ディキシーナイト(キャロット)

2r 

3R ショーンガウアー(キャロット)

3r 

4R ガルヴィハーラ(キャロット)

4r_2 

ここでお昼休みを挟む。吉野家の牛丼をかき込みながら考えた。

おそらく今日の中山は「クラブの日」に違いあるまい。でなければ4連勝などあるものか。しかも1レースはラフィアンのワンツーフィニッシュ。4レースに至ってはクラブが表彰台独占である。ならば次もクラブで決まりであろう。どうせ新馬戦。下手に考えたところで馬券など当たりはせぬ。

それでクラブ所属馬の4頭BOXを購入。

Baken 

そしたら、1着⑥ヘリンヌリング(ラフィアン)、2着⑬チャーチスクエア(サンデー)で2970円がアッサリ的中。なんだ、簡単じゃないか。

5r 

続く6レースにクラブの馬は2頭しかいない。アポロアミ(アポロ)とフェリーチェ(大樹ファーム)。ならばこの2頭の1点勝負でよかろう。先ほどの払戻金2970円に30円を足して、馬連を3千円購入。オッズは約70倍を示している。

レースは2頭とも中団大樹。もとい待機。さすがにこれでは苦しいか。なにせアポロと大樹はどちらもリーディング100位以下。いくら「クラブの日」と言えども、ここで勝てるほど甘くはあるまい。

ところが直線に向くとアポロアミが先行勢に迫ってきた。おお!。「よしっ、ツムラっ、差せっ!」。私の声に応えるかのように津村の左ムチがうなる。さらにその攻防をまとめてかわし去る勢いで突っ込んで来たのは、なんとフェリーチェではないか! よっしゃぁ! 20万だぁ!

―――と拳を振り上げたまでは良かったが、終わってみれば1着-4着。興奮のあまり写真も撮らなかった。馬券はそんな簡単な遊びではない。それにしてもやはり昨日は「クラブの日」だったのであろう。朝からクラブの馬ばかりが6連勝。しかもタイキまで―――と書くのは失礼かもしれないが、なにせ大樹ファームは、これが今年の5勝目である。ひと月に一度勝つかどうかの勝負服の1着ゴールとなればやはり珍しいと言わざるを得ない。

かつて興隆を誇った大樹ファームも今は苦労しているんだなぁ―――。

なんてしんみりしていたら、この土日にタテジマの勝負服が1度も勝っていないことに気づいてしまった。クラブの草分け的立場でありながらなんたる醜態。よもや大樹ファームの轍を踏むようなことはあるまいが、今年の売れ残り頭数(現時点で22頭)は会員としても不安だ。だからと言って買ってあげられないのが申し訳ないのだけれども(笑)

 

***** 2018/09/10 *****

 

 

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2018年9月 9日 (日)

ラストチャンス

競馬の暦では既に秋に入っているらしい。その証拠に中山競馬場の空はご覧の高さ。なのに今日も30度超えの夏日を記録した。強烈な陽射しが照りつける中、大詰めを迎えた3歳未勝利戦では熾烈なサバイバルが繰り広げられている。

Sky 

4回中山、4回阪神で行われる3歳未勝利戦に出走できるのは各馬一度だけ。しかも通算出走回数が5回以下、もしくは前走で掲示板を確保した馬のみが出走を許されるいわゆる「スーパー未勝利戦」だ。ラストチャンスとなれば、出走レースの選択から調整、騎手選び、そしてレースに至るまで、陣営の本気度は自然と高まる。特別出走手当も通常の半額。勝たなければ意味はない。

調教師が「おつりのないギリギリの仕上げ」と胸を張れば、騎手は「悔いの残らない騎乗をするだけ」と緊張感を露わにする。それはまるでGⅠレース直前の光景。いや、GⅠでも着拾いが横行する昨今の風潮を思えば、ある意味GⅠよりもガチなレースが展開されると言えなくもない。

今日の中山3レースは、ダート1800mの未勝利戦にフルゲート16頭。除外馬も5頭出た。ゲートに入るまでにサバイバルは始まっている。ブリンカー着用馬がなんと7頭。うち4頭が初着用というのも、ラストチャンスに賭ける思いの為せる業であろう。

3コーナーで早くも先頭に立ったショーンガウアーめがけて、オーフルテソーロが外から並びかける。だが、ショーンガウアーの覚悟を決めたようなロングスパートの前に、直線半ばで力尽きてしまった。こうなると負けた方に肩入れしたくもなる。ダート1800mの持ち時計を更新しての2着とはいえ、未勝利の身分が変わるわけでもない。今後JRAではレースに出ることすら難しい状況に置かれることになる。見れば1着馬も2着馬も同じノーザンファームの生産馬。しかし、このレースを終えて両者の明暗は大きく分かれてしまった。

3r 

それにしても、道中から動きのあるレースは見ていて楽しい。騎手にしても「何とかしたい」という気持ちがより強く働くのであろう。午前中のダートの3歳未勝利戦ともなれば、いいかげんに見たり、ややもすればレースを見ずに食堂に走ったりすることもありそうだが、なかなかどうして見応えのあるレースが展開されているのである。

ジャガーメイルやメーデイアもスーパー未勝利で初勝利を掴み取り、ギリギリのところで現役続行に踏みとどまった。そこからGⅠ馬へと駆け上がったのはご承知の通り。ショーンガウアーの今後に注目したい。秋の中山は、ラストチャンスに賭ける3歳馬たちの闘いの舞台でもある。

 

***** 2018/09/09 *****

 

 

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2018年9月 8日 (土)

停電の思い出

北海道電力によると、道内全戸数の99%以上で停電が解消し、全域が停電している道内の市町村はなくなったそうだ。「99%以上」と聞くとほぼ回復したようにも聞こえるが、それでも節電は欠かせぬし、なにより今なお7500戸が停電している事実は重い。

競馬も電力不足の影響を受けている。JRAは道内の競馬場・ウインズの今週末の営業を取りやめたし、ばんえい帯広も今日から3日間の開催中止を既に発表している。さらに、6日の開催を取りやめた道営門別競馬では、来週の開催も中止のやむなきの判断に至った。代替開催は行われないという。旭岳賞とイノセントカップの2重賞はどうなるのか。電気事情は時に馬の将来をも左右する。

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私が幼少の当時は―――いちおう都内で暮らしていたのだが―――停電というものは今よりもっと身近なものだった気がする。日常茶飯事とまでは言わないにせよ、少なくとも「停電」と聞いただけで、人々がコンビニやスーパーに押し掛けて乾電池とカセットコンロを買い漁ってパニックになるようなことはなかった。

テレビを見ながら家族揃って夕食をとっている時に、突然音もなく舞台が暗転するのである。テレビの音が消え、逆に隣宅の声が遠くに聞こえたりすると、否応なく静寂感が増す。

「あらいやだ。停電……」

母親がポツリとそう呟くと、他の誰かが何も言わずに立ち上がり、手探りで懐中電灯とロウソクを取り出したものだ。薄暗い夜が続く時間はマチマチだったけど、それで困ったという記憶は特に持たない。

何年か前のこと、昼メシがてら馬券でも買おうと土曜の昼前に銀座に出たら、銀座中が停電していたことがある。信号機も餃子の『天龍』も伊東屋も銀座松屋も、ことごとく停電していた。

ただ、その中にあって、WINS銀座だけには煌々と明かりが灯り、何事もなかったかのようにオヤジどもが声をあげていたのだ。私も、いつもと同じようにエスカレーターで上階に昇り、いつもと同じように馬券を買い、いつもと同じように散々な負け方をした。そしてWINSを一歩出ると、街はまだ停電の静寂の中にあった。

そのとき私は「JRAって凄ぇな」という印象を強く持ったのである。その思いは色々あった今でも基本的に変わっていない。非常時に受ける印象というものは、普段にも増してより強く刷り込まれるものだ。

そういう意味では北電は痛い。今回のような設備破損による長期間の運転停止を想定した訓練は行っていなかったという。あの東日本大震災から何も教訓を得なかったのか。誰でも考えそうなことを、「想定外」と言い張ることはできまい。

 

***** 2018/09/08 *****

 

 

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2018年9月 7日 (金)

日本人の強さ

地震から二日が過ぎたが、TVは北海道胆振東部地震関連のニュースを流し続けている。「胆振」や「安平」の正しい読み方を覚えた人が増えたことは、まず間違いない。

道内は電力の復旧が進み、断水も解消しつつあり、新千歳空港に飛行機が着陸し、快速エアポート号も動き出している。順調な復旧ぶりが伝わる一方で、依然として日高の牧場は停電が続いており、ネットも繋がらない状況が続いている。240万戸の電力復旧を喜ぶよりも、55万戸が真っ暗な夜を迎えているであろう現実を噛み締めたい。つい今しがた釧路馬主から「ようやく停電解消」とのメールが届いたが、さらに「とにかく不便だわ」と続けてきた。電気がすべてを解決するわけでもない。

胆振・日高の牧場から「人馬は無事」という連絡が届いてはいる。だがしかし、影響がゼロというわけではない。社台グループ恒例の秋の牧場ツアーは中止。会員を対象とした牧場見学も当面実施しないことが決まった。ノーザンF空港で夏休みを過ごしていたスワーヴリチャードは、昨日のうちに移動を予定していたものの、牧場に留まったままだという。

道営門別競馬の開催見通しについての発表もまだ無い。門別競馬場の施設も被害を受けた。たとえそれをクリアしたとしても、道内の節電が叫ばれる中、煌々と照明を灯してナイター開催に踏み切る勇気はあるまい。一方で、来週は重賞が2鞍予定されているから、仮に中止や延期となれば、やはり多少なりとも馬に影響が出る。

「あの時はどうだったんだっけ?」

ふと、2003年のことを思い起こした。

同じ9月。同じ未明の出来事である。2003年9月26日未明、釧路沖などを震源地とする震度6弱の地震が起きた。マグニチュード8.0はあの阪神大震災をも上回る。2人の行方不明者と455人の重軽傷者を出した「十勝沖地震」だ。

1mを超える津波が浦河沿岸に押し寄せ、JRの夜行列車が脱線したことは忘れていても、苫小牧の製油所の石油タンクから炎が吹き上がる光景なら覚えているという方は多いのではないか。

あのときも苫東厚真火力発電所の4号機が自動停止。日高管内では停電が発生したが、泊原発が稼動していたこともあり、停電範囲は1万6千戸程度に収まっている。地震の4日後には、門別で通常通り競馬が開催されているが、この当時の門別にナイター設備はまだなく昼間の開催だったから、停電の影響はそもそも小さかった可能性が高い。

この十勝沖地震の直前、北海道は台風10号の直撃を受けている。死者不明11人を出したこの台風の被害が、とりわけ大きかったのが日高。日高山脈から太平洋へと注ぐ幾筋もの川が氾濫し、川沿いの放牧地は泥と流木で覆い尽くされた。そんな被害を覚えていなくても、厚別川の濁流に呑まれながら、数日後に奇跡的に発見され、キセキノサイクロンと名付けられた牝馬を覚えているという方は多いのではないか。とにかく日高にとっては辛い秋だった。

Ame 

我が国の陸地面積は、地球上の陸地のおよそ0.25%でしかない。にも関わらず、遥か太平洋上で発生した台風は決まってこの小さな列島を目指してやって来るし、過去の巨大地震の二割は日本で起きているという。つくづく難儀な国土だと思う。だが、我々日本人は、それも自然の一部と受け入れてここまで歴史を紡いできた。暗闇の札幌で見られた住民同士の助け合いも、セイコーマートの奮闘も、洞爺湖に打ちあがった花火も、ぜんぶひっくるめて先代から受け継がれたDNAの為せる業であろう。災害が起きるたびに日本人の強さを実感するのだが、中でも北海道の皆さんの強さは群を抜いているように思えてならないのである。

 

***** 2018/09/07 *****

 

 

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2018年9月 6日 (木)

北海道胆振東部地震

最強台風が去ったと思ったら、未明の北海道を震度7の揺れが襲った。

Shindo 

安平、厚真、むかわ、日高、新冠、……。TVからは馴染みの地名が繰り返し聞こえてくる。厚真町で発生した大規模土砂崩れの空撮映像には言葉を失った。平取からノーザンに向かう際によく使うルートのすぐそば。遥か向こうの山並みまで、およそみえる範囲の山という山は、斜面が崩れて茶色い山肌を晒している。

いつもお世話になっている牧場は大丈夫だろうか?

ただ、こういうときに軽々しく電話して「大丈夫ですか?」と訊くことは避けたい。東日本大震災でつくづくそう思った。「大丈夫です」と応えるだけでも負担になるし、停電が続いているのなら、スマホのバッテリー消費だって無視はできない。仮に「大丈夫ではありません」と言われたところで、いったい自分に何ができようか。ただ、こうしてTVが伝える被害情報をただ指をくわえて観ているのも、もどかしい。

そこでTVや新聞の情報をそのままメールで送ることをやってみた。道内は全域で停電しているのだから、TVの情報が届いているのは実は道外だけで、肝心の当事者たちに届いていない可能性がある。それをメールで届けようというわけ。その流れの中で、こちらが気を揉む安否情報も分かるはず。それで震源や震度といった基本情報から、停電や交通の状況。さらには天気予報(午後は雷雨の予報が出ていた)に至るまで細かくメールを送り続けた。

しばらくするとポツポツ返信が届き始める。新千歳空港に勤める大学時代の友人は、「空港に着いたらぐちゃぐちゃ。しばらくダメみたい」と送ってきた。その情報も他の人にメールで伝えよう。浦河の牧場主は人馬とも無事であることに加え、預かってもらっている1歳馬の近況まで伝えてくれた。「オータムセールでは頑張ります」とまで書いてある。その情報を釧路馬主にメールすると、すぐに返信が届いた。「こんにちは停電です」のひと言。だが、極めて短い文面に安否と状況を織り込む秀文と言えよう。

お昼を過ぎると、メールに返信のない相手先が気になり始めた。日高町の山あいにある牧場。意を決して電話をしてみるも繋がらない。スマホは電源が切れているらしく、固定電話にかけても「こちらは、えぬてぃてぃです。ただいま、たいへんつながりにくくなっており……」という無機質なアナウンスが流れるだけ。私が焦っても仕方ないのだが、電話が繋がらないという状況に直面すると焦る。ともあれ八方手を尽くしてようやく人馬の無事を確認。孤立が心配されたのだが、それも大丈夫だという。ようやくひと安心したら途端に腹が減ってきた。なんか井之頭五郎さんみたいだな。

実は今日は朝から聖路加で緑内障の定期検査を受けていた。それが終われば築地でウマいものを食って、浦和競馬にでも繰り出そうか―――。

そんな浮かれた気分はとっくに吹き飛んでいる。「人馬が無事」と言われたところで、まったく被害が無かったわけではない。停電や断水は生活に直結する。ウオーキングマシンやトレッドミルだって動かない。とある牧場からの返事には「出産や種付けの季節でなくてまだ良かった」というのもあった。

計画停電の話も出ている。今日の門別競馬はもちろん中止。台風21号の影響が長引く園田競馬も既に中止が決まっている(10日に再投票の上で代替)。「台風」による中止と「地震」による中止。それが同じ日に重なったことなど過去にあっただろうか。

6月の大阪北部地震に始まって、西日本豪雨、記録的猛暑、相次ぐ台風、そして今回の胆振東部地震。いくら災害列島とはいえ、この夏の自然災害の多さは尋常とは思えぬ。天が何に怒っているのか分からぬが、そろそろ怒りの矛を収めてくれないと困る。

 

***** 2018/09/06 *****

 

 

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2018年9月 5日 (水)

◎○×△の悲哀

予想記者たちとの会話で、お互いの子の就職活動が話題となった。つい先日、経団連の中西会長が就職協定(就職活動のルール)を廃止するべきという考えを示したこともある。実は私の娘も間もなく就職活動を始めるらしい。社会人の先達として言いたいこともあるにはあるが、一方で親が口を挟むべきではないという空気も漂う。

それにしても、自分の子が就職活動する日が来るなんて想像もしなかった。まず、自分がまともな「活動」をしたという覚えがない。単なるバイトのつもりが、ずるずると30年。就職というものを深く考えていなかったからこうなった。そこで初めて気づく。娘にアドバイスなどできる立場ではない。せめて私のようになってくれるなと願うばかりだ。

「ヨシ!」

という力強い声が響いた。たったいま行なわれたレースの結果と、自分の予想印を確認した記者の声。その一方で、「あちゃ! ヌケだぁ」という力ない声も。こうして彼らはレースが終わるたびに答え合わせを繰り返す。

◎○×△―――。

こうした記号もしくは形自体は、おそらく古代からあったはず。しかしこれを競馬の予想に活用しようと思いついたのは、我が日本のみであろう。ジャンパンカップで来日した外国人カメラマンに「◎は本命の意味だ」と伝えたら、目を丸くしていた。

予想に記号が登場したのは、競馬法が制定されて馬券が復活した1923年頃というから相当古い。基本的に◎○×は各一個ずつしか使えないが、△は人によって多少異なる。また×の変わりに▲を使う予想紙もある。

Dango 

無印の馬が馬券に絡むことを、業界ではヌケと称して嫌う。朝からヌケが続いたりすると、その日は一日暗い。一般的な記者なら「抜け駆け」は仕事上のヒットだが、競馬記者にとって「ヌケ駆け」がいちばん困る。

「競馬ってのは印のある馬が来るんだと思ってたら、無印も結構来るんだな」。競馬場からの帰途に、そんなファン同士の会話が聞こえて思わず早足になることは日常茶飯事。「予想の馬名と成績の馬名が違っているが、これはどういう訳だ?」なんて電話が新聞社にかかってくることもある。

古い話で恐縮だが、1963年にメイズイが「絶対」と言われた菊花賞を負けて三冠を逃した。名伯楽と謳われた尾形藤吉調教師は、「メイズイでもとれないのだから、三冠馬は当分でません」と嘆く。その翌年にシンザンが三冠馬となったのだから競馬は皮肉だ。そのほろ苦さを味わえるようになれば、競馬ファンも一人前と言えよう。馬のことはプロでも分からない。分からないから面白い。なのに分かっているフリをしなければならない。だから予想記者は辛い。

予想欄にズラリと並んだ◎○×△の中には、競馬記者の悲哀が詰まっている―――。レース後の答え合わせを見ながらいつもそう感じる。予想稼業は満点のない試験の繰り返し。子供に継がせたいと言う記者は、私の周囲にはひとりもいなかった。

 

***** 2018/09/05 *****

 

 

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2018年9月 4日 (火)

今世紀最強

台風21号が上陸した四国・近畿地方では鉄道の運休、航空機の欠航、商店の休業が相次いだ。関西国際空港の瞬間最大風速58.1m。避難勧告200万人。「今世紀最強」の前振りはダテではない。今日の金沢競馬は順延され、明日の園田競馬も中止が発表された。

今年は台風の当たり年。毎週台風のニュースに触れている気がする。そう思って調べてみると、6月から8月の3か月間で実に18個もの台風が発生していた。週イチを上回るペースなのだから、私の感触もあながち間違ってもいまい。

ところで、台風にまつわる気象上の特異日をご存じだろうか。それは9月26日。時間、場所こそ違うものの、「洞爺丸」「狩野川」「伊勢湾」のいわゆる「三大台風」が、揃いも揃って9月26日に日本を直撃している。多少不謹慎だが、穴党は“大荒れの日”として覚えておきたい。なにせ中央競馬時代の枠連最高配当267350円が飛び出したのも、この日だった。

三大台風の中でも、規模・被害とも最も甚大とされるのが1959年の伊勢湾台風。9月26日、夜には上陸必至の伊勢湾台風を気にしながらも、京都競馬場開は催に踏み切る。例えるならば今日の金沢競馬を開催したようなものか。現在に比べて乏しい情報の為せた業かもしれない。ともあれその日、京都市内には平均12mを越す強風が吹き荒れていた。競馬場周辺は地形の関係でさらに強い風が吹いていたとの証言もある。

京都4レース、7頭立てのサラ障害は1着馬が失格、1番人気は逸走して競走中止のハプニング。その結果、5番人気のタケリユウ、7番人気のアスカリユウが1、2着となって、件の超大穴が飛び出した。嵐の前触れに台風の申し子たる「竜」が出てくるあたりも、よくできている。

伊勢湾台風は5千人を超える犠牲者を出した。だが、台風はときに馬をも命の危険にさらすことがある。ラプソデーは、雨・不良で行われた1957年の菊花賞を3馬身差で圧勝した。その道悪巧者ぶりは「足に水かきが付いている」と評されたほど。 だがその翌年の9月26日、温泉治療に出かけたラプソデーは、伊豆・大仁の牧場で狩野川台風に遭遇。濁流と化した狩野川に飲み込まれてしまう。だが、ラプソデーは泥水の中を一晩彷徨いながらも、翌朝奇跡的な生還を果たした。その四肢には本当に水かきが付いていたのかもしれない。

1954年9月26日には、函館の宴席が押して青函連絡船に乗り遅れた西塚調教師が命拾いをした。このとき乗るはずだった連絡船が「洞爺丸」。死者1100人以上という日本海運史上最悪の惨事を引き起こした「洞爺丸台風」の名は、この船名から取られた。三大台風にはそれぞれ競馬にまつわる逸話が何かしら付いてまわる。

Arashi 

基本的に雨が降ろうが、風が吹こうが競馬は行なわれるから、多かれ少なかれファンは競馬場へと足を運ぶ。だがそれでも相手が台風となれば話は別。私などは多少の雨風でも、すぐに帰りの足を気にしてしまうからいけない。伊勢湾台風が近づきつつある中、それでも開催された京都競馬場の入場者数は1923人と記録に残る。本当に競馬が好きな人たちに違いない。

 

***** 2018/09/04 *****

 

 

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2018年9月 3日 (月)

黄金の馬

ちょっとした用事があったついでに、西麻布の星条旗横丁で飲むことなった。

Seijouki 

かつてこの建物は、当時興隆を誇った某一口出資クラブの持ちビルで、そこには超ハイクラスなレストランが存在した。クラブ所属馬がジャック・ル・マロワ賞を勝ったり、あるいは年度代表馬に選ばれたりするたびに、かのギャツビー邸のそれを凌ぐほどの豪勢なパーティーが夜毎ここで開かれたという。

Kira 

そんな栄光の日々を刻んだレストランも店じまい。変わって『綺羅』という高級鮨店がオープンしたかと思えば、いつの間にかパーティースペースとなり、現在は焼き鳥、餃子、おでん、たこ焼きといった屋台風の店が並ぶフードコートのような形態に落ち着き、若いお客さんたちで連日盛り上がっている。

件のクラブの方も大きく変わった。この10年間で重賞勝ちはゼロ。今では地方の中央未勝利馬交流レースを勝っただけで「良かった! 未勝利馬が一頭減ってくれた!」とスタッフが感極まってしまう状況である。ただし、こういうことは競馬の世界において決して珍しいことではない。ひとり3万の鮨店の跡地が、わずか10年で焼き鳥やたこ焼きの匂いで満たされることも根っこは同じであろう。かくも諸行は無常であり、春の夜の夢の如きなわけだ。

私はかつてこのクラブの会員だったことがある。

クラブの社長は幅広く飲食店を経営されており、会員は割引サービスを受けられるという特典があった。

ただ、少なくとも会員特典が適用される店舗に西麻布のレストランの名は含まれていなかったはず。おそらくほとんどの会員はその存在自体知らなかったのではないか。私自身、たまたま知人がそこで働くことが無ければ知ることはなかった。その後クラブは他人の手に渡り、店の上階にあったクラブ事務所も移転してしまったから、当時の様子を知る人はほとんどいまい。たこ焼きと焼き鳥で盛り上がるお客さんたちにとっても、まるで関係のない話だ。

鮨店『綺羅』がオープンする以前、ここに存在していた高級レストランの名を思い出した。たしか『CHEVAL D’OR』であったと思う。シュバル・ド・ノール。フランス語で「黄金の馬」の意だ。

「馬」という言葉を使っただけでなく、フランス語であること自体が泣かせるではないか。栄光のドーヴィルの夏から20年が経つ。

 

***** 2018/09/03 *****

 

 

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2018年9月 2日 (日)

魅惑のホルモン

昨日書いた「かすうどん」は大阪ではメジャーだが、東京ではまだ認知度が低い。東京の人間からすれば、やはり「かす」という語感に抵抗があるのだと思う。だって“カス”ですからね。しかし実際には牛のホルモンを油で揚げたもの。外はカリッとしていいながら、中はホルモン特有のぷるぷるとした食感。しかも旨味たっぷり。なのに脂っこさやしつこさはあまり感じない。ダシで食わせる関西のうどんには合う。

ただし、個人的にはホルモンは揚げるでも煮込むでもなく、やはり焼いて食べるのが良い。でも焦がしてしまうと台無し。だから焼き方にはこだわりたい。先日、とある社台のクラブ会員さんと人形町でホルモン祭りを開催した。

Kusi 

人形町の『串屋横丁』は美味いホルモンが安く食べられる人気店。同じ屋号のお店は都内や千葉など40店舗に上るが、中でもこの人形町が断然美味い。同じオーナーがこの店のすぐ近所にステーキ店を経営していることから、そこから新鮮なホルモンが届いて、すぐに調理に移ることができる。つまり距離の問題。ホルモンは鮮度が命だ。

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肉食文化の欧米や中国、朝鮮半島では、ホルモンはごく一般的な食材だが、日本でその美味しさが広く認識され出したのは比較的最近になってから。私が若い頃はオヤジの食い物というイメージが強かった。それが、ビタミンとコラーゲンがたっぷりで美肌にも効果があることから、ホルモン好きの女性が巷に増殖。ホルモン焼きの店に集まる女性を「ホルモンヌ」と呼ぶらしい。

「ホルモン」の語源はドイツの医学用語説が有力とされるが、一方でもともと日本では廃棄していた部位だったことから「放るもの=ホルモン」と名付けられたという関西弁由来説は今なお根強い。由来はともあれ、食材として無駄なく利用でき、そのうえスタミナの源ともなれば万々歳。一方で、かつてホルモン天国だった競馬場からは年々姿を消しつつある。大井でホルモン丼が食べられる店は、もう一軒しか残ってないのではないか。

その大井あたりで「ホルモンウィーク開催」の実現を訴えたい。開催期間中はホルモン料理が格安で振る舞われ、開催メインは「ホルモントロフィー」。優勝馬のオーナにーにはホルモン一年分が贈られるのである。そんでステージゲストにマキシムザホルモンを呼べば完璧ではないか。関係者は是非ご一考頂きたい。

 

***** 2018/09/02 *****

 

 

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2018年9月 1日 (土)

夏の宿題

9月最初の日は土曜日。夏休みを2日トクしたと子供はさぞ喜んでいるかと思いきや、大量の宿題と格闘中であった。

そんな我が子を置いてウインズ後楽園へ。私も夏の宿題を片付けなければならない。

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乗り換えが面倒なので神保町から水道橋までは歩く。白山通りから路地を2本ほど奥に入った裏通りに暖簾を構える『肥後一文字や』は、店内が阪神タイガースグッズで埋め尽くされた立ち食い店。以前から訪れたいと機会を伺っていたのだが、水道橋近辺でも、こういうお店があるんですね。ちなみに私は特に阪神タイガースのファンというわけではありません。

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ここの名物は阪神グッズではなく、この豚肉の天ぷら。私の目当てはこちらです。塩コショウで下味がついていて、これだけでも十分美味い。うどんは袋入り茹で麺の温め直しだが、そばは生麺を茹でて出してくれる。次はそばをいってみよう。

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ウインズで馬券を仕入れてスタンプを押してもらう。スタンプとは「夏の来場スタンプキャンペーン」のこと。実はこの夏、都内のウインズに通っては、セッセとこのスタンプを集めていた。12個がゴールだというのに、今日まで集めたスタンプは実に14個。平成最後の夏の記録が詰まったカードを受付のお姉さんに手渡すと、夏の宿題をやり遂げた気分になった。

Stamp 

帰途にもう一軒立ち寄る。神保町の交差点の近く、靖国通り沿いに暖簾を掲げる『りっちゃん』は、「横浜かすうどん」を出すお店。ここを訪れることも私の中で長らく宿題になっていた。だって、神保町にはほかにもうどん屋さんがたくさんありますからね。ともあれ、「横浜かすうどん」とは、いったいどんな一杯なのだろうか?

Richan1 

肉かすうどんを注文。

大阪発祥で現地ではメジャーな「かすうどん」を、独自配合のダシで発展させたのが「横浜かすうどん」らしい。自慢のダシはその透明の色合いとは裏腹に、いろいろな旨味が詰まっている感じ。さすがダシを前面に押し出すだけのことはある。ご飯を別注して、残ったダシに投入する客も多いらしい。

Richan2 

やや不揃いな麺は自家製の証であろう。もちもちと程よい弾力で、自慢のダシによく馴染む。今日のところは店の一押しだからとかすうどんを食べてみたが、このダシで普通のうどんを食べてみたい。それは秋の宿題としよう。夏休みも夏競馬も明日で終わり。宿題がまだ終わっていないという人は頑張ってください。

 

***** 2018/09/01 *****

 

 

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