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2018年4月30日 (月)

ゴールデンウィークって?

「ごーるでんうぃーく」って何ですか? 食べられますか?

―――なんて言いたくもなりますわ。世間は休みらしいが、私は仕事の合い間に競馬場に来るのが関の山。だいたいがその競馬場すら仕事である。仕事の合間に仕事。これのどこがゴールデンウィークか。これでクライアントの馬が勝てば言うことはないが、先行しながら直線半ばで交わされてはもう勝ち目はない。

はあ……。

ため息をつきながら勝ち馬を撮る。混戦のゴール前から抜け出してきたのは白と青の勝負服。これは見たことがない。いや、以前見たことがあるようにも思える。誰だ? 他地区からの期間限定騎乗だろうか。

Kitano 

するとゴール後の騎手がガッツポーズをしたように見えた。

はて? 1着賞金80万の最下級条件戦で、いったい何事か? いよいよ分からん。

Kitano2 

しかし答えはすぐに分かった。勝ったディープフォレストの手綱を取っていたのは、先日デビューしたばかりの新人・北野壱哉騎手。これが嬉しい初勝利である。デビューしたその月に初勝利をあげたのだから大したもの。坂井英光騎手も真島大輔騎手も、デビューから初勝利をあげるまでに2か月を要した。

Kitano3 

お父さんは高知の名騎手として名を馳せた北野真弘調教師(園田)だという。そうか。高知所属馬として唯一のダートグレート勝ち(1998年黒船賞)を果たしたリバーセキトバの、あの北野真弘騎手だ。壱哉騎手の服色はお父さんが着ていた「青、胴そで白山形二本輪」を受け継いだものだという。だからなんとなく見覚えがあったのかもしれない。

平成13年生まれの17歳。わが娘より年下だと思えば言葉を失う。そんな子がしっかり進上金4万円を稼いだのだから偉い。翻ってオノレは、ついさっきまでゴールデンウィークと無縁の境遇をボヤいていた。50近くにもなって情けない。いくら休みが欲しくても、ゴールデンウィークを食べようとするのだけはやめておこう。

 

***** 2018/04/30 *****

 

 

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2018年4月29日 (日)

クラブ興隆の裏に

桜花賞をシルクレーシングが勝ち、皐月賞をヒダカブリーダーズユニオンが制した。現3歳世代はこれまで6つのGⅠレースが行われたが、そのうち朝日杯を除く5つのタイトルを、いわゆる「クラブ馬主」が制している。

ここで言う「クラブ馬主」とは、クラブ法人所有馬に出資する出資会員を指す。JRAの正式馬主のことではない。クラブ馬主は実際には馬主ではないから、馬主席に入ることも、優勝馬の口取りに参加することも原則的には不可能。株で言えば、配当は貰えるが、議決権のないミニ株のようなものか。ただし最近では馬主席への招待や口取り参加を認めるクラブもあるが、それはあくまでサービスの一環である。

クラブ馬主の興隆は個人馬主衰退の裏返しであろう。JRAの登録馬主数は1992年の3070をピークに減少傾向にあり現在は2400を割り込んでいる。セレクトセールは毎年のように活況が報じられるが、実はセリを動かしているのは、ほんの一握りのプレイヤーでしかない。クラブに出資する一般人とビッグオーナー。「馬主」の世界は二極化が進みつつある。

私自身、過去にはいくつもクラブを渡り歩いた。端緒を開いたユーワホースクラブで最初に出資したのはトウショウボーイの産駒だから、さすがに隔世の感がある。以後、大樹、社台(のちにサンデーも)、シルク、ターフスポート、セゾン、ヒダカブリーダーズユニオンと節操なく手を出しまくった。だが、いまだ重賞勝ちはおろか、JRA重賞出走の経験すら持たぬとは情けない。せっかくだから過去の全出資馬の馬代金と預託費用の総額、さらに総獲得賞金を総ざらいしてみようかと思ったが、計算の途中で怖くなってやめた。おそらくクルマの1台や2台で済む赤字額ではあるまい。

私があちこちのクラブに顔を出したののにはワケがある。つまり、そこで仕事をいただいていたからに他ならない。そういう立場である以上、抽選必至の人気馬に申し込むわけにはいかず、ただひたすら残口を埋めるのみ。すくなくとも私の一口馬主ライフにおいて、残り物に福などなかった。

しかし、おかげで分かったこともある。もっとも大きな発見は、クラブは運営する側が圧倒的に有利である―――ということ。種牡馬入りに際しクラブ側が4割を取るなど、普通に考えたら非常識も甚だしい。牝馬の引退既定も同様。だが、その不利を承知の上で、クラブ会員の皆さんは先を争って馬に出資する。つまるところ、これこそが我が国の馬主制度の欠陥であろう。ファンサービスに力を注ぐのも構わないが、JRAの馬主冷遇には常日頃から思うことがたくさんある。

ちなみに米国ではきわめて簡単に馬主になれるらしい。吉田直哉氏がコラムにそう書かれていた。馬主申請手続きがあまりに簡素だったので、「収入は聞かないのか?」と尋ねると「預託料を払えない人は馬主にならない」と返答されたとのこと。逆に徹底的に疑うのが日本である。その理不尽を突いてクラブ法人は勢力を拡大してきた。もちろん儲け主義一辺倒のクラブばかりではない。だがそれを思わせる新規参入も後を絶たない。

そんなことを考えてつつ、天皇賞(春)を観戦していたら個人オーナーのレインボーラインが優勝した。三田オーナーはGⅠ初制覇。それが歴史と伝統の天皇賞なら喜びも倍増に違いない。今回、クラブ馬主は振るわなかった。そう思って、あらためて出走馬の馬主欄を眺めていたら、なんとクラブ馬主の名前がひとつも見当たらないではないか。これは珍しい。調べてみると、クラブ馬主の出走がないGⅠレースは2008年のジャパンカップ以来10年ぶりの出来事だった。

2008jc 

 

***** 2018/04/29 *****

 

 

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2018年4月28日 (土)

ジンクスが破られる日

「今年こそ青葉賞からダービー馬が出るかな?」

ダービー前になると、きまってそんな会話が交わされるようになって久しい。2002年シンボリクリスエス、03年ゼンノロブロイ、そして12年フェノーメノ。青葉賞のレベルが低いわけでは決してないのである。なのに、のちにGⅠをいくつも勝つような名馬ですら、青葉賞を勝った直後のダービーでは揃って敗れてきた。青葉賞が重賞に昇格して四半世紀。いまやダービー最大のジンクスとなった感がある。

しかし、ひとつ間違えばこのジンクスは成立しなかった可能性もあることを、ここに記しておきたい。それがキングカメハメハの勝った04年のダービー。青葉賞勝ち馬はハイアーゲームだった。

Higher 

この年の青葉賞でハイアーゲームが記録した2分24秒1という勝ち時計は、その後13年もの間破られなかったレースレコード。しかもその中身が凄い。前半の1200m1分12秒9の流れはスローに近く、普通ならレコードタイムが出るようなペースではなかった。中団に控えたハイアーゲームのラストの1000mは、58秒0-45秒7-33秒7。翌週のNHKマイルでキングカメハメハが記録した上がり1000mが57秒5-45秒9-34秒0だから、ハイアーゲームはマイル戦に匹敵するような猛ラップで2400mをまとめたことになる。

しかしダービーは非情だ。ハイアーゲームはキングカメハメハを左前に見る絶好の位置でレースを進めたが、先行していたコスモバルクが4コーナーを回れず大きく膨れた影響で、キングカメハメハが外へ張り出してきた。ハイアーゲームがそのままの進路を取り続ければ、行き場をなくしたキングカメハメハは下げるしかない。と同時に自らのダービー制覇はグッと近づく。だが、ハイアーゲームの蛯名正義騎手は敢えて外に進路を取り、キングカメハメハとの真っ向勝負を挑んだのである。

結果はハーツクライにも差されての3着。だが舞台を問わずフェアプレーを貫く蛯名騎手の判断が無ければ、この年のダービーは後味の悪いものになっていた可能性は否定できない。

ハイアーゲームのレースレコードを13年ぶりに破ったのは昨年の青葉賞優勝馬アドミラブル。その勝ち時計2分23秒6は、例年のダービー勝ち時計をゆうに上回っている。「ついにジンクスが破られる時だ」。そう信じたファンは本番でアドミラブルを1番人気に推した。ダービーで1番人気馬が強いことは有名なジンクス―――ではなくて周知の事実。その期待に応えようとアドミラブルはほぼ限界とも思える33秒3の末脚を繰り出したが、それでもレイデオロを捉えることはできなかった。

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さて、今年の青葉賞を勝ったゴーフォザサミットの勝ち時計は2分24秒4。レコードには及ばなかったものの、レース史上5番目に早い。図らずも鞍上はハイアーゲームで涙を飲んだ蛯名正義騎手である。藤沢和雄調教師の管理馬で蛯名騎手が重賞を勝つのは、バブルガムフェローの天皇賞以来22年ぶり。この時点で既に珍しいことが起きている。その藤沢調教師は昨年のダービーでジンクスを破った。青葉賞馬のダービー優勝。そして蛯名騎手悲願のダービー制覇―――。ジンクスが破られる日は唐突にやってくるかもしれない。

 

***** 2018/04/28 *****

 

 

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2018年4月27日 (金)

【訃報】スペシャルウィーク

天皇賞(春)の前々日になって、1999年の同レースの覇者スペシャルウィークの訃報が飛び込んできた。23歳。放牧中に転倒して左腰を強打したことが原因だという。

Special1 

生涯17戦のうち15戦までが武豊騎手の手綱。その武豊騎手にダービージョッキーの栄誉をもたらしたメモリアルホースであることは今さら紹介するまでもない。しかしその一方で、武豊騎手にジャパンカップ初勝利をもたらした、という意味に於いても、彼はメモリアルな存在であった。しかもそこで負かした相手は英ダービー馬・ハイライズに、凱旋門賞やキングジョージなど欧州GⅠ6勝の名馬・モンジュー。見慣れているはずの武豊騎手のガッツポーズも、このときはひときわ力強く見えたように思う。

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予定ではこの秋のスペシャルウィークは凱旋門賞に挑むはずだった。だが、夏の宝塚記念でグラスワンダーの2着に敗れたことから、遠征計画は白紙に。秋の目標をジャパンカップに切り替えて調整されてきた。さらに3歳で挑戦した前年のジャパンカップでは、騎乗停止中の武豊騎手がその手綱を岡部幸雄騎手に譲っていたという経緯もある。そんないろいろな事情が、武豊騎手の喜びを爆発させたのかもしれない。

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それにしても、宝塚記念の結果次第では、あの凱旋門賞にエルコンドルパサーだけでなくスペシャルウィークも出走していたことになる。モンジューとエルコンドルパサーの一騎打ち。それを外からスペシャルウィークが豪快に差し切っていたのではないか―――。そんな想像を巡らせるのは、決して私ひとりではあるまい。歴史が大きく変わっていた可能性だってある。

Special2 

自身はもとより、代表産駒のシーザリオとブエナビスタ、さらにシーザリオの子のエピファネイアまで含めて共通するのは、東京2400mで際立つ強さであろう。明日の青葉賞に出走するノストラダムスは、母の父がスペシャルウィーク。天国のおじいちゃんに吉報を届けることができるだろうか。注目したい。

 

***** 2018/04/27 *****

 

 

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2018年4月26日 (木)

隠れ家

競馬とは無縁の仕事で清澄界隈に行くことになった。自宅から半蔵門線を使えば一本で行けるが、実は行ったことはない。見知らぬ土地を訪れる時はその土地のうどん屋を訪れるのが、うどん好きとしての礼儀であろう。そこでまずは水天宮前駅で降りて、歩いて清洲橋を目指した。

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その途中に佇む隠れ家風の一軒が『谷や 和』。水天宮の名店『谷や』の2号店とのことだが、その外観は一見してうどん屋には見えない。あえて喩えれば隠れ家的な寿司店のよう。実際、店内も落ち着いた作りで、1階は白木のカウンター席のみ。ぶっかけうどんを食べるだけだというのに、なぜか多少の緊張感を覚える。

Kazu2 

『谷や』同様うどんはコシが強めで、のど越し爽快。口に入れるとプンと小麦の香が漂う。麺の完成度が高いせいかツユが弱く感じてしまったが、追加をもらえたので問題なし。正直『谷や』よりおいしく感じた。

店を出て清洲橋を渡る。隅田川を渡る風が心地良い。

River 

仕事を終えて、清澄通りをぶらぶら歩いていると、今度は見た目でも分かり易いうどん店を見つけた。提灯には『麺工房どいち』とある。

Doichi 

驚いたのは店内に入ってから。カウンター主体のつくりは先ほどの『谷や 和』と同じ。だが、それ以外はまるで違う。こちらはとにかく店内がウマだらけなのである。私の部屋でもここまではしない。

Table 

店内の壁という壁には競走馬の写真や競馬のカレンダーが貼られており、奥のテーブル席付近には額装されたゼッケンが誇らしげに飾られている。カウンターの上には馬の置物。並んでいる酒はブラントン。楊枝入れまで馬だから徹底している。よもや、と思ってトイレを借りたらご覧の通りであった。

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競馬好きが集まる店というのは珍しくないが、それがうどん屋であるという例を私はほとんど知らない。それが競馬とはかけ離れた場所にあるから、なお驚くのである。

Udon 

とはいえいつまでも驚いていられないので、温かいぶっかけを注文。うどんも先ほどの店と違う。ふわっとしたタイプでツユの絡みも申し分ない。揚げたての鶏天はあらかじめ下味がついていて、酒にも合いそう。ずらりと並んだ酒瓶を見れば夜の繁盛ぶりも伺える。ひょっとしたら競馬場内の如く馬の話題で盛り上がっているのかもしれない。

ところで、飾られたゼッケンの馬名ひと目見て気付いたことがある。メジャープレゼンスとディーセントワークは、どちらもサンデーレーシングの所属馬だった。その2頭に出資していたという会員さんが、たまたま私の周辺にいるのである。こんな偶然はそうそうあるまい。その人もこのブログを読んでいるはずだから、近いうちに聞いてみよう。ひょっとしたらその人にとって、こちらの店こそ秘めたる「隠れ家」なのかもしれない。

 

***** 2018/04/26 *****

 

 

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2018年4月25日 (水)

30年間で2例の信憑性

青葉賞に出走予定のダブルフラットに関するサンスポの記事が気になった。

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間違いを見つけたわけではない。ただ違和感を覚えたのである。それは記事の最終盤。「過去30年、山吹賞で逃げた馬は【0・2・0・0】と良績を残している」というくだりである。

「青葉賞は今年が25回目なのに過去30年?」

「その割にサンプルは2つ?」

おそらくダブルフラットを推したいがために、どうしてもデータ的な裏付けを付け加えたかったのであろう。追い切り前にはこのパターンの記事が多い気がする。無理にでもデータを紹介しなければ紙面が埋まらない。しかし30年間で2頭のサンプルは少な過ぎやしないか。記事の信憑性を高めるはずのデータが、逆に「単なる偶然」に感じしまう。

そも私はこの手のデータを信用しない。そう思うのにはワケがある。30年ほど前、知人がとある競馬評論家に弟子入りしていた。その彼が頻繁に師匠から命じられていたのが、「この馬を推せるようなデータを探せ」というミッション。一週間後のレースで師匠は人気薄の穴馬に敢然と◎を打つことを決めている。そのための論拠を捻り出せというのだ。

とはいえ、その作業は特段難しいものではない。データを取る範囲や馬場状態、馬体重、挙句の果てには干支までも引っ張り出して、都合の良いサンプルだけを取り出した。ここまだやれば、たいていの仮説は「データ」でフォローできるものだ。

だから―――というわけでもないが―――私は競馬に限らずデータに基づいた議論というものをあまり信用しない。データは考えの確認のため、あるいは補完のための材料に過ぎないのであって、純粋にデータから導き出される結論など、ほとんどないと思うがゆえである。はじめに考えありき。だからデータの捏造事件も後を絶たない。厚生労働省が国会に提出した裁量労働制に関するデータの捏造も根っこは同じであろう。そも私に言わせれば、捏造などに手を染めなくても、都合の良いデータはいくらでも捻り出せる。

それにしても過去30年で2例は少ない。それで気になって調べてみたら、その2頭とは2013年の青葉賞2着アポロソニックと2012年の2着エタンダールだった。ならば、「過去6年」でも良いではないか。しかもこの2頭は「山吹賞勝ち馬」でもある。それならデータとしては「山吹賞優勝馬の青葉賞成績」の方が興味深い。それであればゼンノロブロイもシンボリクリスエスもマウンテンストーンも登場する。

Kriss 

そもデータを紹介する際に特定レースで「逃げた馬」を登場させるのも珍しい。30年前の私もさすがに使わなかったように思う。ちなみにダブルフラットのように、過去30年の山吹賞2着の馬の青葉賞(オープン特別当時の青葉賞も含む)成績を調べてみたら、4頭が出走して【0・0・0・4】だった。

 

***** 2018/04/25 *****

 

 

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2018年4月24日 (火)

淀の2マイルに挑む牝馬

過去156回の歴史を持つ天皇賞を勝った牝馬は15頭。このうち14頭は秋の天皇賞を勝っている。春の天皇賞を勝った牝馬は、1953年のレダをおいてほかにない。

秋に関して言えば、過去20年でエアグルーヴ、ヘヴンリーロマンス、ウオッカ、そしてブエナビスタの4頭が勝っている。一般に牝馬は不利とも言われるレースではあるが、出走頭数が牡馬の1割にも満たない状況を考えれば、秋の天皇賞ではむしろ牝馬が健闘していると言えなくもない。

Vodka 

これは、春の牝馬が「フケ」という問題を抱えていることと無関係ではないとされる。重いか軽いかは個体差があるが、たとえ軽いものであってもフケの最中はレースに集中できないことが多い。

エリザベス女王杯から鳴尾記念、日経新春杯と破竹の3連勝を飾り、阪神大賞典でメジロマックイーンの3着に好走して勇躍春の盾に臨んだタケノベルベットは、メジロマックイーン、メジロパーマー、ライスシャワーらを向こうに回し、牝馬としては異例の5番人気に推されるも、見せ場のないまま10着と敗れた。その敗因はフケとされている。こればかりは自然の摂理であるから、もしそれに出くわしたら頭を抱えるよりほかはない。

グレード制導入後の春の天皇賞で、もっとも人気を集めた牝馬は2005年にオーストラリアから遠征してきたマカイビーディーヴァ。牝馬として初めてメルボルンカップ連覇を果たしたオーストラリアの名牝で、3200mではGⅠばかり走って3戦全勝というステイヤー。しかも、南半球の馬だから日本の春シーズンにフケがやってくる可能性は薄い。1番人気のリンカーンのオッズ5.4倍に対し、マカイビーディーヴァのそれは5.8倍と、実質的にそれほどの差はなかった。

ただ、彼女は日本の硬い馬場がどうしても馴染めなかったようで、結果7着に敗れている。とはいえ、勝ったスズカマンボからはコンマ6秒しか離されておらず、展開次第でこの着順はいくらでも入れ替わったと言われても、特に否定する理由は見つからない。

Smart 

さて今年の春の天皇賞。登録してきた17頭の中に牝馬スマートレイアーの名前を見つけた。牡馬相手にオープンを4勝の実績は、タケノベルベットを彷彿とさせる。しかも今年はメジロマックイーンやライスシャワー級の牡馬がいるわけでもない。なにせ昨秋の京都大賞典では、シュヴァルグランやトーセンバジルといった牡馬陣を一蹴しているのである。ひょっとしたらレダ以来65年ぶりの快挙があるかもしれない。

 

***** 2018/04/24 *****

 

 

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2018年4月23日 (月)

競馬場価格

東京競馬場フジビュースタンド2Fファストフードプラザの『モスバーガー』があった場所に、『CoCo壱番屋』が入っていた。

Coco1 

かつて内馬場に出店してたのだから初出店とは言えない。しかし内馬場には滅多に行かない私にとっては初出店に近い感慨もある。とはいえ競馬場から10分とかからぬ距離にココイチ府中宮西店が営業中。正直目新しさはない。そんな微妙な思いにかられながら、とりあえずロースカツカレーを注文。

Coco2 

うん。ココイチのカツカレーですね。いつも通りの味。以上。

食べ終えてコースに戻ろうと歩き出したら、同じファストフードプラザ内で営業する『メトロカレー』が目に入った。普段なら客足が絶えないのに、今日客は誰もいない。そりゃそうだ。ココイチの方がメニューが豊富な上、安いのだから仕方ない。カレーを食べたい客はココイチに行くでしょうよ、そりゃ。

ただし、私は違う感想を持った。ココイチの方を「高い」と感じてしまったのである。メトロと比較ではない。街中のココイチに比べ、すべてのメニューが高いのだ。

Menu 

たとえば私が食べたロースカツカレーは800円だったが、通常のココイチの店舗で食べれば753円のはず。たった47円の差とはいえ、「10分歩けば同じものを753円で食べられるんだよなぁ」と考えてしまったのである。

Saikai 

そう考え出したら止まらない。昨日は『メトロカレー』の隣で営業する『ラーメン西海』の「豚角煮ラーメン」を食べた。……が、通常店舗なら780円のところ、ここでは850円もする。さらにその隣の『はなまるうどん』で出している「ちく温玉うどん」は550円。これに至っては通常店舗の410円に比べて140円も高いではないか!

Udon 

競馬場価格―――。

そう言って、競馬場の飲食店はどこも高めに料金設定をしていると思われがちだが、決してそうではない。吉野家がそうだし、モスバーガーもそうだった。通常店舗と同じメニューの値段を変えたりしない。外で食べても中で食べても同じ。惜しくも閉店した『むぎんぼう』のように、メニューを工夫して通常店舗より安く提供していた店もある。

土日のみの営業ではコスト的に見合わないことは先刻承知。もちろん場内の既存同業者への配慮も必要であろう。しかし、場外の同じ店より高いメニューを「損だ」と感じる客は、ひとり私のみではあるまい。そう思うと、知らず知らずのうちに足が遠のく。

こうした競馬場価格を設定するにあたっては、価格とは別の付加価値が欲しい。たとえば『はなまるうどん』なら、一般の店舗にはない「ひやかけ」を出してみてはどうか。巷の“はなまるファン”がわざわざ競馬場に食べにやって来るような一杯を出す。それなら多少高くても文句は言うまい。どうせならそこまで目指してほしいのである。

 

***** 2018/04/23 *****

 

 

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2018年4月22日 (日)

フローラからフローラSへ

府中から京王線で2駅。中河原駅の近く、鎌倉街道沿いに建つビルの3階に、とあるイタリア料理店がひっそりと営業を続けている。前々から気になる一軒だったのだが、行くなら今日!と、意を決してわざわざ訪れてみた。なぜ今日なのか。その理由は店の名前にある。

Kanban 

そう『フローラ』。フローラステークスが行われる今日こそ、初訪問を果たすに相応しい。

「フローラ」とは春と花と豊穣を司る女神のこと。そのネーミングには、どことなくビジネスホテルの1階のラウンジレストランのような響きがあるが、こちらはどうやら本格的イタリアンらしい。

背後のテーブルでは地元とおぼしきマダムたちがランチワインを楽しんでいた。その話題がなぜか野球なのである。大谷の話がイチローになり、そのイチローの奥様の話から先日亡くなったサッチーへと話題は移り、今は星野さんが楽天監督を引き受けた時の話で盛り上がっている。それにしても皆さん詳しい。調べようもないのだが、ひょっとしたら府中市は女性のスポーツ紙購読率が高い土地柄なのではあるまいか。

Pasta 

ならばこのあとのフローラステークスの予想も教えて欲しいと思うのだが、その前に私の方が食べ終えてしまった。手打ちのキタッラは美味い。美味いのだが、なにぶん量が少なすぎた。値段からしてもう少し分量があっても良さそうな気がする。追加でパンでも注文しようかと悩んでたら、目の前のワインボトルにフローラSのヒントを見つけてしまった。

Wine 

イタリアワインに描かれたてんとう虫。つまりデムーロを買えという女神のお告げであろう。ヨッシャ。これで馬券はもらった。

『フローラ』を出てフローラSへ。

サトノワルキューレは1番人気である。それがスタートで出遅れて、スタンドは大きくどよめいた。

昨日からの競馬を見ていればわかる。今の東京の芝は内が圧倒的に有利。しかもフルゲートの競馬では外差しは絶望的であろう。だからみんな2枠4番を引いたサトノワルキューレを買ったのである。それが4コーナーでも最後方。もはや不利を承知で大外から追い込むほか手はあるまい。

Flora 

その不利を平然とこなしたサトノワルキューレの強さは本物であろう。33秒4という異次元の脚は女神の御加護か。そも「ワルキューレ」とは北欧神話に登場する神に使える乙女のこと。「フローラ」とは多少なりとも縁があった。前走で勝っているように2400mの距離にも不安はない。今日は追い込んだが、先行して粘ることもできる。強い桜花賞馬と評されるアーモンドアイの唯一の不安が2400mの距離だけに、オークスが多少面白くなってきた。

 

***** 2018/04/22 *****

 

 

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2018年4月21日 (土)

東京初日は「藤原デー」

開催替わりのJRAは長い長い東京開催の初日。一年でもっとも競馬が華やぐシーズンがスタートした。

Turf 

先週、皐月賞を勝ったばかりの藤原英昭調教師だが、開催が替わってもその勢いは留まるところを知らないようだ。今日も新緑賞をグレートウォリアーで勝つと、返す刀で府中Sを2年1か月ぶりの超長期休養明けグリュイエールで制してみせた。今日は東京と京都で4頭を使ったが、2勝2着2回だから凄い。

9r 

これでリーディング独走の28勝。それに次ぐのが19勝の角居調教師だから、その差は歴然としている。勝率は脅威の3割超え。連対率に至っては5割を超えた。まさかの年間100勝ペース。こうなるとフローラSのカーサデルシエロを軽視するわけにもいかなくなってくる。

10r 

関西の藤原調教師の快進撃を、関東の藤原調教師が黙って見ているわけにはいかない。今日の4レースは、藤原辰雄調教師が管理するディーエスバズーカが勝ってみせた。道中は馬群の中団を追走。直線で外に持ち出されると、ビューンと伸びて、最後は流す余裕を見せながら後続に2馬身半だから強い。

4r 

テン乗りの三浦皇成騎手は、検量に戻ってくるなり「この馬強い!」と興奮を隠さなかった。デビューは2月の東京。新馬ではなく未勝利戦でデビューしたのは、除外ラッシュが続いていたせいもあるが、経験馬相手でも勝負になるという期待があればこそであろう。今日に限れば、勝負どころで馬群から離れた大外に持ち出した三浦騎手のファインプレーも光った。

Gramato

ディーエスバズーカの母・グラマトフィラムはJRAで2勝。さらにその母・ファヴォリはリアルシャダイ産駒として芝の長距離を中心に3勝を上げた。そのどちらも藤原辰雄調教師が管理していたことは忘れないでおきたい。この血筋の扱いには慣れている。

とはいえこちらの藤原調教師はこれが今年の2勝目とやや苦戦気味。しかし、ひとつの勝利がきっかけになることは珍しくない。フローラSのカーサデルシエロだけでなく、最終レースに出走する藤原辰雄調教師の管理馬・パイロキネシストにも注目しよう。「藤原デー」は明日も続くかもしれない。

 

***** 2018/04/21 *****

 

 

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2018年4月20日 (金)

昼休みの悲哀

競馬場が今よりずっと混雑していた1980年代末の競馬場では、午前中最後のレースで馬たちがゴール板を駆け抜けるのを見届けるや、猛然とダッシュする客が大勢いた。馬券が的中して払い戻しに走ったわけではない。トイレを我慢していたわけでもない。さて、彼らはいったいどこへ向かったのか?

答えは食堂。当時は今より10分長い1時間もの昼休みが設定されていたのに、それでも食べ終える頃には午後最初のレースが発走してしまうほど昼休みの食堂は混雑を極めていた。

今はそこまで極端ではないにせよ、それでもGⅠ開催日ともなれば昼休みのレストランには空席待ちの長い列ができる。馬主エリアのレストランであっても30分待ちは当たり前。しかも、その行列の先にそれほど美味いモノが待っているわけでもない。貴顕社会にお住まいの面々が、おとなしく行列に並んでいる姿には興を覚えなくもないが、何かが決定的に間違っているように思える。

そもそも、競馬場のタイムスケジュールにおいて、明確に区切られた「昼休み」は必要なのだろうか?

決まって昼休みに昼飯を食さんとする行動は、日本人の―――特にサラリーマンの―――哀しい性(さが)であろう。腹が空いていようがいまいが、あるいは店が混んでいようがいまいが関係ない。昼休みと定められた時間内に昼飯を食べることすら、まるで仕事の一環のごとく黙々とこなしている。

すべてを知っているわけではないが、私が行った限りの外国の競馬場において、昼休みというものを体験した覚えはない。

障害レース直後ゆえ、放馬などのアクシデントに備えるための時間が必要だとする“昼休み必要説”を聞くこともある。だが、放馬は必ずしも障害レースだけで起きるものではない。また、各種イベントを行う時間として必要とも聞くが、すべての開催日にイベントを行っているわけでもないし、昼休みの時間を埋めるために敢えて冗長なイベントを組み入れているという裏話もチラホラ漏れ聞こえてくる。こうなれば本末転倒も甚だしい。

競馬場での行動は原則として各個人の自由である。決められた昼休みなどなくとも、腹が減ったタイミングで何かを食べれば良いのだし、店が混んでいれば時間を改めれば良い。一定の時刻を合図に、数千、数万の人間がうつむき加減でゾロゾロと食事に向かう光景は、日本のサラリーマン社会の縮図。日常を捨てるべき競馬場に杓子定規な昼休みなどを規定する必要性は、さほどないように思える。

 

***** 2018/04/20 *****

 

 

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2018年4月19日 (木)

春は肉玉

火曜のこと。大井競馬場『つるまるうどん』の春の限定メニューが気になったので、見に行ってみると……

Kanban 

肉玉うどんでした。まだレースを残しているのでニンニクが多少気になるが、肉玉と聞けば黙ってはいられない。様子を見にきただけなのに、ついフラフラと注文してしまった。

Udon1 

うどんの上からガーリックチップをパラパラとふりかけ、ぶっかけのツユをかける。そこに甘辛く煮た牛肉をサッと載せて、玉子を落とせば完成。豪快に混ぜ合わせて一気にすすってみた。牛肉の濃い味付けを玉子がふんわり受け止めてくれる。すき焼きで確立された歴史と伝統の味。その組み合わせに間違いはない。

昨日は忙しい合間を縫うように、丸亀製麺で昼メシを済ますことに。そこで季節限定メニューを聞けば、こちらも肉玉だという。正式には「牛とろ玉うどん」。とろろが入っていることがミソだが、個人的には注文が入ってから肉を焼き始める調理方に衝撃を受けた。客はまず「とろ玉うどん」を受け取ると、レーンの隅で牛肉が焼き上がるのをじっと待つ。焼き上がった肉をうどんの上に載せてもらってようやく完成。おかげで肉は熱々だが、うどんとダシは若干覚める。

Udon2 

そして今日は所用で芝へ。このあたりはお肉屋さんが多いことで知られるが、そんな中に一軒のうどん屋が暖簾を掲げていた。その名も『肉芝』。

Nikushiba 

そんなわけで、3日連続の肉玉うどん。こちらの「肉」はいわゆるスジ煮込み。ひとつひとつが大ぶりで食べ応えがあり、しかも美味い。さすが店名に「肉」を謳うだけのことはある。おかげで自家製だという麺の印象が薄らいでしまった。

Udon3 

つるまるも丸亀も季節メニューに「肉玉」を持ってきたのは偶然だろうか。そういえば、東京競馬場『馬そば深大寺』も、春開催になると「肉玉ぶっかけ」がメニューに加わる。春はきっと肉玉が美味しい季節なのだろう。

 

***** 2018/04/19 *****

 

 

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2018年4月18日 (水)

ブリリアントな勝利

東京スプリントには行くことができなかったので、代わりに昨日の大井の話。

ブリリアントカップは昨年まで準重賞だったのが、今年からS3に格上げされた新設重賞。毎年「重賞級の好メンバー」が揃うことでコアなファンの間にはその名を知られていたが、いざ重賞になると今度は「物足りない」なんて声が聞こえてくる。外野は勝手だ。

外野の勝手な会話は続く。「なぜ準重賞のままではいけないのか?」

大井記念が南関東最高格付けのS1となり、その前哨戦が準重賞では格好が付かないのでは……。その意見に一同は頷いた。だが、浦和のプラチナカップや大井の雲取賞といった名物準重賞も、今年度は次々と重賞に格上げされるらしい。よもや、来年から「リステッド」の格付けを始めるというJRAへの忖度では……?。外野の憶測は止まらない。

ともあれ準重賞には準重賞の良さがある。そんなファンの声も忖度してほしい。具体的にどんな良さだよ!といわれると、ちょっと言葉では表現しづらいのだけど、簡単に言えば「マニアックな親密さ」ということになろうか。

とにかくブリリアントカップ。

人気は当然のリッカルド。重賞2連勝中。しかも、いずれも7馬身差の圧勝劇。しかもしかも、その2勝とも先行しながら上がり最速をマークしているのだから、他馬は為す術がない。不安があるとすれば2000mという実績のない距離かもしれないが、1800mを7馬身差で勝っているのだから重箱の隅をつつくようなものであろう。

Rikka 

結果はもちろん1着。1馬身1/4差という着差に物足りなさを感じた人もいるようだが、3~4コーナーでは並んで先行する3頭の更に外から余裕たっぷりに抜き去って見せたのだから、着差以上の実力差を認める必要がある。ナイター照明に照らされて眩しく輝くその馬体も、誰もが一目置くその強さも、そのどちらもブリリアント。歴史の起点となる初代チャンピオンに相応しい。

Rikka2 

「今後のためにステッキを入れた」と矢野貴之騎手が見据える先にあるのはS1となった大井記念。むろん、その先には帝王賞も見えているに違いない。間もなく戦列に復帰するヒガシウィルウィンと共に、南関東の2枚看板を背負うことができるのか。コンサートボーイ&アブクマポーロによる帝王賞ワンツーフィニッシュの快挙からはや21年。そろそろあの再現を夢見たい。

 

***** 2018/04/18 *****

 

 

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2018年4月17日 (火)

疑いのコスト

ここのところ平日休日問わず競馬とは無関係の仕事に忙殺されている。仮に競馬場に行くことができても、1レースか多くて2レースを見るのが精いっぱい。しかもその仕事というのが人を疑うこととあっては、そりゃあストレスも溜まる。

「人を疑う仕事」というのは、つまり契約のことである。最近ではどんな仕事でも契約が必要になる。これが面倒くさい。契約が成立しないと本来の仕事に取り掛かれないから早く済ませたいのだが、これが簡単に進まないのである。そういえば、本来の仕事はいったい何だったか。もう忘れた。

馬を買うときに売買契約書を交わし、厩舎に馬を預けるときに調教師と預託契約を結ぶ。契約とはその程度の関わりしか持たぬ私に、ビジネス契約書のチェックは苦痛でしかない。ちなみに預託契約書には「進上金」の条項があり、賞金のうち調教師に10%、厩務員にに5%を支払うことが予め記載されている。

これを断りたい場合はどうするんだろ―――?

契約書というものに私が持つ疑念はその程度だった。それをゼロベースで疑わなければならないからストレスが溜まるのである。

そもそも、疑うより信用する方がトータルコストは安くなる。相手を信用していないと、なんでもいちいち確かめなくてはならない。それが手間、すなわちコストになる。

日本の場合、かつてコストは安く済んでいた。口約束でものごとを進めることが多かったのである。「口約束なんていい加減な……」と顔をしかめる人もいるだろう。でも口約束で済むのであれば、それくらい楽なことはない。

最近ではちょっとした原稿や写真の依頼でもいちいち契約書を交わすことが増えたという。ちなみに私はそんなことをした覚えがない。「2000文字で4万円」とか「交通費込みでゴール写真と口取りの2カットで3万円」みたいな依頼が口頭で伝えられて、口頭で「ハイ。わかりました」と返答した。

それが「何か問題がおきたらどうするんだ」と考える人が増えて、いつしか契約書が常識になった。当然、契約を専門にする人も必要になる。それ以前は必要なかったコストだ。

しかし実のところは、契約書を交わさなくても実際の仕事には支障がないことを我々は知っている。口約束の時代でも、原稿を飛ばしたとか、原稿料が支払われなかったという話などほとんど聞いたことがない。稀にあっても、それは「伝説」として扱われたから、ほとんどゼロだったのだろう。仮にそうなれば迷惑をかけた方は業界から消えるしかない。それは嫌だから、みんな誠実に仕事をした。

そもそも受注の仕事に問題が起きるのは、発注者の経営状態や受注者の姿勢などに問題があるからだ。そこに契約書の有無は関係ない。契約書なんてしょせん紙切れ。問題が起きる時は起きる。

もちろん公的機関や株式会社が、口約束ばかりで仕事をすればコスト以外の問題が発生する。それは分かる。しかし私の仕事に関して言えば、契約書なんていらない。ここまで疑った相手といざ本題の仕事に取り掛かろうとしても、うまくいくとは思えないから。疑いの視線を向ける相手は、本命馬くらいに留めておくのが無難だ。

 

***** 2018/04/17 *****

 

 

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2018年4月16日 (月)

水道橋の夜

競馬以外の付き合い酒は遠慮する主義だが、それでもトシと共に断り切れぬ酒席が増えるもの。今宵はとある仕事のチームの新人歓迎会。チームの責任者としては断るわけにもいくまい。だが、一方で大井競馬では待ちに待ったトゥインクル開幕。しかも19時発走の六分儀座賞には、私がずっと追いかけ続けている一頭が出走する。さあ、困った。

店を探す幹事に「立会川の養老乃瀧にしないか?」と言ってみたが、相手にしてくれない。「なら、せめて大井町で……」と食い下がってみても、幹事は聞こえないふりをする。結果、水道橋に落ち着いたのは、お互いギリギリの妥協点であった。ナマのレースを見ることができないのは辛いが、馬券だけは確保できそうだ。

Offt 

キアロディソーレはゴールドアリュール産駒の6歳セン馬。JRA未勝利のあと、佐賀で(9,4,0,0)の成績を残し、ちょうど1年前に大井へとやって来た。

お母さんのキアロディルーナは、キャロットで募集されて堀厩舎に入った素質馬だったから、知っている人もいるかもしれない。こちらは残念ながら昨年亡くなった。忘れ形見の息子(セン馬だけど)の大井初勝利を見届けんがため、この1年間私も頑張って足を運んでいたのだが、残念ながらその瞬間は訪れてない。ひょっとしたら私が行かないことで今日あたり勝つかも……。そう思ったが結果は3着であった。でも複勝が的中。520円の配当なら悪くない。ダダをこねて水道橋の店にしてもらって正解だった。

『能登美』はオフト後楽園から歩いて5分ほど。文字通り新鮮な能登の魚と旨い酒を楽しめる店として人気が高い。だが、例によって私はウーロン茶。これじゃ魚の旨さも分からん!とふてくされていたら、メニューに「うどん」の3文字があるではないか。酒のお代わりを注文しようとする幹事の口を手で塞いで、「うどん1杯、大至急!」と叫んだ。

Udon 

運ばれてきたのは透き通ったダシに、うどんとネギというシンプルな一杯。敢えてジャンルを探せば関西風ということになるのだろうが、ゆず胡椒が添えてあるから福岡風とも言える。酒の〆にはちょうど良さそう。ただし飲んでない身には多少物足りない。

Mentsudan 

なので個人的に開催した2次会は『水道橋麺通団』とした。なにせ先ほどの店から歩いて20秒とかからない。場外馬券売場とうどんの組み合わせは二日連続。酒をやめれば少しは痩せるんじゃないかと期待していたのだけど、なぜだか太る一方だ。

 

***** 2018/04/16 *****

 

 

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2018年4月15日 (日)

ウインズを眺めながら

皐月賞である。

あいにく現場に行くことはできない。とはいえ場外で馬券を仕入れるにしても、いつものように渋谷や後楽園で買ったところで、いつものように外れるだけであろう。そこでちょっと気分を変えて浅草に行ってみた。朝からの雨が上がって、ぶらぶら歩くにはちょうど良い。

実は東京生まれの浅草知らずである。ウインズ浅草にしても利用したのは過去に一度きり。忘れもせぬ1987年の菊花賞。ダービーの6馬身に衝撃を受けた私は、迷いなくメリーナイスからの大勝負に打って出た。

皐月賞以来7ヶ月ぶりというブランクをものともせず、しかも淀の3000mを克服してみせたサクラスターオーが菊花賞馬に輝いたその瞬間、フロアを埋めた人混みの中から「奇跡だ!」という声が上がったのを覚えている。その一方で、単枠指定されながら9着に惨敗したメリーナイスへの罵声は尋常ではなかった。なにせ浅草である。もし、あの連中が京都にいたら、根本騎手はタダでは済まなかったに違いない。

31年前のことを思い出しながら、かすかな記憶を頼りにウインズに向かう。たしか花やしきの筋向いだったはず。だが、そこで真っ先に目に飛び込んできたのは、「ウインズ」ではなく「うどん」の看板だった。

Kanban 

先日、ウインズ渋谷から「歩いて1分もかからぬ近さ」に『山下本気うどん』がオープンしたと書いたが、近さで言えばこちらの『釜う』にはとても敵わない。なにせ目の前である。鶏天ぶっかけを注文していちばん奥のカウンター席に座ると、窓越しに見慣れた「WINS」のロゴが見えた。なぜか落ち着く。

Wins 

麺はまごうことなき讃岐。ただし、ぶっかけのツユはかえしが効いた江戸前のそれである。立地を考えれば当然かもしれない。ツルッと啜っていざ目の前のウインズへ。

Udon 

本命はサクラスターオーとは縁の深いヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの⑦エポカドーロ。そこからバラバラと6頭に流していざレースを迎えてみれば、なんとエポカドーロが直線で力強く抜け出して来るではないか。7番人気が頭なら太い。これだけ点数流してんだから、もはや当たったも同然であろう。

「よっしゃあ!」

力強く右手を振り上げたまではいいが、2着争いを制したのは14番である。この馬番には、あまり印象がない。うーむ、嫌な予感がするゾ。 

慌てて馬券を確認してみると……、

Baken 

抜けてた。あ~、ここは単勝だったなぁ。でも、当たりに近づいたことは評価したい。やはり渋谷や後楽園でなく浅草で買ったおかげなのかだろうか。いや、それよりもこの振り上げた拳をどうすりゃいいのだろう。誰か教えてください。

 

***** 2018/04/15 *****

 

 

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2018年4月14日 (土)

勝ち馬はこの中にいる

今日の中山8レースは古馬500万条件の芝マイル戦。ごくありふれた条件だが、成績表を見て驚いた。なんと出走16頭すべてが前走で掲示板を逃している。最高でも7着が1頭いるだけ。あとはほとんどが2桁着順。地方での成績を除けば、前3走で馬券に絡んだ経験を持つ馬もいない。

「ホントに勝つ馬がいるのか?」

どこからか、そんな声が聞こえてきた。競馬である以上、勝ち馬は必ずこの中にいる。だが大敗の連続からいきなりの1着は想像しにくい。そういう意味では穴党の出番のような気もするが、穴党の存在価値が高まるのは大本命馬がいればこそ。穴が穴にならければ穴党の出番はない。

それでもけなげな競馬ファンは買い材料を探す。それで導き出された答えは1番人気アムネスティ(前走2秒9差の13着)で、2番人気はノーザンライアン(前走1秒4差の7着)。なんのことはない、前者の父はディープインパクトであり、後者のヤネは戸崎圭太。困ったときに頼るのは古今を問わず血統か騎手だ。

8r 

結果は漫画であった。アムネスティ10着。ノーザンライアンに至っては14着。いかにディープや戸崎でも前走大敗馬を勝たせるのは簡単ではない。一方で勝ったスピリットソウルは唯一のノーザンファーム産馬。なーんだ。簡単だった。それで8番人気とはもったいない。でも前走11着じゃあねぇ……。

一転して続く9レースには確たる本命馬がいる。素質馬フィエールマンが約3か月ぶりに出走してきた。スタートで大きく出遅れた時は「負けるときはこんなもんか」と思ったりしたが、3コーナーから外外を回りながら徐々に進出。先行集団を射程に捉えて直線を迎えると、瞬く間に2馬身半突き放してみせたから強い。

9r 

大本命馬が勝ちながら3連複が279倍もつけたのは、2着、3着に人気薄が飛び込んだせい。波乱を演出した三浦皇成騎手と戸崎圭太騎手は、ひとつ前のレースで1番人気と2番人気の手綱を任されていた二人でもある。道中は内でじっくり溜め、直線入口で鮮やかに外に持ち出して伸びてきた。さきほどの人気は二人にとって迷惑だったかもしれない。

 

***** 2018/04/14 *****

 

 

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2018年4月13日 (金)

出遅れ

今宵は酒席(私は飲まないけど)があるので、朝のうちからこのテキストを打っている。なので、成績に関しては昨日時点のもの。それを踏まえて読み進めて頂きたい。

このブログを始めるにあたりプロ野球の話は書くまいと心に決めていたのだが、無理やり競馬に絡めて書く。開幕から2週間が過ぎたところで、セ・リーグは広島カープが早くも首位に立った。一方、マーチSのハイランドピークばりの出遅れをカマした巨人の惨状に、アンチファンはさぞや楽しい春を謳歌されていることであろうと推察する。

March 

先の開幕戦では、購入を頼まれたり、あるいは謹呈さしあげたりで、都合6人の巨人ファンにチケットを用意したのだが、開幕無双のはずだった菅野が5失点炎上。打つ方も完封負けを逃れるのがやっとという状況に、私まで責任を感じてしまった。「乃木坂46の国歌斉唱が聞けてよかった」と納得してくれるような面々ではない。しかも何人かは競馬関係者。顔を合わせるのも心苦しいとなれば、いきおい競馬場への足も遠のく。

もちろんペナントレースは始まったばかりだ。143試合のわずか12試合が終わっただけに過ぎない。だが、「スタートで失敗してリズムを崩してしまい、それが最後まで響いた」という言い訳は、なにも競馬に限った話ではなかろう。現役当時の岡部幸雄騎手は「長丁場こそスタートが肝心」とも言っていた。ともあれ、セ・リーグの借金を巨人ひとりが抱え込んでいる状況では、とても楽観的にはなれない。

しかも、これがただの出遅れではないところがポイント。キャンプで故障者を出すこともなく、ほぼ万全の状態で開幕を迎えたはず。つまり開幕後の陽岱鋼の骨折離脱を除けば、これでメイチなのである。そう思えば、今日から始まる広島との3連戦は早くも修羅場となるに違いない。6連敗でチームはすでに非常事態。選手にしてもWINS後楽園でコッソリ皐月賞の馬券を買っている場合ではない。

とはいえ、最近の巨人には競馬ファンを公言する選手を見かけない。野球賭博問題の影響もあろう。江川、水野、河原、大道……。昔は試合前の練習もそこそこに競馬中継に夢中になるような面々が必ずいた。

実は原前監督は熱心な競馬ファンで知られる。GⅠレースは必ず馬券を購入するというし、背番号にちなんだ枠連8-8を買うことも忘れない。故障を隠しながらプレーしているレギュラー選手をスタメンから外したことについて、「前に行きたがるのもよく分かる。でも、今は手綱を締めてやる時」と競馬になぞらえた独特の言い回しで記者に答えたこともあった。

ともあれ、この時季の7連敗は是が非でも避けたい。せめて今日は勝ってくれ。

追記:
ようやく勝てました。

 

***** 2018/04/13 *****

 

 

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2018年4月12日 (木)

節目の40戦目

乗客もまばらな夜の上り京成線に揺られながらこのテキストを打っている。つい先ほど、船橋競馬場でポップレーベルのレースをこの目で見てきた。

昨日も書いたように、ここのところなぜか忙しいのである。19時05分発走の船橋9レースに駆け付けるなど、とてもじゃないが無理。それでも出走表を見て気が変わった。勝ち切れないレースが続いているとはいえ、これなら勝ってもおかしくない。ヤネは御神本を確保。持ち時計からしてほかとは違う。これは行かねば。

それで仕事を早く終わらせるため、今朝は6時前に家を出て仕事場へと向かい、船橋に向かう道中では久しぶりに走ったりもした。厳密には「小走り」程度とはいえ、走ったのは2月のめまい発症以来初めてのこと。そのかいあって見事9レースに間に合ったのである。

Pop1 

パドックに到着して驚いた。ポップレーベルが12キロも体重を減らしていたからではない。千葉に住む愚娘が、10人を超える大応援団を連れてレースを見に来ているではないか。「1番人気だ!」。「勝ったらおごってね!」。無邪気な声が胸に突き刺さる。みんな知らないのである。ポップレーベルが人気を集めるのはいつものこと。それでも勝てないのがポップレーベルではないか。でも、そう言う私でも、今日に限れはうっすら期待している。だからこそ、まだ薄暗いうちに起きて、眠い目をこすりながら仕事を片付けてきたのだ。

しかし、馬をひと目見た瞬間にヤバいと感じた。とにかくイレ込みが激しい。その理由が大幅な馬体減にあるのかどうかは定かではないが、ずーっと頸を上下にぶんぶんと振り続けいる。見てるこっちがめまいを起こしそうなほど。「絞れて素軽くなった」と厩舎関係者は胸を張るが、素軽くなっても走る気を失っては意味がない。

レースは案の定の結果。直線でまったく伸びぬ愛馬の姿を見て結局めまいを起こしてしまったから、実際何着だったのかはわからない。

娘に会わせる顔がないので、通用門からこっそり外に出ると、どっと疲れが出た。なにせ朝から働き詰めである。いつもなら南船橋から京葉線だが、混んでいる電車を乗り継いで帰る自信がない。そこで京成線。たしか以前にもこんなことがあった。いつだっけ。あぁ、そうだ。あれはポップレーベルの南関東移籍初戦の日のこと。単勝1.3倍に推されながら7着に敗れたあの日だ。そういえば、あのときもヤネは御神本騎手だった。

Pop2 

とはいえ、最近は期待が一転して失望に変わっても、オノレの精神状態を御せるようになってきた。騎手に飛び蹴りを喰らわしたり、ダートに顔を埋めて泣きはらしたりすることもない。トシのせいか、あるいは負け馴れたせいか。ともあれ、これはひとつの達成であろう。

もちろん「競馬場に行かなきゃ良かった」などと後悔することもない。たとえば今日などは、ずっとお会いしたいと願っていたポップレーベルの会員さんと初めて会うことができた。何気ない会話で伺ったのは『繋』級の貴重なお話である。いずれホントに『繋』に載るかもしれないから、ここで紹介は控える。こうした出会いも愛馬の応援に来ればこそ。加えて早朝から頑張ったおかげでもある。

もちろん勝てれば最高だったけど、走り続けていればいずれチャンスは来る。今日のレースは節目の40戦目。50戦までにもうひとつ勝つことができれば、言うことはない。

 

***** 2018/04/12 *****

 

 

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2018年4月11日 (水)

10年前のマリーンカップ

なぜか先週あたりからメチャクチャ忙しい。まためまいで倒れそうになるほど。それならまだいいが、行くつもりで準備していたマリーンカップに行けなかったのが悲しい。なので、今年ではなく10年前のマリーンカップの話をさせていただく。2008年のマリーンカップを勝ったのは武豊騎手のメイショウバトラーだった。

Meisho 

中央地方合わせて重賞10勝という成績は素晴らしいのひと言。ホクトベガの13勝には及ばないにしても、牝馬としては、ヒシアマゾン、ファストフレンド、レマーズガールの9勝を上回る。GⅠタイトルにはあと一歩及ばなかったとはいえ、牡馬相手の重賞勝ちが7つもあれば、それで十分であろう。

1000mと2200mのGⅠレースに出走した馬は、国内において彼女以外の例を知らない。絶後になるかどうかはJRAに1000mのGⅠが新設されるかどうかによるが、メイショウバトラーの凄いところはそれだけでなく、芝・ダートを問わず、中央・地方を問わず、さらにはジョッキーさえも問わずに活躍したことにある。10人の騎手が彼女の手綱を取り、うち7人が彼女で勝利を挙げている。

また彼女は、他者の記録をアシストしたという点においても記憶に残る存在だ。

2004年2月。小倉大賞典を勝った藤田伸二騎手は、安田富男、武豊に続く史上3人目のJRA全10競馬場での重賞制覇を達成した。このときの勝ち馬は誰あろうメイショウバトラーである。ちなみに、彼女にとってはこれが初めての重賞タイトルであった。

また、2006年7月10日には、松本好雄オーナーが個人馬主では珍しい同日2重賞制覇を達成している。このとき福島の七夕賞を勝ったのはメイショウカイドウで、京都のプロキオンSを制したのがメイショウバトラー。ちなみに彼女にとっては、これが初めてのダート重賞タイトルでもあった。

そんなメイショウバトラーだが、実は去年亡くなっている。残された産駒は4頭で、うち3頭が牝馬。近年では珍しいオールラウンダーの血を、母系からしっかりと伝えてほしい。

 

***** 2018/04/11 *****

 

 

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2018年4月10日 (火)

常識の壁

エンゼルス大谷翔平選手の活躍に対し、米メディアの絶賛の嵐が止まらない。

「可能性は今や無限大に見える」(USAトゥデー)

「ベーブ・ルースがやらなかったことさえ、やってのけている」(ワシントンポスト)

「テレビゲームのような投球」(メジャーリーグ公式サイト)

オープン戦の評価が低かっただけに、その反動で騒ぎがより大きくなった感もある。「Yahoo!スポーツ」のジェフ・パッサン記者は、「親愛なるショウヘイ。ごめんなさい。私はあなたに関して完全に間違っていました」と大谷への謝罪記事を掲載した。

開幕前の評価が低かった背景には、オープン戦の数字だけでなく、「そもそも二刀流なんて非常識」という固定観念があったのではないか。なにせ投手と打者だけでなく、投手の枠組みの中においても先発とリリーフという分業制を早くから確立したお国柄。分業化あるいは細分化を推し進めて、たくさんのスターを生み出す傾向は、競馬のブリーダーズカップにも見てとれる。

そんな競馬の分業制は欧州でも進んでいる。

日本の桜花賞を勝ったアーモンドアイは、レース後すぐにオークスに向かうとのコメントが出された。それは決して珍しいケースではない。明らかに短距離嗜好と思われたレッツゴードンキやレーヌミノルも、当然の如くオークスの2400mに挑んだ。

Oaks 

だが、英国ではそれが「当然」ではなくなりつつある。1000ギニーや2000ギニーを勝てば、当たり前のようにオークス・ダービーを目指す時代ではもはやない。セントレジャーがステイヤーだけの特殊なレースとなったように、マイルと1マイル半は別モノという考えが広まった。昨今の欧州では2000mと2400mでさえ、別路線としてはっきり区別される傾向にある。

競馬においては、性別、年齢、距離、コースなど様々な条件が組み合わさって競走体系が成り立っているが、そうした条件を取り払い、普遍的な1頭のチャンピオンを探し出すのが、本来の競馬の理念であろう。2歳でデューハーストSを勝ち、コースも距離も異なるクラシック3冠をことごとく勝ち、古馬となってからは4000mのアスコットゴールドカップを勝つ―――。それをサラブレッドの理想像としたのは、ほかならぬ英国であったはずだ。

競馬の母国と同じように、野球の母国でも分業制が常識の地中に深く根を下ろしてしまっているのかもしれない。だからこそ彼らには余計に大谷の活躍が鮮烈に映るのであろう。常識の壁を超えようというチャレンジが、人の心を打つことに説明の必要はあるまい。競馬でも同じこと。「距離が……」「中山のコースが……」「相手が……」。チャレンジを避ける理由はいくらでも思いつくが、それが常識になってしまっては困る。大谷選手の活躍を誇らしく思う一方で、フルゲートに届かない皐月賞の登録馬に、そこはかとない物足りなさを感じた。

 

***** 2018/04/10 *****

 

 

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2018年4月 9日 (月)

馴染みの薄い関東馬

恥ずかしながら、桜花賞のちょっと前までアーモンドアイのことを関西馬だと勘違いしていた。例によって単なる思い込み。最近この手の思い込みが増えた。トシのせいにして逃げたいところだが、トシというよりは忙しさに感けてちゃんと競馬を見ていないオノレに責任がある。反省せねばなるまい。

思い込みの理由は彼女の前走・シンザン記念にある。かつては時期的な問題から、また春のクラシックとは無縁の京都で行われることからも、クラシックを展望する陣営にはあまり評価されなかった。しかし、近年は違う。桜花賞を展望する有力牝馬が、敢えて狙う重要レースに変化してきた。実際、ダイワスカーレットやジェンティルドンナなど、シンザン記念を経由して桜花賞を制するケースは増えつつある。ただ、それは関西馬に限った話。関東馬には同じ週にマイルのフェアリーSが用意されている。それでアーモンドアイも、てっきり関西馬だとばかり思っていた。

キャリア3戦のうち関東地区ではわずか1走のみという戦績も、関東馬の印象を薄めていたのかもしれない。

今では他場の馬券も簡単に買うことができるし、どこの競馬場で走ってもレースは中継で見ることができる。関東・関西を意識するファン自体も減っていることだろう。だが、以前はそうではなかった。今のように他場の全レースの馬券を売るわけではないし、売ってないレースを中継することもない。東西有力馬の初対決の舞台となる桜花賞や皐月賞となれば、知らない馬はたくさんいた。

過去にはアーモンドアイよりも、もっともっと関東のファンに馴染みの薄い関東馬が桜花賞を制したことがある。1974年の勝ち馬・タカエノカオリだ。

桜花賞まで6戦3勝。その内訳は、福島、新潟、中京をそれぞれ2戦ずつというものだった。桜花賞で手綱を取ったのも、関西の武邦彦騎手という徹底ぶりである。

だが、タカエノカオリは決して適鞍を求めてローカルを回っていたわけではない。当時24頭を管理していた佐々木厩舎の馬房数は22。厩舎に居場所がなく、追い出される格好でやむなく旅に出たのであった。馬を連れていたのは、騎手や調教師の経験も持つ山内厩務員。当時66歳という年齢を考えれば、長い旅暮らしが身体に堪えぬはずはない。いや、それ以上にプライドも傷つけられたことであろう。「必ずみんなを見返して、関東に帰る」。その一心で、福島、新潟、中京、そして阪神と流れ歩いた末、ついに栄光を掴み取ったのである。

タカエノカオリの印象が関東のファンに残らなかったのは、桜花賞を勝ってそのまま引退してしまったことも大きい。オークスでその姿を披露することさえなかったタカエノカオリは、関東のファンにしてみれば、まさに幻の桜花賞馬であった。

Sakura 

アーモンドアイの次走はもちろんオークス。その雄姿を初めて見ることになる関東のファンも少なくあるまい。私もそのひとり。関東馬としては5年ぶりとなる桜花賞馬の凱旋を、関東のひとりとして誇りを持って迎えたい。

 

***** 2018/04/09 *****

 

 

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2018年4月 8日 (日)

中89日の衝撃

今日の桜花賞には二つ驚かされた。

何よりアーモンドアイの勝ちっぷりには、それを評する適当な言葉が見当たらない。

圧倒的1番人気・ラッキーライラックの石橋脩騎手は最善の騎乗をした。先に抜け出す形になったのも、最内枠を考えれば仕方ない。「それでも早かった」という声もあろうが、人気を背負う身でもある。それをアーモンドアイは次元の違う脚で交わし去った。

過去に似たような印象を受けたのは、テイエムオペラオーの皐月賞。共通するのは問答無用のレースぶりである。負けた騎手にすれば技術も作戦もあったもんじゃない。実際、アーモンドアイのルメール騎手も「乗っていただけ」と馬の力を強調した。

もうひとつの驚きは、アーモンドアイが1月8日のシンザン記念1着以来3か月ぶり(中89日)という、異例のローテーションで桜花賞を制したことだ。過去の最長記録はマルセリーナの中63日。エルフィンS1着以来の競馬だったが、それさえも当時は「異例のローテーション」と称された。ならば今回のケースは「異例中の異例」であろう。

最近の有力牧場は豊富な手駒を使い分ける傾向にある。そのために立派な外厩施設を整え、間隔を伸ばして出走することを可能にした。しかし出走と結果は別。一昨年のメジャーエンブレムはクイーンカップ1着以来2か月ぶり、3年前のルージュバックもきさらぎ賞1着以来2か月ぶり、もっと遡って20年前のスティンガーは阪神3歳牝馬Sを勝って以来4か月ぶりの桜花賞で、いずれも1番人気に支持されている。が、3頭とも馬券に絡むことすらできずに敗れた。桜花賞で休み明けは来ない―――。そんな定説が固まりつつある中でのアーモンドアイの激走だから余計に驚いたのである。

多少気が早いが、今日の桜花賞を見て日本ダービーが気になってきた。まだ皐月賞前であるが、今年のダービーでは休み明けの2頭が人気を集めそうな気配である。皐月賞回避が決定したダノンプレミアムは中82日。同じく毎日杯を勝ちながらダービー直行を宣言しているブラストワンピースは中62日。人気馬が揃って前哨戦をスキップするダービーなど過去に経験がない。

Derby 

しかしフサイチコンコルドやウオッカのダービーを見るたび我々は思い知らされてきた。「定説」を覆し、能力さえあればステップは問わない時代は確実にやって来ている。今日の桜花賞は、それを改めて証明したレースだったように思えてならない。

 

***** 2018/04/08 *****

 

 

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2018年4月 7日 (土)

嘘から出たまこと

「競馬新聞なんて嘘ばっかりじゃないですか」

エイプリルフール翌日の酒席。そう言って私に絡んできた女性がいた。日本の新聞はエイプリルフールに嘘を書かないよね―――。そんなたわいもない話題がきっかけだったように思う。酒を控えて素面の私にしてみれば、なかなか面倒くさいシチュエーションだ。

相手は競馬をよく知る人間ではある。それゆえに積りに積もった思いがあるのだろう。レース前であるにも関わらず、「連覇だ!」とか「負ける要素なし!」と断言調の見出しが躍るのは明らかにおかしい。そう思うと記事の内容も眉唾に思えてくる。調教時計も坂路以外は信用できない。坂路は自動計測だが、コースは記者の手動計測だからだ。

「コースの自動計測を導入しようとしないのも、トラックマンの仕事を守るためでしょ」と手厳しい。

私は競馬に関してはある程度の嘘は許されると思っている。もちろん調教タイムがいい加減では困るが、セリ会場やクラブのツアーで聞くセールストークは新聞の題字の比ではない。黙って聞いていれば、目の前の馬は全て将来のGⅠ馬だったりする。しかし、それを笑って聞いていられるのが競馬ファンやオーナーと呼ばれる面々。「嘘も方便」という言葉は日本ならではの文化であろうが、中でも競馬はその典型ではあるまいか。

人は聞きたいことしか聞きたがらない。相手が嫌がる真実を言って恨まれるのと、相手が聞きたがっていることを聞かせて喜ばれるのと、どちらがいいか。大半は後者であろう。それなら嘘を付けばいい。正直者の周囲はそう思っているに違いない。ご丁寧なことに、日本語には「正直者は損をする」という言葉まで用意されている。

しかし、新聞の題字やセールストークが嘘であっても、実際のレースを見ればファンやオーナーは喜び、落ち込み、時に泣く。その笑顔や涙は果たして嘘か。そんなはずはない。ご丁寧なことに、日本語には「嘘から出たまこと」という言葉まで用意されている。実は競馬の現場はガチガチのリアリズムの世界。バランスを保つために多少の嘘が必要とされているのだとすれば、題字やセールストークに罪はない。

Toresen 

ちなみに、坂路以外の調教コースの自動計測システムを「雇用のために導入しようとしない」というのは完全な誤解。これまで何度かシステム導入は試みられた。だが、難しいのである。直線で幅員も狭い坂路と一緒くたにはできない。そもそもJRAは新聞社の雇用など気にしちゃいませんよ。ちなみにこれは嘘ではありません。エイプリルフールはとうに過ぎた。そんなことより、飲めないオジさんに酔って絡むのはやめてほしい。

 

***** 2018/04/07 *****

 

 

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2018年4月 6日 (金)

7月の体育の日

2020年東京五輪の開閉会式に合わせ、「海の日」「山の日」「体育の日」の3祝日が移動することになるらしい。

東京五輪は7月24日(金)の開会式で幕を開け、8月9日(日)の閉会式で幕を閉じる。特に7月23日(木)と翌24(金)の両日は「戦後最大規模(大会関係者)」の警備と交通規制が行われるらしい。とはいえこの日はいずれも平日。通勤ラッシュや物流が通常通り行われれば、五輪運営に混乱をきたしかねない。そこで特例措置として7月23日(木)を「海の日」に、翌24(金)を「体育の日」に、そして閉会式翌日の8月10日(月)を「山の日」として、仕事を休みにしてしまおうというのだ。

そうは言っても開催期間中の交通の混乱は避けられまい。首都高では通常の2倍の渋滞が発生するとの試算もある。その一方で、企業活動の縮小や配達時刻をずらすなどの輸送対策を考えている企業は少ない。南関東競馬も通常通り開催するそうだ。インバウンド目当てというわけではあるまいが、なかなか思い切ったことをする。

競馬をやると言っても馬の輸送はどうするのか? 例年であれば7月24日~8月9日は川崎→大井→浦和→船橋とひと通り開催がある。たとえ馬の輸送が無理でも、自場の在厩馬だけで賄おうという腹づもりかもしれない。幸いにもこの期間に行われる重賞はサンタアニタトロフィー程度。番組的には夏枯れの時季だけに、多少のメンバー落ちは許容範囲か。

Memorie 

とはいえ、羽田にも近く、近隣に五輪ホッケー会場を抱える大井は、さらなる影響は必至だ。そもそも小林トレセン在厩馬をどうやって連れてくるのか。平昌五輪がそうだったように競技時刻は欧米に配慮して朝から深夜に及ぶ。日中を避ければ大丈夫とも言い切れない。

仮に首尾よく馬を輸送できたとしても、競馬専門紙が輸送できない可能性がある。都心で刷った新聞を船橋や浦和に運ぼうにも、首都高を使えなければお手上げ。いよいよとなったら電車で運ぶという手段も考えられるが、客車に新聞だけを載せることはできない。あくまで手荷物だから人の同乗が条件となるから、あまり現実的とはいえない。

ちなみに前回1964年の東京五輪は10月10日~24日の日程で行われたが、船橋、浦和に加え、土日はJRA中山開催がしっかり行われた。それを思えば取り越し苦労の可能性もある。そうであってほしい。

個人的には、「体育の日」の移動に伴い10月の連休が消えることの方に注意を払うべきではないかと心配している。五輪の喧騒で「体育の日」が7月に移動していたことなどすっかり忘れてしまい、運動会を予定してしまったり、旅行の手配をしてしまわぬよう注意したい。南部杯の実施日も気になるところだ。

 

***** 2018/04/06 *****

 

 

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2018年4月 5日 (木)

ローズキングダムの逆襲

更新遅れましたが、水曜の話。ソメイヨシノもすっかり葉桜と化した川崎競馬場では、間もなく第21回クラウンカップが行われる。

Sakura 

そのひとつ前、10レースはB1とB2によるマイル戦。直線で外に持ち出したセイジーニアスが余力たっぷりに差し切ってみせた。的場文男騎手に乗り替わっての7番人気は我々にも反省の余地がある。伸び盛りの明け4歳馬。「あっ!」と気が付いて過去の成績を調べてみると、昨年のクラウンカップで12番人気ながら2着に飛び込んだ、あのセイジーニアスではないか。もはや不覚の謗りは免れまい。

10r 

そして今年のクラウンカップは、先ほどと同じマイル戦に13頭。JRA遠征でも善戦しているミスマンマミーアが人気を集めたが、肝心のスタートがイマイチ。大外枠のに試練も手伝って早々に勝ち負けから脱落してしまった。

逆にドンピシャのスタートを決めたのが左海誠二騎手のスプリングマン。楽にハナに立ち、マイペースのまま4コーナーを回ると、ミスターバッハにいったんは並ばれながらゴール寸前で差し返したから凄い。最後は3/4馬身差の逃げ切り。こちらも7番人気だ。

Spring1 

スプリングマンの父ローズキングダムは、朝日杯とジャパンカップのタイトルを引っさげて種牡馬入り。いきなり134頭の交配相手を集めたが、昨年デビューした現3歳世代は苦戦が続いている。JRAでは2頭が3勝をあげたのみ。種付け頭数も昨年は40頭にまで落ち込んだ。

Rose_2 

とはいえ、スプリングマンの快走が反転攻勢のきっかけになる可能性はある。地方とはいえ、ローズキングダムにとっては記念すべき初重賞タイトル。もともとJRAの新馬戦で、あのステルヴィオの3着と好走し、続く未勝利戦を順当に勝ち上がった能力の持ち主でもある。思い返せば、これがローズキングダム産駒のJRA初勝利でもあった。ローズキングダムはスプリングマンに足を向けて寝られまい。

Spring2 

週末の桜花賞は、オルフェーヴル(ラッキーライラック) VS ロードカナロア(アーモンドアイ)の「新種牡馬対決」で盛り上がりそうだが、種牡馬同期のローズキングダムだって負けてはいられぬ。土曜のニュージーランドトロフィーには、勝ち頭のアンブロジオが出走を予定。スプリングマンも東京湾かったから東京ダービーを目指すらしい。勝負はこれからだ。

 

***** 2018/04/05 *****

 

 

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2018年4月 4日 (水)

駅うどん続々

駅の立ち食いと言えば関東ではそばをイメージするのが一般的。うどんもメニューには存在するのに、「立ち食いそば」とか「駅そば」などと呼ばれるのが普通だ。

だが、一歩関東を離れればそうとは限らない。佐賀競馬場への最寄駅となる鳥栖駅構内には、美味いと評判の立ち食いうどん店がある。中にはわざわざ入場券を買って食べに行く客もいるらしい。

しかも、なぜか6番ホームにある店がいちばん美味いという。実際、私も6番ホームの店舗で名物の「かしわうどん」を食べたことがあり、たしかに美味かった覚えがある。だが6番ホーム以外の店で食べたことはないのだから、「6番ホーム最強説」の真偽までは分からない。

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今宵はクラウンカップ。それで川崎駅で電車を降りて改札に向かったら、なんと駅構内にうどん屋を見つけた。最近オープンした駅ナカ施設ecute内に暖簾を掲げるのは『ふたば製麺所』。丸亀製麺と同じトリドールの経営にかかる店舗らしいが、メニューは丸亀製麺のそれとは微妙に異なる。

とりちく天ぶっかけ(冷)を注文。

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店内は吉野家のような「コ」の字型のカウンターなのだが、驚くことにそのカウンターの岬に天ぷら鍋が設置され、その前に立つスタッフがせっせと天ぷらを揚げている。どうやら注文を受けてから揚げているらしい。さらに店の奥に見えるのは、まごうかたなき製麺機ではないか。見込み茹でではあるが、それでも冷凍麺とは雲泥の差。ここが駅構内であることを忘れそうになる。仕上げ前にスタッフの方が「ネギと天かすを入れてもよろしいですか?」と聞いてくれるのも嬉しい。

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とり天はササミとモモがひとつずつ。どちらもアツアツで美味い。うどんは茹でたてピチピチの食感。スタッフも忙しいながらも、てきぱきと動き回っており好感が持てる。競馬の帰りにも立ち寄りたくなってきた。隣のお兄さんが食べている肉うどんがメチャクチャ美味そうに見えるのである。

品川駅のecuteには手延うどんの店が人気を集めているし、立川駅のecuteにも武蔵野うどんの専門店がオープンしたと聞く。プラットホーム上ではなく駅ナカ施設の店舗を「駅うどん」と称するにはイメージ的に多少の違和感を覚えるが、キヨスクでさえプラットホーム上から消えるご時世では仕方ない。関東では珍しい「駅うどん」として大切にしよう。センチメンタリズムを求めるなら佐賀へ行けば良い。クラウンカップの話は明日付けで。

 

***** 2018/04/04 *****

 

 

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2018年4月 3日 (火)

【製麺所のうどん③】四ツ木製麺所

先週日曜の話。京成立石駅から10分。住宅街の中を歩いていると、道端にこんな幟が掲げられていた。

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その幟に従って路地を入ると、こんな立派な看板が目に飛び込んでくるのである。

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『四ツ木製麺所』は製麺所でありながら店内でも食べることができるうどんの専門店。その名の通り四ツ木で営業していたのが、4年ほど前にここ立石に移転してきた。移転後に訪れるのは初めてだ。

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午後1時過ぎに到着すると、3人が店外で待っていた。昼どきなのだから待つのは仕方ない。そこはうどんであるから、回転も早かろう。そう思って待つが、なかなか列は進まない。そもそも店内から客が出てこないでのある。ならば注文を受けてから麺を茹でているのであろう。それならそれでよい。

20分ほど待って店内へ。そこでようやく気付いた。うどんだけを食べに来ている客は2割ほど。大半の客はつまみを取って酒を飲んでいるではないか。そのメニューの豊富なこと。ここが呑兵衛の聖地・京成立石であることを忘れていた。

とはいえ私自身は酒を控えているので、かすうどんの定食セットを注文。東京の下町で大阪名物かすうどんというのも珍しい。

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やはりうどんはオーダーを受けてから茹でていた。時間が掛かるのも頷ける。麺は中太で思いのほかコシが強い。ツユは透明な関西風で、かす(ホルモンの素揚げ)の旨味がたっぷり染み出ている。玉子かけご飯に小鉢が付いて800円なら安い。そこも京成立石ならではだ。

聞けば平日は昼の部と夜の部に分かれていて、飲めるのは夜だけだが、土日は昼から飲めるらしい。しかも土日は通し営業だから、夜までぶっ通しで飲み続けることも可能。凄いですね。うどんよりも京成立石の底力に圧倒された。

 

***** 2018/04/03 *****

 

 

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2018年4月 2日 (月)

木幡初広騎手、引退

先日もちょっと触れたけど、木幡初広騎手が先月末付で引退してしまった。いわずと知れたJRA現役最年長ジョッキー。それだけでなく、唯一の「馬事公苑出身騎手」でもあった。そういう意味では、JRAの歴史におけるひとつの節目でもある。

Kowata 

JRA競馬学校が白井に開校する以前、騎手になるにはまず世田谷の馬事公苑で講習を受け、その後に騎手試験を受けて合格する必要があった。講習は「長期」と「短期」の2コース。前者は選抜試験の合格者が対象で、受講期間は2年。全寮制で制服や乗馬用具、さらに月3千円のお小遣いまで支給されたというから、現在の競馬学校に近い。

一方、短期講習は無試験で受講可能で、年に1回行われる3週間程度の講習を2年間受けてから騎手試験を受けるという方式だった。

騎手試験は難関とされ、「一発合格」の新人ジョッキーは一目置かれる存在だったように思う。木幡初広騎手は晴れて一発合格を果たすと、1984年3月3日の中山1レースでプロ騎手として第一歩を踏み出した。

初騎乗馬はエドワーズシチー。今はなきアラブのレースである。同じレースで対戦したジョッキーは本間、木藤、宮田、柴崎、蛯名利、大宮、坂本、上田、斎藤仁、谷原、蛯沢、篠原。この名前を聞いて「あぁ」と思える人は相当なベテランに違いない。ちなみに、この翌日に行われた弥生賞では、シンボリルドルフとビゼンニシキとの初対決が実現している。

重賞成績については「通算8勝」とする記事が多いが、正確には「9勝」と書くべきであろう。追加となる1勝はGⅠ・ダービーグランプリである。よって「GⅠ制覇の夢は息子たちに託された」という記事も厳密には正しくない。

そのダービーグランプリはマンオブパーサーでの勝利。だが登録時点で補欠の2番手。フサイチリシャールらが回避したために繰り上がりで出走が叶う。しかし、騎乗予定はもともと四位騎手だった。ところが四位騎手が急遽乗れなくなり、レース6日前に騎乗依頼が飛び込んできたという。いくつもの幸運が重なったGⅠ制覇と言えよう。

しかし、彼にとってはサクセスストレインで勝った2001年クイーンカップの方が思い出深い勝利かもしれない。ラスト100mで抜け出しを図るハッピーパスの外から馬体を併せ、激しい叩き合いの末にわずかに頭だけ抜け出したところがゴール。検量に戻ってきた木幡騎手の口から思わず漏れた「長かったぁ」という言葉を私は忘れない。その前年に人身事故を起こし、馬にも乗れぬ謹慎の日々を過ごしていただけに、余計に実感がこもる。いま思えば、勝利への執念がサクセスストレインに乗り移ったかのような、激しい騎乗だった。

Success 

震災以後は、福島県南相馬市出身者として話題になる機会も増えた気がする。

実家は東京電力福島第一原子力発電所から20キロ圏内。いわゆる「警戒区域」に入っている。津波の直撃こそ免れたが、車で逃げた両親が「津波がはっきり見えた」という危機的状況だった。4日後の15日、木幡騎手は借りたマイクロバスにガソリンを積み福島へ。県内に避難していた両親らを乗せ、15時間かけて茨城県美浦村の自宅へ連れ帰ってきたという。

Kowata2 

15歳で上京。プロ騎手となったあとも、福島競馬開催時には頻繁に里帰りしていた。その故郷にかつての面影はない。その心中は察するに余りある。それでも寂しさや辛さを胸に秘め、木幡騎手はプロとして騎乗を続けた。その姿を3人の息子たちはどう見ただろうか。引退に際しセレモニーや胴上げのたぐいは一切なし。それがまた木幡初広騎手らしい。そっと静かに鞭を置く。そんな引き際も、彼なりの美学と受け止めよう。

 

***** 2018/04/02 *****

 

 

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2018年4月 1日 (日)

サザエさんの馬券予想

東芝が消えた――。

フジテレビの人気アニメ番組「サザエさん」の話。そのオープニングにちょっとした変化が起きた。これまでなら主人公・サザエさんの声で「サザエさんは東芝と、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」という提供読みが流れたのだが、今日の放送分から「サザエさんはご覧のスポンサーの提供でお送りします」に変更されたのである。

国民的番組であるサザエさんは、1969年に放送が開始され、東芝は当初からスポンサーとして番組を支えてきた。単独提供の時期が長く、サザエさんが番組冒頭で東芝の提供を伝えるシーンを観るのは、日曜夕方恒例の「儀式」だった感もある。しかし、経営再建の一環で広告戦略の見直しを進める東芝は、先月を以てスポンサーから撤退。耳に馴染んだセリフも、日曜夕方のお茶の間から消えてしまった。

それにしても1969年と言えば皐月賞をワイルドモアが逃げ切り、日本ダービーをダイシンボルガードが勝ち、スピードシンボリが1回目の有馬記念制覇を果たした年である。半世紀にわたってスポンサーを務めてきた東芝も凄いが、そもそもサザエさんが凄い。

そのサザエさんの声を演じる加藤みどりさんが、昨日のラジオNIKKEI「中央競馬実況中継」にゲスト出演されていた。リスナーの中には驚いた方もいたのではあるまいか。

今でこそ鈴木淑子さんを始め、目黒貴子さんや細江純子さんなど、TVやラジオの競馬番組で活躍する女性は珍しくないが、実は加藤みどりさんこそ女性競馬キャスターの先駆け。サザエさんの放送開始前には、中央競馬実況中継の前身となる番組の進行や解説を務めていたこともある。

NHKの国際局に勤務されていたご主人に感化されて競馬にのめり込んだというその知識は、まさに玄人はだし。特に血統に詳しく、それを根拠にした馬券は良く当たると当時でも評判だった。一方で、競馬へのきっかけを与えたことになるご主人は、のちにプロデューサーとして名番組『世界の競馬』を世に送り出している。こちらも凄い。

Sazae 

ラジオからは加藤みどりさんの大阪杯予想が聞こえてくる。

「サトノダイヤモンドは思い切って消し」

「スマートレイアーの切れが生きる流れになるかどうか……」

「GⅠの池添君は別人」

もちろん加藤みどりさんの予想なのだけど、声だけを聞いていうと、まるでサザエさんが予想しているように思えて仕方ない。予想の締めには3連複の穴でヤマカツエースを狙うとおっしゃっていた。結果4着だから惜しい。とはいえ10番人気だったことを思えば、その慧眼には目を見張るものがある。

Masuo_3 

ちなみにマスオさんの趣味は競馬。自宅で競馬新聞を広げて予想したり、実際に競馬場へ行って観戦するシーンがたまに登場する。だが、基本的には馬券下手という設定になっているようで、いつも負けてばかり。なのに、波平もマス夫の予想に乗っかったりするから始末に負えない。二人揃ってサザエさんに弟子入りすべきであろう。

 

***** 2018/04/01 *****

 

 

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