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2017年12月31日 (日)

何かを変えたい納めの競馬

大晦日にやることは毎年同じ。時間まで決まっている。

11時きっかりに桜新町駅へ。そこから友人の車にピックアップされて青山の『キルフェボン』で「季節のフルーツタルト」を受け取って、麻布にある某馬主のご自宅に年末のご挨拶に伺う。お渡しするのはカレンダー2本。日刊競馬とスポーツ報知と決まっている。それにもちろんキルフェボンのタルトも。無事に手渡せたら、ご挨拶もそこそこに大井競馬場に向かう。

外苑西通りから明治通りを経て、魚籃坂下から泉岳寺に抜けて第一京浜を南下するのがいつものルート。到着はおそらく4レースの発走直前の頃合いであろう。ただし、それは“ケン”して場内の『松屋』で牛丼を食べ、5レースから勝負するのが、毎年の慣わしだ。

ただ、ここでちょっと提案してみた、毎年毎年同じことの繰り返しも悪くはないが、それでは馬券が外れて、負けて、シクシク泣きながら帰るのまで同じことになりかねない。だから、今年は別のルートを通ろう。何かを変えなきゃ負け続ける日々も変わらない。多少到着が遅れてもいいじゃないか、と。

それで外苑東通りから芝公園を経て、JRの陸橋を渡り、海岸通りから競馬場に到着した。それで車を降りてスタンドへ近づいたら、4レース締切5分前のアナウンスが聞こえてくるのである。あれ? 時間的にはあまり変わらなかったなぁ。多少不安を覚えたので、昼メシは牛丼ではなく「カレギュウ」にしてみた。まあ、これもあまり変わり映えしないが、とりあえず「納めの牛丼」を食す。

Karegyu 

しかし、当らない。ルートと昼メシのメニューをちょっとばかり変えてみたところで、馬券の下手さ加減は変わらんのか。焦りを覚えてメイン前に『つるまるうどん』で期間限定の肉々うどんを食べてみた。巾着の中身はお餅で年越し感満載。甘辛く炊かれた肉も美味い。これが2017年「納めのうどん」。これで少しは流れが変わるだろうか。

Udon 

続いて2017年「納めの重賞」。東京2歳優駿は道営出身馬が圧倒的に強いことで知られる。

それで道営のビジネスライクから、同じく道営のリンノストーンに加え、サラヒメ、ストロングハート、グラヴィオーラの道営出身馬に流したら、なんとビジネスライクがゲートで負傷して競走除外になってしまったではないか。この瞬間、私の「納めの重賞」は終わってしまった。しかも結果は道営馬のワンツーだから切ない。

Gula 

気を取り直して最終レース・おおとりオープンの馬券を子入する。これが正真正銘2017年「納めの馬券」。

Baken 

今年の南関東競馬は1月1日川崎の1レースをブリッジシップが勝って始まった。船橋・矢野厩舎所属の3歳牝馬。ならば、最終レースも矢野厩舎で締めてもらおう。マイル9勝のスペシャリスト。年の最後に完全燃焼の逃げを見届けたい。

―――すると、あろうことか馬券を買った直後にレガルスイの除外が発表になる始末。実にあっさりと私の2017年は幕を閉じた。必死に何かを変えようとした結果がこれである。余計なことはするものではない。おかげで負けは減ったが、モヤモヤ感は増した。不完全燃焼も甚だしい。こんな思いのまま果たして年が越せるだろうか? もし越せなかったら、明日は川崎に行くことにしよう。

ともあれ今年もお世話になりました。みなさま良いお年をお迎えください。

 

***** 2017/12/31 *****

 

 

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2017年12月30日 (土)

眠れぬ年の瀬

忙しい!

そりゃあ年末は何かと忙しいと言うし、私よりも忙しい思いをされている方もたくさんいらっしゃるだろうけど、今年の私はひどい。昨夜は東京大賞典がハネたあと目黒の馴染みの店に年末の挨拶に行き、深夜に帰宅してからようやく年賀状に着手。120枚を書き終えて、時計を見ると9時を過ぎている。これはイカンとばかりに向かったのは寝室ではなく仕事場である。むろん競馬とは全く無関係の仕事。そもそもこれが諸悪の根源にほかならない。

黙々と作業を進めるうち、とある他社の関係者に確認しなければならない課題にぶつかった。その関係者というのは、12月26日付「会議は競馬場で」に書いた相手。しかしさすがに今日はお休みであろう。でもひょっとしたらあそこに来ているかもしれない。

あそこというのはここ。

Ooi1 

しかし、さすがにいらしてなかった。そりゃま、そうですよね。仕方ないので電話で確認。あとはシンデレラマイルを見て帰ろう。

Ooi2 

それにしても今日は風がない。ご覧のとおり内馬場のファイヤー演出の煙がきれいに輪っかになっている。おかげで暖かくて助かるのだが、一方で一度立ち上った砂埃がなかなか消えなくて困った。西日が傾くと4コーナー方面がほとんど見えないのである。勝負服の識別もできない。これはいったい誰だ?

Nishino 

東京シンデレラマイルは11番人気のニシノラピートが圧巻の逃げ切り。出走16頭中ただ一頭57キロを課されながら5馬身差だから凄い。思えば春のしらさぎ賞も4馬身差の圧勝だった。11番人気の評価には反省すべき点がある。それにしてもこの勝負服はいったい誰なんだ?

Nishino2 

正解は……、

Nishino3 

的場さんでした。なーんだ。なら、あの鮮やかな逃げ切りも納得。しかし、なんと言うか…、まあ…、似合いませんね(笑)

レース後が終わればさっさと帰宅し、カレンダーの束を抱えて近所の馴染みの店へ。これだけは渡しておかなければ、私としても年が越せない。しかし1杯だけで帰宅。なにせ眠い。なにせもう36時間くらい眠っていないのである。

それでもまた家に戻って「アメトーーク」を観ながらこれを書いている。明日には倒れるんじゃないだろうか。大晦日に倒れるのも面倒くさいな。

 

***** 2017/12/30 *****

 

 

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2017年12月29日 (金)

グランプリの既視感

今年の最後を飾るグランプリレースで、いくつものGⅠタイトルを積み重ねた名馬がついにラストランを迎える。

オーナーはTVでも知られた有名人。生産者はヤナガワ牧場。

最終レース終了後には引退セレモニーが行われ、しかも年明けには地元関西の競馬場でも引退式が予定されている。

そのレースの結末は鮮やかな逃げ切り勝ち。これまで何度も跳ね返されてきたグランプリレースの壁を、最後の最後で打ち破ってみせた―――。

……と、ここまで読まれた方は、キタサンブラックのことだと思われたかもしれない。ところがさにあらず。これは今日行われた東京大賞典の話。勝ったコパノリッキーも鮮やかな逃げ切りで、オーナーはTVでもお馴染みのドクターコパさんで、レース後には引退式も行われた。たった5日間の間に、似たようなシチュエーションが続いたことになる。

Kopa 

キタサンブラックと違うのは、芝ではなくダートだったことと、手綱を取ったのが、武豊騎手ではな田辺騎手だったことくらい。イスラボニータの阪神カップを含め、ラストランを勝利で飾るレースが相次いでいる。明日のシンデレラマイルにラストランの馬はいないか?

だが、実際にはラストランを勝つことは簡単ではない。なにより無事にレースを終えさせることが最重要。種牡馬入りが決まっていれば、その度合いもグッと増す。その一方で、キタサンブラックやコパノリッキーのように記録がかかっていれば安全第一というわけにもいかない。そうしたジレンマの中で、武豊騎手も田辺騎手も見事にミッションをクリアして見せたのだから素晴らしい。

コパノリッキーは田辺騎手に初めてのGⅠ勝利をもたらしたメモリアルホースである。

Feb 

フェブラリーステークスを最低人気で逃げ切ったあとも、かしわ記念、JBCクラシックとGⅠを勝ち、フェブラリーS勝利がフロックではないとこを証明してみせた。だが、その年の暮れの東京大賞典はホッコータルマエの2着。直後に不可解な騎手交代劇に見舞われるわけだが、その相手こそ武豊騎手だっだ。

東京大賞典を迎えるまでコパノリッキーのGⅠ勝利数は10。その内訳は田辺騎手と武豊騎手が5勝ずつで並んでいた。GⅠ勝利数の新記録もさることながら、騎手別に見た時に田辺騎手が武豊騎手をひとつだけ上回ったことに、私は注目したい。田辺で始まり田辺で終わったコパノリッキーのGⅠストーリー全11話。その続きは産駒たちに託されることになる。

 

***** 2017/12/29 *****

 

 

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2017年12月28日 (木)

チャンピンジョッキーの冬休み

ホープフルSとヤングジョッキーズシリーズも無事終了。明日より新年6日の金杯まで、JRAはしばしの正月休みに入る。

リーディングジョッキーは199勝を挙げたルメール騎手が獲得。今日ひとつでも勝てば武豊騎手に次ぐ史上2人目の年間200勝達成というところだったが、6鞍に乗って未勝利に終わっている。とはいえ、2位に20勝以上の大差をつけたのだから立派。拍手を送りたい。

Lemaire 

「ミルコは母国で何度もチャンピオンになっているけど、ボクはない」

いつもそう言っていたクリストフは、昨年のJRA開催最終週を残してリーディングトップに立っていた。だが、残り2日間で戸崎圭太騎手にまさかの逆転を許す。レイデオロでホープフルSを勝ち、サトノダイヤモンドで有馬記念を制しても、心の片隅には晴れぬ思いがあったに違いない。「強い思いを持って臨む」と言って始まった2017年シーズン。ついに念願のチャンピオンジョッキーの称号を獲得した。

2位争いは戸崎騎手とミルコ・デムーロ騎手が172勝で並んだが、2着の差で戸崎騎手が上回った。とはいえ、デムーロ騎手も昨年の132勝から40勝を上積みしたのだから、こちらも立派。大舞台での勝負強さに定評がある彼だが、今年は勝利数にもこだわり、エージェントを代えて臨んだ年でもある。日本でのリーディング奪取も視界に入った。多少気が早い話だが、来年のリーディング争いは、ルメール騎手との一騎打ちが濃厚だ。

Demuro 

しかし、新年早々ふたりの姿は競馬場から消えることになる。

二人揃って騎乗停止処分を受け、ルメール騎手は13日まで、デムーロ騎手も7日まで競馬に乗ることができない。デムーロ騎手が騎乗停止処分を受けたのは、有馬記念の最後の直線の出来事。外から追い込んだデムーロ騎手のスワーヴリチャードが内斜行し、2着争いを繰り広げていたクィーンズリング、シュヴァルグラン、サクラアンプルールが激しく接触したシーンはまだ記憶に新しい。

思わず立ち上がったサクラアンプルールの蛯名騎手は、そのまま追う動作をやめてズルズルと後退。最下位に敗れた。

一方、同じく進路が塞がったシュヴァルグランのボウマン騎手は、ひるんだ馬を立て直しながら猛然と再スパート。2着にはハナ差及ばなかったが、3着は確保している。

私が意外に思ったのは審議ランプが灯かなかったことだ。2013年に変更された審議・降着の運用ルールでは、5位までに入線した馬の着順に変更の可能性がある場合に審議のランプが点灯するはずではなかったのか?

つまりJRAの判断は、あの接触事案に「着順に変更の可能性」を認めなかったということであろう。実際、シュヴァルグランのボウマン騎手は、「不利はあったが、なかったとしても勝つまでは難しかった」と語ったとされる。

興味深いのは、2着争いを繰り広げながら接触した4頭のうち、外国人騎手が乗っていた3頭はしっかり2~4着を確保したのに対し、唯一の日本人騎手は最下位まで順位を落としたことだ。

「被害の程度より着順への影響を重視する」

この降着基準へと変更される際には、ラフプレーの増加を懸念する声が多数を占めた一方で、多少の不利でレースを諦める風潮が減るのではないか、という前向きな意見もあった。

不利に動じない。やられたらやり返す。安全運転に終始していては勝てない―――。そんな土壌で育った外国人騎手にしてみれば、あの程度の接触は日常茶飯事。サクラアンプルールの被害の度合いが突出していたとする見方もあろうが、不利を予見し、あるいは跳ね返すことが出来るのもまた技量のひとつである。

もちろん見ていて美しいものではない。私もTVを見ながら顔をしかめた。だからJRAに監視・制裁の厳格化が強く求められるのは当然。ゆえにルメール騎手とデムーロ騎手に、新年早々騎乗停止処分が課せられたのである。

だが、それを彼らはどう受け止めるか。私はそこを気にしている。今年1月の成績を振り返ってみると、ルメール騎手は新年開催4日目までに2勝。デムーロ騎手に至っては1勝しか挙げていなかった。彼らにとっては、この時期はそもそも休みモードなのである。今回の騎乗停止を「ちょうどいい正月休み」などと思っていないことを願うのみだ。

 

***** 2017/12/28 *****

 

 

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2017年12月27日 (水)

取消理由「事故」

2017年も残すところ今日を含めあと5日。忙しい時間の合間を見つけてやってきたのは、コチラ!

Wins 

―――って、また場外かよ! ヒマじゃねぇか!!

なんてお叱りの声が聞こえてきそうだが、さにあらず。あまりの忙しさゆえ、愛馬が出走するというのに今日は競馬場に行くことができない。GⅠが行われる明日も然り。せめて馬券だけでも買っておこうと思えば、いきおいここへ来ることになる。

しかし、今日の後楽園はすごいことになっている。平日の昼間だというのに、この賑わいっぷりはどうしたことだ。

理由はたくさんレースを売っているから。上階のWINS後楽園では明日のGⅠホープフルSのみならず、特別レースを含む9鞍を前日発売。特別戦の前日売りは過去に聞いたことがない。階下のオフト後楽園は、本日開催中の大井12鞍に加え、兵庫ゴールドトロフィーを含めた園田2鞍、さらに明後日の東京大賞典の前々日発売と水さえも漏らさぬ売りっぷり。都合3日間24鞍分。歳末の押し詰まり感も手伝って、「買えるものは買っておかねば!」というアメ横的な高揚感すら漂っている。

それにしても、しばらく好天続きだから良いようなものの、もし雪の予報などが出ていたら、こんな怖いことは恐らくできまい。

実際、雪の影響は出ている。こちらをご覧頂きたい。

Jiko 

兵庫ゴールドトロフィーに出走予定だったオヤコダカ、ストーンリバーが出走を取り消した。理由には「事故」とある。また、園田で騎乗を予定していた五十嵐冬樹騎手も「事故」を理由に乗り替わりとなった。

直接の原因は爆弾低気圧による北海道の荒天にある。安全な輸送ができないとなれば仕方ない。だが、それは馬運車の話。五十嵐冬樹騎手の乗り替わり理由は分からぬ。荒天とはいえ、新千歳からの出発便は問題なく飛んでいたはずではなかったか。

ともあれ、取消理由に「事故」と書いてあれば、ドキッとする人もいるだろう。馬運車が渋滞に巻き込まれ、レースに間に合わない場合はよくこの「事故」という理由が使われる。また薬物関連の事案に巻き込まれて出走を取り消す場合も「事故」が使われるが、それが「事件」に発展するケースもなくはない。

一方で、出走予定馬が本当の事故に巻き込まれることもある。

2013年10月13日の首都高速道路で、美浦から東京競馬場に向かう馬運車が接触事故を起こした。これに乗っていたヴィアレーギア(牡3)は、この日の8レースに出走するはずだったが、事故の影響で両前に打撲を負ったため出走を取消。ただ、その際に発表された取消理由は「疾病」である。そりゃま、たしかに疾病を負ったことには違いないが、これを「事故」としないところが、いかにもJRAらしい。

Baken 

ともあれ、今日の園田と大井の最終レースと、明日のホープフルSと、せっかくなので明後日の東京大賞典の馬券も買ってみた。ひとつくらい間違って当たってくれないだろうか。私の馬券が当たることを指して、「事故」と言う人もいる。

 

***** 2017/12/27 *****

 

 

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2017年12月26日 (火)

会議は競馬場で

競馬場で仕事をすることが珍しくない。

……と言ってもレース撮影の話ではない。人と合って打ち合わせをする場所に、わざわざ競馬場を指定するのである。取材のスケジュール調整、来るべきセールでの狙うべき馬の事前チェック、果ては競馬雑誌に掲載するコラムのゲラ校正まで。「仕事」というのが競馬絡みだったからできたこと。なにせ仕事の相手も競馬場にいるのである。ならば競馬場で合った方が早い。どうせ競馬場には行くのだし、レースの合間にはたっぷり時間がある。

ところが最近では競馬以外の仕事が増えてきた。不愉快なことではるが、悲しいことに仕事を選り好みできる立場でもない。当然打ち合わせの回数も増える。だが、平日はお互い時間が取れない。さあ、どうしようか―――?

つい先日もそんなシチュエーションがあった。で、どうやって解決したか。その答えがこちら。

Nittei 

そう、つまり競馬絡みではない仕事の打ち合わせも競馬場でやっちゃえ!ということですね。ご覧の通り内容は伏せてあるが、中身はまったく競馬とは関係ない。手元に適当な白紙が無かったので、インフォメーションで来年の番組表をもらってきて、そこに赤ペンで仕事上の課題を書き出し、解決するべき優先度合いに従って「◎」とか「○」とか「△」と印を打った。背後から他人が覗いたら、予想談義に華が咲いていると思ったに違いない。

競馬場での打ち合わせが実現したのは、仕事の相手が競馬好きだったからに他ならない。しかも、その相手は社台の会員であり、しかもしかも、この日はその方の出資馬が2頭も出走するというのである。打ち合わせは、その2頭のレースとレースの合間に行われた。ゆえに先方はイマイチ会話に集中してなかったフシがある。だとしたら申し訳ない。これは競馬場の打ち合わせが抱える課題であろう。解決優先度は「◎」だ。

今の話とは別の人とも競馬場で競馬とはまったく関係のないやりとりをしたことがある。やはり社台の会員さんが相手。出資馬の口取りに備えてスーツにコートといういでたちでゴール前で観戦している彼の脇に立ち、ひと言ふた言仕事の話をして、とある内容のメモを受け取って別れた。

これはいかにも怪しい。

「黒ずくめの組織の連中が、秘密の情報をやり取りしている」

そう思われてもおかしくない。

ただ、接戦のゴール直後ということもあり、みんなターフビジョンのスローモーションに釘付けだったから、誰もそんなこと気にしてなかった……と思う。実際そのメモに書かれていたのは、極秘の厩舎情報―――などではなく、まあそのときの仕事にとっては大事な情報。そういう意味では秘密情報と言えなくもない。この日はその情報を手に入れるのにわざわざ競馬場まで行ったわけだが、ひどく疲れて帰宅した覚えがある。きっと競馬が目的ではなかったからであろう。

 

***** 2017/12/26 *****

 

 

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2017年12月25日 (月)

目指せインスタ映え

有馬記念が終われば大井では恒例の年末開催が始まる。同時に開催されるラーメンフェスもすっかりお馴染み。都内でも屈指の人気店8店がウマイル・スクエアに集まった。

Ramen 

しかし今年は見馴れぬモノが設置してある。この台はいったい……?

Ramen2 

こういう風に使うようです。

Ramen3 

するとこういう写真が撮れます。

Ramen4 

いわゆる「インスタ映え」ってヤツです。その効果が日本経済を押し上げているという説はいささか言い過ぎだとは思うが、イベントごとに限ればその力はバカにできない。ただ、写真を撮るのも結構ですけど、伸びる前に食べてくださいね。写真は『志奈そば 田なか』の塩ラーメン。チーズに岩海苔という組み合わせは初めて。だが、決して悪くはない。お店にとっては新たなチャレンジができる舞台でもある。

続いて隣の店を攻めようかと思ったが、突然強い北風が吹き荒れ始めた。会場には雨に備えてテントも用意されているが、さすがに風までは防げない。なので、いったんラーメンは断念。パドックに向かう。ラーメンに夢中で、競馬場に来ていることをすっかり忘れていた。

すると、4レースの出走馬にこんなメンコをしている馬がいるではないか。そうか今日はクリスマスだ。それもすっかり忘れていた。

Xmas 

しかも蹴り癖リボンまでしっかりコーディネートする徹底ぶり。そのおかげか知らんが、4番人気ながら2着に頑張った。

Shipo 

続く5レースにはなんとトナカイが出走? ちなみに誘導馬ではないですよ。れっきとした出走馬。もちろんレースでは、このメンコは外す。つまりパドック専用メンコ。

Menko1 

こんなパドックの光景もクリスマスならではであろう。メンコに遊び心を持たせたり、メンコでゲンを担いだりすることを一概に否定することはできない。馬のおしゃれは、その一頭に関わる人たちの愛情の表れでもある。

パドックでは最近増えた若い女性客が、「かわいいっ!」などと叫びながら写真を撮りまくっていた。これも「インスタ映え」のひとつ。ラーメンの写真だけでなく、馬たちの写真もインスタグラムにアップしていただければありがたい。

 

***** 2017/12/25 *****

 

 

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2017年12月24日 (日)

「まつり」を聞きながら

寝起きのぼんやりした頭でTVを付けたら、既に有馬記念のゲートインが始まるところだった。

昨日―――と言うか今朝の帰宅が午前4時頃。忘年会とかクリスマスパーティーの類ではない。単純に仕事。昼まで眠ってやろうと布団にもぐったのもつかの間、飼い犬がわんわん啼いて起こしに来た。時計を見ればまだ9時ではないか。家人はなぜか不在。犬は散歩に連れて行けと騒いでいる。そんなこんなでいったん起床。朝食なのか昼食なのか分からないメシを食べたのち、またまた眠りに落ちていたのである。あやうく有馬記念を寝過ごすところだった。

ゲートが開いて、ハナを奪ったのはキタサンブラック。外枠を引いたとはいえ、カレンミロティックが4番手につけるのが精いっぱいでは、この時点である程度勝負あった。二番手のシャケトラが並びかけることもなければ、後方から外を回って仕掛け上がる馬もゼロ。武豊騎手の拳はピクリとも動かない。これほど道中のポジションに動きのない有馬記念も珍しい。ひょっとしたら、私がまだ寝ぼけているのかもしれない。ともあれ、向こう正面に入る辺りでは勝敗の帰趨は決した。いや、木曜午後の枠順抽選で武豊騎手が2番枠を引き当てた時点で、すでにこの結果は決まっていたのかもしれない。

北島三郎さんは、子供の頃から自宅で買われていた馬の世話をするうち、いつしか無類の馬好きになっていたという。ヒット曲「北の漁場」の作詞を手掛けたのは、当時船橋競馬場で働いていた新條カオルさん。競馬は不思議な縁ももたらしてくれた。

さらに、ノーギャラで道営競馬のCMに出演したかと思えば、川崎競馬場に「キタサンカワサキ号」(等身大の馬模型)を寄贈したことも。中央地方分け隔てなく競馬に心血を注いでいらっしゃるその姿からは、ただひたすら馬を愛する北島さんの純粋な気持ちが見えてくる。

再び眠りに落ち、しかるのちに目を覚ますと、TVはキタサンブラックの引退セレモニーを映していた。今日の私はタイミングよく寝起きしている。北島さんが「まつり」を歌うのを見るうち、一年前を思い出した。昨年の有馬記念はゴール寸前、あと一歩のところでサトノダイヤモンドに差されて2着。さぞや悔しいに違いない。もし私なら発狂している。だって有馬記念ですよ。それでも北島さんはファンのためにと明るく楽しく歌ってみせた。簡単にできることではない。

ファンはそれを知っているから、みんなキタサンブラックを好きになったのである。JRA名馬列伝の「そして、みんなの愛馬になった」というコピーは秀逸。ちなみにキタサンブラックの引退で、JRA名馬列伝に選出された現役馬はいなくなった。来年は主役不在の戦国時代に突入する可能性もある。

Poster 

好きが高じて始まった北島さんの馬主人生は、ちょうど50年。キタサンブラックを「神様からの贈り物」とおっしゃるその言葉にも半世紀の重みがある。もちろん引退は寂しい。だが、一方で様々な重圧からの解放を意味する。馬だけでなく、オーナーにもお疲れさまと言おう。

 

***** 2017/12/24 *****

 

 

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2017年12月23日 (土)

適正な4000万円

「お願いです。高く買わないでください。」

Dassai1 

日本酒「獺祭」を製造する旭酒造が12月10日の読売新聞朝刊全国版に掲載した全面広告が話題となっている。メーカー希望小売価格と正規販売店一覧を表示して適正価格での購入を呼び掛けるメッセージ広告で、ツイッターなどのSNSでも広く拡散したらしい。

その数日後、馴染みの店でゆるゆるとワインを飲んでいたら、店主が「チェイサー代わりにどうぞ」と言ってこの酒を注いでくれた。

Dassai2 

こんなもんチェイサー代わりに飲んだら気を失うわ!

―――なんて文句を言いながら、己の顔はニヤけていたに違いない。磨き込まれた吟醸香は、ワイングラスの効果も相まって果実の如き豊かさ。なのに口当たりはあくまで軽やかで、しかるのちにやや辛口に切れながら消えてゆく。ヤバい。これはどんどん飲んでしまいそうだ。本物のチェイサーをくれ!

店主も読売の広告を目にしたらしい。それでしばらく「適正価格」というものについて話し合った。「みんなが欲しがるから高くなる」。これは市場原理である。だが、それをいいことに利ザヤを稼ぐ人間が出てくる。これは供給者にとっても、消費者にとっても、良いことではない。酒類の転売は無免許販売にあたり、酒税法に抵触する可能性がある。なにより、真面目に酒を造っている蔵元や、その酒を楽しみにしている愛飲者を裏切る行為。それでも転売は後を絶たない。ちなみにこの一本は常連客からのもらいものだそうだ。

そんな話をしながら私は種付け料について考えていた。来年のディープインパクトの種付け料が4000万円に設定されたという。種付け料こそ需要と供給のバランスで価格が決まる典型。サンデーサイレンスの全盛期の種付け料は3000万円だった。それを「競馬が一部の人間のマネーゲームになってしまった」と嘆いたのは誰あろう野平祐二氏である。4000万円の種付け料を出せる人間が、さらに限られていることは書くまでもない。

Di 

そんなことを考えていると、せっかくの酒が苦くなるから、いったん忘れよう。いくらで買われようと酒に罪はない。獺(かわうそ)は捕らえた魚を川石の上にきちんと並べてから食べる。その、いかにも魚を祭っているように見える光景こそが「獺祭」。そして明日は大人の祭り、有馬記念だ。

 

***** 2017/12/23 *****

 

 

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2017年12月22日 (金)

野武士に流れるエリートの血

昨年、生産馬によるJRA重賞年間51勝の記録を達成したノーザンファームが、早くもその記録を更新するかもしれない。

今年のJRA重賞勝利数は先週を終えた時点で50。残り開催3日間で重賞レースは4鞍用意されているから、年間52勝の新記録は決して夢ではない。そのためではあるまいが、有馬記念には大挙10頭もの生産馬を送り込んできた。それを打ち負かすとすればキタサンブラック―――それが今年の有馬記念の構図であろう。

日本人は非エリートがエリートを打ち負かすストーリーを特に好む。キタサンブラックがファンの圧倒的な支持を集めるのは、そんな背景もあってのことであろう。日高のごく普通の牧場で生まれた地味な血統の馬が、日本一の大牧場で生産された良血馬たちを蹴散らしてきた。仮に北島三郎さんがオーナーでなかったとしても、じゅうぶんファンに愛される要素を備えている。

Kitasan 

キタサンブラックの母シュガーハートは未出走。それでも繁殖牝馬として牧場に残れたのは、その母オトメゴコロが唯一牧場に残した後継牝馬だったから。オトメゴコロの母ティズリーは、1989年に米国から日本に輸入された輸入牝馬で、さらにその母ティズナはサンタマルガリータ招待Hなど連覇など重賞8勝うちGⅠ3勝の名牝。さらにそのファミリーからはBCクラシック連覇のティズナウが出ている。つまりキタサンブラックの母系は決して「地味」なわけではない。そのティズリーの血統に目をつけ、米国から日本に連れてきたのは、ほかならぬ現ノーザンファーム(当時は社台ファーム)の吉田勝己氏だ。

オトメゴコロは社台ファームで生まれ、吉田勝己氏の服色でJRA3勝の成績を残して引退。数頭の産駒を生んだあと、日高のヤナガワ牧場に移った。ティズリーの産駒にはオトメノイノリ(オークス4着)もいたから、ごく端的に言えば後継牝馬としては彼女一頭でじゅうぶんだったのだろう。しかし牧場を追われた格好のオトメゴコロがシュガーハートを産み、さらにシュガーハートがキタサンブラックを産むのだから生産は難しく、かつ面白い。

ともあれ、今回の有馬記念を「野武士キタサンブラック vs ノーザンファームのエリート」みたいな構図で楽しむこと自体は構わないが、厳密に言えばキタサンブラックに流れる血はノーザンファームのそれである。そういう意味では有馬記念を最後に引退するキタサンブラックが来春から社台スタリオンステーションで種牡馬入りする事実は、ごくごく自然な成り行きに思えなくもない。

Kitasan2 

ちなみにオトメゴコロが挙げた3勝のうちひとつは、若き日の武豊騎手の手綱によってもたらされたものだ。好スタートから番手を追走。直線で逃げ馬を交わすと、あとは後続の追撃を凌いでゴールを駆け抜けた。そのレースぶりは、まさにキタサンブラックそのものではないか。年間重賞勝利数の新記録を狙うノーザンファーム生産のライバルたちの追撃を凌ぎ切り、種牡馬入りに花を添えることができるか。今年の有馬記念のポイントはその一点に尽きる。

 

***** 2017/12/22 *****

 

 

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2017年12月21日 (木)

外枠不利は本当か

忙しい忙しいと言っておきながら、夕方5時からはしっかりと有馬記念の枠順抽選のTV中継に見入った。

枠順抽選が公開されるようになったのが4年前のこと。内側から淡々と希望馬番が埋まって盛り上がりに欠けた初回の反省を踏まえて採用された現在の手法にも、もうずいぶん馴染んだ感がある。1巡目に指名されたサウンズオブアースが大外⑯番を引いてしまったことで、ババ抜き的スリルはいきなり消滅してしまったが、それでも終盤まで内外がまんべんなく残った展開は見ている方も楽しいし、陣営にも「自分で選んだ」という気持ちが芽生える。

それにしても「内枠信仰」の根強さは初回から変わらない。4巡目に指名されたミッキークイーンの抽選結果が⑬番と発表されると、池江調教師は「それは違うだろ」とくじを引いた浜中騎手にチクリ。それを受けて浜中騎手も苦笑いを浮かべるしかなかった。

競馬では出走全馬がコースに対して横並びでスタートする。走る距離だけを考えれば内側の1番枠が最も有利。外枠が不利であることは何も中山芝2500mに限ったことではない。

ただ、中山ダート1200mや東京ダート1600mのように、スタート直後に芝コースを横切る場合、内枠の馬は内ラチに押し込められるリスクを孕むし、ブリンカー着用の馬なども内側で窮屈に走るより、外目をのびのびと走らせた方が良い。数学的に枠順の有利不利がないはずの新潟芝1000mにしても外枠有利が定説になりつるある。

中山芝2500mの「外枠不利」は本当だろうか?

そう思って、過去30年(1988年1月以降)の中山芝2500mの中でも、フルゲート16頭で行われた43鞍の勝ち馬と2着馬の馬番号を調べてみた。繰り返すが今の私はつまらぬ仕事を抱えてとてつもなく忙しい。そこに年末の多忙が重なる昨今は、文字通り寝る間を削る日々が続いている。それでも外枠不利への興味が勝り、トイレに行く時間をも惜しんで過去の結果を調べ尽くした。どうか心して調査結果をご覧いただきたい。

馬番 1着 2着
----------------
①番 1頭 1頭
②番 4頭 3頭
③番 5頭 3頭
④番 1頭 5頭
⑤番 2頭 4頭
⑥番 2頭 4頭
⑦番 4頭 2頭
⑧番 2頭 1頭
⑨番 2頭 4頭
⑩番 2頭 3頭
⑪番 3頭 8頭
⑫番 5頭 2頭
⑬番 6頭 1頭
⑭番 1頭 0頭
⑮番 1頭 2頭
⑯番 2頭 0頭

以外なことに、もっとも多く勝ち馬を出しているのは7枠⑬番であった。浜中騎手は落ち込む必要はない。⑬のゼッケンを付けたゴールドシップの独走はまだ記憶に新しい。

Goldship 

さらに連対数で言えば6枠⑪番がダントツのトップ。⑭番の連対はわずか1例のみだが、それが有馬記念での勝利であることは強調しておく必要があろう。1997年のシルクジャスティスだ。

Silk 

過去の結果を見る限り、内と外にそれほどの差を見出すことは難しい。とはいえ、きっと騎手たちは数字には表れぬ有利不利を身体で感じているのであろう。少なくとも不利だと思って乗る時点で既に不利が生じている。有馬記念ほどの大舞台となれば、心理面がもたらす影響も無視できまい。それが垣間見えたという点で、今年の公開抽選は見る価値のあるものだった。

 

***** 2017/12/21 *****

 

 

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2017年12月20日 (水)

グランプリに血が騒ぐ

有馬記念ウィークに突入したというのに、あまりに報道がないから、てっきり有馬記念には出ないのかと思っていた―――。

サトノクラウンのことである。

Satono 

事実、出否は直前まで決まらなかった。出走するとの発表があったのは先週の木曜日。あわせて鞍上はライアン・ムーア騎手とされたが、それはもとから決まっていた話である。昨今流行りの騎手都合が出否判断を遅らせたのではない。馬の調子の問題。それに尽きる。

どうやら、3番人気ながら10着に敗れたジャパンカップで、自ら走ることをやめようとたらしい。それが精神的なものなのか、あるいは体調から来るものなのか。それを見極める時間が必要だったということであろう。

News 

それを差し引いてもサトノクラウンに関するニュースは少ない。仮にも上期のグランプリホースで、香港ヴァーズではあのハイランドリールを打ち破り、天皇賞(秋)でもキタサンブラックと僅差の勝負を繰り広げた一頭に、世界のライアン・ムーアが跨るのである。キタサンブラックが一目置かれるのは仕方ないにせよ、ようやくGⅠ初勝利を挙げたばかりのシュヴァルグランや、GⅠ未勝利のスワーヴリチャードより扱いが小さいことには、正直戸惑いを禁じえない。やはりホントに有馬に出るのか心配になってきた。

とはいえ、これには仕方ない部分もある。いくら国民的お祭りレースとはいえ、共同会見以外ではほとんどコメントを出さない堀調教師の管理馬。さらにライアン・ムーア騎手に至っては、「アイスマン」の異名を持つほどメディアに冷淡なことで知られる。このコンビがメディアのお祭り騒ぎに加担するとは考えにくい。逆にスワーヴリチャードの露出が増えるのは、ミルコ・デムーロ騎手の社交性の高さ、すなわち「お祭り男」たる所以であろう。それはオッズにも多少の影響を及ぼすはずだ。

ここでひとつデータを紹介。

同一年のジャパンカップと有馬記念を連続で連対(1~2着)した馬は、ジャパンカップ創設から昨年まで36年間で9頭。連勝したケースは4頭しかない。シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ゼンノロブロイ、ディープインパクト。いずれ劣らぬ名馬ばかりだ。

これを同じ期間の宝塚記念と有馬記念に置き換えると、連対馬は15頭、うち双方で優勝を果たした馬も6頭に膨れ上がる。さらに同一年ではなぜか勝てなかったものの、2011年有馬記念から2014年の宝塚記念までオルフェーヴルとゴールドシップの2頭が、交互に3勝ずつ6連勝を果たすという快記録も残されている。

有馬記念の予想に際し、注目すべきではジャパンカップではない。それは圧倒的に宝塚記念。宝塚記念を勝つような馬は有馬でも活躍するし、その逆も然りなのである。彼らはシーズン末期の荒れた馬場を得意とする。だが、それだけではあるまい。「グランプリ」と聞くだけで血が騒ぐ。調教師や騎手は関係ない。馬自身がきっとお祭り好きなのであろう。だが、馬はそれを言葉に表すことができない。それを我々は冷静に察知して、馬券に生かす必要がある。

「有馬記念はオトナのお祭り」。そんなキャッチコピーがキタサンブラックの優勝を予言していると盛り上がる向きもあるが、果たして「祭り」というキーワードはキタサンブラックだけのものか? 我々はお祭り騒ぎに呑まれないよう心がけたい。

 

***** 2017/12/20 *****

 

 

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2017年12月19日 (火)

襲いくる睡魔

恥ずかしながら、今年の流行語大賞候補にノミネートされるまで、「睡眠負債」という言葉があることを知らなかった。日々のわずかな睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼす恐れれのある状態を言うらしい。

Sleep 

意外な告白をするが、実は夜ふかしが苦手である。

若い時分から徹夜で勉強をしたり、TVゲームに没頭したという覚えがない。麻雀にハマった学生当時も徹マンは極力避けた。飲んでいるうち終電を逃し、仕方なく始発が動くまで飲み続けたというような素敵な経験もない。

これはひとえに私がせっかちだからであろう。すなわち、あらゆることは早めに片付けたいのである。食事も風呂も早め早め。飲み会は1軒目でスパッと帰る。睡眠も同じことだ。早く寝て、早く起きる。深夜1時に“早起き”して「オールナイトニッポン」を聴いていたこともあった。

だけど、メディア関係の仕事をしていれば徹夜など日常茶飯事。つくづく自分に向いていないと、ずっと後悔してきた。実は昨日もいろいろあって一晩中仕事に追われるハメに。ようやく終わったのは明け方5時前。始発で帰宅し、「昼過ぎまで寝倒してやる!」と心に誓って布団を被ったのだが……、このトシになると朝寝ができないんですよねぇ。悲しいかな、きっちり7時に目が覚めてしまうのである。おかげで今日は一日中ぼんやりした頭で過ごすこととなった。

間もなく馬産地では出産シーズンを迎える。馬の出産は夜間であることが多いから、予定日が近づいた繁殖牝馬を牧場スタッフは徹夜で監視しなければならない。しかも予定通りに産まれてくるわけではないし、複数の繁殖牝馬がいれば数か月に渡って断続的に徹夜が続くこともある。最近では1日程度の誤差で出産日を見極める方法なども発表されているが、生き物相手のことなので簡単なことではない。私も馬の出産に立ち会ったことがあるが、馬房を映し出すモニター画面をじいっと見つめていると、ものすごく眠くなるものである。

なので、牧場スタッフと「眠気覚まし論」で盛り上がることは少なくない。立ったまま居眠りしてしまうほどの睡魔に勝つにはどうしたらよいか? むろんコーヒーやガム程度で太刀打ちできるものではない。

オーソドックスなところでは、やはりドリンク剤。「メガシャキ」や「眠眠打破」などコンビニで手に入るものもよいが、私は「オールPキング」という強力アンプルのお世話になることが多かった。ただし、これとて使い続ければ、たちまち効果はなくなる。

ドリンク剤以外では、メンソレータムやサロンパスを目の下に塗ったり張ったりすることもある。目がシバシバして、とても眠れる状態ではなくなるのだが、仕事どころでもなくなるので、実効性という点では疑問符が付くかもしれない。

仲間と一緒の徹夜というシチュエーションで、「先に眠ったヤツを引っ叩いてよい」というルールで一夜を凌いだことがある。緊張感が高まる上、全員同時に落ちない限り、間違いなく徹夜を完遂できる優れた手法だと喝采を叫んだのだが、いざやってみると、いたずらに外傷を負う者が続出するうえ、仲間内の人間関係の悪化も甚だしく、一回限りでオジャンとなった。皆眠くてイライラしているから、加減というものができなくなるのである。

やはり、人間眠なないとダメですね。短時間で上質の眠りを得る方法を追求すべきなのであろう。

 

***** 2017/12/19 *****

 

 

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2017年12月18日 (月)

中山昼飯問題の根は深い

中山ではいつも昼飯に頭を悩ませる。

基本的には『吉野家』。理由は単純。それが「安心できる味」だからだ。ハズレを引く心配がないという消極的理由でしかない。しかし土日2日連続となるとさすがに辛い。それでカペラS当日は『トプカピ』のカレーに『鳥千』のフライドチキンを載せてチキンカツカレーをアレンジしてみた。ご覧ください、このチキンのボリューム。ただ、これとて毎週となればさすがに飽きる。

Curry 

どういうわけか、中山の食堂には哀しい思い出ばかりが重なっているのである。業者は府中(東京競馬場)とほぼ同じ顔ぶれ。メニューも大差ない。なのに、出てくるものがダメというのはいったいどういう理由によるものか。東京競馬場の食堂でキンキンに冷えたトンカツや、伸びきって汁が干上がったラーメンが出てきたという記憶は、少なくともない。

きっと偶然なのだろう。私が“持ってない”人間というだけの話。そうはいっても、中山になると、食堂以外の場所でも馬主エリアの入場時に咎められたり(ハンドスタンプが消えかかっていた)、口取りのウイナーズサークルで警備の方に叱られた(クラブの会員さんと間違えられた)りしているので、怖い印象が競馬場全体を覆ってしまっているのも事実。「中山のコースは怖い」という思いを抱く競馬関係者は多いが、「中山の競馬場は怖い」という思いを抱くのは私くらいのものだろう。

食堂に話を戻すと、中山の場合、外に食事に出ようにも店というものがほとんどない。船橋法典駅近くまで歩けばまともな店もあるにはあるが、片道10分以上の道のりを歩くのはしんどい。バスで西船橋まで行って、また戻ってくるなど論外であろう。それが場内の業者の驕りを誘っているのではないか……などとついつい勘繰りたくもなる。

とはいえ、そんな業者の思惑に私のささやかな楽しみを奪われるのは癪なので、昨日は6レース終了後に勇躍門外に打って出た。どうせメインまで観たいレースもない。南門から歩くこと15分。ずっと以前にギムレット氏からおススメいただいていた『とものもと』への訪問を、ついに果たしたのである。あれ? ここって、昔うどん屋さんがありませんでしたか?

Tomo1 

注文したのは醤油ラーメン。

細くしなやかな麺。ホンビノス貝の旨味たっぷりのスープ。そして2種類のチャーシュー。どれを取ってもことごとく美味い。普段うどんばかり食べている私でも、これははっきりわかる。単に「美味い」というより「完成されている」と言うレベル。さすがはギムレット氏お墨付きの一軒だけのことはある。やはり中山の昼メシは外に限る。

Tomo2 

しかし、ここで想定外の問題に直面した。再び同じ道を歩いて競馬場に戻るのが、いささか面倒になったのである。北風に抗いながら戻ったところで、たかだかディセンバーSじゃないか。しかもよりによって東中山駅はすぐ近く。なにより、この一杯のラーメンですっかり気分が満たされてしまったことが大きい。

―――んで結局、昨日はそのまま帰宅。ディセンバーSも朝日杯も自宅のTVで観戦となった。場外の昼メシにはこういうリスク(?)も潜む。そこが良いお店であればあるほど、そのまま帰宅するリスクを伴うのである。でも、ラーメンは美味かったからヨシとしよう。

 

***** 2017/12/18 *****

 

 

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2017年12月17日 (日)

朝日杯当日の中山にて

師走の中山開催6日目は雲ひとつない快晴。だが、容赦なく吹き付ける北風のおかげでひどく寒い。間もなく3レースの未勝利戦がスタートする。

Nakayama 

気になる一頭がいた。2番人気キルロード(父・ロードカナロア)は、7月のデビュー戦でタワーオブロンドンの2着に敗れて初勝利を逃している。タワーオブロンドンと言えば、今日の朝日杯でも人気を集める強豪馬。それならここはあっさりクリアだろうか。

Killroad 

ところが勝ったのは5番人気マルターズルーメンであった。キルロードはパッとしない競馬で5着。タワーオブロンドンはそんなもんか。

3r 

4レースも未勝利戦。人気を集めるのはサトノオンリーワン。なにせ堀厩舎のディープ産駒である。しかもデビュー戦ではあのステルヴィオを抑えて1番人気に推された。だが、結果はステルヴィオの2着。そのステルヴィオも今日の朝日杯では人気の一角を占めている。朝日杯のためにもサトノオンリーワンの走りっぷりに注目せねばなるまい。

Satono 

―――思ったが、レースはライトカラカゼとバールドバイのマッチレース。ハナ差で前者が嬉しい初勝利を手にした。サトノオンリーワンは2頭から離された3着。こうなった以上、朝日杯のタワーオブロンドンとステルヴィオの評価は下げるしかありませんね。この時点でダノンプレミアムの独走劇は決まった。なのに馬券は当たらずじまい。なぜだ……?

4r 

5レースはダート1800mの新馬戦。逃げ込みを図る1番人気ユメノイタダキを、4角2番手から猛然と追い掛けた2番人気シークエルがゴール前最後の1完歩で捕えてみせた。その勝負根性を讃えたい。菊沢厩舎のクロフネ牝馬となれば、どうしてもアエロリットを連想してしまうが、母の父がフジキセキだから、やはりダートの方が良いのかもしれない。クロフネ×フジキセキの牝馬といえばホワイトフーガ。そのホワイトフーガにも乗っていた大野騎手は、4レースと5レースを連勝で今年の56勝目。13年目にしてキャリアハイを更新し続けている。

5r 

そして6レースの新馬戦は3番人気のアングルームが勝ち上がった。父はハービンジャーだが、母の父は5レースに続きまたもやフジキセキ。

6r 

そういえば中山1レースを勝ったマリノディアナも母の父がフジキセキだった。こんなことも珍しい。今日は朝日杯の当日。天国のフジキセキも黙ってはいられないのだろう。それほどフジキセキの朝日杯は圧巻だった。

ただ、残念なことに昨年から朝日杯は阪神に引っ越している。もはや中山のレースではない。フジキセキが亡くなったのは2年前。朝日杯の阪神移設を知らなかったとしても、それは仕方あるまい。なにせ私自身、未だ馴染めずにいるのである。

 

***** 2017/12/17 *****

 

 

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2017年12月16日 (土)

ひいらぎ賞の役割とは

「ザレマの娘なら中山は得意なはずだよ」

ひいらぎ賞のパドックを見ていたら、背後からそんな声が聞こえてきた。

Paddock 

「ザレマの娘」というのはグランドピルエットのこと。9月中山の新馬を快勝。桜への期待を胸に東京のアルテミスSに挑んだが、イイところなく11着に敗れている。自己条件となる今回は一定の結果が求められる。ザレマは中山のマイルに4回出走して②⑤①①の成績を残した。そのすべてがオープン、もしくは重賞レース。母が得意とした中山なら、期待できるかもしれない。そういえば今日の中山メインは2006年にザレマも勝ったターコイズSだ。

Zarema 

だが、それを言ったらゴールドギアのお母さんギンザボナンザは、2009年ひいらぎ賞の優勝馬である。縁で言えばこちらの方が深い。1番人気に推されるのも分かる。

Ginza 

ひいらぎ賞は朝日杯に抽選で漏れた馬たちの「残念レース」としての役割を長く担ってきた。だから、朝日杯と同じくらい歴史も深い。消えたり復活したりが当たり前の特別戦でありながら、そのレース名は半世紀近い歴史を誇る。80年代半ばの一時期を除けば、朝日杯と同じ中山の芝マイルという条件も変わらない。

その長い歴史の中で、ひいらぎ賞を勝ってGⅠ級のレースを制した馬を列記してみる。コーネルランサー、カブラヤオー、プレストウコウ、ダイナガリバー、メジロライアン、サクラチトセオー、シンボリインディ、アサクサデンエン、マイネルホウオウ、ミッキーアイル。一介の500万特別としては悪くあるまい。朝日杯のバックアップという役目を十分に果たしている一方で、抽選システムの功罪にも思いが及ぶ。

ただし今年のひいらぎ賞には朝日杯除外組の出走がなかった。そのせいかレースもどことなく淡泊だった印象が残る。そもそも朝日杯で出走抽選が行われなかったのだかから仕方ない。ホープフルSのGⅠ昇格の影響は様々なところに及んでいる。

Hiiragi 

注目のグランドピルエットは3着。ゴールドギアは4着。今日は展開が向かなかっただけ。レースぶりは悪くなかった。敗戦を気に病む必要はない。サニーブライアンやミスターシービーはひいらぎ賞で敗れた半年後にダービーを制してみせた。敗戦は糧になる。ひいらぎ賞の場合は、その「糧」も大きいのであろう。ホープフルSがGⅠになっても、その役割は変わらないでいてほしい。

 

***** 2017/12/16 *****

 

 

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2017年12月15日 (金)

たまごかけごはんの苦悩

半年以上前の話になってしまうが、今年の千葉ゼリの会場で玉子を頂いた。玉子というのはタマゴである。ふつうの生卵。セリのお土産に筆記用具やクリアケースをもらうことはあるけど、たまごというのは珍しい。

Tama1 

配っていたのは船橋の川島厩舎。セリで馬をお買いなられたら、ぜひウチに―――。そういうことであろう。玉子のほかにも巻き寿司の折詰や箱ティッシュ、タオルなどたくさん頂いてしまった。その時はいたく恐縮した覚えがあるけど、その後、私の愛馬がたまたま川島厩舎に転厩になったことを思えば、まあそれくらい貰ってもイイか。

Tama2 

玉子の外装には「たまごやとよまる」とある。どうやら地元船橋にお店があるらしい。それがずっと気になっていた。んで、たまたま先日、船橋を訪れたついでに京成船橋駅の『たまごやとよまる』を訪問する機会を得たのである。

Tama3 

お店は駅ビル内だが、養鶏場は旭市や東金市にあるらしい。そこで採れた新鮮な卵が買えるだけでなく、たまごかけご飯をいただけるイートインスペースが用意されている。もちろん玉子かけご飯を注文。430円でご飯と生卵に加え、味噌汁とお新香が付いてくる。

Tama4 

玉子を手に取ってみると、大きさの割に重い。ご飯の真ん中にくぼみを作り、たまごを割り落とす。濃いオレンジ色の黄身。ぷっくり盛り上がった白身。まずはそれを目で楽しむ。しかるのちに豪快かつ念入りに混ぜ合わせ、ザクザクと掻きこんだ。たまごのコク、ご飯の甘み、玉子かけご飯専用醤油の香ばしさが相まって、思わず顔がほころぶ。なるほど美味い。

Tama5 

―――と、ここまで読んでお気付きだろうか。「たまご」「タマゴ」「玉子」「卵」。実に色々な表記がある。特に問題となるのは「玉子」と「卵」の使い分けであろう。産みたてのタマゴはたいてい「卵」と書かれる。タマゴかけご飯も、「卵かけご飯」が優勢だ。

ところが「たまごやき」となると「玉子焼き」がメジャーだし、「たまごどんぶり」も「玉子丼」となりがち。ということはナマなら「卵」で、火が通ったら「玉子」なのか。実はそうとも言い切れない。スーパーのチラシには「玉子」が特売されているし、NHKでは「卵焼き」などというテロップが使われたりする。だからと言って「タマゴ」に逃げれば、カタカナ表記乱用との誹りを免れない。たまご好きの苦悩は募る。

私の感覚では「卵」という漢字には、リアルな生々しさが感じられる。「蛙の卵」とは書いても「蛙の玉子」とは書くまい。

「玉子」という表記は江戸時代にはすでに広まっていたそうだ。生々しさを軽減させ、可愛らしささえ漂う絶妙な表記。肉食が忌み嫌われていたとしても、これなら罪悪感が薄らぐ。表記の揺れは日本人の感性が豊かであることの裏返し。そういえばタマゴカケゴハンという馬がいましたね。いま思えば希少なビワシンセイキの産駒だったが、残念ながら勝利を挙げるには至らなかった。きっと自分の名前が「卵」なのか「玉子」なのかで悩んしまい、競馬どころではなかったのであろう。

 

***** 2017/12/15 *****

 

 

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2017年12月14日 (木)

ケータイ打ちの悲劇

「夜書いた手紙は、翌朝読み返してから投函した方が良い」

そんな格言を聞いたことがあるだろうか。夜の脳は疲れており、つまらぬ間違いを犯している可能性が高いという戒めの言葉だ。

このブログを書いているのも基本的には夜。だから、―――というわけではないが、誤字、脱字、間違いの類から逃れることができない。だから朝になったら読み返して、極力間違いをなくそうとは努めているのだが、それでも記事公開から8時間は経過している。昨日は「ルヴァンスレーヴ」を「ルヴァンスルーヴ」と書いてしまった。ご指摘いただきありがとうございます。

Ruvan 

昨日の記事は全日本2歳優駿を終えての帰途、JR南武線の車中でスマホから入力した。ここで断っておく必要がある。私はスマホこそ使っているが「フリック入力」はできない。いわゆる「ケータイ打ち」。だから「れ」と入力するには「ら」のボタンを4回押すことになる。それが一回足りなかった。そういうことであろう。

しかも最近のスマホは頭が良いので、一度入力した文字列は最初の一文字を入力するだけで、変換候補の先頭に表示されるから、こちらもホイホイとそれに頼ってしまう。かくして「ルヴァンスルーヴ」は増殖の一途を辿った。

特に「お」「こ」「そ」といった「お段」の文字を、「え」「け」「せ」という具合に「え段」の文字に打ち間違えることが多いようで、「中山ぬダートコースは」とか「ヘワイテマズル」みたいな誤表記は結構多いようである。あと1回のキータッチが足りない。申し訳ないとは思う。あと、酒席が多いこの季節は、濁点や半濁点が抜けることも多々ある。だって酔ってんだから仕方ないですよね。開き直るしかない(笑)

Ruvan2 

さて、昨日ルヴァンスレーヴ(正解)が快勝した川崎は、明日が2017年最後の開催日。最終日の最終レースには芦毛・白毛限定の「ホワイトクリスマス賞」が予定されている。ぜひとも足をお運び、白馬だらけの幻想的な一戦を目に焼き付けていただきたい。

えー、これは↑ちゃんと「ホワイト」になってますよね。「ヘワイテ」になってませんよね。

……なんて、こんなこといちいち気にしながら書くのも面倒なので、明日付からは、また誤字満載かもしれません。でも、翌日は読み返して直す努力はしています。どうかご了承いただき、今後もおつきあいください。

 

***** 2017/12/14 *****

 

 

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2017年12月13日 (水)

川崎から世界へ

全日本2歳優駿は、今年からケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズ「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」の一環に加わった。アグネスワールド、アクセスデジタル、そしてユートピア。このレースの優勝馬のうち3頭が、のちに海外の重賞を制している。川崎市民の秘かな誇り。そこにさらなる夢が広かった。川崎競馬場のゴールの遥か先には、チャーチルダウンズ競馬場の“ツイン・スパイア(尖塔)”がそびえている。

とはいえ、1~4着馬に付与されるポイントで比較すれば、全日本2歳優駿の重要度は、2月のヒヤシンスSの3分の1である。ヒヤシンスSの優勝馬に与えられるポイントは30ポイント。一方、全日本2歳優駿を勝って得られるポイントは10ポイントで、これはヒヤシンスS2着の12ポイントにも及ばない。Jpn1の格付けを得ているレースが、一介のオープン特別より軽視されている。そんな不満も一部にはあるようだが、これはケンタッキーダービーを主催するチャーチルダウン社の考え方―――というか、米国における2歳競馬とダービー路線の立場の違いと考えた方が良いのではないか。米国におけるその両者は、日本ほど深い関わりを持たぬのである。

BCジュヴェナイルの優勝馬が、ケンタッキーダービーで不振を極めている現実がそれを象徴している。距離は300mしか違わないのに、両方を制したのはストリートセンスただ一頭。チャーチルダウン社は2歳路線を「プレップシーズン」(準備期間)と呼んでいる。準備期間での活躍に高い評価を与えるわけにはいかない。その原則は日本においても同じということ。そういったすべてを含めて「ケンタッキーダービー」なのだと割り切るしかない。

そもそも先方の本音は「日本の馬なら誰でも良い」という程度のものではないか。なにせ「ベルモントSにエピカリスが出るかもしれない」というニュースが出回った途端、「日本調教馬がベルモントSに優勝したら100万ドルのボーナスを出す」と発表するようなお国柄である。それでも日本馬が出ることでJRAが馬券を売ってくれるなら安いもの。なんだかんだ言っても、我が国は世界ナンバーワンの馬券売上を誇る垂涎のマーケットである。

今年の全日本2歳優駿を勝ったのは、1番人気のルヴァンスレーヴ。出遅れの不利をものともせず、道中はずっと外を回りながら、力が違うとばかりに豪快に突き抜けてみせた。

Ruvan 

これまでなら、単なるダート2歳チャンピオン。それだけでも十分立派だが、この先に続く道はこれまでなかった。ジャパンダートダービーは半年以上も先。ならばとリエノテソーロのように芝路線に舵を切るケースもある。我が国は馬券売上は世界一であるのに、2歳ダートチャンピオンが3歳春に目指すべきレースがない。それはそれで不思議な気はする。

しかしルヴァンスレーヴの前には、とてつもなく大きな目標が用意された。期せずして、あのエピカリスも管理する萩原調教師の管理馬である。直前で回避を余儀なくされたベルモントSの悔しさを糧としたい。ネオユニヴァースの肌にシンボリクリスエスという配合なら、チャーチルダウンの2000mが合わぬとも思えぬ。

もちろんヒヤシンスS次の結果次第ではある。それを差し引いても、ルヴァンスレーヴの春が楽しみだ。

 

***** 2017/12/13 *****

 

 

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2017年12月12日 (火)

あかりちゃんに会いに

うどんの話が続く。御茶ノ水の聖橋を渡って湯島方面へぶらぶら歩いていると、「うどん」の3文字が目に飛び込んできた。暖簾には『竹や』とある。看板には「細打」の文字も。細かろうが太かろうが関係ない。なにせ今日はこの冬いちばんの寒さである。逃げ込むように暖簾をくぐった。

01 

14時過ぎにも関わらず店内10人以上の客がいた。人気店なのであろう。とはいえ、外観からは想像もつかないほど店内は奥に広いから、混んでいるというワケでもない。適当な席に座ってメニューを一瞥。すると「鴨南」があるではないか。鴨があれば鴨を頼むのが流儀である。だが、周囲を見渡せばカレーうどんを注文している人が多い。あまり注文しないメニューだが、たまには行ってみるか。郷に入りては郷に従うのも流儀である。

02 

スパイスの香りが際立ちながら、しっかりしたダシを感じることができるカレー。そのバランスが良い。だが正直、うどんよりライスじゃないかと思わせる。実際、周りの人は白飯を頼んでいた。

ライスに気持ちが向かってしまうのは、昨日の「黒うどん」と同じ。だが理由は多少異なる。こちらのうどんは丼の中にあって若干弱い。細打ちは悪くないのだが、細くて柔らかいがゆえにカレーの存在感に埋もれてしまうのである。そういう意味では鴨南にすればよかったか。またまたメニュー選択ミス。こうなったら、この悪い流れをどうにか止めなければなるまい。

そこで店を出て向かった先はこちら。今日はウインズじゃないですよ。

03 

神田明神ですね。『竹や』さんから歩くこと1分。近い。

厄払いを済ませたら神田明神のアイドルに会いに行く。ご存じですか? こちらには都内でも珍しい御神馬がいらっしゃるんですよ。その名も「あかり」ちゃん。あら……?

04 

寝てます。

05 

前回8月に参拝に来たときは、千葉に放牧に出ていて会えなかった。そして今回もお休み中とは、なんとも間が悪い。初詣でリベンジなるか。首尾よく会えた暁には『竹や』で鴨南だ。

 

***** 2017/12/12 *****

 

 

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2017年12月11日 (月)

白か黒か

先週土曜の話。以前から知人に勧められていた飯田橋のうどん店『雅楽』を訪れてみた。東京メトロ飯田橋駅のA2出口から2~3分と近い。お店はガラス張りで角には手打ちスペース。白を基調としたスタイリッシュな外観に期待は高まる。

Garaku 

ゆったりとしたカウンターに座りメニューを一瞥。「白ぶたの肉うどん」と「黒ぶたの肉うどん」。二種類の肉うどんがあるらしい。さて、どちらにしようか。メニューに写真は添えられてない。それが悩みを深める。そもそも「白」とか「黒」ってなんだ?

Menu 

悩んだ末にチョイスしたのは黒。たしかに黒い。その正体は甘辛く炊かれた豚肉であった。ご飯に載せたら旨そうだ。

Udon 

もちろんうどんは純白。やや固めで、形にバラつきがあるのは手打ちゆえであろう。それよりもツユに圧倒される。とにかく味が濃い。この黒さはツユの濃さゆえ。すき焼きのシメにうどんを入れた感じと言えば近いか。ともあれ、トシのせいか濃い味が苦手になる昨今である。白を選ぶべきだった―――と言いつつしっかり完食。でも次回は白にしよう。

店を出て、

Chochin 

総武線のガードをくぐり、

Gard 

小石川橋を渡って

Bridge 

見えてくるのは、

Wins 

まあ、いつものココです。店を出てから10分とかからない。これは嬉しい。馬券が当ればもっと嬉しい。

Wins2 

ちょうど中山9Rの霞ヶ浦特別の締め切り直前。ならばと枠連2枠総流しで勝負してみた。理由はもちろん黒帽だから。今日はとことん黒で勝負してやる。

―――が、結果は1着⑫クラウンディバイダ、2着①スマートエレメンツの枠連1-8で決着。あぁ、ここもやっぱ白にすべきだったかぁ。そもそも勝負事の前に「黒」を選んだ時点で失敗は見えていた。だいいち店の外観からして白かったはず。やはり次回は白にしよう。

 

***** 2017/12/11 *****

 

 

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2017年12月10日 (日)

日本人ジョッキーの逆襲

中山10Rの美浦Sは、準オープンクラスによる芝1800mの一戦。スタートから4番手で1週目のゴール板を通過したヴァンサン・シュミノー騎手のテオドールが、2コーナーでハナに立つと、そのままゴールまで粘り込んでみせた。

10r 

「またガイジンだよ」

スタンドの一角からそんな声が聞こえる。「正しくはガイコクジン」。そう言ってあげたところで発言の主は聞いちゃくれまい。ともあれ昨日の中日新聞杯をクリスチャン・デムーロ騎手が勝ち、神戸新聞杯のC.ルメール騎手から始まった外国人騎手による連続重賞勝利は12週に伸びた。今日の阪神JFでもC.ルメール騎手は1番人気、ここ中山のカペラSでもシュミノー騎手は3番人気に推されている。勝っても不思議ではない。

Kapera 

しかし、そのカペラSでシュミノー騎手はブービーに敗退。勝ったのは出走馬中ただ一頭の3歳馬・ディオスコリダーであった。3歳馬がこのレースを勝ったのは初のこと。とはいえスノードラゴンを筆頭に歴戦の古馬の猛追を凌いだその強さは本物であろう。キャリアは10戦と少ないが、今年の3月にはドバイに遠征し、海外の古馬相手にGⅠを闘ったキャリアの持ち主であることを忘れていた。

鞍上の津村明秀騎手はこれが今年の50勝目。これまでの最多勝利数が2007年に記録した38勝だから、今年の成績は突出している。年間重賞2勝も初めてのことだ。

阪神JFも日本人騎手が掲示板を独占した。GⅠでこんな成績表を見るのは、NHKマイルカップ以来7か月ぶりのこと。ラッキーライラックの手綱を取った石橋脩騎手にとっても、久しぶりのGⅠ制覇となった。彼はこれが今年の63勝目。津村騎手と同じく、石橋騎手もキャリアハイを更新し続けている。この二人、実は同じエージェントと契約中。エージェントにしてみれば、今日ほどの痛快事はあるまい。

エージェントの力量と判断が騎手の成績を左右する時代。それを「つまらない」という声に反対する理由も材料も持たぬ私だが、ルメール、デムーロ、ムーア、ボウマンらを相手に勝負して結果を残しているのは騎手自身である。今年のJRA開催は残り5日。日本人ジョッキーの逆襲を見たい。

 

***** 2017/12/10 *****

 

 

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2017年12月 9日 (土)

午夜博彩

今年の香港国際レースが明日に迫った。

エイシンヒカリやモーリスの快走はまだ記憶に新しい。ロードカナロアのスプリント連覇も衝撃だった。日本馬がマイル、ヴァーズ、カップを3連勝した2001年は逆に怖くなるほどだったし、ハクチカラ以来36年ぶりの日本馬による海外重賞制覇となった1995年のフジヤマケンザンの歓喜は今も忘れようがない。

そんな中にあって、1998年のカップを勝ったミッドナイトベットだけが、なんとなく世間から薄い印象を持たれているような気がしてならない。そうは思いませんか?

1998年の香港国際カップは、香港ダービーの勝ち馬ヨハンクライフや、安田記念でタイキシャトルの2着したオリエンタルエクスプレスなどの地元香港勢が人気を集めていた。日本のミッドナイトベットは、14頭立ての12番人気という超伏兵。5連勝で京都金杯も京都記念も制した1年前の勢いはすっかり影を潜め、日本を発つ直前のカシオペアSではブービーに敗れていたことを思えば、そんな低評価もやむを得なかったのかもしれない。

レースは五分のスタートを切ったものの、300mほど進んだあたり他馬に前をカットされ、ずるずると最後方まで下がってしまうという最悪の展開。私の隣で撮影していた「ギャロップ」誌のカメラマンは、「あぁ、こりゃ掲示板もないわ」とポツリ。彼はミッドナイトベットの複勝にドカンと突っ込んでいたのである。

それでも3コーナーで早くも河内騎手が動いて、4コーナーではなんと先頭。いくらなんでも無茶だと思うところだが、遠目に見ても手応えはそんなに悪くなさそうで、「あれ? 逆に単勝だったんじゃないですか?」と私。そのまま先頭を譲ることなく、ゴールを駆け抜けてしまったのである。

Mid1 

この勝利には3つの大きな意味があった。

まずひとつは、ミッドナイトベットが、日本国内では傑出したチャンピオンホースではなかった点である。ミッドナイトベットの勝利により、日本でGⅠを勝てなくても海外に適鞍があれば積極的に出掛けて行こうという流れが加速したように思う。

いまひとつは、勝ち時計の1分46秒9は、95年にフジヤマケンザンが記録したレコードをコンマ1秒上回るものだったこと。日本馬が叩き出したレコードタイムを日本馬が破るという構図は、すなわち日本競馬のレベルの高さの証しである。

そして最後のひとつは、社台グループにとってこれが初めての海外遠征での重賞勝利だったことだ。

ギャロップダイナのフランス遠征から苦節12年。スキーキャプテンやダンスパートナーでも為し得なかった悲願を4頭目のチャレンジでついに果たしたのである。ミッドナイトベットに帯同して現地で調教を任されていた社台ファーム山元トレセンの袴田調教主任は、12年前にもギャロップダイナと一緒に渡仏して馬と苦楽を共にした人物。表彰式での喜びようも際だっていた。ステイゴールドやハーツクライの栄光は、その1頭の能力だけで勝ち獲ったわけではない。

ちなみに、午夜博彩(ミッドナイトベット)の単勝配当は43倍。実は私はそれを150HK$買っていた。払戻金は当時のレートで10万円にもなる。

Mid2 

河内騎手感動のウイニングランを撮り続けながら、内心私は「よし、今夜はフカヒレ三昧だ!」とほくそ笑んでいた。ニヤニヤしながら払戻金を受け取り、ホテルに戻ってカメラ機材を放り投げるや、タクシーを飛ばして天下の名店『福臨門』に乗り付けたのである。

だが、店員から渡されたメニューを一瞥して、思わず妻と顔を見合わせた。

「足りないじゃん……」

さすが、天下の『福臨門本店』。フカヒレのコースは2人で10万円ごときじゃ食べられないんですね。勉強不足を痛感した香港でもあった。恥ずかしかったなぁ。

 

***** 2017/12/09 *****

 

 

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2017年12月 8日 (金)

忘年会兼祝勝会

更新遅れました。

Soba 

師走に入って酒席が続くのは仕方ない。付き合い酒は極力避けるタチの私とて、馬がらみとなれば当然断るわけにもいかぬから、大晦日まで宴席が目白押し。「年忘れ」というよりも、前夜の記憶さえあやふやな日々が続く。

今宵は社台会員の方々と八丁堀で盛り上がった。もちろん忘年会。一方で祝勝会でもある。ただし私の馬ではない。この秋、芝のマイル戦で2歳新馬勝ちを果たした方が一人。さらに芝の2000mで2歳未勝利を勝ち上がった方がもう一人。前者はロードカナロア牝馬で、後者はキンカメ牡馬である。お二方の馬主ライフの展望は明るい。となれば自然と話題は来年に向かう。これぞ「忘年会」の名に相応しい飲み方であろう。

それにしても、なぜ日本人は暮れになると「年忘れ」を理由に酒を飲むのであろうか?

「年忘れ」を辞書で引くと、「年末にその年の苦労を忘れるために開く宴会」とあるから、すなわち「年忘れ」という言葉自体が「忘年会」の意味を持つようだ。遡れば室町時代から使われていた言葉のようで、当時は年末に催した連歌の会を指したとも言われる。現代なら「紅白歌合戦」か「年忘れにっぽんの歌」といったところか。となれば自然と北島三郎さんを連想せずにいられない。有馬記念はキタサンブラックで鉄板のような気もしてきた。

ともあれ現代の「年忘れ」は親しい者同士が集まり、酒を飲んで一年の労苦を忘れ、息災を祝う会であろう。だが、悪いことをきれいサッパリ忘れるというのは存外難しく、むしろ良いことばかりを忘れてしまっているような気がする。大晦日の大井最終レースの発走を待ちながら、「今年は何もイイことがなかった……」などとひとり呟いてしまうのは、きっとそのせいではあるまいか?

Anago1 

それでも、大晦日に競馬場にいられること自体を、まずは喜ぶべきなのであろう。今宵は八丁堀の蕎麦店『すが』で珍しい穴子の刺身を堪能。穴子は穴党にとって縁起物でもある。もちろん蕎麦も美味い。ちなみに私個人の目標は「一年一勝」。それを達成できたのだから2017年はヨシとする。決して忘れてはならない物事に思いを寄せつつ酒を飲むのも、忘年会の大事な目的のひとつだと改めて思った。

 

***** 2017/12/08 *****

 

 

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2017年12月 7日 (木)

小間子の牧

千葉県の八街に「おまご」という地名がある。漢字で書くと「小間子」だが、かつては「駒郷」あるいは「公馬郷」だったという説も。ともあれ、このあたりは小田原北条氏の時代より野生の馬が多く棲息していた。

Omago_2 

やがて徳川の世になると、軍馬供給を目的に幕府直轄の牧(放牧地)として整備される。ちなみに、この周辺は江戸時代に牧が急激に開墾が進み、8番目に入植されたことから「八街」と呼ばれるようになった。

そんな八街市の一角に、「小間子馬(おまごうま)神社」という神社がひっそりと佇んでいる。

Torii 

徳川幕府が滅びた後、小間子の牧は鍋島家の所有となり、農業地帯へと開拓が進んだ。その開墾作業の先頭に立っていたのが旧鍋島藩士・中川純隆。森林を切り開くと言っても、今のように簡単な作業ではない。なにせ機械も自動車もなかった時代のこと。重要な役割を果たしたのは、当然のことながら馬である。運送から農耕といった力仕事を一手に担った馬は、開拓家族の一員であると同時に、家々の財産だったに違いない。

小間子馬神社は、大切な馬に対する保護鎮疫の思いと、地域住民の安泰を願い、中川らを初めとした地元有志によって建立された。神社の前の通りは「馬場道」と呼ばれ、かつては馬車が往来したという記録も残る。

鳥居から社殿に向かって左手にそびえる土手のような傾斜は「野馬土手」と呼ばれる。かつて野生馬を囲うために作られた人工の土手。すなわち小間子の牧の名残だ。

Dote 

こうした土手は八街市内にいくつか残されているが、この土手は各所から追い立てられて集まった馬を留め置き、ひと晩中見張りを立てていたことから、「夜番土手」とも呼ばれたらしい。夜間放牧みたいなものかと思うけど、そもそも当時は厩舎などなかった。かつては野生馬が群れを為して疾走していたであろうこの界隈から、馬の姿が消えて久しい。今では鳥居の脇に馬の石像が鎮座するのみ。昼さがりの境内には人っ子ひとりおらず、しんと静まりかえっていた。

Sekizou 

 

***** 2017/12/07 *****

 

 

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2017年12月 6日 (水)

握手とお辞儀

普段はほとんどやる機会はないのに、競馬場では頻繁に行う生活習慣がある。

断っておきますが、「頭を抱える」とか、「罵声を浴びせる」とか、「独りごとを言う」とかではありませんよ。まあ、だいたいがこれらは生活習慣とは呼べまい。

Akushu 

答えは「握手」。戦後、良くも悪くもアメリカ化した日本において、なぜか定着しなかったアメリカの作法である。日常的に握手を繰り返しているというのは、一部のビジネスパーソンや、政治家、芸能人、そして競馬関係者などごくわずかであろう。大半の日本人は、「お辞儀」という日本古来の挨拶様式を今も守っている。

握手もお辞儀も同じ挨拶行動だが、握手は手の中に武器を持っていないことを示す行為であり、すなわち友好の気持ちを表すもの。一方のお辞儀は、後頭部を相手に差し向けることによって、服従の意を示す行為である。

そういう意味では、握手は立場の高い人や祝福する側の人から手を差し出すのが基本。目下や祝福される側は、手を差し出されて初めて握り返すことができる。この辺の間合いは確かに難しいかもしれないが、握手が日本に定着しなかった一番の理由は、やはり衛生観念の問題に尽きるのではないか。

うがい、手洗い、マスクに象徴されるように、日本人ほど感染症を恐れる民族はほかにあるまい。それが高温多湿の国土で生活するために必要な習慣であるのだから、挨拶においても身体接触を避けるのは当然の成り行きであった。むろん、べっとり汗で湿った感触に対する生理的嫌悪感もこれに加わる。

今では挨拶時の握手も珍しくなくなった日本だが、ここでひとつの悲劇が起きる。握手をしようにも相手との距離感が掴めないから、手を伸ばしながらもなんとなく腰が引けてしまうのである。と同時に、日本人のDNAに染みついた習慣から、ついついお辞儀の姿勢を取ってしまうから、さらに腰が引けて卑屈きわまりない姿勢が生まれることになる。選挙の時に、候補者と有権者との間で繰り返される、あの姿勢を想像していただければ分かりやすいだろうか。日本人は総じて握手が苦手と言われる所以である。

そう言っている私も、握手しながらお辞儀してしまう癖がなかなか抜けない。検量前で、騎手や調教師にさりげなくスッと右手を差し出すオーナーさんたちを見て、「格好良いなぁ」とため息をつく日々である。

ところで、誤解しないでいただきたいのだが、お辞儀がダメだと言っているわけでは決してない。ようは、きちんと区別して、しかも自然に、できれば美しくこなせる大人になりたいということだ。

天覧競馬となった2005年秋の天皇賞。ヘヴンリーロマンスの馬上から、ヘルメットを脱いで、深々と両陛下にお辞儀をした松永幹夫騎手のあの美しさを覚えておいでだろうか。あのお辞儀は、日本のうるわしさが競馬場で具現されたという点で、生涯忘れ得ぬシーンである。

 

***** 2017/12/06 *****

 

 

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2017年12月 5日 (火)

寿美家と寿美屋

昨日の船橋7Rは、「寿美家うどん販売開始☆身も心も温まろう賞」という長いネーミングの一戦。12月のナイターは寒さとの勝負でもある。いかにして温まることができるか。それが馬券を制すると言っても過言ではない。いや、過言か。

Gata 

ともあれ、スタンド5階特観エリアに駆け上がり、『寿美家』の新メニュー「カレーうどんセット」を注文してみた。ちなみに昨日に限れば、通常850円のところが750円。これで懐も温まる。

Menu 

聞けば私が新メニュー注文第一号らしい。そのせいか厨房の中も何となくバタバタし始めた。もともとカツ丼が人気の店。しかも本業は寿司屋である。中山競馬場スタンド2階にも出店しているから、ご存じの方も多かろう。箸袋にもちゃんと「寿司処」と書いてある。

Udon 

カレーうどんにいなり寿司が2個。それに小鉢と香の物が付いてくる。特に目新しさはない。うどんは冷凍麺の茹で直し。つゆも普通。そこにカレーライス用のルーがかけてある。とはいえ、さして期待していなかった分だけ(失礼!)、妙に美味しく感じた。いなり寿司ではなく、人気のカツ丼とセットにすれば売れるかもしれない。

いちおう「身」の方は温まったので、あとは「心」を温めよう。それは馬券的中をおいてほかにない。『寿美家』さんの冠レースなら、「4(す)、3(み)、8(や)」でどうだ。どうせ真剣に予想したところでアテにならないメンバー構成。それなら「すみや」馬券で心を温めてやる。

438 

およっ!?

馬券の印字に間違いを見つけてしまった。レース名がおかしい。本来「寿美家」でなければならないのに、「寿美屋」となっているではないか。

Baken_2 

レース名誤印字の馬券となれば、かなりのレアモノ。たとえハズれたとしても、どこかのもの好きが100円くらいで買ってくれるかもしれない。こりゃ、ラッキー!

―――と思いきや、間違っているのは馬券だけではないかった。新聞も公式出走表も、すべて「寿美屋」となっているのである。

Denma 

もしや、店の方が屋号を買えたのか? 再び5階に足を運んで確認すると……。

Kanban 

そりゃ、そうですよね。屋号は簡単に変えたりしない。ただ、パドックにもビジョンにも「寿美屋」の3文字が溢れる状況に置かれると、店の看板の方が間違っているように思えてきた。

7r 

「寿美屋うどん販売開始☆身も心も温まろう賞」を勝ったのは、8枠12番プラチナバイオ。ゴール前は2着馬の脚色を見る余裕があった。2着が3枠3番ペラッチで枠単8→3は的中したが、あからさまな取りガミ。やはり3頭をしっかり当てなければダメだ。「寿美家」が「寿美屋」ではダメなのである。結局のところ、心まで温まるまでには至らなかった。どこかでうどんでも食って帰ろう。

 

***** 2017/12/05 *****

 

 

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2017年12月 4日 (月)

幸運のてんとう虫

「デムーロのゼッケンの下には、なんでてんとう虫がいるんだ?」

Tck 

てんとう虫―――?

Ten 

質問してきたのは昔からの馬券仲間。彼が突然そんなことに気付いたのは、ミルコ・デムーロ騎手がそれだけ活躍していることの証であろう。この秋だけでGⅠ4勝。それだけ勝てば露出が増えて、普段見向きもしないところに気が付いてもおかしくない。

ともあれ、てんとう虫はミルコのトレードマーク。母国イタリアでは、幸運を運ぶ虫として縁起がいいとされ、腹帯に限らず、彼の道具には大抵てんとう虫のステッカーが貼ってある。貼ってないと気分が悪くなるらしい。

ミルコはゲン担ぎに熱心なことで知られる。レースに勝てば、同じ道具を次のレースでも使う。だが、いったん負けるとすべて替える。鞭も、ブーツも、ジョッキーパンツも全て替える徹底ぶり。バレットさんは大変だ。

逆にC.ルメール騎手は、ゲン担ぎには無頓着だという。とはいえ、命を懸けてハナクビの勝負を繰り返すアスリートであることに違いはない。わずかな心の動揺や不安が、パフォーマンスに大きな影響を与えることもある。「ゲン担ぎはしない」と公言しつつも、無意識のうちにジンクスや縁起に注意を払っているに違いない。

小島太調教師が騎手だった当時、同じ服色の勝負服でありながら、ここ一番で着用する特別の一着があったという話を聞いたことがある。文字通りの「勝負服」。それを着るとレースに勝つ可能性が高まった。むろん合理的な根拠などない。ただ、本人がそう思っていることが重要。「やれることをやっている」という安心感が良いパフォーマンスに繋がる。

Sakura 

ミルコに話を戻すと、かつての彼は何週にも渡って連続して重賞を勝つことがありながら、一度スランプに陥ると数か月間にも渡って重賞未勝利だったりするタイプだった。来日前に騎乗していた香港では、一般レースも含めて86連敗の辛酸を舐めている。そこはイタリア人気質。良くも悪くも調子の波が大きいジョッキーだった印象が強い。

だが、最近のミルコは違う。GⅠ連対記録が途切れたJCの翌週も、土日で6勝の荒稼ぎ。チャレンジカップもしっかり勝ってみせた。チャンピオンズカップで騎乗馬に恵まれなかったとはいえ、引き続き好調の波は掴んでいるように見える。

Demuro 

レース前の彼を観察していると、ゲート裏の輪乗りの最中に身体のあちこちを触っていることに気付く。装備の確認は重要。だが、見ている限りそれだけでもなさそうだ。おそらくこれも必要なルーチンなのであろう。気付けば彼も38歳。来月には39歳になる。不調の波を抑える術を身に着けていても不思議ではない。

 

***** 2017/12/04 *****

 

 

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2017年12月 3日 (日)

WE GO !

中2の娘が「ウィーゴーを見たいから、今から大井競馬場に連れてって」と言い出した。

Wego 

ウィーゴーといえば東京ダービー馬プレティオラスの半弟。2013年の鎌倉記念で3着した実績もある。だが、逆に言えば“その程度”。それをわざわざ見たいというのはいったいどういうワケか。だいいち今日は日曜日。大井は開催してないじゃないか。

Wego2_3 

よく分からないまま大井競馬場に到着。駐車場に車を入れ、パドックに向かって歩くが、案の定人っ子ひとりいない。

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しかし、パドック付近に停められたトラックの車列をすり抜けてのウマイルスクエアに抜けると、驚きの光景が飛び込んできた。

Ooi2 

本日、ここ大井競馬場では「FURUGI FESTIVAL 2017」が開催されているらしい。一般の方々に加え人気の古着屋さんも参加する巨大なフリーマーケット。その古着屋さんのひとつがコチラ。ブランド古着「WEGO(ウィゴー)」だそうだ。

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古着にブランドがあることすら知らなかったが、ともあれこれが娘の目当てだったワケ。そりゃそうですよね。14歳の女子が、重賞勝ちもないサウスヴィグラス産駒を見たがるはずがない。

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それにしても、この人ごみには圧倒される。ウマイルスクエアだけを見れば、その賑わいぶりは先日の勝島王冠当日を遥かに上回る。しかも大半は女子中高生。中には犬連れの方も。その違和感たるや半端ではない。こういう機会でもなければ、二度とココには足を踏み入れることのない人たちであろう。

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品定めに夢中な娘を残してひと通り店を覗いてみた。古着屋以外では、焼きそばや唐揚げといった食べ物の屋台が数軒ある程度。馬や競馬に関する店はない。

Karaage 

そりゃあ「古着フェス」なのだから、馬のお店が必要ないのは分かる。でもシャレで一軒くらいあっても良かった。私なら勝負服の古着が売られていたら買いますけどね。

Ooi7 

ともあれ、初めて競馬場に足を踏み入れた人に、興味を持たせようとしないのはもったいない。そこらじゅうに「立ち入り禁止」のロープを張って、コースを見ることができないようにしてあるのも気になる。競馬場でありながら競馬を否定しているのではあるまいか―――。

なんて言いながら、それは些細なことだとも思う。「競馬場」をどう使うか。いかにして「競馬場」に来てもらうか。そこが重要。来るべき東京五輪を見据えれば可能性は広がるはず。大井の取り組みに引き続き注目したい。

 

***** 2017/12/03 *****

 

 

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2017年12月 2日 (土)

限界集落の快挙

51回目を迎えたステイヤーズステークスは、ライアン・ムーア騎手騎乗の1番人気アルバートが直線半ばで前を行くフェイムゲームを捉えると、瞬く間に2馬身半も突き放して圧勝。実にアッサリとこのレース3連覇を達成した。

Albert 

JRAの同一重賞3連覇は障害を含めても史上10頭目。快挙である。だが、ステイヤーそのものが絶滅危惧種に指定される近年は、長距離路線のレベル低下も甚だしい。路線の顔ぶれもほぼ同じ。いや、それどころか今回のステイヤーズSには4歳以下の参戦がなかった。半世紀を超えるステイヤーズS史上初の出来事。路線そのものが限界集落になりつつある。そこでの3連覇。これをどう捉えようか。賞賛の言葉を惜しむつもりはないが、評価は難しい。

アルバートが勝った3度のステイヤーズSのラップを1200mごとに区切るとこうなる。

 2015年 77秒1-76秒0-72秒8 3分45秒9
 2016年 77秒2-78秒9-71秒3 3分47秒4
 2017年 74秒8-76秒5-71秒7 3分43秒0

今年の勝ち時計3分43秒0はエアダブリンが叩き出したレコードより1秒以上も遅いとはいえ、エアダブリン後に行われた23回の中ではもっとも早い。

これは逃げたグランアルマダが果たした役割が大きかった。同じ勝負服のフェイムゲームにとっては理想的な流れ。アルバートより先に仕掛けたのも予定通り。上がり35秒台前半の瞬発力勝負になっては分が悪い。なにせ、昨年も一昨年も上がり35秒0で楽々差し切ってきた相手である。しかし昨年より4秒近いペースなら、そんな脚は使えまい。それなら目標になるリスクを承知で先頭に立ってしまおう―――。

そんな思惑を上回ったアルバートの上がりは34秒9。結局、この馬にはペースなど関係ないのであろう。ステイヤーには「無尽蔵のスタミナ」というイメージがつきまとうが、アルバートにはそれがない。どんなペースであろうとピタリと折り合う隙の無さ。言わば騎手と一体となっての強さである。3400m以上で(4,0,0,0)の成績は紛れもなくステイヤーの証。だが、この4勝すべてがライアン・ムーア騎手によってもたらされたことも忘れてはならない。

 

***** 2017/12/02 *****

 

 

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2017年12月 1日 (金)

おでんに燗酒

う~、さぶさぶ。陽気も律儀なもので、師走に入った過ぎた途端にこの寒さですよ。大井競馬場に到着するなり、たまらず4号スタンド「びっぐういんど」に飛び込んじゃいました。

寒い時は、やっぱおでんですよね。

Oden1 

おでんには燗酒がつきものだが、さすがにここは自重。十年前なら躊躇わず飲んでたかもしれないけど、最近はすっかり弱くなり、ワンカップ1杯飲んだだけで予想に支障をきたすようになってしまった。トシは取りたくないもんですな。

Oden2 

外国人から見ると、一年中酒を温めて飲む日本の習慣は奇異に映るらしい。私の妻は昔から燗酒が好きで、真夏に私がぐびぐびとビールを飲む隣で、ちびちびと御猪口をすすっていた。その時は「この暑いのに」と思ったことも確かにあったのだけど、最近になってようやく私も燗酒の良さに気づき始めてきたのかもしれない。冷やして香りと喉越しを楽しむより、米の旨味や甘みに重きを置くようになってきたのだ。

近年の日本酒ブームでは「良い酒は冷やで飲むもの」という誤った認識を飲み手に植え付けてしまった感がある。いや、私のその一人かもしれない。だが、「燗して飲むのは安酒」という認識は、あらぬ誤解である。

もともと日本酒という酒は、温度帯によって味わいが異なる。氷温に近いもの、10度以下の吟醸酒、室温など常温で飲む純米酒、そして人肌温度から熱燗までと実に幅が広い。同じラベルの酒でも、温度が違うだけでまるで違う酒に変化するのである。

基本的に生酒以外は燗ができると思っていい。大吟醸酒は、香りが飛ぶので40度が限度だが、純米、本醸造など、様々な酒と温度の相性を自分で探してみるのも悪くないだろう。燗をつけることで、常温では隠れていた様々な酒の個性が浮かび上がってくるので、それを楽しむのもまたいい。

Sake_2 

最近の私は、ひとりでそば屋に入って飲む酒は一杯目から燗酒である。暖簾をくぐるなり「天で一本つけてくんねえ!」なんて粋な注文はできないが、板わさなんかをつまみつつ、天ぷらそばが出来上がるまでの間を燗酒で過ごすあのひとときは、間違いなく幸せを実感できる時間ですよね。

 

***** 2017/12/01 *****

 

 

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