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2017年8月10日 (木)

桂の高跳び歩の餌食

藤井聡太四段の連勝が途絶えて、「藤井ブーム」は多少の一服感を見せた感がある。代わりに残ったのは「ひふみんブーム」。あらゆるメディアを問わず加藤一二三さんの名を聞かぬ日はない。

藤井四段が達成した「29連勝」の数字を聞いて、競馬ファンならドージマファイターが残した「29連勝」の日本記録を連想したのではないか。商売柄ゲームやギャンブルを好む棋士は少なくない。森内名人の麻雀、羽生善治三冠のチェスは有名。しかし、やはり最右翼は競馬であろう。先日現役生活を終えたばかりの森信雄七段は園田競馬で冠レースを開催していたし、米長邦雄永世棋聖などは競馬専門誌のレギュラー予想を任されていた。

しかし、中でもいちばんの競馬好きの棋士といえば、やはり渡辺明竜王で異論はあるまい。なにせ竜王戦のパリ対局の前日にサンクルー競馬場へと走り、馬券をベタ買いしていたというツワモノである。フランス語は分からなくとも出走表とオッズをもとに、単勝を3回当てたというから立派なもの。「大一番の前日に大丈夫?!」と言われたそうだが、本人は「オンとオフの切り替えがすぐ出来る」と意に介さない。

競馬場で渡辺竜王の姿を見かけることもしばしば。それもGⅠ当日とは限らない。そのスタイルは正統派の競馬ファンそのもの。しっかりパドックを観察して、モニタでオッズを確認し、普通にマークカードを塗って自席と窓口を往復している。2006年12月24日も日の暮れた中山競馬場に残り、ディープインパクトの最後の雄姿を見届けていらした。

Deep 

「C級1組」とか「B級2組」とかいう階級別の戦いを勝ち上がり、頂上のタイトルを目指すという構造は競馬のそれに酷似しているし、そういうクラス分けとは別に、個々の棋士の強さを数値かした「レーティング」まで存在している。だいたいが、将棋でも競馬でもすべては「駒」次第の勝負事。勝ち負けに関わる格言の類が多いのも競馬に通じる。

「桂の高跳び歩の餌食」

非公式戦ながら藤井四段と対戦した羽生三冠は、そんな格言を無視したかのような藤井四段の桂馬の使い方に驚いたという。そういえば、最近では「ケイマ」という名の馬も活躍している。500万、1000万と連勝中のその成績は「桂の高跳び」を思わせるが、そこは競馬のこと。「歩の餌食」を恐れる必要はない。

 

***** 2017/08/10 *****

 

 

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