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2017年8月 7日 (月)

ハナの日

今日8月7日は「鼻の日」。かつてこの日に行われた競馬の全レースがハナ差の決着となったことを記念して制定された………なんてことはもちろんなくて、8(ハ)月7(ナ)日の単なる語呂合わせ。とはいえ、決めたのは日本耳鼻咽喉科学会であるから由緒は正しく、しかも今年で58回目と歴史も古い。

だが、競馬ファンが「鼻」と聞けば、着差を連想するのが普通であろう。競馬ファンなら単なる「鼻」に一喜一憂した経験を持つはず。「鼻」に泣いたことも数知れず。戸崎騎手はJRA全10場制覇の偉業を「鼻」で逃した。定規で測れば長くても10数センチ。わずか1センチの場合もある。しかし、その小さな「鼻」がしばしば天国と地獄を分かつ分水嶺となる。我々にとって「鼻」とは、小さいがゆえにあまりに大きな意味を持つ言葉だ。

その大きさが端的に現れるのはダービーをおいてほかにあるまい。「もっとも運の良い馬が勝つ」と言われるこのレース。大一番でのハナ勝ちは幸運の証であろうし、逆に正念場でのハナ負けは不運の一典型と言えよう。だが、勝者と敗者のその後の成績を比較してみると、意外にも負けた方に軍配を挙げたくなるのである。

ダービーがハナ差の決着となったのはこれまで9回。年代順に記してみると、こうなる。

Derby2000 

1940年
イエリユウ
ミナミ

1958年
ダイゴホマレ
カツラシユウホウ

1961年
ハクシヨウ
メジロオー

1974年
コーネルランサー
インターグッド

1979年
カツラノハイセイコ
リンドプルバン

1981年
カツトップエース
サンエイソロン

2000年
アグネスフライト
エアシャカール

2012年
ディープブリランテ
フェノーメノ

2016年
マカヒキ
サトノダイヤモンド

ハナの勝負を制した9頭のダービーのうち、ハクシヨウ、コーネルランサー、カツトップエースの3頭はダービーを最後に引退。アグネスフライトとディープブリランテは現役を続けたが、ついに勝つことはできなかった。カツラノハイセイコのように天皇賞を勝ったダービー馬もいるが、特に平成に入ってからは、まるで一生分の幸運を使い果たしたかのように不振を極めるケースが珍しくない。

なぜだろうか。

Derby2012 

ディープインパクト級ならいざ知らず、たいていの馬は勝つ力を持っているだけでは、レースに勝つことは実は難しい。相手関係、馬場、気象条件、枠順、そして展開。実際にレースに勝つには、それなりのチャンスに恵まれれる必要がある。それがダービーならなおさら。そこでハナ差の接戦に持ち込んだのであれば、それこそ千載一遇のチャンスだ。なんとしても、絶対に、勝たなくてはならない。ダービーでのハナ差勝ちは、まさに全身全霊、全ての力を使い切った結果の賜物であろう。それが後の代償に繋がると分かっていても、あと10センチ先に競馬界最高峰の栄光が待っていると思えば引き下がるわけにはいかない。馬の体からすればほんの小さな鼻の差である。しかしそれが馬と人の運命を左右する。そのなんと残酷なことか。

Derby2016 

ところで、もっと小さい猫の鼻に関してこんな諺がある。

「猫は土用に三日鼻暑し」

いつもは冷たいはずの猫の鼻でさえ、土用の時季は暑くなるという意味。暑い暑い土用も、今日の鼻の日を以て終わり。明日は早くも立秋。とはいえ暑さはこれからが本番だ。

 

***** 2017/08/07 *****

 

 

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