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2017年7月 8日 (土)

早田の地と血

例年フルゲート必至のハンデ戦なのに、今年の七夕賞は12頭立てに留まった。穴党は多少物足りなさを感じているのではあるまいか。これでは、少なくとも2012年のような「14番人気馬の優勝」という驚くべきシーンが生まれることはない。

しかも12頭なのうち3頭までが、同じシルクレーシングの服色なのである。

Silk_2 

シルクレーシングが福島と関わりが深いことはご存知の通り。かつてクラブの経営に深く関与していた早田牧場(※2002年に経営破綻)は、もともとこの福島に本場を抱えていた。県内天栄村にある「天栄ホースパーク」にしても、今でこそノーザンファーム傘下だが、もともとは早田牧場の育成施設。ゆえにシルクは古くから福島競馬場をことさら重視してきた歴史がある。七夕賞の3頭出しは、その気概の現れであろう。

さらに出馬表をよくよく見れば、今年の七夕賞にはブライアンズタイムの血を受け継ぐ馬の名が、やたらと目につく。

ウインインスパイア(父がタニノギムレット)
ヴォージュ(母の父がタニノギムレット)
ゼーヴィント(母の父がブライアンズタイム)
バーディーイーグル(父がブライアンズタイム)

実はブライアンズタイムと福島競馬場の相性はすこぶるよろしい。先週のラジオNIKKEI賞を勝ったセダブリランテスの母の父はブライアンズタイム。昨年のラジオNIKKEI賞の覇者・ゼーヴィントの母の父もブライアンズタイム。さらに昨年の福島牝馬ステークスを15番人気で勝ってしまったマコトブリジャールの母の父もブライアンズタイムである。もっと遡れば、直子ビワタケヒデもラジオたんぱ賞を勝っているし、思えばあのナリタブライアンにしても、2勝目を挙げたのは福島のきんもくせい特別だった。

ナリタブライアン、チョウカイキャロル、マヤノトップガン、サニーブライアン、シルクジャスティス、シルクプリマドンナ、ノーリーズン、タニノギムレット……等々。

ブライアンズタイムと聞くと、クラシックに強い中長距離血統のイメージを強く抱いてしまいがちだが、その血統構成をよくよく見れば典型的な米国血統である。小回りの平坦コースはまったく苦にならない。ブライアンズタイムを輸入したのが、福島に縁の深い早田牧場なのだから、福島での好成績は当然―――そんな指摘はもちろん正しいが、それを割り引いても福島コースとの相性の良さはなお余りある。

ちなみに、早田牧場はハナっからブライアンズタイムを狙っていたわけではない。実際に欲しかったのは1988年の全米ターフチャンピオンのサンシャインフォーエヴァー。ところがトレード話がうまく運ばない。すると先方が「こっちだったら売ってやってもイイよ」と言い出した。それがブライアンズタイムだったという。

ブライアンズタイムとサンシャインフォーエヴァーは従兄弟同士で、しかもそれぞれの母親は全姉妹だから、両馬の血統構成はほとんど同じになる。とはいえマンノウォーS、ターフクラシック招待、バドワイザーインターナショナルと怒涛のGⅠ3連勝をマークしたサンシャインフォーエヴァーに対し、ブライアンズタイムはと言えばフロリダダービーを勝った程度。その実績にはかなりの開きがある。なのに、そのブライアンズタイムが大成功を収めるのだから競馬はわからない。なにせ遅れて日本にやって来たサンシャインフォーエヴァーからは、ほとんど活躍馬は出なかった。

実は明日の七夕賞に出走するマルターズアポジーの母の母の父が、そのサンシャインフォーエヴァーなのである。ブライアンズタイムとほぼ同じ血統構成を持つサンシャインフォーエヴァーが、やはり平坦の小回りを得意としていたとしても不思議ではない。実際、マルターズアポジー自身、福島コースでは(3,0,1,0)。うち1勝は福島記念である。明日の七夕賞では、福島の地にゆかりのある血を受け継ぐ馬たちの走りに注目したい。

 

***** 2017/07/08 *****

 

 

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