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2017年7月26日 (水)

【訃報】スマイルトゥモロー

2002年オークスは直線坂下の攻防。馬群をかき分けるように馬場の真ん中を割って伸びてくる一頭がいる。黄色い帽子に黄色い勝負服。道中は後方でレースを進めていたはずのスマイルトゥモローだ。

鞍上の吉田豊騎手の右ムチが一発、二発。ステッキが入るたび前との差が詰まる。残り100mで先頭に並びかけると、さらにもうひと伸び。グイッと1馬身半突き放して勝負は決した。吉田豊が右手を高々と挙げる。第63代「樫の女王」誕生の瞬間である。

Smile1 

今日、JRAの公式サイトがスマイルトゥモローの訃報を伝えた。まだ18歳。「小腸破裂」という言葉がなんとも痛々しい。

桜花賞では6着に敗れていた。出遅れに加え、4コーナーで大外に振られる不利を思えば、たしかに「善戦」と言えたのかもしれない。だが彼女は折り合いに致命的な難を抱えていた。800mもの距離延長がプラスに働くとは思えぬ。だが、それでもファンは彼女を4番人気に押し上げた。けだし慧眼であろう。もちろん、この大一番でピタリと折り合いをつけてみせた吉田騎手の手綱さばきも光った。

しかし、その後はオークスの快勝がウソのように折り合いに苦労し続けることとなる。象徴的なのが翌年の府中牝馬S。スタートからハナを奪うや、後続を大きく離してビュンビュン飛ばして行くではないか。1000mの通過は、なんと驚くなかれ56秒3。スプリンターズSにも匹敵するハイペース。さすがにラストはバッタリ止まって上がり38秒4を要したが、それでも3着に粘ったから評価に困る。高い能力は疑いようがない。だが、その能力を正しく発揮して1着でゴールしなければ評価はされない。それが競馬だ。

天皇賞(春)のイングランディーレ、シンガポール国際カップのシャドウゲイト、GⅠ馬ではないが何度かのシルポート。ホワイトマズル産駒は思い出したように突然快走する。かと思えば、一転して凡走を繰り返すことも珍しくない。そういう意味では、スマイルトゥモローも典型的な「ホワイトマズル産駒」だった。

Smile2 

個人的には短距離の走りも見てみたかった思いが消えない。それほどあの府中牝馬Sの大逃げは鮮烈だった。だがしかし、「樫の女王」のプライドは、安易な距離短縮を許さなかったに違いない。ちなみにオークスを勝つ前には福島の1200m戦を4馬身差圧勝の経験がある。それも二本柳壮騎手の手綱だった。1200mでの優勝経験を持つオークス馬は、スマイルトゥモロー以降誕生していない。

 

***** 2017/07/26 *****

 

 

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