« 果てしない大空と | トップページ | グランプリホースの血 »

2017年6月21日 (水)

脂身賛歌

「身体に悪そう」

「ゴムのような食感が苦手」

「アブラっぽくって胸焼けする」

かように豚の脂身を嫌う人は少なくない。ロースカツやポークソテーを注文しておきながら、脂身だけを残す人もいるほど。そのためお店によっては、わざわざ脂身を切り落としてから調理するところもある。

その一方で、豚肉でもっとも美味しい部位は脂身だと信ずる人もいる。実は私もそのひとり。だが、それはしかるべき調理が為されての話。脂分はしっかりと抜きつつ、それでもゼラチン質は溶け出さないように―――。それがあって初めて脂身は輝くことができる。

その上で、こちらの一皿をご覧いただきたい。

Pork 

むかわのレストラン『プラドジュール・イクタ』の道産豚のグリル。どうです。壮観な眺めでしょう。

先にお断りしておくが、こちらは定番メニューではない。ゆえにいつもあるとは限らない。その日はたまたまあった。んで、それをたまたま頼んだ。そしたら大当たりだった。そういう話である。

ひときわ目を引くのは、ホタテの貝柱のごとき巨大な脂身。その輝く光沢は、豚肉とは思えぬほど美しい。もちろん敢えてこの大きさで提供している。それは「ぜひ脂身を味わって欲しい」という店側の思いの証。アツアツのうちに、できれば最初のひと口目でガブッと行ってしまおう。

官能的な食感。のちに訪れる深い旨味。「脂身の概念が変わった」。脂身が苦手というお客さんは、たいていそう言って驚くらしい。そりゃそうだ。脂身が好きだという私だって驚く。

お店の奥様は「バター代わり」という表現を使った。なるほどパンが進む。だからと言ってアブラっぽいわけでもない。これがグリルの為せる業。トンカツでは、ここまできれいに脂が落ち切らないこともある。

むろん肉本体の方も負けてない。淡いロゼピンクの肉は厚さ3センチはあろうかという重量感。しっかり噛み応えがあるのに、肉質は柔らかでアゴが疲れることもない。ぎゅっと噛み締めると濃厚な肉汁が溢れ出し、旨味が口いっぱいに広がった。

Ikuta 

「こんなお肉を普段から食べているご主人が羨ましい」

つい、そんなことを口走ってしまった。しかしながら、ご主人も奥様もほとんど食べたことがないのだという。味見をするにしても、ほんのひとかけら。それで十分味は分かる。しかもご主人は常に空腹状態でお仕事をなさっているらしい。その方が「美味しくしたい」という欲求が無意識に働くし、いきおい分量も多くなる。だからサラダもご覧のボリューム。お客さんに「足りない」と思われることだけは、絶対に避けたいのだそうだ。

Salad 

かように今回は豚肉に打ちのめされたが、常連さんによれば鶏肉料理も絶品なのだとか。なぜか。実はご主人、焼き鳥屋さんも経験なさっているらしい。ならば鴨などは最高であろう。次に訪れるべきは冬だな、こりゃ。

 

***** 2017/06/21 *****

 

 

|

« 果てしない大空と | トップページ | グランプリホースの血 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

競馬」カテゴリの記事

コメント

楽しんでらしてくださいhappy01

投稿: 店主 | 2017年6月22日 (木) 08時16分

店主様
こんばんは。いよいよ私の口にイクタの逸品が金曜日の夕刻に入ります。楽しみでなりません。ヨダレが(´ཀ`

投稿: すかどん | 2017年6月22日 (木) 03時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 果てしない大空と | トップページ | グランプリホースの血 »