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2017年6月 9日 (金)

【訃報】タートルボウル

昨年の社台グループ牧場ツアーでのこと。新千歳空港を出発し、社台ファームへと向かうバスの車内に、いくぶん驚きを含んだ声が響いた。

「シーハリケーンが勝っちゃった!」

2016年6月18日阪神1Rの2歳未勝利戦。デビューから中1週で臨んできたシーハリケーンが、松山騎手を背にハナ差で逃げ切って見せたのである。それでなぜ驚きの声があがるのか。7番人気の低評価だったせいもある。だが、実はシーハリケーンは新種牡馬タートルボウルの産駒であり、これが日本における産駒の初勝利だった。「まさか勝つとは……」。車内には、しばしそんな空気な漂ったと記憶する。

あれから1年。今年の牧場ツアーの直前になって、タートルボウル急死の報が飛び込んできた。種付け後に倒れたという。15歳は若い。ディープインパクトと同い年ではないか。

Turtlebowl1 

ハービンジャー、ワークフォース、そしてノヴェリスト。

ここ数年、欧州の大物を次々と導入した社台グループの輸入種牡馬群にあって、タートルボウルは正直あまり目立つ存在とは言えなかった。今回の訃報にしても、さほど大きく取り上げられた形跡はない。

もともとハービンジャーやワークフォースとタートルボウルとでは立場が異なっていた。それはタートルボウルがすでに現地で種牡馬入りしていたこと。欧州に残してきた産駒の中には、仏2000ギニー馬ルカヤンや、クリテリウム・インターナショナルの勝ち馬フレンチフィフティーンといった活躍馬がいる。実績を確認してから連れてきたのだから、「バリバリのメジャーリーガーを連れてきた」という当時の触れ込みも、決して的外れではなかった。

しかし、そうはいっても認知度の低さを補うのは容易ではない。種牡馬事業は人気商売でもある。

だからこそシーハリケーンの勝利に関係者は色めいた。「産駒は総じて仕上がりが早く、2歳から活躍が見込める」というのは看板に偽りはなかったのである。

「タートルボウル産駒をどう勧めればいいのか……」

ツアーに添乗した社台のスタッフは、そんな悩みを打ち明けてくれたが、シーハリケーン勝利の報を聞いて一転、タートルボウル産駒をガンガン推してくるのだから始末に負えない(笑)。なにせシーハリケーンは社台ファームの生産馬でもある。それを受けてこちらも「ひょっとしたら……」と考えてしまうのだから、我ながら情けない。まあ、結局買うことはなかったけど。

Turtlebowl2 

その後、フライングショットが道営のサッポロクラシックカップを勝ち、アンジュジョリーが東京プリンセス賞を制した。たしかに2歳から活躍という看板に偽りはなさそう。だが、その一方で産駒は総じてスピード不足の印象が拭えない。むろんプロもそれは分かっているから、今年あたりから配合パターンの見直しを考えていたことだろう。そんな矢先の訃報であった。

我が国に残された産駒は5世代。その中からルカヤンやフレンチフィフティーンを上回る産駒が現れることを期待しよう。それがフランス競馬に対する礼儀でもある。

 

~週末に走を予定しているタートルボウル産駒~

 【6/10(土)】
  東京5R クワトロダッシュ
  阪神8R ラバピエス
  阪神12R トリオンフ

 【6/11(日)】
  阪神1R アザブジュウバン
  阪神6R サダムドミニック

 

***** 2017/06/09 *****

 

 

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