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2017年6月22日 (木)

グランプリホースの血

宝塚記念の出走枠順が確定した。登録のあった11頭すべてが出走する。

「じゃあ、なんのためのファン投票か?」

そんな声が上がるのも頷ける。なにせ過去20年、宝塚記念がフルゲートで行われたことは二度しかない。「ファンが出走馬を決めるドリームレース」とか言っておきながら、実際には出たい馬が出ているだけ。それではふつうのレースと変わりはない。「出否を迷う有力馬が、ファン投票の得票数に後押しされて出走を決断することもあるはず」。そんなファン投票擁護論も稀に耳にするが、それは競馬にとって、あるいは馬にとって、果たして正しいことなのか。議論は尽きない。

「大阪杯がGⅠに昇格したせいで、宝塚の頭数が減った」

今年はそんな声も聞いた。だが、私はこの主張の根拠が分からない。そもそも宝塚記念といえば少頭数が相場。過去57回の歴史において、12頭以下で行われたことが30回もある。1961年の第2回に至っては、6頭立ての予定が2頭が取り消し、わずか4頭でレースが行われた。

1999年の宝塚記念も12頭立てだった。1番人気は武豊騎手が手綱を取るスペシャルウィーク。AJCC、阪神大賞典、天皇賞(春)と3連勝中である。メンバーが手薄になったここは負けられない―――。

だがしかし、そこは競馬である。正攻法でレースを進めるスペシャルウィークをがっちりマークしたのは、前年の有馬記念の覇者グラスワンダー。4コーナーでスペシャルウィークが早めのスパートに打って出ると、間髪入れずにグラスワンダーも仕掛けた。相手はスペシャルウィークただ一頭。危険な作戦だが、強い相手を倒すにはこの作戦しかない。終わってみれば3馬身差でグラスワンダーの圧勝である。

Grass1 

そんなグラスワンダーの血を引く一頭を、今年の宝塚記念の出走表に見つけることができる。それがスクリーンヒーロー産駒のゴールドアクター。彼自身もまた、一昨年の有馬記念を勝ったグランプリホースだ。

ところで、ステイゴールドの産駒がグランプリ(有馬記念・宝塚記念)に強いことはよく知られている。ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ナカヤマフェスタ、そしてゴールドシップ。この4頭で9勝だから凄い。シーズン末期の、少しばかりタフな芝がステイゴールド産駒にフィットするのであろう。それならグランプリ3連覇のグラスワンダーの血にも、そんな素質が備わっていても不思議ではない。

期せずして、今年の宝塚も武豊騎手の一強ムード。18年前にスペシャルウィークを倒したグラスワンダーの血が、突如として覚醒することはないのだろうか。

Grass2_2 

昨秋、種牡馬シンジケートが解散してしまったグラスワンダーは、この春からビッグレッドファームで種牡馬生活を送っている。マイネルの重賞勝ち牝馬とも配合されているのは、期待の高さの表れであろう。息子スクリーンヒーローは受胎率が低く、産駒誕生率が5割に満たない現状も後押しして、今年も50頭を超える交配相手を集めたそうだ。

日曜の関西地方は「曇時々雨」の予報。渋った馬場を気にするようなゴールドアクターではない。祖父の新たな船出を祝う勝利を、仁川から遠く新冠に届けることができるだろうか。

 

***** 2017/06/22 *****

 

 

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コメント

コメントありがとうございます。

詳しく書くにはスペースが足りませんが、端的に言えば共倒れの危険があるということですよね。「この相手を倒したい」という気持ちが勝れば、ほかの相手に隙を見せることにもなります。
また、潰しに行った相手に逆に潰されることもあります。その場合、馬が受けるダメージは通常の負けより大きく、競走生活そのものに深手を負いかねません。
まあ、そういうレースは何年かに一度あるかないかなので、注意深く見続けてください。

投稿: 店主 | 2017年6月24日 (土) 08時38分

はじめまして、こんにちは。

> 危険な作戦だが、強い相手を倒すにはこの作戦しかない。終わってみれば3馬身差でグラスワンダーの圧勝である。

競馬を始めたばかりでよくわからないのでお聞きしたいのですが、強い相手を1頭マークする作戦はどのような点で危険なのでしょうか。

投稿: 競馬初心者 | 2017年6月23日 (金) 20時49分

メジロライアン、メイショウドトウ、ダンツフレームですねhappy01
今年であればサウンズオブアースあたりがチャンスだったはずなんですが、ドバイからの転戦が1頭もいないようでは……。やはり魅力がないんですかね。

投稿: 店主 | 2017年6月23日 (金) 09時41分

個人的に宝塚記念は、G1をなかなか勝てない馬の為の
G1なので現状で良いと思っております。

まあ今年は、ブラックが勝つと思いますけど。

投稿: tsuyoshi | 2017年6月23日 (金) 06時25分

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