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2017年6月30日 (金)

補欠からの栄光

帝王賞当日の大井競馬場。予想イベントでステージに立った安藤勝己元騎手の本命馬がケイティブレイブだと発表されると、ステージに詰め掛けた聴衆からどよめきが沸き起こった。無理もない。なにせ6番人気である。JRA所属馬7頭の中では唯一GⅠ勝ちの経験を持たない。そんな馬をなぜ?

しかし、アンカツさんが掲げた理由は明快であった。ドバイ帰りの上位人気馬は疲労の色が隠せない。加えてケイティブレイブには補欠から繰り上がった運もある―――と。

実際、ドバイに遠征しなかったケイティブレイブとクリソライトの2頭で決まったのだから、氏の慧眼は素晴らしい。馬単は5280円もついた。逃げると思われたケイティブレイブが出遅れた瞬間は肝を冷やしたかもしれないが、結果的には先々の展望が広がる勝ちっぷり。疲労が無ければ、そして運の後押しがあれば、これくらいは走ってもおかしくはないと踏んでいたのだろう。

帝王賞の登録メンバーが発表された時点で、ケイティブレイブは補欠の1番手。出走順上位のメンバーに、「登録だけ」という冷やかしは見当たらない。出走は難しそうだ。ならば盛岡のマーキュリーカップに回ろう。陣営はそう漏らしていた。だが、まさかのコパノリッキー回避である。このチャンスを逃してなるものか。そう思えば関係者も自然と力が入る。

Teio 

 1999年 東京大賞典 回避:ウイングアロー → 繰上:ワールドクリーク
 2006年 ダービーGP 回避:フサイチリシャール → 繰上:マンオブパーサー
 2015年 JBCスプリント 回避:タガノトネール → 繰上:コーリンベリー 
 2017年 川崎記念  回避:グレンツェント → 繰上:オールブラッシュ
 2017年 帝王賞   回避:コパノリッキー → 繰上:ケイティブレイブ

出走順上位馬の回避で補欠から繰り上がり出走を果たした馬が、そのまま優勝してしまう例は、ことダートグレードレースに限れば決して珍しいものではない。つまりそれは出走馬と補欠馬との間にさほどの力量差がないことの証。これは一方で、優勝馬に匹敵する能力を持ちながら除外された馬の存在を示唆している。

今回の帝王賞で、ケイティブレイブの優勝を間接的にアシストしたコパノリッキーにしても、もともとは補欠からの繰上げ出走のチャンスをモノにし、一躍スターダムにのし上がった一頭だ。

2014年のフェブラリーSのコパノリッキーは、登録時点では補欠1位タイだった。だが、出走順上位のテスタマッタが突然の引退を発表する。コパノリッキーは1頭分の枠を巡って、同じく補欠1位タイのケイアイレオーネを抽選で破り、晴れて出走を果たした。最低人気は仕方ない。しかし、結果は誰もが驚く逃げ切り勝ち。しかも殊勲の田辺騎手は、もともとはテスタマッタに乗る予定だった。

Feb 

いろんな出来事が最終的にどう転ぶか―――。それは誰にも分からない。出遅れた逃げ馬ケイティブレイブが、あれほど見事な差し切りを決めると、いったい誰が思ったか。騎手ですら予想だにしていなかった。「人間万事塞翁が馬」は文字通りウマにまつわる故事ではあるが、これがもっとも端的に現れるスポーツは、おそらく競馬であろう。

 

***** 2017/06/30 *****

 

 

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