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2017年5月 9日 (火)

ラニの挑戦

パドックを周回していた1番人気馬が、突然パドックから姿を消した。どうした? 何かアクシデントでもあったのか?

Rani1_2 

先日のブリリアントSでのこと。馬は、その時点で1番人気に推されていたラニである。

Rani2 

ざわめくスタンドをよそに、当の本人(馬)はパドック出入り口付近の誘導馬待機所にいた。どうやら頭絡の紐が耳の後ろに引っ掛かってしまったらしい。それでいったんパシュファイアー付きのメンコを脱ぎ、頭絡を掛け直して、またメンコをつけた。その間、馬はずっと大人しく従っている。私にはそれが意外だった。

Rani3 

なにせ、昨年のドバイ遠征では、たまたま顔を合わせたカリフォルニアクロームと睨み合い、そして呻り合い、最終的に相手をたじろがせたというツワモノである。ちなみに、カリフォルニアクロームはラニより2歳年上の全米年度代表馬。そのエピソードのせいか、ドバイ後の米国遠征では「ゴジラ」の愛称で呼ばれていたと聞く。その暴れん坊が、こんなにも大人しいものだろうか?

武豊騎手を背にダートコースに姿を現したラニは、メンコを外していた。UAEダービーと米3冠レースすべてで手綱を取った武豊騎手も、ラニに跨るのはベルモントS以来のこと。久しぶりの感触を確かめるかのように、ゆっくりとキャンターにおろすと、悠然とスタンド前を通過していった。

Rani4 

8着に敗れたドバイワールドカップの直後、手綱を取ったR.ムーア騎手から「もっと長い距離のレースを使った方が良い。長い距離なら重賞を勝てる」との進言があったという。今回のブリリアントSは2100m。たしかにドバイワールドカップよりは長いが、強調できるほどの距離延長とは言いがたい。実際、レースでは好スタートを決めた割には、あっという間に後方に置かれた。そのまま直線に向いてもジリジリとしか伸びてこない。ゴールでは4着まで押し上げたが、勝ったミツバは6馬身も前。完敗であろう。4角3番手から伸びたミツバの上がり3ハロンが36秒0。追い込むラニが36秒1では勝ち目はない。

聞けばこの中間から調教内容を変えたそうだ。これまでのEコース2周から、坂路を1本上ってからEコースへ。「スピードが足りないからメリハリをつけようと思って」と松永幹調教師は意図を説明するが、果たして成果はあったのだろうか。それでも武豊騎手は「久しぶりに“らしさ”は見えた」と評価。ドバイ2戦の遠征から2か月しか経ってないことを思えば、これで十分。―――そんな見方もできるかもしれない。

レースぶりを見る限りはムーア騎手の言葉が重みを増す。だが、いつも書くように、JRAで2100mを超えるダートのオープンレースは行われていない。さらに長い距離を求めてダートグレードを使おうにも、賞金不足で除外が確実。ならばと地方に移籍してしまうにも、UAEダービー馬の看板が邪魔をする。

いずれにせよ、ラニは自力で道を開くしかない。そのとき気になるのは、意外なほどの大人しさである。私が知るラニはもっと闘争心を剥き出しにして走っていたはず。いずれタピットの後継種牡馬となるべき一頭である。武豊騎手は「らしさ」を求めた。大人になどなる必要はない。

 

***** 2017/05/09 *****

 

 

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