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2017年5月24日 (水)

じゃがいも三昧

ホテルウイングインターナショナル千歳内のレストラン『ゆめぜん ぽてと』には、「ぽてとのポテトフライ」という一風変わった名前のメニューがある。

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ご覧の通り、その正体はごく普通の皮付きのポテトフライ。使用するのは甘みの強い北海道産のキタアカリで、包丁ではなく手で割ってから揚げるらしい。そのひと手間で味が変わるそうだ。言われてみれば、たしかに食感が違う。「カリッと感が増している」と書けば近いだろうか。

さて、ホテルを出て数分。地元住民に愛され続ける居酒屋『あし彩』が暖簾を掲げていた。

新千歳空港内に勤める友人に連れてきてもらったのは、もう20年も前の話。当時は安くて美味いのに空いてるだけの(?)、単なる穴場的一軒だった。だが、ミシュランガイド北海道版にビブグルマンで紹介されてからというもの、状況は一変。いまや、わざわざ道外から訪れる客もいる人気店である。まあ、私もその一人ではあるのだけど、それでもクオリティが大きく落ちなかったことは、せめてもの救いであろう。

店の看板メニューは、新鮮な真ツブや、白老牛のサイコロ焼きなのだが、私のお気に入りは当然コチラ。

Potato2 

「じゃが芋の乱れ揚げ」は、一口大に切ったジャガイモの素揚げに過ぎないのに、なぜかこれがことのほか美味い。その大きさに秘密があるのか、塩加減が絶妙なのか、あるいは店主が特別な訓練を施したジャガイモなのか、その辺りは謎のままだが、地元客のほとんどが注文しているところを見れば、私一人が美味い美味いと騒いでいるわけではあるまい。ジャガイモの素の味がストレートに伝わってくる逸品。ミシュランが目を付けるのも頷ける。

Menu 

帰途に新千歳空港の土産店「カルビープラス」をチラッと覗いてみたら、ポテトチップスの袋はひとつとして置かれてなかった。昨年の水害の影響で、ポテトチップス用のジャガイモは供給不足が続いている。そんな状況下でポテトフライを思う存分味わえる幸せを噛み締めたい。

そんなわけで、羽田に降り立つや大井競馬場に直行。脇目もふらずにLウイング1F『東京ロテサリー』に向かい、ポテトを注文した。

この店ではトッピングソースを選べるシステムになっているのだが、私はそれを断ることにしている。ケチャップさえ必要としない。チキンから滴り落ちた脂をたっぷりまとったジャガイモをひと口頬張れば、口の中で旨味と甘味が激しくせめぎ合う。この店のジャガイモとて、いた品薄になるか分からぬ。そう思うと、余計に美味い。

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ところで、冒頭の「ぽてとのポテトフライ」を、同じ系列ホテルのポテトサラダウイング苫小牧でも出してもらえないだろうか。来月はそちらに泊まることが、既に決まっている。フレンチのコース料理店より、一皿のポテトフライの方が私にはずっと嬉しいのだが……。

 

***** 2017/05/24 *****

 

 

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2017年5月23日 (火)

初夏のストーブ

寒い寒いと騒いでいるのは東京の人間だけかと思ってたら、さすがに地元の人でも寒いと感じるようで、札幌競馬場の厩舎にはストーブが焚かれていた。

Stove 

いやあ、暖まりますねぇ……って、オイ! 真夏日の陽気に焼かれたオークスからまだ2日しか経ってないじゃないか。極端過ぎて年寄りの身体には堪える。

ともあれ札幌競馬場はHBAトレーニングセール。公開調教は昨日のうちに終わっていて、今日は1日かけてセリが行われる。スタンドのホールには即席の、しかし立派なセリ会場が設営され、セリの開始を静かに待っている。

さてこちらはホワイトハートの2015。

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ホワイトハートは船橋ばかりで5勝。額のハートマークで人気を集め、2012年のホワイトデーに合わせて出走して話題にもなった。お父さんも船橋の英雄・フリオーソ。その出自を鑑みれば、船橋の関係者にぜひともお声掛け願いたい。

White0 

それにしてもセリというものは、見るほどに不思議だ。まったく手が挙がらない時間帯がしばらく続いたらと思ったら、一転して掛け声が止まらなくなったりする。上場馬の質に偏りがあるわけではない。あたかも低気圧と高気圧が交互にやってくるように、会場全体を支配する“空気感”のようなものが、落札結果を左右しているように思えてならない。人間にしてみれば単に金の問題だが、馬にとっては一生の問題でもある。誰もがモーリスになれるわけではない。

White2 

おかげさまで、ホワイトハートの2015は520万円で落札していただいた。ご購入いただいたのは岩手県馬主会様。ありがたい。ありがたいが、岩手は遠いなぁ。

……なんて思いながらパドックに出ると、船橋の某調教師にばったり遭遇。「なぜ買わない!この血統はアンタの血統だろ!」と怒鳴りたくなる気持ちをグッと堪えて、「良い馬はいますか?」とにこやかに声をかけた。どうやら、欲しい馬は後半らしく、前半は模様眺めに徹しているらしい。

つまり、そういう事情も含めて「セリ」なんですよね。208頭もいれば、つぶさに全頭見て回るのはどだい無理な話。誰もがジャガーメイルになれるわけではない。

それでふと思い立って、無理矢理時間を作ってジャガーメイルを見にノーザンホースパークに立ち寄った。滞在できる時間は15分。そんな私の事情を察してか、厩舎の窓から彼だけが顔を出してくれたのである。これが今回いちばんの奇跡に違いない。

Jagur 

今年のHBAトレーニングセールでは155頭がめでたく落札。その中から、第二のモーリスやジャガーメイルが登場することを願ってやまない。

 

***** 2017/05/23 *****

 

 

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最低気温かと思ったら

苫小牧の「13度」って、最低気温の予報かと思ったら、最高気温だった。

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ちなみに今の千歳は11度。今日は札幌から苫小牧の予定です。寒いよう。

 

***** 2017/05/23 05:20 by mbile *****

 

 

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2017年5月22日 (月)

500マイルのハシゴ馬券

開催の初日を迎えた大井競馬場は、的場文男騎手一色に彩られている。的場さん、あらためまして7千勝おめでとうございます。

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さあ、1レース。1番人気に推されているのは、フィガロ産駒の芦毛馬・ウィン。

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4歳5月にして初めての勝利を飾ることを願って単勝を買ってみたら、なんと1着ゴール。これは珍しい。いや、珍しいというのは、私の単勝が当たることですよ。

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それにしても暑い。東京は4日連続の夏日。そのせいで先日も体調を崩したばかり。このままじゃいけいない。馬券を買うにしても、どこか涼しいところに場所を移そう。

そんな訳で移動中。

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移動中…。

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移動中……。

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移動中………。

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到着!

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気温16度とはさすがは北海道。これで暑さを気にせず馬券に集中できるゾ。

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さあ、仕切り直しで大井10レース。注目は6枠8番のフライトリーダー以外いまい。なにせ彼はさきほど大井1レースで走ったウィンのお兄さん。その芦毛はお母さんのデザートローズ譲りである。弟の馬券の払戻金を全額お兄さんにつぎ込んで、飛行機代の足しにしよう。

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しかし結果はアタマ差2着。あらら……。

その後も、大井とばんえいにベタベタと手を出したが、ことごとくハズレ。場所を変えたのが裏目に出たか。ちなみに、大井で買った的中馬券は、AIBA千歳の払戻機で払い戻すことができました。今日のようなハシゴをする人には助かりますね。なんて、そんな情報をお知らせしたところで、実践する人はいないだろうけど(笑)

 

***** 2017/05/22 *****

 

 

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2017年5月21日 (日)

善哉さんの想い

今年のオークスはブラックオニキスの関係者に同行した。前日オッズは最低の18番人気。キャリア11戦は出走メンバーの中でもっとも多い。それでもオークス出走は誉れである。たとえ近走不振であっても、クラシックは早い者勝ち。2歳から勝てる仕上がりの早さも試される。胸を張っていい。

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ブラックオニキスの祖母・カリビアンナイトはオールドファンが泣いて喜ぶアスワンの産駒。旧・社台ファームの生産馬で、吉田善哉さんのお気に入りの一頭だった。

経験馬相手のデビュー戦。逃げ馬有利の中山のダート1200mを追い込んで完勝。そのスピードには善哉さんも一目置いたほどだが、アスワンの子はどうしても脚が外向気味に出る。カリビアンナイトもその例に漏れなかった。ほどなくして脚元を痛めてしまうが、善哉さんたっての希望で長期休養に入る。が、ついに2勝目を挙げることなく引退を余儀なくされた。

その娘・ラリマーがやはり外向に出たのは仕方ない。むしろ問題だったのは気性難。そのせいでデビューが3歳12月まで遅れた。初勝利を挙げたのは、地方でも後の無くなった4歳3月である。しかしそこから1年あまりで6勝は簡単にできることではない。能力の一端を示して、ラリマーは5歳で牧場に戻った。

ちなみにラリマーとは「カリブ海の宝石」とも呼ばれる宝石の名前。むろん母のカリビアンナイトからの連想である。そのラリマーの娘がブラックオニキス(黒メノウ)。善哉さんの想いは、ちゃんと繋がっている。当時は白老にあった社台ファームで、カリビアンナイトが誕生してから29年。その孫娘がオークスに出る。そこで待ち受けるのは、照哉さんのソウルスターリングや勝己さんのリスグラシューたち―――。

今年のオークス、私はそんな構図でレースを見届けた。

Soul 

結果は照哉さんの圧勝。ルメール騎手は「距離は4000mでも大丈夫」とおどける余裕を見せた。仏オークス馬に怪物フランケルというスケールの大きな配合からすれば、凱旋門賞を目指してもおかしくない。レース後はそんな話題で外野は勝手に盛り上がる。しかし、日本を代表する“生産者”としての照哉さんの心境はいかばかりか。「持込だからなぁ」。盛り上がる外野からは、そんな厳しい言葉も。牧場としての真価は、ソウルスターリングの子で初めて問われる。それは表彰台の真ん中に立った照哉さんの長男・哲哉さんの仕事になるかもしれない。

Onix2 

ブラックオニキスは7着。低人気を裏切る好走に関係者は喜んだ。直線の坂で止まってしまうんじゃないかとハラハラしていたのだが、クローバー賞で見せた粘り腰が大一番でよみがえったのは大きい。テン乗りの騎手も上手く乗ってくれたが、今日は馬が頑張った。きっと善哉さんも満足したに違いない。

 

***** 2017/05/21 *****

 

 

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2017年5月20日 (土)

鬱になったら

昨日の夕方、とある社台の会員さんと久しぶりに会ったので、その流れで酒を飲んだ。「ふんじゃ軽く飲む?」。そう言って、馴染みのうどん屋の暖簾をくぐったのだが、なんだかんだでハイボール10杯ずつ。泥酔のあまりシメのうどんなんて食べられる状況ではない。久しぶりのせいかちょいと盛り上がり過ぎた。

もともとは週イチで飲んでいた相手。それが久しぶりになったのは事情がある。年明けくらいからメールの返信が来なくなった。携帯に電話しても繋がらない。これはヤバいかな……と思っていたから、「実は鬱になっていた」と切り出されてもさして驚くこともなかった。

なにせ私も鬱の症状に悩まされた身。だから相手の行動や言うこともよく理解できる。私はちょうど去年の今頃。競馬場の仕事をやめた直後だった。それで競馬への興味が薄れるのは仕方ない。だが驚いたことに、自分自身のことを含めたあらゆる興味も一緒に失われていくのである。そこには当然メールも含まれる。興味が起きないからいっさいの行動をしない。結果、昼夜となく寝て過ごすことになる。

馬券仲間に誘われても「負けるに決まってるから」と断ってしまう。北海道のセールに行くことになっていたのも、「どうせ売れない」と思い始めたらもうダメ。帰りの飛行機で疲れ果てている自分を思い浮かべる。無理だ。行けない。結果キャンセル。そんな日々が夏まで続いた。

鬱には競馬が有効だとする説があるらしい。まあ、競馬が気晴らしになることは周知の事実。当たり外れは関係ない。馬を見るだけで癒されることもあろう。だが、もともと競馬にどっぷり浸かっているような人には、逆に競馬がストレスになり得る。だから私は競馬を遠ざけるように心がけた。代わりに目を向けたのは馬術競技。昨年のブログを読み返すと、たしかに馬術競技に関する記述が多い。

件の会員氏も似たような対処をしているという。馬券は買わない。社台の1歳馬も今年は買わないし、募集馬のカタログもいっさい見ない。まあ、そのおかげで、こうして飲んで話せるようになっているのだとすれば、それもヨシとすべきであろう。

Faron 

6度の英チャンピオンジョッキーと3度のダービー制覇を誇り、短期免許で来日したこともあるキーレン・ファロン騎手の引退の理由は、重度の鬱病だった。たかが心の問題―――。そうも簡単に言えない時代である。

 

***** 2017/05/20 *****

 

 

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2017年5月19日 (金)

夏は冷やして

今日の東京は夏日。だが明日以降はさらに暑さが増すらしい。まだ5月。とはいえ馬主エリアも例年より1か月早く、今月からクールビズ期間に突入した。細かい条件はあるが、原則としてノーネクタイ&ノージャケットでも入場が認められる。だがしかし、日本ダービー当日だけは話は別。ダービーの格式にクールビズはそぐわない。

ともあれ暑くなれば冷たい麺が恋しくなるのは日本人の性(さが)であろう。最近の流行は、キリっと冷えた太打ちの日本そばを、たっぷりのネギや牛肉と一緒に辣油を聞かせたツユで食べるスタイルだ。これを最初に広めたのは、虎の門の『港屋』。昨年、その支店が大手町にオープンした。その名も『港屋2』。話題のホテル「星のや東京」の1階部分にある。

だがこの店、きっと初めての客は戸惑うに違いない。なにせ店の入口からしてどこにあるのかは謎に包まれている。それをここで説明してしまうと面白味が半減してしまうから、敢えて書かない。メニューは「冷たい肉そば」(1000円)のみ。しかも店では千円札しか使えない。高級ホテル内にありながら本店と同じ立ち食いスタイル。なお、店には冷水の準備がないので、ペットボトル入りのお茶やお水を持参することをおススメする。

Minatoya 

東京競馬場スタンド2Fにオープンしたばかりの『KASUYA(かすや)』でも、さっそく冷やしメニューが始まった。

まずはふつうの「冷やしうどん」(500円)。

Hiya1 

ツユは「かすうどん」のものとは違って、しょうゆベースの関東風。そのツユも麺もキンキンに冷えているのが特徴と言えば特徴だが、味は想像の域を超えるものではない。

続いて「冷やし肉盛りそば」(700円)。

Hiya2 

こちらは冷たい昆布ベースのダシに冷たいそば。そこにお肉が投入されているから、どうしても脂肪分が固まってツユに浮いてしまう。そんな見た目を別にすれば、じゅうぶんに美味い。しかしやはり麺とツユの冷えっぷりが半端ない。奥歯がキーンと悼む。食べ終えるなり近くの給茶機へと走り、珍しく温かい緑茶を飲んだ。

そんなこともあって、今度は「肉盛りかすそば」(900円)。

Nikumori 

こちらは冷やしメニューではない。レギュラーの温かいメニュー。しかし、そこはさすがレギュラー。思わずうなるほどの安定感がある。お肉にせよカスにせよ温かい方が旨味が増すもお。夏本場に向け“冷やし”に相応しいメニューを探したい。

 

***** 2017/05/19 *****

 

 

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2017年5月18日 (木)

ワナクライがワカラナイ

先日の東京競馬場で私の真後ろの席に座った男性二人組は、朝から会話が弾んでいた。馬券予想はもとより、社台&サンデーの募集馬から仲間内のPOGに至るまで、聞こえてくる話題は幅広い。だがしばらくすると何の会話だか分からなくなった。会話の端々に「ワナクライ」という言葉が何度も登場するのである。

ワナクライ?

はて……。そんな馬いたっけか?

ひょっとしたらデビューを前にした期待の2歳馬なのかもしれない。名前からしておそらくハーツクライ産駒であろう。2歳夏にデビューできるハーツクライ産駒をお持ちとは、なんとも羨ましい限り。運よくポンと勝ったりすれば、一気にクラシックへの期待が膨らむ。

Hearts 

―――なんて想像を巡らせるのは勝手だが、言うまでもなく「ワナクライ(=WannaCry)とは、先週末から世界中を脅かしているコンピューターウイルスのこと。週明けには日本国内でも被害報告が相次いだ。だが、場所が場所である。競馬場で「ワナクライ」と聞けば、そりゃあハーツクライ産駒の名前だと思い……ませんかねぇ?(笑)

あわせて「ランサムウェア」という言葉も溢れかえっている。コンピューターの内部データを暗号化してしまい、復旧と引き換えに身代金を要求するタイプのウイルスの総称で、先ほどのワナクライもそのひとつ。しかしそれを知っていてもなお、「レッドランサム産駒かな?」と思ってしまうのだから、我ながらタチが悪い。ちなみに Ransom とは身代金のこと。馬名「レッドランサム」は、O.ヘンリーの短編「酋長の赤い身代金」から名付けられた。

さらに、今回のサイバー攻撃についてコメントを求められる「カスペルスキー」は、もちろんロシアのコンピューターセキュリティ会社なのだけれども、もうこうなるとニジンスキー産駒にしか聞こえなくなってくる。いや、マルゼンスキー産駒かもしれない。いやいや、ひょっとしたらホリスキー産駒の可能性だってある。

―――なんて不謹慎なことを書いていたらお叱りを受けるだろうか。だが、私はどうしてもこのテの世間の喧騒に乗り切れないところがある。もちろんパソコンは持っているが、撮り溜めた写真データの保存と、このブログを更新するのに使う程度。ネットショッピングにも、ネットバンキングにも、IPATにさえも興味はない。むろん写真データは外部メディアにバックアップを取ってあるし、OSやセキュリティソフトのアップデートにも、人並みには注意を払っている。それでもデータが暗号化されたところで、こちらとしてはただちにパソコンを初期化するだけだ。

「そこまでパソコンと仲良しになる必要はない」

きっと私は心の奥底でそう考えているのであろう。スマホについても同じ。新しい便利は、それと等量の不便を必ずもたらす。人間活動も自然の一部なのだから、熱力学の第二法則が容赦なく成り立つ。

―――なんて大袈裟なことを思いつつ、私はさほど仲良くないパソコンを駆使してダービー登録馬の血統表を眺めている。その中に、父・ハーツクライ、母の父の父・Red Ransom という血統の持ち主がいた。池江厩舎のサトノクロニクル。ダービー出走順位は19番目だから、現時点で出走は難しい。それでも出走が叶った暁には、馬券を買ってしまいそうだ。

 

***** 2017/05/18 *****

 

 

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2017年5月17日 (水)

そして7151勝へ

「7千なんて、乗るだけでも大変だよ」

佐々木竹見さんが7千勝を達成した1998年7月。その快挙にコメントを求められた的場文男騎手が発した言葉である。

Matoba 

あれから19年。「乗るだけでも大変」という7千勝を、言った本人が達成した。重賞で決めるあたりは、さすがと言うほかはない。本人のみならず南関東関東ファンにとっても大きな誇り。その神のごとき手綱さばきをナマで見られることは実は大変な幸運である。うっかりすると我々はそれを忘れがち。この機会にしっかり噛み締 めたい。

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上記のコメントをした当時の的場騎手はキャリア26年目。41歳だった。通算勝利数は2700前後だったはず。そらから19年足らずで一気に4300勝を上乗せしたのだから凄い。神様と呼ばれる所以でもある。

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種を明かせば、その頃まで他場(川崎、船橋、浦和)へ遠征することを、的場さんはほとんどしなかった。騎乗馬依頼がなかったわけではない。本人が意識してセーブオンしていたのだという。理由はいろいろあろう。だが、結果的にそれが騎手寿命を伸ばした要因のひとつになっている可能性も否定できない。ともあれ、的場騎手が他場にも積極的に乗りに行くようになったのは、翌99年あたりから。それと同時に勝利数も爆発的に増えた。

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騎手・的場文男は7人きょうだいの末っ子として福岡県で生まれた。実家は運送業を営んでいる。しかし長男と次男が家業を継ぐことが決まっていたから、文男少年は佐賀競馬で騎手として活躍していた三男の信弘さんと同じ職業を目指したという。そもそも性格からして商売は苦手。運送業はもちろん調教師にも向いていない。子供心にそう自覚していたことから、ハナっから「生涯一騎手」を心に決めていたそうだ。

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最近では、JRAの内田博幸騎手が大井所属だったことを知らぬファンも現れ始めたそうだが、的場さんは、あのウチパクの師匠でもある。「騎手になりたいんです」。そう言って同じ福岡からはるばる訪ねてきた内田少年のため、的場騎手自ら厩舎を歩いて周り、引き受け先を見つけてあげたのは有名な話。むろん騎乗技術を教えたのも的場さん。それだけでも相当凄いのに、その本人は7千勝を達成してしまう。いろいろ凄過ぎて、話が薄まってしまいそうなことが、逆に悔しい。

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「目標があるから頑張れます」

的場騎手はそうも言っている。勝利数に関する次走りの目標は、もちろん佐々木竹見さんの7151勝。だが、竹見さんの当時は、今よりもっと地方競馬の開催日数が多く、また1日8鞍までの騎乗制限ルールも存在しなかったことは強調されるべきであろう。今のペースなら来年中の達成が濃厚。そのとき的場騎手は62歳になっている。それ自体が、既に奇跡だ。

 

***** 2017/05/17 *****

 

 

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2017年5月16日 (火)

つかむ運、避ける運

話は昨夜にさかのぼる。

Saba 

馬券仲間と銀座『保志乃』で飲んだ。一流の味を銀座らしからぬ値段で楽しめる、知る人ぞ知る名店。巷のアニサキス騒動など怖れるに足らぬとばかりに真サバの刺身を〆張鶴で流し込みつつ、週末に迫ったオークスについて激論を交わしたのである。旨い肴に旨い酒、そして楽しい話題。酒席にこれ以上求めるものなどあるまい。まだ浅い時間ではあったが満足して店を出て、銀座駅でその相手とも別れた。

問題が起きたのはそのあとである。

半蔵門線と田園都市線のダイヤが大幅に乱れている―――。そんなアナウンスが耳に入った。どうやら青葉台駅で人身事故があったらしい。

「そうか、今日は月曜か……」

実際のところは自殺ではなかったのだが、その場では詳しい事情は分からぬから「月曜日の呪い」に文句を言いつつ、日比谷線へのホームへと急いだ。ひとまず中目黒に出て、東横線から大井町線に迂回した方が早い。

ホームに下りると、ちょうど中目黒行きがやってきた。これはツイている。しかもたまたま空席がある。ラッキーとばかりに腰を下ろし、ひと息ついた途端、けたたましいブレーキ音とともに、電車が急ブレーキをかけた。「キュウテイシャシマス。キュウテイシャシマス」という機会音声が繰り返される。

直前の車内アナウンスに凍りついた。私の乗ったこの電車が、日比谷駅入線時に人身事故を起こしたのだという。

毎日電車のお世話になっていれば、人身事故に遭遇するかもこともある。私自身は生涯三度目。ただし、人身事故を避けて迂回乗車した電車が人身事故を起こしたのは、さすがに初めてだ。空席に「ラッキー」と喜んでから一転、運転再開までは早くても1時間はかかる。これは運が悪い。ため息をついて、しばし「運」というものについて考えた。

運は「つかむ」と「避ける」に大別される。思わぬ空席は前者の例。人身事故は後者であろう。

競馬関係者の運は「つかむ」が主体のはずだが、かつて「避ける」運に関して驚異的な強さを発揮した調教師がいた。シノクロスなどを管理された故・西塚十勝調教師がその人。なんと、生涯で三度に及ぶ大難をわずかのところで免れているのだから、稀有な強運の持ち主と言うはしかない。

最初の命拾いは1954年9月26日。函館にいた西塚さんは青函連絡船の切符を持ってはいたのだが、宴席が長引いてついつい乗船を逃してしまう。しかしその連絡船こそが「洞爺丸」であった。おかげで死者不明1155人を出す「洞爺丸事故」を免れたのである。

二度目は1971年7月3日の札幌。西塚さんは空港に駆け付けたものの、またも搭乗便に乗り遅れた。その飛行機「ばんだい号」は、飛び立って間もなく函館近郊に墜落。乗員・乗客68人全員が死亡するという「ばんだい号事故」を、またもやすんでのところで回避した。

三つ目は1982年2月8日未明の赤坂。定宿にしているホテルにチェックインした西塚さんは、ぶらりと出かけた新宿で盛り上がり、午前様でホテルに戻った。するとホテルは火の海。死者33人を出した「ホテルニュージャパン火災」である。西塚さんは、そのときになってようやく「つくづく運が強い」と思ったそうだが、私ならもっと前にそう感じたに違いない。

日比谷駅の人身事故は迅速な救助作業が功を奏してか、「負傷」で済んだようだ。事故発生から25分で電車は運行を再開。1時間以上のカンヅメを覚悟した身としては、「運が良い」と思わざるを得ない。しかし帰宅したら、アニサキスによる激痛が……なんてコトもなく就寝。いくら私でも、そこまで運は悪くない。

ちなみに西塚調教師は通算重賞11勝。「つかむ」方の運の数はそれほど多くはなかったものの、1950年のオークスをコマミノルで勝っている。

 

***** 2017/05/16 *****

 

【後日追記】

ギムレット様からのコメントで、さらにもうひとつ、関東大震災でも危うく難を逃れたエピソードがあったことを知りました。“強運グランドスラム”ですね。凄いです。

 

 

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2017年5月15日 (月)

魅惑の小龍包

春日部に住まう父親に会うために足を運んだのだが、春日部駅到着が約束の時間より1時間ほど早い。そんならどこかで昼メシでも食うべとあたりをぶらぶら歩いていると、見覚えのない中華料理店が目に入ってきた。

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『龍香』と書いて「ロンシャン」と読むそうだ。どんな店だか分からぬが、「ロンシャン」と聞けば入らねなるまい。

店内の貼り紙を見る限り小籠包がひとつのウリらしい。なので担々麺と小籠包のセットを注文。13時過ぎだというのに、店内はほぼ満席。人気店なのであろう。

Shoronpo1 

小籠包って昔はそれほどメジャーなメニューではなかったですよね。私自身子供の時分に食べたという記憶はない。そもそも当時の春日部には小籠包を出す店などなかった―――。いや、あったのかも知れないが、それを前面に押し出してはいなかった。

たしか20年ほどの大井に「ショウロンポウ」という馬がいたはず。小籠包のごとき白い芦毛馬。ともあれ馬名に使えるということは、すなわちメジャーではないことの裏返しである。「ギョーザ」とか「シューマイ」では、馬名として認められる可能性は少ない。

大学生になった私が初めて小籠包を口にしたのは、半世紀の歴史を誇る大門の名店『新亜飯店』。知人は「餃子と肉まんの間のようなもの」と言って私を誘ってくれたのだが、その旨さは餃子や肉まんのそれを遥かに凌ぐ衝撃的なものだった。

驚いたのはその艶やかな皮から溢れ出すスープである。なぜこんな薄い皮にスープごと包むことができるのであろうか?

その答えは単純であった。小籠包は豚の皮の煮こごりを混ぜ込んだ肉のあんを小麦粉の皮で包んでいる。蒸すと煮こごりが溶けてスープになるのだと『新亜飯店』の方は親切に教えてくれた。そんな縁もあり、今でも大井競馬に行く前、あるいは大井からの帰りにしばしば立ち寄る一軒となっている。

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春日部『龍香』の小籠包も餡はしっかりと味付けされており旨い。もう少し皮が薄くてアツアツだとなおよし。まあ、この辺はランチタイムだから仕方ないののかもしれない。

競馬場に餃子と小籠包の専門店があれば……と思う。10年前から競馬場で餃子専門店開業を目論むIカメラマンに於かれては、開店の暁にはぜひ小籠包をメニューに加えることを検討頂きたい。

 

***** 2017/05/15 *****

 

 

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2017年5月14日 (日)

世代交代は突然に

「あの馬、汗で光っているのか?」

ヴィクトリアマイルのパドックでのこと。周回する馬の一頭を指差して、私の前に立つおじさんが連れの人に聞いていた。

おじさんの指差す先を歩くのはアドマイヤリード。たしかにツヤツヤと黒光りしている。だが上空はくもり空。陽射しを反射しているわけでも、汗で濡れているわけでもない。つまりそれほど毛ヅヤが良いということであろう。

馬体重は422キロ。出走17頭の中でもっとも軽い。だが、以前はもっと軽いこともあったように記憶する。メジャーエンブレムに敗れた阪神JFでは400キロを割っていた。オークスでも404キロ。馬体維持がたいへんそうだな―――。一年前に彼女を見たときはそれしか感じなかった。むろん毛ヅヤのことなど覚えていない。それも当然で、私の視線はシンハライトとチェッキーノに完全に奪われていた。

だが、あれから一年を経て久しぶりに見た彼女に、かつての華奢でひ弱なイメージはない。実際、レースでは前を塞ぐスマートレイアーとソルヴェイグの僅かな隙間に突っ込み、両馬を弾き飛ばして先頭に躍り出た。そのまま後続を突き放すこと1馬身1/4。マイル戦であることを踏まえれば完勝であろう。

Admire 

ひとつ間違えれば脚を余す危険性もあった。だが、手綱を取ったC.ルメール騎手は「自信があった」と振り返る。その自信を裏打ちする要素のひとつが、パドックで絶賛された「毛ヅヤ」に違いあるまい。レース直後に雲の合間からこぼれた陽射しに輝く青鹿毛は、さらに美しさを増していた。

Winning 

それにしても、掲示板5頭のうち4頭までが4歳馬である。こんな結果はあまり想定していなかった。なにせシンハライト、メジャーエンブレム、ジュエラー、チェッキーノといった世代のエースたちは、古馬と対戦する前にことごとく引退。昨年6月以降、JRAの牝馬限定重賞で現4歳世代が勝ったこともない。もとよりヴィクトリアマイルはリピーター、すなわち5歳以上のベテラン勢の活躍が目立つレースでもある。

もしや世代交代の波が突然押し寄せたのか―――?

あとで思い返して、「あぁ、そういえばあのレースから流れが変わったね」と言われるレースになるのかもしれない。今後の古馬牝馬戦線は世代ごとの成績にも注目だ。

 

***** 2017/05/14 *****

 

 

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2017年5月13日 (土)

27年ぶりの23秒台

雨に煙る東京競馬場はレースが始まってもお客さんはまばら。馬場状態は芝が「重」でダートは「不良」。京王杯SCが道悪(重・不良)で行われるのはシンウインドが1分23秒3で勝った1990年以来のこと。以来26年間、このレースは1分19秒台~21秒台で決してきた。

Tokyo 

レースレコードは昨年のサトノアラジンが叩き出した1分19秒6。上がりは究極とも思える32秒4だった。だが、今年の馬場状態でそれを期待するのは難しい。レース史上2頭目の連覇を目指すサトノアラジンの前に、無情の雨が立ちはだかる。

京王杯SCは今年が数えて62回目。その長い歴史の中で、スティンガーが2000-01年に唯一の連覇を果たしている。01年といえば馬齢表記が国際基準に合わせて満年齢に変更となった年。ゆえにスティンガーは京王杯SCを「5歳」で二度勝っている。

Stinger 

そんなスティンガーの半弟・アーバニティが京王杯SCで3着となったのが2010年。そして今日、スティンガーの全妹ベルモットの息子・レッドファルクスが京王杯SCを完勝してみせた。ちなみにスティンガーの半兄・レガシーオブゼルダも、「京王杯」当時のオータムハンデで3着に入っている。この一族はなにかと京王にゆかりが深い。偉大な母・レガシーオブストレングスに、京王電鉄は無料パスでも贈ったらどうか。

Keio 

勝ち時計は1分23秒2。27年ぶりに23秒台の遅い決着となった。これでは究極の時計勝負を好むサトノアラジンは勝負にならない。

逆にレッドファルクスは芝もダートもこなす二刀流。芝のGⅡを1分23秒2で勝ったかと思えば、ダートの1400mでも1分22秒6の勝ち時計を持つ。昨年スプリンターズSを勝った直後に、陣営がJBCスプリント出走をほのめかしたのは有名な話。その一方で芝1200mのCBC賞を1分7秒2で勝つスピードも備えている。

GⅠ級の力を持っていながら、その一方でいろいろと注文が付く馬も少なくない中で、馬場もペースも問わないレッドファルクスの能力は大きな強み。マイルは2歳未勝利で一度だけ走って大敗だったが、中山の15番枠を思えば度外視もできる。時計が時計だけに今年の京王杯は評価されにくいだろうが、意外と安田記念もあっさりクリアしてしまうかもしれない。

 

***** 2017/05/13 *****

 

 

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2017年5月12日 (金)

千葉セリ晴天ナリ

「社台が何かやるときはいつも晴れる」

古くから馬産地で言い伝えられる都市伝説が、今年の千葉セリでも真価を発揮した。厳密には、千葉セリは社台が主催するイベントではないのだが、その運営に深く関わっていることは否定しようがない。ともあれ絶好のトレーニングセール日和。日焼けや熱中症には注意が必要だ。

Sale 

一昨年はムーンレディ13が1億9000万円で落札された。昨年ならダンスパートナー14が注目を集めた。しかし今年の千葉セリには、彼らに匹敵するような超目玉を見つけることはできない。となれば自然と公開調教の比重が増す。スタンドから一頭一頭の動きを見つめる関係者の視線は、例年にも増して鋭い。

上場馬は2頭がひと組となって向こう正面をスタート。ゆったりとしたキャンターから徐々にスピードを上げて行き、2ハロン標識から計測開始。全速力で直線を駆け抜けたあとは、1コーナーから2コーナーに向かって徐々に速度を落とし、向こう正面で常足に戻す。その間2分弱。調教師はそれをずっと双眼鏡で追っている。決して目を離さない。

調教師にもよるのだろうが、タイムはあまり気にしていないようだ。私の前に座るGⅠ常連の調教師を見ている限り、アナウンスされるタイムをメモしている様子はない。それよりも加速やコーナーリングのスムースさ、走るフォーム、騎手のアクション。そんな数字に表れない部分のチェックに余念がないように見える。私のように、ゴール過ぎたらすぐにタイムをメモしなきゃ!って、ボールペンを片手に手元の出馬表に目を落としているようじゃダメですね。

1番時計はリミッターブレイク2015(#23)が叩き出した23秒4-11秒0。メイショウボーラーの牝馬で、950万円(税別)で落札されている。ちなみにお姉さんのノットフォーマルも3年前のこのセールで落札され、フェアリーSを勝って千葉セリ出身馬として初のJRA重賞ウイナーとなった。

23 

最高値を記録したのはコイウタ15(#20)で4100万円。上場馬中唯一のGⅠ牝馬に新種牡馬ロードカナロアの組み合わせで、25秒5-11秒7の時計は正直平凡だが、配合的には爆発的なスピードを秘めていてもおかしくはない。

20 

それにしても暑かった。晴天はありがたいのだが、スタンドに日陰がないので、本気で熱中症を心配しなければならない。毎年のことだというのに、今年も上着を羽織って出かけてしまった。自宅を出るのが明け方なので、その涼しさについ油断してしまうのである。なので、来年のためにブログに刻み込んで己への戒めとする。きっと来年も快晴であろう。

 

***** 2017/05/12 *****

 

 

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2017年5月11日 (木)

東京プリンセス賞の悲劇

本更新でござる。

的場騎手7000勝フィーバーで盛り上がる中で行われた東京プリンセス賞を勝ったのは、5番人気のアンジュジョリーだった。逃げたアップトゥユーが直線で後続を突き放し、いったんはセーフティーリードかと思われたところから、一拍置いたのち猛然と外を追い込んできた。

その急追ぶりは、大半のカメラマンが内のアップトゥユーを撮ってしまったほど。居並ぶプロたちがこれほどまで撮り逃すケースも珍しい。その割に写真判定にはならなかった。スタンドで見ていた連中は、「どう見たって外だろ」と鼻で笑うのだが、それは真横から見ているから分かること。我々の位置から見てみるがいい。しかも、仮に思い切り引いてみたところで、内のアンジュジョリーが勝ったように見える一枚になることは避けられない。この位置で撮るカメラマンにとっては、どう転んでも勝ち目のない展開。もはや悲劇としか言いようがない。

Princess 

種牡馬タートルボウルにとっては初めてのビッグタイトル。なにせ地方とはいえクラシックである。しかも初年度産駒がもたらした快挙。綺羅星のごときスターが集まる社台スタリオンの種牡馬の中にあっては、どうしても肩身の狭い立場に置かれている感があるが、この勝利を弾みに2年目産駒の活躍にも注目したい。

ちなみにこれを書いているのは、付日翌日の金曜日である。先ほど千葉セリの会場で社台の関係者に「タートルボウルはダート向き?」と質問を投げてみたところ、たまたまダートでの活躍が目立っているが、向き不向きを云々できるほどまだ走ってない。ただ、マイル前後の距離が良いのは明らか―――という答えが返ってきた。思えばカジノドライヴにしても、産駒のデビュー当初はたまたま芝での勝利が続いて「芝向きか?」と言われたりしたもんね。結論はもう少し先に出そう。

Anju 

小久保調教師は異なる馬で牝馬2冠を達成。層の厚さの成せる業であろう。その口から「次走は東京ダービー」との宣言が出た。キャプテンキングやヒガシウィルウィンにとって、その鋭い末脚は脅威であるに違いない。注目馬が一頭また一頭と増えるたびに、ダービーが近づきつつあることを実感する。

 

***** 2017/05/11 *****

 

 

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的場文男騎手6998勝目

店主都合により、取り急ぎ短めのエントリにてご容赦願います。

的場文男騎手、本日の大井7Rをマイネルインぺリオで勝ち、地方通算勝利数を6998としました。

7r 

大井開催最終日の明日は7鞍の手綱を予定しております。しかし、確勝級は10Rのモンサンデューンのみ。地元大井での達成のため、なんとか残る6鞍でマジックを見せて欲しいところです。

ちなみに、明日2勝できなければ、7000勝達成は来週の川崎開催に持ち越されますが、的場騎手は昨日の5レースでの斜行により、5/16(月)と17(火)の二日間の騎乗停止処分を受けているため、早くても達成は18(水)までお預けということになります。

以上、とりあえず暫定更新でした。本更新は明日にでも。

 

***** 2017/05/11 *****

 

 

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2017年5月10日 (水)

ダービーの切符

牡馬クラシックの1冠目に、一頭の牝馬が敢然と挑んできた。

Ike 

ファンディーナの話ではない。今夜大井で行われる羽田盃。そこに出走取消ふる5枠7番イケノアサは、まぎれもない牝馬なのだ。

3歳牝馬には1日遅れで東京プリンセス賞というクラシックレースが用意されている。大井の1800mという舞台設定は羽田盃と同じ。桜花賞と皐月賞のように距離やコースに違いがあるわけではない。実際、イケノアサは東京プリンセス賞にも登録していた。かといって除外されたわけでもない。彼女は敢えて羽田盃を選んだ。

JRAと違って、南関東では牝馬が羽田盃を走ることは、取り立てて珍しいことではないのも事実。羽田盃と東京プリンセス賞が1日おきに実施されるようになったのは2011年だが、その年の羽田盃の覇者は牝馬のクラーベセクレタである。翌年にはエミーズパラダイスが羽田盃で2着。とはいえ、両者とも2歳時から重賞で活躍するトップホースだった。特別勝ちすらないイケノアサには、ここは少々家賃が高いように思える。

もうひとつ。今年の羽田盃で気になるのが連闘馬の多さ。なんと4頭もいる。いずれも5月4日の東京湾カップからの連戦だから、厳密には「中5日」。最近ではプロ野球でも聞かなくなった厳しいローテだ。

そこまでして出走してくる理由のひとつには、ダービーのキップ欲しさもあろう。東京ダービーの優先出走枠は昨年までよりも1頭増えて9頭。うち3頭分の枠は既に埋まっている。残るは6頭分。東京湾カップでは上位2頭に与えられた優先権は、この羽田盃では上位5頭に広がる。このチャンスを逃してはならない。

レースは1番人気キャプテンキングの逃げ。それを2番人気ヒガシウィルウィンがピッタリとマーク。直線に向いても2頭のマッチレースは続き、その態勢のままゴールに飛び込んだ。5馬身離された3着にキャンドルグラス、4着は連闘のホワイトソニック、そして5着クラキングス。ダービーの出走権を得たのはここまで。あとは賞金順に運命を委ねるしかない。

King 

キャプテンキングのオーナー、調教師、騎手の3人は、2年前にもJRAから移籍してきたブラックレッグで東京ダービー出走を目指したが、トライアルでわずかクビ差だけ届かず涙を飲んだ。最高の形で2年越しのリベンジを果たした3人と1頭は、勇躍ダービーに向かうことができる。

紅一点のイケノアサはブービーの13着。彼女がわざわざ羽田盃に出走したのも、もとよりダービーの出走権が目当てだった可能性がある。東京プリンセス賞では1着にならない限りダービーは難しい。ならば、牡馬相手でも羽田盃で掲示板を狙う―――。そんな思惑があったとしても不思議ではない。

それにしても、の感が残る。勝ち時計1分54秒4は人気馬2頭が先行した割には平凡。スローペースを分かっていながら、誰も仕掛けようとはしなかった。レース後の検量前では、負けたにも関わらず関係者がハイタッチを交わす光景も。ハナから掲示板確保が狙いであったことは想像に難しくない。多くの3歳馬が大きな目標とするクラシックレースであるはずの羽田盃は、いまやすっかりトライアルレースとしての比重を高めつつある。

 

***** 2017/05/10 *****

 

 

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2017年5月 9日 (火)

ラニの挑戦

パドックを周回していた1番人気馬が、突然パドックから姿を消した。どうした? 何かアクシデントでもあったのか?

Rani1_2 

先日のブリリアントSでのこと。馬は、その時点で1番人気に推されていたラニである。

Rani2 

ざわめくスタンドをよそに、当の本人(馬)はパドック出入り口付近の誘導馬待機所にいた。どうやら頭絡の紐が耳の後ろに引っ掛かってしまったらしい。それでいったんパシュファイアー付きのメンコを脱ぎ、頭絡を掛け直して、またメンコをつけた。その間、馬はずっと大人しく従っている。私にはそれが意外だった。

Rani3 

なにせ、昨年のドバイ遠征では、たまたま顔を合わせたカリフォルニアクロームと睨み合い、そして呻り合い、最終的に相手をたじろがせたというツワモノである。ちなみに、カリフォルニアクロームはラニより2歳年上の全米年度代表馬。そのエピソードのせいか、ドバイ後の米国遠征では「ゴジラ」の愛称で呼ばれていたと聞く。その暴れん坊が、こんなにも大人しいものだろうか?

武豊騎手を背にダートコースに姿を現したラニは、メンコを外していた。UAEダービーと米3冠レースすべてで手綱を取った武豊騎手も、ラニに跨るのはベルモントS以来のこと。久しぶりの感触を確かめるかのように、ゆっくりとキャンターにおろすと、悠然とスタンド前を通過していった。

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8着に敗れたドバイワールドカップの直後、手綱を取ったR.ムーア騎手から「もっと長い距離のレースを使った方が良い。長い距離なら重賞を勝てる」との進言があったという。今回のブリリアントSは2100m。たしかにドバイワールドカップよりは長いが、強調できるほどの距離延長とは言いがたい。実際、レースでは好スタートを決めた割には、あっという間に後方に置かれた。そのまま直線に向いてもジリジリとしか伸びてこない。ゴールでは4着まで押し上げたが、勝ったミツバは6馬身も前。完敗であろう。4角3番手から伸びたミツバの上がり3ハロンが36秒0。追い込むラニが36秒1では勝ち目はない。

聞けばこの中間から調教内容を変えたそうだ。これまでのEコース2周から、坂路を1本上ってからEコースへ。「スピードが足りないからメリハリをつけようと思って」と松永幹調教師は意図を説明するが、果たして成果はあったのだろうか。それでも武豊騎手は「久しぶりに“らしさ”は見えた」と評価。ドバイ2戦の遠征から2か月しか経ってないことを思えば、これで十分。―――そんな見方もできるかもしれない。

レースぶりを見る限りはムーア騎手の言葉が重みを増す。だが、いつも書くように、JRAで2100mを超えるダートのオープンレースは行われていない。さらに長い距離を求めてダートグレードを使おうにも、賞金不足で除外が確実。ならばと地方に移籍してしまうにも、UAEダービー馬の看板が邪魔をする。

いずれにせよ、ラニは自力で道を開くしかない。そのとき気になるのは、意外なほどの大人しさである。私が知るラニはもっと闘争心を剥き出しにして走っていたはず。いずれタピットの後継種牡馬となるべき一頭である。武豊騎手は「らしさ」を求めた。大人になどなる必要はない。

 

***** 2017/05/09 *****

 

 

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2017年5月 8日 (月)

憂鬱な月曜日

今年のゴールデンウィークは雨を見なかった。東京はずっと晴天。それで調子に乗って、やれ大井だ、船橋だ、府中だと競馬場に通い詰めたのがいけなかったのであろう。知らぬ間に体調悪化の下地は整っていた。

Tokyo 

悪いことに、そこへ人身事故によるダイヤ乱れが重なる。曜日別の統計では、もっとも自殺が多いのは月曜日らしい。ならば5連休明けの今日は推して知るべし。一向に動かぬ満員電車の車内で、脂汗をかきはじめた時、オノレの体調の異変に気付いた。

暑さも原因かもしれない。思えば、今年の桜は遅かった。それを取り戻そうかといわんばかりの夏日の連続。例年私は6月に入ると体調を崩すクセがある。本格的な暑さの到来にダービーの疲労が重なるせいだと思う。ならば、いまの状況は似たようなものだ。

この文章を書いているのは、実は翌火曜日である。まあ、お医者のお世話にもならず、薬を飲むこともせず、ひと晩しっかり眠ったら体調は元に戻ったのだから、心配するほどのことはない。だが、昨夜(月曜の夜)はホントにキツかった。死ぬんじゃないかと思ったほど。「もう少しでダービーなのにそれが見れないのは残念だなあ」とか、「死ぬなら来月の社台のツアー行ってからが良かったなー」なんていう思いが、布団でうずくまる私の脳裏を行ったり来たりした。とはいえ、私の中ではこれも季節の風物詩。今年はひと月早かっただけだ。

逆に言えば、不意に風邪を引くことはほとんどない。最後にインフルエンザに罹患したのも20年くらい前のことではないか。バカは風邪を引かないと言うけれど、まさにその典型であろう。

年に一度の人間ドックを除けば、取り立てて健康に注意を払うこともしない。食事も好きなものを好きなだけ食べる。それで検査結果は20年以上「概ね良好」なのだから不都合はない。ちなみに「概ね」のエクスキューズが付く原因は、言わずと知れたメタボである。だが、そんなものは政治家が勝手に決めたこと。知ったことではない。

どうも私は、健康や寿命は自然に任せるしかないと考えているフシがある。自分の努力でそれを劇的に変えられるとは思っていないらしい。

日本は相変わらずの自殺大国だが、自殺を試みる人が減らないのは、健康や寿命を自分の意志でコントロールできると考える人が増えたせいではあるまいか。私はひそかにそう疑っている。気が付いたらこの世に生まれていたのだから、気が付いたら死んでいた。私はそれで構わないのだか、現代人はそうは思わない人が多いらしい。私は自分がいつ、どんな理由で死ぬのか、皆目見当がつかないし、知ろうとも思わぬ。

月曜日が憂鬱という意見は総論として理解できなくもない。だが、競馬ファンにしてみれば、新たな競馬の始まり。なにせ「週末の競馬は月曜日に始まる」のである。南関東なら新たな開催の初日。ささやかな楽しみではあるけれど、おかげで今日も私は生きている。

 

***** 2017/05/08 *****

 

 

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2017年5月 7日 (日)

世代4頭目の牝馬チャンピオン

NHKマイルカップは迎えて今年が22回目。「混戦」、「低レベル」、「主役不在」などと散々揶揄されたことに奮起したのは2頭の女子だった。

Nhk 

直線坂下で堂々と先頭に立ち、後続の追い上げを封じて優勝したのはクロフネの娘・アエロリット。2着リエノテソーロもメンバー最速の上がりを繰り出している。そこから3着ボンセルヴィーソまでは2馬身も離されたのだから、結果だけを見ればとりたてて「混戦」と言うほどでもない。しかも1分32秒3の勝ち時計はNHKマイルC22回の歴史の中で3番目に速く、牝馬としては過去最速。決して「低レベル」でもなかった。

「混戦」の前評判を生み出したひとつの要因は、この舞台を経験した馬がほとんどいなかったことであろう。この世代、東京芝のマイル戦は先週まで38鞍が行われたが、一度でもそこを走った馬は今回のメンバー中たった一頭。それこそがアエロリットだったのである。

Aero 

もともと右手前で走るのが好きな馬で、フェアリーSでは直線に向いてもずっと右手前のまま走り続けて2着に敗れた。しかし左回りならば話は別。左手前でコーナーを回り、直線で手前を替えれば得意の右手前で勝負できる。実際、彼女はそれで直線の坂を先頭で駆け上がってきた。しかし、背後から迫るリエノテソーロの脚色も鋭い。これはゴールでもつれるか。―――そう思った瞬間、アエロリットは自ら手前を左に替えて、さらにもうひと伸び。驚くべきことに、ここ一番で彼女はさらなる進化を遂げてみせたのである。

悔しいのはリエノテソーロ。なにせ、いったんは前に届くと思わせる勢いだった。戻ってきた吉田隼人騎手は「勝たなきゃ意味がない」と、13番人気を覆す激走にも笑顔はない。むしろ、我々が反省すべきなのだろう。なぜ、彼女を13番人気に留めてしまったのか。思えば唯一のGⅠ馬。れっきとしたチャンピオンである。芝でも3戦2勝の成績。札幌ではタイムトリップに完勝している。それを忘れていた。「主役不在」の前評判が彼女の反骨心に火を付けた可能性もある。前走のアネモネS4着にしても、中山マイルの大外枠なら度外視できよう。芝とダートの二刀流が証明された彼女の、今後の展望は明るい。

Rieno 

それにしても今年の3歳牝馬は、なんという世代であろうか。ここまで既に4頭ものチャンピオンが誕生している。ミスエルテやファンディーナも果敢に牡馬GⅠに挑戦し、見せ場以上のシーンを作った。粒揃いの世代――。それはそれで良いが、一方で多少の違和感も覚える。4頭いずれもマイルの女王。では、いったい誰がもっとも強いのか。再来週はオークス。5頭目のチャンピオン誕生の可能性もある。

 

***** 2017/05/07 *****

 

 

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2017年5月 6日 (土)

サンデーサイレンスの3×3

今年のNHKマイルカップには大物の参戦がない。「主役不在」「混戦」「小粒」がキーワードになっている。前走大敗のモンドキャンノやアウトライアーズが人気を背負うメンバー構成に、GⅠレースとして物足りなさを感じる向きも多かろう。

だが、よくよく見れば注目すべきポイントがないわけでもない。登録25頭の中にこれまでGⅠの舞台では見なかったような血統構成を持つ馬が、2頭も含まれている。札幌2歳Sの覇者トラストとシンザン記念を勝ったキョウヘイ。そのどちらも、サンデーサイレンスの孫同士の配合によって誕生してきた。いわゆるサンデーの3×3なのである。

Derby 

思えば昨年の東京ダービー馬・バルダッサーレも、兵庫ダービーの覇者・ノブタイザンも、どちらもサンデーサイレンスの3×3だった。それに軽い衝撃を覚えた記憶がある。しかしJRAの重賞を勝つ馬が登場したとなると、もはやいちいち驚いてもいられない。

そもそも、競走成績の良かった牝馬にサンデーサイレンスの血を見ぬことは難しい上、種牡馬の世界においても、サンデーの孫世代がすっかり主役になりつつある。そんな時代背景がサンデーの3×3の誕生を後押ししているに違いない。

社台スタリオン繋養のサンデー直子が4頭のみであるのに対し、父系孫世代となるとリーチザクラウン、キズナ、スピルバーグ、フェノーメノ、リアルインパクト、ディープブリランテ、ドリームジャーニー、ジャスタウェイ、キンシャサノキセキ、オルフェーヴル、スマートファルコン、ヴィクトワールピサの12頭。いつの間にか、サンデーの3×3が誕生する下地は整っていた。

Orfe

むろん強度の近親配合にはリスクもある。ノーザンダンサーの3×3の血統を持つフサイチコンコルドは、強さと同時に極度の体質の弱さをも兼ね備えていた。サンデーの血がヘタに強調されたら、どんな子が生まれてくるか分からない。

そんな心配をよそに、バルダッサーレやノブタイザン、あるいはトラストやキョウヘイが結果を出した。彼らの活躍が3×3へのGOサインになる可能性は高い。実際、今月のHBAトレーニングセールには、実に8頭ものサンデー3×3の血統を持つ2歳馬が上場を予定している。

ところで、明日のNHKマイルCにはサンデーの父系孫種牡馬の産駒が6頭出走する。サンデー父系孫種牡馬の産駒がJRAのGⅠを勝った例は、実はまだない。だが、ここまで頭数が揃った今回は大きなチャンス。むろん、勝てば競馬界にとっても大きな節目となる。主役不在とお嘆きの貴兄も多い今年のNHKマイルだが、かように別の視点に立てば見どころがないわけでもない。果たして。

 

***** 2017/05/06 *****

 

 

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2017年5月 5日 (金)

船橋の貴公子

GW恒例のGⅠかしわ記念は、フェブラリーSで2着のベストウォーリアが1番人気、2番人気は昨年の覇者コパノリッキー。昨日の話の続きみたいになるが、この2頭も4年前の兵庫チャンピオンシップ以来、なんだかんだライバル関係にありますな。果たして今日はどちらが勝つのか。

ゲートが開くと同時にスタンドがどよめいた。歓声と言うよりは悲鳴に近い。コパノリッキーが出遅れた。なにせ最内1番枠。ハナを切るかも、と目されていた一頭である。

あとでVTRを見ると、出遅れと言うよりは、1完歩目が伸び上がるような形になり、行き脚がつかなかったいう方が正しい。しかし、レース後の武豊騎手によれば、もちろん先行策を考えていたが、「出遅れ」というシチュエーションも想定していたそうだ。実際、スタート直後に武豊騎手は手綱を引いて、すぐさまBプランに変更している。このあたり、さすがと言うほかはない。

レースが動いたのは3コーナー。いつの間にか外に持ち出していたコパノリッキーが、徐々に進出して行く姿がビジョンに映し出されている。そして4コーナーに設置されたカメラに映像が切り替わった。逃げるモーニン。並びかけるインカンテーション、ベストウォーリア、ブラゾンドゥリス。その4頭の外からコパノリッキーが迫る。その脚色からして、内の4頭を差し切る勢いであることは間違いない。その瞬間、今度はまごうことなき大歓声が上がった。さすが武豊。カメラの位置まで把握して見せ場を作るとは、やはりさすがと言うほかはない。

Goal 

武豊騎手は、かしわ記念3勝目。ほかにも日本テレビ盃6勝、ダイオライト記念4勝、クイーン賞2勝、マリーンカップ1勝、船橋で行われたJBCクラシック1勝、さらに南関東ローカル重賞の平和賞まで勝っている。JRA所属としては前代未聞の活躍ぶりだ。

Yutaka 

優勝騎手インタビューでは「船橋競馬場は大好きですね」と笑顔を見せた武豊騎手。船橋で重賞18勝の成績を思えば、これを単純な社交辞令と受け止めるわけにはいかぬだろう。ひと昔前なら、「船橋の鬼」とでも呼ばれたかもしれないが、武豊騎手に「鬼」は似合わない。さしずめ、「船橋の貴公子」といったところか。私と同学年のオッサンに「貴公子」はないだろうと言われてしまいそうだが、年齢を感じさせないところが武豊の武豊たる所以である。

 

***** 2017/05/05 *****

 

 

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2017年5月 4日 (木)

宿命のライバル

GW恒例の東京湾カップを勝ったのは5番人気のソッサスブレイ。4番手追走から直線で力強く抜け出すと、2着クラトリガーに3馬身の差をつける圧勝だった。

Tokyowan1 

ソッサスブレイはこれが17戦目。東京湾カップと言えば、昨年わずか4戦のキャリアで優勝を果たしたディーズプリモに代表されるように、デビューが遅れたせいで京浜盃~羽田盃路線に乗れないキャリアの浅い馬がダービーに名乗りを上げるレース―――。私はそんな印象を勝手に抱いていた。

しかし、2着クラトリガーに至っては、なんとここが22戦目である。東京湾Cに抱いていた私の印象は、この際きっぱりと捨てるべきなのかもしれない。ソッサスブレイとクラトリガーの2頭は、出走14頭のうちキャリア数上位の2頭であり、しかもただ2頭の道営出身馬でもあった。3歳の5月に至ってなお力量差を見せつける道営出身馬のレベルには、ただただ驚かされる。

しかもこの2頭。同じレースでデビューを果たしていた。しかもそれがちょうど1年前の今日なのである。偶然にしても出来過ぎの感がないか。その新馬戦はソッサスブレイが3着だったのに対し、クラトリガーは7着だった。

以来、両馬はちょいちょい直接対決を繰り返し、今回の東京湾Cの結果を加えるとソッサスブレイの3勝1敗。2頭のライバル物語はまだまだ続く。次なる直接対決の舞台は、優先出走権を得た東京ダービーだろうか。ちなみにソッサスブレイの祖母は浦和の桜花賞を勝ったダイアモンドコア。叔父には羽田盃馬ナイキハイグレードがいる。血統的には南関東クラシックに縁が深いと言えなくもない。

Tokyowan2 

ところで、柏木健宏騎手は先週の浦和しらさぎ賞に続く2週連続重賞勝利となった。来週は大井で羽田盃と東京プリンセス賞が行われる。果たして3週連続の重賞勝利はあるのか。今年の南関東クラシックはJRA同様混戦が続いている。どんな結果が出ても驚く必要はない。

 

***** 2017/05/04 *****

 

 

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2017年5月 3日 (水)

リレー開催2日目

南関東は昨日に引き続き船橋から大井へのリレー開催。だが、平日だった昨日とはうって変って場内は混んでいる。船橋の入場者がそっくりそのまま大井に来たんじゃないかと思えるほどだ。

Paddock 

しかし、客層を見ればそうではないことがすぐに分かる。理由は普段より圧倒的に多い女性と子供の比率。この人たちが船橋から競馬を求めてわざわざ移動してきたとは、とてもじゃないが思えない。GWで首都高湾岸線は大渋滞。りんかい線も大混雑だった。簡単そうに思えて、競馬場のハシゴは案外難しい。

競馬場を掛け持ちできないのは、騎手も同じこと。時間的に可能であろう船橋1レースと大井8レースの騎乗であっても認められない。船橋所属の騎手は船橋で、大井所属の騎手は大井で乗るのが普通。浦和と川崎の騎手は、どちらかを選ぶこととなる。浦和の保園騎手と見澤騎手、そして川崎の藤江騎手は大井を選択。しかも藤江騎手はひとつ勝ったから本人は嬉しかろう。

その藤江騎手を含め、実は今日の大井で勝った騎手は4人のみ。残る3人は、笹川、矢野、そして的場の3騎手。特に笹川騎手は3勝の固め打ちだった。中でも3レースのインテンスハートは、新馬戦以来となる5か月もの休み明けに加え17キロ増の馬体重をものともせず、敢然とハナを奪って逃げ切るのだからたいしたもの。いちばん驚いていたのは、実は管理調教師だったりする。

Intence 

インテンスハートの母・ライトハートは、内田博幸騎手や戸崎圭太騎手を乗せて大井で5勝を挙げた活躍馬。さらにその母・ラフィーネベルも鷹見浩騎手(当時)を乗せて大井で勝っている。そんな母や祖母を持つ牝馬が、大井で勝利を挙げたことの素晴らしさを伝えるための適当な言葉が見つからないことがもどかしい。いずれ彼女も繁殖に上がる。しかし、その子がまた大井で走るとは限らない。ましてや勝利を挙げるとなればなおのこと。そんな稀有な出来事が3代続いた。私にしてみれば奇跡と言うしかないのである。

Right 

ちなみにインテンスハートの父はアグネスデジタル。ブラックスピネル、ディアドムスにエイシンニシバ。アグネスデジタルの肌は、いま馬産地で“旬”だとされている。たしかにBMSランキングも、2012年に初めてランクインしてから525位→214位→124位→63位→43位→21位とうなぎ上り。当然、インテンスハートにも繁殖牝馬としての期待が高まる。その期待に競走成績という「箔」をどれだけ添えることができるか。注目を続けたい。

 

***** 2017/05/03 *****

 

 

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2017年5月 2日 (火)

リレー開催の大井で

船橋の最終レースが終わった40分後。場所を変えて、今度は大井競馬1レースのゲートが開いた。

Ooi 

「船橋×大井ドリームリレー」と題して行われた2場開催。だが、両競馬場の間を徒歩と電車で移動すれば、どれだけ急いでも50分。車移動でも駐車場の出入りも含めて40分を切るのは難しい。果たして厳密な「リレー」を達成した人はいるのだろうか。

―――って言うか、そもそも両競馬場をハシゴしたのは、一部の関係者だけじゃないのか?

そう思いつつ、私は大井の1レースに間に合うようにゆっくり家を出て、大井競馬場に到着したら、「船橋のメイン見てから急いできたんだよ。オウマタイム、強かったなぁ」という声が聞こえてきた。いるんですね、ホントにリレーする人。明日も頑張ってください。

私の注目は2レース。古馬の最下級条件戦は4歳の未勝利馬もいれば、4歳の6勝馬もいる、地方競馬ビギナーの方には一見分かりにくい番組。ゴールデンウィーク中ということもあって、初めて大井に来たというお客さんも結構いたようだ。

Hoist 

勝ったホイストポイントはその6勝馬だった。タネを明かせば、その6勝は佐賀で挙げた勝ち星。「それでも6勝もしているのだから、ここでは格が違うだろう」と思うかもしれない。でも、そうではない。なんであれ、競馬で勝つのはたいへんなのである。実際、ホイストポイントは大井転入後4連敗の憂き目を見た。転入5戦目にして嬉しい南関初勝利。この勝利の価値は、真島大輔騎手の右手を見れば分かる。

ちなみに私が注目していたのはそこではない。ホイストポイントの血統表を見てほしい。父・トーホウエンペラー、母の父・ウイニングチケット、2代母の父・サクラシンゲキ、3代母の父・ボンモー、4代母の父・ヒンドスタン、5代母の父・セフト、6代母の父・トウルヌソル……。

サンデーサイレンスを持たぬだけでも珍しいというのに、加えてミスタープロスペクターも、ノーザンテーストも、パーソロンも持たない血統表など、いまどきなかなか出会えるものではない。そもそも2代母の父に登場する「サクラシンゲキ」が泣かせるじゃないか。

―――って思ってたらこのレースの2着馬オータムエンジェルの2代母の父もサクラシンゲキではないか!

こういうこともある。

 

***** 2017/05/02 *****

 

 

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2017年5月 1日 (月)

まるで魔法のような

キタサンブラックの大レコード勝利に沸いた天皇賞から2時間足らず。息つく間もなく、今度は香港から快挙の一報が届いた。シャテイン競馬場で行われたクイーンエリザベスⅡ世カップ。ここに日本からただ一頭参戦したネオリアリズムが、地元の強豪を退け見事GⅠ初制覇を海外の地で達成したのである。

特筆すべきはその大胆な手綱さばきだ。まさかと思える3角からの捲り一閃。あまりにリスクが大きいその戦法は、海外遠征馬が繰り出す作戦とはとても言い難い。しかしそこは“マジックマン”の異名をとるジョアン・モレイラ騎手である。「ペースが遅かったので自分から動いた。長い脚を使えると思っていたので勝負に出た」と涼しい顔。突如繰り出された魔法に、地元の最強馬ワーザーも為す術がなかった。

日本調教馬による海外GⅠ制覇は3月のドバイターフを勝ったヴィブロス以来。直近2年間だけでも12勝だから凄い。初めてのGⅠタイトルを海外で勝ち取るというケースも、最近では珍しい出来事ではなくなった。海外遠征はチャンピオンホースだけに与えられた特権ではない。……と同時に海外との間の垣根が低くなったことを実感する。

【過去2年間の日本調教馬による海外GⅠ勝利】

■オールエイジドS(豪)
 ハナズゴール/N.ローウィラー

■コーフィールドC(豪)
 アドマイヤラクティ/Z.パートン

■ジョージライダーS(豪)
 リアルインパクト/J.マクドナルド

■香港マイル(香)
 モーリス/R.ムーア

■香港カップ(香)
 エイシンヒカリ/武豊

■ドバイターフ(ドバイ)
 リアルスティール/R.ムーア

■チャンピオンズマイル(香)
 モーリス/J.モレイラ

■イスパーン賞(仏)
 エイシンヒカリ/武豊

■香港ヴァーズ(香)
 サトノクラウン/J.モレイラ

■香港カップ(香)
 モーリス/R.ムーア

■ドバイターフ(ドバイ)
 ヴィブロス/J.モレイラ

■クイーンエリザベスⅡ世C(香)
 ネオリアリズム/J.モレイラ

日本調教馬の活躍は喜ばしい限りだが、こうして並べてみると、別のことが気にならないか。12勝中10勝が外国人ジョッキーの手綱によるもの。さらにそのうち7勝までが、モレイラ騎手とムーア騎手の二人によってもたらされている。逆に、そんな中にあって2度に渡って顔を出す武豊騎手も、また素晴らしい。

Moreira 

モレイラ騎手は1983年生まれの33歳。ブラジル出身で2009年4月にシンガポールに移籍し、翌年から4シーズン連続リーディングを獲得すると、13年10月に香港に移籍した。今シーズンもリーディングトップを独走中。香港での3シーズン連続リーディングも間違いない。15年にはJRAのワールドオールスタージョッキーズで総合優勝も果たしている。

まあ、とにかく凄い騎手なのである。R.ムーアやC.スミヨンも同様。そんな騎手が海外遠征の日本馬に乗るようになってくれたことが、日本馬が普通に海外で勝つようになった一因かもしれない。ひと昔前であれば、たとえ日本の年度代表馬が乗り込んでも、現地のトップジョッキーが乗ってくれることなどあり得なかった。つまり、それくらい下に見られていたのである。だが、外国人騎手への短期免許がそんな状況を一変させた。

日本馬のレベルは高い。自国の馬に乗るより勝負になる―――。

結果、日本からわざわざ騎手を帯同させなくても、騎手は現地でいくらでも調達できるようになった。日本人騎手にしてみればあまり心温まる推論ではあるまいが、結果が出てしまっているのだから仕方ない。

モレイラ騎手は昨年の札幌記念でモーリスの手綱を任されたが、人気を裏切る形で2着に敗れた。逃げ切りを許したその相手こそ、誰あろうネオリアリズムである。モーリスの背中からネオリアリズムの走りを見て、長い脚を使えることを見抜いていたのであろう。それが今回の勝利に繋がった。ひとつの敗戦をより大きな勝利に結びつける。ここ一番で頼られるプロの姿を、今回の香港に見たような気がする。

 

***** 2017/05/01 *****

 

 

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