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2017年4月18日 (火)

親子丼

「直線ではペルシアンナイトばかり見ていた。ゴール前で何か来たと思ったらサンデーの勝負服。てっきりダンビュライトだと思ってたら、実況でアルアインという声が聞こえて初めて分かった」

皐月賞を勝った池江調教師のコメントが面白い。正直、ペルシアンナイトの方に自信があったのであろう。だてにミルコ・デムーロに依頼したわけでもあるまい。なにせ最近では“皐月賞請負人”である。だが、その人馬を負かしたのは自厩舎のアルアインとGⅠ未勝利の松山弘平騎手。池江師の驚く様子が目に浮かぶ。皐月賞での同一厩舎ワンツーフィニッシュは、1963年の1着メイズイ、2着グレートヨルカ(尾形厩舎)以来。69年ぶりの牝馬の戴冠はならなかったが、それでも54年ぶりの快挙が実現した。

同一厩舎の2頭出しは人気薄を狙え―――。

そんな格言を久しぶりに聞いた気がする。昔から言い古された馬券作戦だが、さすがに今となっては根拠に乏しい。それでも結果的にペルシアンナイトが単勝8.1倍の4番人気であったのに対し、アルアインは22.4倍の9番人気。古びた格言を引っ張り出さずにはいられない心境も分かる。

ビッグレースでの“親子丼”といえば、アンバーシャダイとホウヨウボーイの有馬記念がつとに有名だが、35年も前の話とあっては知らぬ人もいるかもしれない。

舞台は1981年の有馬記念。名門・二本柳厩舎は前年の有馬記念の覇者で、この有馬が引退レースのホウヨウボーイと、前走の目黒記念で初めて重賞を勝ったアンバーシャダイの2頭出しだった。ホウヨウボーイの手綱を取るのは厩舎の主戦である加藤和宏騎手。一方、アンバーシャダイには、「代打屋」の異名をとる東信二騎手が跨る。

ホウヨウボーイが連覇を果たして引退の花道を飾ると同時に、アンバーシャダイが2着に入って花を添える―――。

これが二本柳厩舎が描く最高のシナリオだった。そのためには当面のライバル・モンテプリンスを3着以下に負かさなければならない。

そこでアンバーシャダイの東騎手はモンテプリンスを徹底的にマーク。内ラチ沿いに閉じ込めたまま外に出せないよう、がっちりブロックしてレースを進める。そして直線。ホウヨウボーイが先に抜け出すのを確認してから、アンバーシャダイも満を持してスパート。「よし、2着だ!」と東騎手が確信した次の瞬間、なんとホウヨウボーイをも差し切ってしまったのである。写真はそんなことお構いなしとばかりに大あくびをする、在りし日のアンバーシャダイ。

Amber 

1番人気の支持を集めていたホウヨウボーイに対し、アンバーシャダイは3番人気。レース直後、二本柳調教師は「あべこべだったな」と苦笑いしたとされる。「人気薄を狙え」の格言は、このレースを経てさらに重みを増した。

ちなみにアルアインは、前走の毎日杯でも僚馬サトノアーサーとのワンツーフィニッシュを決めているが、そのときもサトノアーサーより人気薄の立場だった。もはや理屈ではない。池江厩舎の2頭出しは人気薄を狙うのである。ダービーはサトノアーサーを含めた3頭出しが濃厚。3頭の馬主としては、あまり人気にならぬ方がありがたいかもしれない。

 

***** 2017/04/18 *****

 

 

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