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2017年4月28日 (金)

銀行レースと物価統制令

一部ウインズで実施された天皇賞金曜日発売が、先ほど19時に終了した。単勝の1番人気はキタサンブラック。2番人気はサトノダイヤモンド。両者の馬連は180円と発表されている。

たしかに一騎打ちムードは漂う。どちらも菊花賞馬。これといって強力な馬も見当たらない。有馬記念のこの2頭の馬連配当は260円だった。ならば今回それより低くなったところで驚くこともなかろう。GⅠレースでの馬連最低配当記録は1999年宝塚記念の200円。今回はその記録を更新するかもしれない。もちろん、この2頭で決まれば―――の話だが……。

先日行われた桜花賞で、ソウルスターリングの単勝に3000万円(一説では4000万円とも)を注ぎ込んだ人がいたという。単勝オッズは140円。むろん銀行に預けるよりも割が良い。なにせ空前の低金利時代である。しかし、それでもせめて複勝にできなかったか。それでもたった94秒で300万の利ざやがあったのに……。我々庶民は、そう考えてしまう。いや、そもそも3000万円の馬券を購入することなど、庶民は考えたりしない。

Brian 

天皇賞はその格式の高さに加え、現在では特殊領域とも言うべき距離設定によって、実力以上に人気が偏ることがある。それが「一騎打ち」とか「銀行レース」などという事前の風評を呼び、ますます本命サイドが売れるという傾向が長く続いてきた。

1992年
メジロマックイーン&トウカイテイオー
馬連オッズ1.6倍 1着→5着

1996年
ナリタブライアン&マヤノトップガン
馬連オッズ2.0倍 2着→5着

1998年
メジロブライト&シルクジャスティス
馬連オッズ2.0倍 1着→4着

とはいえ、銀行だって低金利や合併で苦しむ現代である。「銀行レース」という言葉を耳にしなくなって久しい。なのに、1998年の天皇賞でも前々日発売で2強の馬連を5000万円買った人が出て、1.1倍の馬連オッズが翌日の紙面を飾る騒ぎになった。バブル以降、長引く不況のさなかとはいえ、お金はあるところにはある。福岡の強盗事件を持ち出すまでもない。

3連単がなかった当時、JRAは「2強対決」を歓迎しなかった。数千万を動かすビッグプレイヤーならともかく、我々庶民は2倍のオッズには手を出しにくい。メジロマックイーンとトウカイテイオーの一騎打ちに沸いた92年春の天皇賞では、馬券売上が前年に比べて20%以上もダウンしたという記録が残る。

しかし「世紀の対決」と騒がれている以上、馬券は買わずともレースはナマで見ておきたいと思うのがファン心理。92年の天皇賞当日の京都競馬場は11万の大観衆で膨れ上がった。しかも、入場できたのは前売り入場券を持っていた人のみ。そこに目を付け、前売り入場券を定価の10倍で売るダフ屋も現れた。銀行レースに大金を投じるより、その方が確実に儲かる。が、むろんあえなく御用となった。

驚いたのは、その罪状が「物価統制令違反」と聞いたから。物価統制令は戦後間もない1946年3月に施行された勅令。てっきり死語かと思っていた言葉が、突然息を吹き返すこともある。あさっての天皇賞で「銀行レース」という言葉は復活するのだろうか。

 

***** 2017/04/28 *****

 

 

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