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2017年3月 2日 (木)

【訃報】ホワイトマズル

ホワイトマズルが亡くなったそうだ。27歳。老衰だという。日本の種牡馬としてのイメージがすっかり定着してしまった感も否めない。とはいえ、彼は1993年のイタリアダービー馬である。ダービー馬の訃報となれば軽くは扱えまい。それが輸入させていただいた側の礼儀でもあろう。発表からすっかり時間が経ってしまったが、ここで敢えて取り上げさせていただく。

White1 

ホワイトマズルは2歳時から3シーズンに渡り世界6か国を股にかけて活躍した。その通算成績は17戦6勝。キングジョージや凱旋門賞での惜敗イメージがつきまとう部分もあるが、イタリアダービーが2分24秒5のレコード勝ちだったことは強調しておきたい。現役時代は芝12ハロンでスピードと底力を発揮するタイプだった。

Nihonporo 

種牡馬としては、ランキングのベストテンに入ったことはない。だいたい20~30位台を行ったり来たり。だが、時おり大物を送る。アサクサキングス、イングランディーレ、シャドウゲイト、スマイルトゥモロー、そしてニホンピロアワーズ。5頭ものGⅠホースの父となった。

Smile_2 

だが、種牡馬としての特徴はつかみづらい。メリッサのようなスピードを生かすスプリンターがいれば、アサクサキングスのようなステイヤーもいる。ダートでも同じ。フレアリングマズルはダートのスプリンターで、春の天皇賞も勝ったイングランディーレはダートもこなすステイヤーだ。

Asakusa 

シルポートのように一気呵成に逃げるタイプがいるかと思えば、ビハインドザマスクのように末脚勝負に徹するタイプもいる。ザラストロのように2歳夏から能力全快の早熟馬がいる一方で、マズルブラストは13歳になっても走り続けた。国の内外を問わないことはシャドウゲイトの活躍が証明している。万能タイプの種牡馬は多いが、これほどの万能性も珍しい。

Shadow 

それでも敢えて言うなら「一発屋タイプが多い」というあたりか。突然走るのである。天皇賞・春のイングランディーレ、オークスのスマイルトゥモロー、そして何度かのシルポート―――。自分の「型」にはまれば強いが、「型」が壊れるとモロい。ただしこれは、ホワイトマズルに限ったことではなく、父ダンシングブレーヴ譲りのような気がしてならない。

ホワイトマズルも、その父ダンシングブレーヴも、その数少ない代表産駒のコマンダーインチーフも日本に輸入されて種牡馬生活を送り、いずれもGⅠ馬の父となった。これほどの名馬たちが日本にやってきたことを、我々は感謝すべきなのだろう。

リファールの父系が欧州で必ずしも高い評価を得ていないという事情があるとはいえ、少なくともこの父系発展のカギを握っているのが、我が日本であることは間違いない。幸いにもホワイトマズルはシルポートという後継種牡馬を得た。ダンシングブレーヴの直子という観点では、キングヘイローもいる。かつてテスコボーイの父系を日本で繁栄させたように、ダンシングブレーヴの父系も我が国が着実に繋いでいきたい。それがはるばる日本まで来てくれたホワイトマズルの、なによりの供養でもある。

 

***** 2017/03/02 *****

 

 

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