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2017年3月16日 (木)

失点率と抽選

先週の木曜日は、たしかJBCの話を書いたはずだけど、今週木曜はWBCの話。侍ジャパン、ベスト4進出ですね。私としてもサムライハート産駒の馬券を買い続けたかいがあった……かどうかは定かではないが、ともあれおめでとうございます。

それにしても昨日はやたらと「失点率」という言葉を耳にした。仮に日本が負けて、オランダ、イスラエルと2勝1敗で並んだ場合、失点率の争いにより1位チームが2次ラウンドトップ通過。2位と3位が今日プレーオフを行うという。ただし、WBC主催者サイドは、そのスコア条件をあらかじめ明らかにすることを拒んだ。サヨナラゲームや延長戦にもつれた場合など、野球の場合は考え得るケースが多岐に渡る。先日も、いったんは2次ラウンド進出が発表されたメキシコが、一転敗退となるドタバタ劇があったばかり。そもそも、日本では馴染みが薄いルールでもあり、「(失点率は)分かりにくい」という声も少なくない。

関係者の間でさえ「失点率より得失点差を重視すべき」と賛否両論あるものの、失点率のルール自体は国際野球連盟の規定にのっとったものだ。失点を最小限に留めれば道は開けるというシンプルな考え方は、投手力を中心とした守りの野球を旨とする日本にも味方している。さらにこのルールが、序盤で大差がついた試合に一定の緊張感を与えている点も見逃せない。同じ「1敗」でも、そこに微妙な差が生じるからだ。

それが大きくモノを言ったのは、2006年に行われた第1回WBCの2次ラウンド。4チームの対戦が終了した時点で、3戦全勝の韓国を除き、日本、米国、メキシコの3チームが1勝2敗で並んだ。結果、失点率の争いとなったのである。

まず18イニングで7失点のメキシコは失点率3.89で脱落。17イニングで5失点の米国は失点率0.29。そして日本は17回2/3を5失点だから0.28。わずか0.01差で米国を上回った日本が決勝トーナメント進出を果たし、その勢いのまま世界一へと上り詰めた。

実はこの2次予選で日本は米国にサヨナラ負けを喫していたのだが、9回2アウトまで進んでいたことが大きい。実際、今回のWBCで涙をのんだメキシコにしても、イタリア戦で9回無死からサヨナラ打を浴びたわけだが、これがもし1アウトからであれば、失点率でベネズエラを上回って2次ラウンド進出を果たしていた。アウト一つと言えど、バカにはできない。

だが、巷間騒がれているように、このルールには欠陥がある。「延長10回で1-0勝利なら失点率で勝ち上がれる」というチームは、9回まで点を取ろうとせず故意に凡退するだろうし、「9回1失点なら試合に負けても失点率で勝ち上がれる」というチームが0-0で9回ウラの守備を迎えれば、4者連続敬遠の暴挙に出るかもしれない。幸いにも、これまでそういうチームは表れていないが、現在米国で行われている2次ラウンド(F組)で、ついにそういう事態が起きる可能性だってある。

その点、我が国の競馬には「抽選」という麗しき伝統手法がある。明瞭簡潔であり、なおかつ故意に負けるようなルール上の抜け穴もない。必要とされるのはただひとつ。「運」のみ。そこからノーリーズン(皐月賞)、トールポピー(阪神JF)、ゴスホークケン(朝日杯)のように、頂点に上り詰めた馬もいなくはない。

Noleason 

一方で、こうした抽選組の活躍は、GⅠを勝つだけの力を持ちながら抽選で涙をのんだ馬が多くいた可能性を示唆している。2013年の朝日杯ではモーリスやミッキーアイルが除外の憂き目を見た。いま思えば、JRAも思い切ったことをする。でも、公平な抽選の結果である以上、主催者が文句を言われることにはならない。そこがミソ。「麗しき」というのは精一杯の皮肉だ。分かりにくいと揶揄される失点率でも、少なくともそこには関係者の努力の跡を感じ取ることができる。ルールの欠陥を突くような真似をするようなチームは、きっとWBCの舞台にはいないのであろう。

 

***** 2017/03/16 *****

 

 

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