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2017年3月31日 (金)

花よりイラスト、花よりGⅠ馬

横浜の根岸森林公園が、かつての根岸競馬場の敷地であったことは周知の通り。今日もJ・H・モーガン氏の意匠にかかるスタンドが威容を誇る。

Stand 

戦後一時的に米軍に接収されたが、1969年に返還された。その翌年に植えられた桜の木は300本あまり。それが今では立派に生長し、横浜を代表する桜の名所となっている―――はずなのだが、まだほとんど咲いてない。残念。今シーズン二度目の花見も「蕾見」に終わった。

とはいえ、花見目的で来たわけではない。今日こちらにやってきたのは別の用件があってのこと。公園内の「馬の博物館」に入るとこんなプレゼントがもらえた。

Tishu_2 

その別の用件というのは、実はこちら。

Chirashi 

このテのものは写真を載せづらいのだけど、チラシなら問題ない……と思う、たぶん。

おがわじゅりさんのイラストは、馬関係の媒体のみならず、競馬場の地下道やターフビジョンの裏面などですっかりお馴染みであろう。中学2年で競馬に興味を持ち、高校1年のときに自宅でロバを飼い始めたというだけあって、シンプルな画風でありながら、馬の表情やしぐさが細かく描かれており、馬の感情が手に取るように伝わってくる。

そんな氏の初となる個展とあらば、わざわざ出かける価値はあろう。雑誌掲載の作品をはじめ、原画やラフスケッチ、あるいは乗馬施設で働いていた時代に綴っていた絵日記など。これらの作品を一堂に集めて観ることができる機会など、そうはあるまい。

Touwel 

じっくりと作品を眺め、その流れでグッズなども購入。その足でポニーセンターを覗いてみると、馬たちが揃って手入れの真っ最中であった。

Arai 

「ポニーセンター」とは言ってもサラブレッドもたくさんいる。芦毛馬の向こうにいるのは、なんと天皇賞馬・マイネルキッツですよ。奥では中山グランドジャンプを勝ったマイネルネオスもブラッシングされている。いつもなら馬体ばかりに目が向いてしまうはず。なのに馬が何を考えているのかばかりを気にしてしまうのは、おがわさんの絵を見た直後ゆえであろう。いずれにせよ、こうしてGⅠ馬を至近距離で見ることができる機会も、そうはあるまい。

Kids 

かように根岸森林公園は一見の価値あり。週末からは桜の開花も進むだろうから、お花見と組み合わせれば一日中楽しめる。ぜひ足を運んでいただきたい。なお、おがわじゅりさんの作品展は4月16日まで。4月9日にはトークショー&サイン会も催される。

 

***** 2017/03/31 *****

 

 

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2017年3月30日 (木)

明太三昧

その体型に違わず高い尿酸値を誇る私。いまのところは「予備軍」で済んでいるが、いつの日かあの恐ろしい痛風を発症してしまう可能性はある。だからここ数年の間、魚卵を断つとは言えないまでも、できるだけ控えてきた。中でも好物のタラコ(むろん明太子も)は魚卵の中でもプリン体含有量が高い。なんと筋子の10倍もあるという。こりゃダメだ。

しかし、最近になってプリン体と尿酸値の因果関係がさほど大きくないことが明らかになったらしい。そも尿酸値の「標準値」も単なる目安に過ぎず、標準値内であれば痛風を発症しないという保証があるものではないそうだ。

そんな話を聞いたせいかどうかは知らぬが、ここ数日とあるメニューばかりを食べ続けている。きっかけは大井競馬場内『つるまるうどん』で食べた「かきたま明太うどん」だった。

もとより私は「かきたまうどん」に目がない。たとえ食後であっても、メニューが目に入れば食べる。それに明太子? いったいどういう味がするのだろう―――。そんな興味が痛風の恐怖に勝った。

01 

結果から言えば「明太子感」が薄い。明太子の粒がうどんに絡まないのである。うどんを食べたあとの汁には大量の明太子が残った。若干の生臭さも気になる。明太子そのものは美味しいんですけどね……。

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それで美味しい明太うどんを食べたいと思ったのか、翌日からうどん店でメニューを選ぶ時に自然と明太子系を選ぶようになった。まずは『水道橋麺通団』の「めんたいしょうゆ」。明太子を乗せた冷たいうどんに、だし醤油をかけていただく。

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念入りに混ぜて麺に醤油と明太子をしっかりと絡めて食べる。美味い。冷たいせいか、あるいは醤油のせいか、生臭さもあまり感じない。

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同じ店の「めんたま」にも挑戦。えー、ちなみに別日ですからね(笑)

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釜玉うどんに明太子とバターを絡めて食べる。玉子に卵という組み合わせ。なのにそのまろやかな味わいは、足し算以上の効果がある。明太子と麺の絡まり具合は「めんたいしょうゆ」の比ではない。

こうなったら、釜玉+明太子の組み合わせを片っ端から食べてみたい。こちらは日本橋の『ほし野』の「釜玉(明太バター入り)」。

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やはり相手が釜玉だと明太子の混ざりが抜群にいい。しかも味がまろやかになる。淡いピンク色に輝くうどんの美味いこと。

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新宿『慎』でも釜玉に明太子をトッピングしてみた。TV番組「アメトーーク」で明太子芸人が絶賛したうどんですね。混ぜたところを撮ることも忘れて食べ進めてしまうほどの美味さ。

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玉子ではなく大根おろしでも良い。大手町の『山長』の日替わりうどんにも明太子が使われていた。

Yamacho 

最後に淡路町『釜善』の「明太クリームうどん」を紹介せぬわけにはいかない。

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「明太クリーム」というとパスタを思わせるが、最近ではうどんでも珍しくないメニューとなっている。ただ、これまで好んで食べることはなかった。やはりそこはスパゲティで食べるべきではないか。そんな固定観念があったのかもしれない。だが、これは美味かった。生臭さは皆無。明太子の旨味だけが際立つ。そしてちょっとした辛味。そこに『釜善』自慢のダシの風味が相まる。美味くないはずがない。

明太子に限らず、カズノコ、イクラ、カラスミ、そして卵ではないがフグの白子。これの食材が言い様もなく美味であるのは、その一粒一粒に生命そのものが凝縮しているからであろう。耐え難き痛風の痛みは、それを頂く人間への、天が与えた代償なのかもしれない。

 

***** 2017/03/30 *****

 

 

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2017年3月29日 (水)

内枠ボックス

千葉まで馬を見に行ったのだが、移動の合い間に富里界隈で2時間ほど空き時間ができてしまった。あいにく昼飯は済ませている。コーヒーでも飲んで時間を潰そうにも、このあたりにはスタバもマクドナルドもない。さあ、どうしよう。

よし、こうしよう。

Fkeiba 

そう、「エフケイバ成田」再訪です。なにせ今日は南関東クラシック戦線の開幕を告げる桜花賞が行われる日。そのせいかしらんが駐車場も混んでいる。誘導されたのは、なんと第8駐車場であった。見れば第9駐車場を造成中で、建物も増築工事の真っ最中ときている。ネットに押され気味だと言われても、場外馬券の需要は減っていない。馬券は買いたいが、競馬場は遠いし、ネットは嫌だ―――。そう思う人は年配者を中心に少なからずいる。工事中の看板にそれを実感する。

桜花賞の舞台となる浦和の1600mは内枠が断然有利。問題はそれが個々の馬の能力差を覆い隠すほどのアドバンテージであるか否かであろう。多くの方はそこまでではないと考えている。だが私はそうは思わない。そのアドバンテージは圧倒的で致命的だと考えている。むろん正解は分からない。分からないんだけど……、まあ……、なんというか……、的中してしまった。目をつぶって内枠を買っただけ。7枠に並んだ1番人気と2番人気が揃って飛んだから、配当は悪くない。

Baken 

外枠の馬はちょっとでも出負けすれば、好位を取ることはできない。たとえ五分のスタートを切っても、ポジションを取ろうと勢いをつけてしまうと、4コーナーを回りきれずに膨れてしまう。「外枠を引いた時点でもうおしまい」というクラシックには、正直興醒めの部分もなくはない。結果を左右するのは、結局のところ「運」じゃないか。

数年前にせっかく1500mのコースを新設したのだから、そこを使うことも検討してみてはどうか。残る牝馬の2冠、1800mの東京プリンセス賞と2100mの関東オークスとの距離差が300mで揃うし、1頭分だけではあるがフルゲートの頭数も増える。

桜花賞は英国1000ギニーを範とするレース。1マイルにこだわりたい気持ちは私にもある。だが、いつまでも不公平なコースでクラシックを続けるわけにもいくまい。それでも続けるというのであれば、私は来年以降も何も考えずに内枠ボックス馬券を買うのみだ。

 

***** 2017/03/29 *****

 

 

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2017年3月28日 (火)

開花を待ちきれず

夜桜見物から深夜に帰宅してそのまま寝入ってしまった。実際にこれを書いているのは付日の翌朝。いやあ、眠い。

Sakura 

この寒さの中、夜に、屋外で、冷えたビールを飲むなんて、まともな人間のやることじゃない。しかも桜なんてほとんど咲いちゃいないじゃないか。でも、そうと知っていながらこうして出かけるのが日本人の性(さが)。浅草の隅田公園には同じような日本人が大勢いた。なにせ江戸っ子は気が短い。「開花」と聞けば満開なぞ待っていられぬ。

とはいえ昨夜の幹事は慎重に日程を選んでいた。むろん事前の開花予想情報の収集は怠りない。すると17日の新聞に「都内では22日にも桜が開花する」との記事を見つけた。開花から満開まではおおむね1週間。ならば28日でよかろう。そのようにしてこの日どりが決まったのである。しかしその後の予期せぬ寒波で桜の開花は止まったまま。こればかりは仕方ない。自然相手のことでもある。

桜の開花状況が気になるのは花見客だけではない。JRA、とくに阪神競馬場の関係者は、毎年この時季になるとヤキモキしている。むろん気になるのは桜花賞当日の開花状況。このレースだけは、できることなら満開の桜の下で行われてほしい。

Sakura2 

阪神競馬場の桜の開花時期については、まことしやかに噂が広まっている。曰く「JRAが開花日を調整している」というもの。木の根元に氷を撒いて開花を人為的に遅らせているらしい。関西各地の桜は散っているのに、競馬場の桜だけがいつも満開なのがその証―――というものだが、残念ながらこれは都市伝説の域を出ない。JRAもそれを明確に否定する。六甲おろしが吹きつける競馬場は周辺よりも若干寒く、桜も遅めに咲く傾向がある。それゆえジェンティルドンナが勝ったトシなどは、まだ三分咲きだった。

ただ、JRAも開花時期の調整に関心がないわけではない。25年ほど前、開花を操作できるかどうかを実験したことはあった。先の都市伝説は、この実験がファンの間に誤って広まったのであろう。実際に氷を撒いたり、逆に暖めたりしてみたそうだが、開花時期への影響は皆無だったという。開花調整など不可能。やはりこればかりは自然に任せるしかない。

ところで、このブログ(PC版)の今月のタイトルバーナーの写真は2008年の日経賞。満開の桜をバックに中山の坂を駆け上がってくるのは、前年の有馬記念の覇者・マツリダゴッホだ。

Matsuri 

ご覧のとおり、この年の中山では日経賞の週に桜は満開を迎えていた。だが、今年は先週の時点ではまだ蕾は固かったと聞く。隅田公園のみならず今年の桜は全国的に遅い。となると気になるのは、やはり阪神の桜。3歳牝馬たちの舞台を華やかに演出するために、これから暖かい陽気が続くことを祈るしかない。

 

***** 2017/03/28 *****

 

 

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2017年3月27日 (月)

20年ぶりのGⅠ昇格

ドバイと高松宮記念の興奮も醒めやらぬうちに、今週は「GⅠ大阪杯」が行われる。キタサンブラックとマカヒキが初対戦。だが、出走予定馬を見渡せば、「豪華メンバー」と呼ぶのはいささか気が引けるメンバー構成となりそうだ。

Kitasan 

昨年は5頭、一昨年は6頭。大阪杯と言えば、例年GⅠ馬が大挙出走するGⅡとして知られてきた。しかし今年はキタサンとマカヒキを除けば、香港ヴァーズの勝ち馬サトノクラウンがいるのみ。GⅠ馬3頭では、正直「少ない」と感じるファンもいるかもしれない。実際、ロゴタイプ、ヴィブロス、ヌーヴォレコルト、リアルスティールが出走した中山記念の方が、GⅠ馬の頭数では上回っていた。

むろんこれには事情がある。つい最近まで中距離路線をリードしてきたモーリス、エイシンヒカリ、ラブリーデイ、ショウナンパンドラ、ヌーヴォレコルトといった面々が、ここへきて相次いで引退。ロゴタイプやイスラボニータは、マイル路線に矛先を変えてしまっている。待望の春の古馬中距離GⅠだというのに、今年に限っては間が悪かった。

ただ、「待望」と言う割に今回大阪杯に出走するGⅠ馬3頭は、2000mのGⅠを勝ったことがない。2000mのGⅠが少ないというなら、1600~2200mに範囲を広げてもゼロ。3頭ともGⅠでの勝利は2400m以上であるところが、なんとも興味深い。なにせキタサンブラックは天皇賞(秋)をパスした過去を持つ。この3頭に限っていれば、いずれも2400mの方がありがたいクチであろう。そう思ってみれば、3頭以外にも2000mでは足りなそうな馬の名前もチラホラ……。

右回りで、コーナー4つの、芝2000mのGⅠレースを心の底から待っていた!

―――そんな馬が「GⅠ馬がナンボのもんじゃ!」とばかりに激走するかもしれない。出馬表を見渡すと……いなくもないですね。

とはいえ記念すべきGⅠ元年の競馬である。距離や性齢などの出走条件の変更がないままGⅠに昇格した例となると、1997年のフェブラリーS以来ではないか。シンコウウインディとストーンステッパーのマッチレースに、日本初のダートGⅠを見ようと集まったファンは大きな歓声を送った。。

Maka 

あれから20年。今度は年度代表馬とダービー馬による歴史的なマッチレースになってくれないだろうか。GⅠの看板は出走するGⅠ馬の頭数で決まるわけではない。レースレイトも実際のところは眉唾だ。実際のところはファンの心にどれだけ根付くか、その一点に尽きる。20年後も心に残る一戦を期待したい。

 

***** 2017/03/27 *****

 

 

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2017年3月26日 (日)

消えた馬名

東京は寒の戻り。しまいかけたコートを引っ張り出して、競馬場……ではなくスマホショップに向かった。経緯は昨日付をご覧いただきたい。店に着くなり目についた機種を選ぶと、さっさと購入手続きを済ませて帰宅。もとより機種にこだわるタイプではない。騎手にはものすごくこだわるけど。

その後は、新しいスマホとひたすら格闘。画面保護シールがうまく貼れない。いろんな手続きに必要なアカウントが思い出せない。どんなアプリが入っていたか思い出せない。そんなことをしていたら、あっという間に一日が潰れてしまった。ドバイから快挙が伝わってきた記念すべき日だというのに……。なにせ日本の4歳牝馬がドバイで勝ったのは初めてのことだ。

電話帳のバックアップが取ってあったことは、不幸中の幸いであろう。それでも新しい端末にリカバリーされて、そのリストが表示されるまで、心配で仕方なかった。これがなかったらほとんどの競馬関係者との連絡が途絶える。「私の携帯番号をご存じの方は、お手数ですがお電話ください」。そんなお願いをこのブログに掲載しようかと考えたほど。それでもブログを見てない方とはお別れになる。

故障機はディスプレイが死んだだけなので、PCに接続することで画像や音楽ファイルは救うことができた。最近では、パドックの撮影などはスマホで済ませているのでホッとひと息。

だが、メールは救えなかった。仕方ないところではあるが、私は思いついたことをメモするのに、メールに文字を打って、それを未送信フォルダに溜めておく癖がある。負けたけど見どころのあった馬、ブログに使えそうな面白い言い回し、そして気になった店―――等々。それらが消えてしまった。悲しい。

なかでも悲しいのは、馬名候補を失ってしまったこと。普段何気なく生活していて、これは馬名にイイんじゃないかという言葉を耳にすることがないだろうか。しかし、たいていの場合すぐに忘れてしまう。そんな言葉に出会ったことすら覚えていない。なので、その場ですぐにメモするようにしていた。たしか30個ほどあったはず。しかし大半は覚えてない。まあ、私が名付けてた馬が走るとも思えんから、そういう意味ではたいした影響もないか。

Vil 

ヴィルシーナはロシア語の「頂上」、シュヴァルグランはフランス語で「偉大な馬」そして、ドバイターフを勝ったヴィブロスはギリシャの地名に由来する。佐々木主浩オーナーのネーミングは言語も意味も様々。だが、そこに必ず「ヴ」の一文字が使われるというのは有名な話だ。あの大魔神も、「ヴ」の付く言葉を見つけてはマメにメモしているのかもしれない。

 

***** 2017/03/26 *****

 

 

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2017年3月25日 (土)

緊急事態発生

スマホがぶっ壊れましたcrying

3年10か月も使って、もう寿命かなぁ……、買い替えなきゃなぁ……、と思いつつも、ショップに行って、順番待たされて、果てしなくオプションの説明を聞かされて、データ移行の間にさらに待たされるなんて、耐えられないからと先延ばしにしてきたんですよねぇ。

今は電源入れても、画面がぼんやり白っぽくなるだけ。受電してもコール音は鳴らない。

携帯電話に縛られる哀しい現代人にはなりたくないと思っていたが、いざスマホを失うと不安になるものですね。

Nira 

かといってやれることもないから、とりあえずニラたっぷりのラーメンを食べて、ラニの応援をしよう。去年はニラたっぷりのモツ鍋を食べたんだよな。写真を撮ることもできないから、娘のスマホを借りました。

なんと現地は昨日から雨が降り続いているそうです。しかもかなりの大雨とか。馬場状態はダート:MUDDY、芝:YIELDING。つまりどちらも「重」ということ。かなりひどい馬場らしい。それでも第1レース・ゴドルフィンマイルのカフジテイクは、後方から直線で伸びて5着に追い込んでみせた。かなり頑張っている。

明日は東京も雨らしい。朝から傘を片手に携帯ショップ。すてきな日曜日になりそうだ。とりあえず、今日はここまでにさせてください。

 

***** 2017/03/25 *****

 

 

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2017年3月24日 (金)

おじさんたちの闘い

今日の大井9レースは「弥生賞」。むろん3歳馬による皐月賞トライアルなどではない。3歳馬どころか、5頭もの9歳馬が出馬表に名を連ねるバリバリの古馬オープン戦だ。

3歳クラシックへの重要な前哨戦という意味では、そのひとつ前に行われた「つくし特別」の方であろう。昨年の佐賀の2歳チャンピオン・スーパーマックス、前走JRA交流競走を圧勝したキングガンズラングに加え、岡田繁幸氏がその素質を高く評価するコスモスが顔を揃えた。舞台は羽田盃と同じ1800m。これは注目せぬわけにはいくまい。

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ちなみに、いま私がいるのはオフト後楽園。外は北風が強いが、売り場はオジさんたちの熱気でムンムン暑い。

Offt2 

私の背後に立つオジさんは、つくし特別はコスモスで、続く弥生賞はルックスザットキルで固いゾと、さっきから誰かと話している。

「オレはたまたま川崎で見てたんだけどね、コスモスの新馬戦はそりゃあケタ違いよ。こないだは負けたけどさ、中央のGⅡで9着なら立派なもんだよ」

Cosmos 

つくし特別は7頭立て。コスモスは単勝1.9倍の圧倒的1番人気に推されている。さあ、ゲートが開いた。スーパーマックスが逃げてコスモスが2番手から追いかける展開。あとはひとくくり。ペースは決して速くない。というか遅いまま3コーナーに差し掛かる。こりゃあ、コスモスには願ったり叶ったりの展開ではないか。

―――と思ったその瞬間、外からマクり上がったキングガンズラングが、あっという間に先頭に並びかけると、直線でも脚は衰えることなく最後は3馬身半も突き放してゴール板を駆け抜けた。これは強い。

ただし、時計は平凡。1分58秒では羽田盃は勝てない。残り1ヶ月半の間で、あと5秒詰められるだろうか。無茶な注文に聞こえるかもしれないが、伸び盛りの3歳馬ならできないことではない。

2着は伏兵チャリオットレース。コスモスはさらに2馬身半遅れた3着に敗れた。さっきのオジさんは大丈夫だろうか? 死んでないといいけど……。

でも、次の弥生賞できっと取り戻してくれるはず。オジさんが「固い」と言ってたもう一頭、ルックスザットキルは単勝1.8倍とコスモスを上回る人気ぶり。さすがにこのメンバーなら逃げ切ってくれるだろう。ドカンと勝負してさっきの負けを取り戻してくれ。さあ、ゲートが開くぞ!

―――と思ったその瞬間、なんとルックスザットキルが大きく出遅れた。うひゃー! 私は天を仰いだ。しかるのちにモニタに視線を戻すと、今度はルックスザットキルが腰をよじって早田騎手をその背中から振り落としたではないか。どっひゃー! オジさぁ~ん!!

場外のオジさんの安否は定かではないが、弥生賞に出走した9歳の“オジさん馬”のうち5着に入ったゴーディーは賞金59万円を獲得。これで来年も現役を続行する権利を得た。オジさんたちの闘いは続く。

 

***** 2017/03/24 *****

 

 

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2017年3月23日 (木)

グレート・ギャツビー

村上春樹氏の新作「騎士団長殺し」を読了したら、今度は久しぶりにこの一冊を読みたくなり、本棚の奥から引っ張り出してきた。なぜそんな気持ちになったのか。それは「騎士団長殺し」を読んでいただければ、お分かりいただけると思う。

Great 

実を言うと―――というほど重大な話ではないが―――私はこの小説が大好きで、大学時代の講義のテキストとしてこの原書に出会ってからというもの、「一番好きな小説は?」と聞かれれば、迷わず「グレート・ギャツビー」と答えることにしている。

10年ほど前、調べものをする中で小説の中のとあるシーンを読み返す必要がでてきた。ほぼ同じタイミングで、村上春樹氏がその訳を世に問うたことは、偶然というにはあまりに出来過ぎの感がある。すぐさま書店に走り、手に取ったことは言うまでもあるまい。今回10年ぶりにその頁を開いた。

突然だが、ケンタッキーダービーと聞いて、皆さんは何を想像するだろうか?

「マイ・オールド・ケンタッキーホーム」の大合唱や、優勝馬の首に掛けられる深紅の薔薇のレイが大多数を占めるだろうけど、ミントジュレップもこれらに負けぬほど得票を集めると思う。10年前に私が調べていたものこそ、その「ミントジュレップ」についてであった。

ミントジュレップは、バーボンにグラニュー糖とミントを混ぜた甘いカクテルで、ケンタッキーダービーには欠かせない飲み物。

昔、ケンタッキー人の船乗りがミシシッピ川を船で進んでいた時、ふとバーボンを飲みたくなった。そこで陸に上がって湧き水を汲もうとしたときに、そばに生えていたかわいらしい草の葉を一緒に入れてみたところ、これがことのほか美味い。そのケンタッキー人は、その草を故郷のルイヴィルに持ち帰り、そこからミントジュレップが広まったと言われている。

そのミントジュレップが「グレート・ギャツビー」のストーリーのどこかに登場してきたような気がする。あれはどこだったか―――?

そんなことを悩み出したら、もうその一冊を読まずにはいられない。そこに村上春樹氏の新訳が上程されたのだから、やはりこれは天恵としか思えぬのである。

で結果から言うと、物語の最大の山場とも言うべきシーンでミントジュレップが登場していた。ニューヨークのホテルに、主要な人物が集まり、ジェイ・ギャツビーとトム・ブキャナンがついに直接対峙する場面の直前、デイジー・ブキャナンがホテルのサービスにバーボンとミントを注文して、ミントジュレップを作ると言い出すシーンだった。実は物語の中でのデイジーの出身地はルイヴィルだったのである。

そのルイヴィルではケンタッキーダービーの1週間前から「ケンタッキーダービー・フェスティバル」が行われ、実に10万杯ものミントジュレップが飲まれるという。果たしてデイジーは、チャーチルダウンズ競馬場に足を踏み入れたことがあったのだろうか?

 

***** 2017/03/23 *****

 

 

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2017年3月22日 (水)

世界を舞台に

残念ながら侍ジャパンは敗れてしまったが、明日の深夜にはサッカーW杯2次予選UAE戦が、そして土曜の夜にはドバイでワールドカップミーティングと世界の頂点を目指す戦いが続く。しかも国内では高松宮記念を含む4重賞の週末。睡眠時間の確保には気を配りたい。

昨年のラニやリアルスティールのように、今では毎年のように日本馬が活躍するドバイミーティングだが、むろんかつてはそうではなかった。先鞭をつけたのは今を遡ること16年前、当時はGⅡ格のドバイシーマクラシックを勝ったステイゴールドである。GⅡとはいえ1着賞金1億5千万円。負かした相手が前年の世界チャンピオン・ファンタスティックライトだったことを思えば、日本競馬史における快挙であることは間違いなかろう。

Stay1 

ところで、ステイゴールドは4歳時から3年連続で日経賞に出走していたことをご存じだろうか。4歳時がテンジンショウグンの4着、5歳時はセイウンスカイの3着、そして6歳時がレオリュウホウの2着。成績としては悪くない。しかしなかなか勝ちきれない。でもそれは仕方ない。なにせステイゴールドである。ともあれ着順が④→③→②とくれば、次は①を期待してしまうもの。なのに、明け7歳を迎えたステイゴールドは日経賞の同日に行われるドバイシーマクラシックにエントリーした。

しかし招待馬の発表日とされた2月10日になっても、肝心の招待状が届かない。翌日も、その翌日も、さらに1週間待っても招待の連絡はない。ひょっとして選ばれなかったのか―――?

GⅠの2着は捨てるほどあるが、なにせ未勝利。やはり無理だったか。それなら阪神大賞典に……。

そんな話も出始めた2月21日、待ちに待った招待の知らせが届いた。いま思えば、なんと大きな意味を持つ報せであったことか。もしこれが届かなければ、オルフェーヴルもゴールドシップもいなかったかもしれない。

ステイゴールド不在の日経賞をメイショウドトウが勝ったその夜、ドバイからの国際電話で快挙を知った。それはゴドルフィンマイルのノボトゥルーではなく、デューティーフリーのイーグルカフェでもなく、ましてやワールドカップのトゥザヴィクトリーでもレギュラーメンバーでもない。まさかまさかのステイゴールド。受話器の向こうの声は涙に震えていた。

Stay2 

今年もドバイミーティングが行われる土曜日に、中山で日経賞が行われる。ショウナンバッハ、ツクバアズマオー、レインボーラインの産駒3頭に加え、孫にあたるミライヘノツバサもエントリー。この4頭から勝ち馬が出ても不思議ではない。3月の最終土曜日になるとステイゴールドの血が騒ぐ。そう思えてならないのである。

 

***** 2017/03/22 *****

 

 

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2017年3月21日 (火)

白毛の挑戦

白毛馬初のクラシック出走を賭けて先週土曜の若葉Sに出走したシロニイだが、4着に敗れて皐月賞の優先出走権を得ることはできなかった。しかし、負けたとはいえバッタリ止まったわけではない。手綱を取ったシュタルケ騎手も「ダートなら走る」とコメントしている。

シロニイの兄弟姉妹たちは、JRAとダートグレードで5頭が19勝をマークしている。母シラユキヒメが名繁殖牝馬であることは疑いようがない。が、その19勝のうち18勝がダートで挙げたもの。父が変わっても同じようなタイプの子を出すというのも、この母の特徴なのかもしれない。

ホワイトベッセル(3勝)
ユキチャン(5勝)
マシュマロ(2勝)
マーブルケーキ(3勝)
ブチコ(4勝)
シロニイ(2勝)

芝での唯一の勝利は2008年3月29日の中山9R。ユキチャンが勝った芝2000mのミモザ賞だった。

ちなみにこの日のメインレースは歴史と伝統を誇る日経賞。だが、最終コーナーを回って早々にマツリダゴッホの独走状態となった同レースに比べ、直線坂下3番手という位置取りから、真っ白な馬体のユキチャンが一完歩ずつ先頭との差を詰め、ゴール寸前でついに差し切るというレース展開も手伝ってか、この日一番の大歓声はむしろこちらのミモザ賞の方だったように思う。

Yuki 

JRAの芝レースを白毛馬が勝ったのは初。ついでに特別競走の勝利も初めて。すなわち快挙である。

「白毛」というサラブレッドではきわめて珍しい毛色の馬の誕生が、日本で初めて確認されたのは1978年だが、”正式な毛色”として「白毛」が正式認可されたのは1991年。同じ白馬(はくば)でも芦毛は年齢とともに白さを増すが、白毛馬は生まれた時から真っ白なのが特徴で、地肌がうっすらと透けて見えるので淡いピンク色にも見えることもある。特に雨の日はそれが分かりやすい。

海外においては、この毛色はかなり前から知られていた。19世紀アメリカにはホワイトクロスという白毛のサラブレッドが存在したし、フランスにはモンブランという白毛の種牡馬すら存在したという。

「白毛馬は体質的に弱い」という説を唱える向きもあるが、白毛の発生要因はメラニン色素を産生させる遺伝子の一部に突然変異が生じたものと考えられている。そうした遺伝子を片方の親から受け継いだ馬でも正常に成長すれば、メラニン色素が産生されない点以外は競走能力も含めて他のサラブレッドとなんら変わらない。

ただ、他の毛色に比べ体毛が薄いため皮膚が弱いことは確かなようだ。つまり、陽射しの強い夏場の体調管理は難しくなる。芦毛馬は「夏場に強い」という馬券学的な”定説”があるが、白毛馬には必ずしも当てはまるとは限らない。

それにしてもミモザ賞は立派な勝ち方。あの差し脚は決してフロックではなかろう。むろんオークスへの期待も膨らんだわけだが、それを聞かれた金子真人オーナーは高らかに笑った。真意は測りかねるが、「そんなに甘くはないよ」といったところだろうか。実際、次走のオークストライアルでは7着に敗れた。やはりクラシックはそんな甘いものではない。金子オーナーは誰よりそれをよく知っている。

結果的にユキチャンは白毛馬初のクラシック出走を逃した。それから9年。今度は弟のシロニイが皐月賞を目指したが、やはりあと一歩及ばなかった。しかし諦めるのはまだ早い。むろんダービートライアルというルートは残されているが、ここは兵庫チャンピオンシップでどうだ。1着賞金2800万円。獲得賞金としてダービー出走に申し分ない。しかも得意とするダート戦。なくはなかろう。次走にも注目だ。

 

***** 2017/03/21 *****

 

 

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2017年3月20日 (月)

中山の異変

この中山開催でちょっとした異変―――というか気になること―――が起きている。ディープインパクト産駒の苦戦が目立つのである。

2回中山8日間で挙げた勝利はカデナの弥生賞、グレーターロンドンの東風S、そして今日のジッパーレーンとファンディーナの4勝のみ。アンビシャスも、ヴィブロスも、リアルスティールも、ビッシュも、そして昨日のサトノアレスも勝てなかった。稼ぎどころの下級条件で勝ち星を量産できないのも珍しい。ちなみに現在行われている1回阪神8日間で、ディープ産駒は10勝をマークした。普段のディープインパクトならこれくらい勝ってもおかしくない。

逆にこの中山ではステイゴールド産駒が8勝の大活躍。昨日のスプリングSはそれを象徴していた。1番人気で敗れたサトノアレスはディープ産駒の2歳チャンピオンで、5番人気で勝ったウインブライトはステイゴールド産駒である。

昨日のスプリングSには朝日杯の1、2着馬と、ひいらぎ賞の1、2着馬が揃って出走してきた。どちらも同じ週に行われる芝のマイル戦。ただし、前者はGⅠで後者は500万条件戦に過ぎない。格が違い過ぎる。むろん朝日杯の1、2着の方が強い。普通はそう考える。しかし当たり前の結果にならないのも競馬である。勝ったウインブライトと2着アウトライアーズは、ひいらぎ賞の1、2着が逆転しただけ。朝日杯組はサトノアレスが4着。モンドキャンノはあろうことかブービーに敗れた。

Spring 

ひいらぎ賞は、実質的には朝日杯に抽選で漏れた馬たちの残念レースである。だから朝日杯と同じくらい歴史も深い。消えたり復活したりが当たり前の特別戦でありながら、そのレース名は半世紀近い歴史を誇る。コーネルランサー、カブラヤオー、プレストウコウ、ミスターシービー、ダイナガリバー、メジロライアン、サクラチトセオー、シンボリインディ、アサクサデンエン、マイネルホウオウ、ミッキーアイル……。ひいらぎ賞の連対馬を列記すれば、その重要性は朝日杯と大差ないように思える。

それを思えば、朝日杯組よりもひいらぎ賞組が成績で上回ったスプリングSの結果にいちいち驚く必要はないのであろう。その2頭の馬連配当が1350円でしかないのが何よりの証。ファンは分かっている。

それにしてもサトノアレスの敗因は何であろうか。出遅れの原因ははっきりしているが、最後の脚に特に見るべきものはなかった。スタートで滑ったことだけではあるまい。

6年前のグランプリボスは朝日杯を勝った翌年の始動戦をスプリングSに定めたが、4着に敗れた。同じ道を辿るサトノアレスに距離の不安はないのだろうか。全兄2頭はどちらかと言えば短距離指向にある。

一方で、ディープ産駒にフィットしない中山の馬場状態が影響した可能性も否定できない。だが、皐月賞が行われるのは間違いなくこの中山である。

今年の牡馬クラシック路線は、前哨戦が進むにつれ混迷の度合いを増すばかり。ソウルスターリングやファンディーナあたりは、日本ダービー参戦を本気で検討すべきかもしれない。

 

***** 2017/03/20 *****

 

 

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2017年3月19日 (日)

新馬戦が終わって

今日の中山4レースは、現3歳世代最後の新馬戦。そのせいか13頭もの除外馬が出た。経験馬相手の未勝利戦よりは相手関係が楽なこと。さらに「多少無理してでも新馬に使いたい」という関係者の気持ちもあろう。たいていの競走馬は新馬戦を目標にするものだ。

そんな一戦を勝ったのはナスノカンザン。エンパイアメーカー産駒の牡馬。後続に4馬身差を付ける圧勝だった。

Nasu 

昨年6月4日の阪神5R、レッドラシーマの勝利で幕を開けた新馬戦は、これにておしまい。これ以後にデビューする3歳馬は未勝利戦に回ることになる。

続く5レースはその未勝利戦。どれどれ……と出馬表を見れば、経験馬に混じって3頭の初出走馬がデビューを迎えるではないか。これは注目せねばなるまい。

3頭の出自を見れば、社台ファーム産が2頭に白老ファーム産が1頭。いずれ劣らぬ良血ではあるが、さすがに人気は経験馬に集まっている。そりゃあ、走ったこともない馬よりは、2戦連続2着の馬を信用したくなりますよね。

初出走の中でもっとも人気を集めたグローリーハンターにしても、スタートからの加速はいまひとつ。1周目のスタンド前での位置取りは最後方である。あらら……

「調教では動いたと聞いていたが、やっぱり調教と実戦は違うんだよな―――」

その時はそう思った。

すると、向こう正面でグローリーハンターがぐんぐん進出を始めたではないか。中団から好位へ。なんと4コーナーでは先頭に並びかける勢い。いくらなんでもそりゃ無茶だ。中山は最後に坂がある。そこでバッタリ止まるに違いない。百戦錬磨の戸崎圭太騎手がそれを知らぬはずもあるまいに……。

しかし、そのスピードは坂に削がれるどころか、ますます勢いを増して人馬は坂を駆け上がってきた。結果、キャリア5戦目のマイネルヴンシュをクビ差競り落としてゴール。驚きのあまり、その快走を称賛する適当な言葉が見つからない。さらに調教師から「(馬体は)まだグニャグニャのユルユル」と聞かされて再び驚いた。もはやその素質は底知れない。

Glory 

初出走馬が経験馬相手に未勝利戦を勝つことは、決してないわけではないが、簡単なことではない。とくにこの時季は、まだ未勝利にも強い馬が残っている。このレースでデビューを果たした他の2頭は、掲示板にも載ることができなかった。

春の未勝利戦でデビュー勝ちした馬といえば、タイキシャトルやエイシンヒカリが思い浮かぶ。今日の9レース幕張特別を勝ったキャンベルジュニアも、4月の未勝利でデビュー勝ちしていた。彼らのその後の活躍を思えば、グローリーハンターの展望は明るい。なんでもない未勝利戦から、唐突に注目の一頭が現れた。

 

***** 2017/03/19 *****

 

 

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2017年3月18日 (土)

競馬が消える日

今日3月21日は年間を通じて唯一関東地区で競馬が行われない一日。JRAはもちろん南関東公営競馬も開催されない。逆に言えば、今日を除く364日間は、東京近郊のどこかしらで競馬が行われているということになる。

好天の土曜日だというのに、なんともったいないことか。とはいえ中京まで出向く元気はない。仕方なくやってきたのは東京スカイツリーにほど近い―――

Skytree 

こちらの建物

Wins 

ウインズ錦糸町ですね。

場外で中京の馬券を仕入れたら、うどんを食べよう。錦糸町には『五郎』や『あ季』など、美味しいうどんを食べさせてくれる店がたくさんあるが、残念ながらどちらも土曜日はお休み。さあどうしたものか。

Noren 

駅の北側に暖簾を掲げる『しゅはり』は、神楽坂の名店『蕎楽亭』出身の若き店主が営む一軒。2013年にオープンしたときは「朱葉離」という蕎麦店だった。その後、いろいろあってうどん店になり、店舗が移転し、ランチ営業も今月からスタート。土曜の昼に営業してくれているのは、場外帰りの私のような人間にはありがたい。

うどんが茹で上がるのを待ちながら考えた。なぜ年に一日だけ「競馬の消える日」が生まれてしまうのだろうか。

春分の日の3連休に、JRAはしばしば「中京・阪神」「中山・阪神」「中山・中京」の日割りを組む。3場の開催を3日間に割り振る工夫だとは思うのだが、その結果、関東から競馬が消えてしまうのがどうも納得できない。去年もそうだし、3年前もそうだった。3年前はそれで中京まで出かけたような気がする。

Falcon 

ちなみに明後日は中山と大井が揃って開催する。大井がナイターならまだ分かるのだが、がっつり昼間開催。ナイターにはまだ寒いし、J-PLACEの売上も見込める。それは分かるが、私は開催重複は「もったいない」としか思えない。しかもこの日、園田開催の無い関西では「競馬が消える」ことになる。

JRAが3連休の日割りを、「中山・中京」「中山・阪神」「中京・阪神」とでもしてくれれば、関東からも関西からも競馬が消えることはなかったはず。ちょっと考えれば分かること。でも現状ではそれができない。なぜだ?

Udon 

8分ほど待って出てきたうどんはご覧のように褐色に輝いていた。実はこの店、店内の石臼で挽いた小麦を使ってうどんを打っている。麺の表面に見えるフスマの粒がその証。これが小麦の香りを際立たせ、かつ特有の甘味を引き出している。つけ汁も上品な味わい。考え抜かれた味がする。ひと言でいえば隙がない。それに比べて競馬の日割りときたら……、いやもうやめよう。せっかくのうどんがマズくなる。

 

***** 2017/03/18 *****

 

 

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2017年3月17日 (金)

2歳能検はじまる

昨日の門別競馬場で、ホッカイドウ競馬の競走能力・発走調教検査、いわゆる「能検」が実施された。ゲート入り、駐立、発馬、そして800mを57秒以内で走ること。これらをクリアしない限り、どれだけ良血であろうが、どれだけ素晴らしい馬体を誇ろうが、「競走馬」になることはできない。それゆえレースよりも緊張するという関係者もいる。

昨日は87頭もの2歳馬が「競走馬」への関門に挑んだ。ひとレースあたりの出走馬は5~6頭。「第14レース」が行われるのは能検ならではであろう。結果、87頭全馬が合格と聞いて多少驚いた。もっとも遅いタイムでも56秒0だから、合格ラインぎりぎりという馬もいない。2歳馬育成技術の進歩には目を見張るものがある。

年の初めの能検で話題となるのは新種牡馬の産駒であろう。今回合格した87頭の中にも、ヘニーヒューズ(4頭)、エイシンフラッシュ(2頭)、エスポワールシチー(2頭)、マコトスパルビエロ(1頭)、ローズキングダム(1頭)と10頭の新種牡馬産駒が含まれている。むろんみんな合格。エイシンフラッシュとローズキングダムの産駒同士が対戦すると思うと、早くもアツい。あのダービーから7年になる。

Derby 

実はこの87頭の中に、私の関係馬が含まれていた。昨年のオータムセールでお買い上げいただいたアッミラーレ産駒の牡馬。好発から3番手で折り合い、外々を回りながらも直線で抜け出し51秒5で1位入線してくれた。

嬉しい……。

仔馬の頃からずっと可愛がってきた馬が、能検とはいえ1着でゴールすりゃあ、そりゃあ嬉しいですよ。親バカと言われようとかまわない。馬体重が486キロと聞いただけで泣きそうになった。あんな小っちゃかった馬が……うぅ(涙) ありがたい。すべての関係者のおかげです―――って、まだ正式にはデビュー前なんですけどね(笑) 4月18日のホッカイドウ競馬開幕が待ち遠しい。

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     ―――【撮影:田中哲実氏】―――

ところで、例年の2歳競馬は全国に先駆けて道営で始まるものなのだが、今年に限っては南関東でスタートするかもしれない。

4月の大井開催で新馬戦が予定されている。それはいつものことだが、新馬戦は例年最終日に実施されてきた。が、今年の番組では開催初日に1000mの新馬戦が2鞍割り振られている。初日は4月17日。つまり道営開幕の前日なのである。

先週金曜日には、全国のトップを切って大井で2歳能験(※南関東では「能力試験」)が行われた。受験したのは3頭。うち1頭はタイムオーバーで不合格となり、2頭がめでたく「競走馬」となった。だが、2頭では競馬はできない。能験は来週3月24日にも予定されているから、そこで何頭合格するかがレースの成立を左右する。それを考えると、やはり道営の87頭は凄い。レベルが違う。

 

***** 2017/03/17 *****

 

 

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2017年3月16日 (木)

失点率と抽選

先週の木曜日は、たしかJBCの話を書いたはずだけど、今週木曜はWBCの話。侍ジャパン、ベスト4進出ですね。私としてもサムライハート産駒の馬券を買い続けたかいがあった……かどうかは定かではないが、ともあれおめでとうございます。

それにしても昨日はやたらと「失点率」という言葉を耳にした。仮に日本が負けて、オランダ、イスラエルと2勝1敗で並んだ場合、失点率の争いにより1位チームが2次ラウンドトップ通過。2位と3位が今日プレーオフを行うという。ただし、WBC主催者サイドは、そのスコア条件をあらかじめ明らかにすることを拒んだ。サヨナラゲームや延長戦にもつれた場合など、野球の場合は考え得るケースが多岐に渡る。先日も、いったんは2次ラウンド進出が発表されたメキシコが、一転敗退となるドタバタ劇があったばかり。そもそも、日本では馴染みが薄いルールでもあり、「(失点率は)分かりにくい」という声も少なくない。

関係者の間でさえ「失点率より得失点差を重視すべき」と賛否両論あるものの、失点率のルール自体は国際野球連盟の規定にのっとったものだ。失点を最小限に留めれば道は開けるというシンプルな考え方は、投手力を中心とした守りの野球を旨とする日本にも味方している。さらにこのルールが、序盤で大差がついた試合に一定の緊張感を与えている点も見逃せない。同じ「1敗」でも、そこに微妙な差が生じるからだ。

それが大きくモノを言ったのは、2006年に行われた第1回WBCの2次ラウンド。4チームの対戦が終了した時点で、3戦全勝の韓国を除き、日本、米国、メキシコの3チームが1勝2敗で並んだ。結果、失点率の争いとなったのである。

まず18イニングで7失点のメキシコは失点率3.89で脱落。17イニングで5失点の米国は失点率0.29。そして日本は17回2/3を5失点だから0.28。わずか0.01差で米国を上回った日本が決勝トーナメント進出を果たし、その勢いのまま世界一へと上り詰めた。

実はこの2次予選で日本は米国にサヨナラ負けを喫していたのだが、9回2アウトまで進んでいたことが大きい。実際、今回のWBCで涙をのんだメキシコにしても、イタリア戦で9回無死からサヨナラ打を浴びたわけだが、これがもし1アウトからであれば、失点率でベネズエラを上回って2次ラウンド進出を果たしていた。アウト一つと言えど、バカにはできない。

だが、巷間騒がれているように、このルールには欠陥がある。「延長10回で1-0勝利なら失点率で勝ち上がれる」というチームは、9回まで点を取ろうとせず故意に凡退するだろうし、「9回1失点なら試合に負けても失点率で勝ち上がれる」というチームが0-0で9回ウラの守備を迎えれば、4者連続敬遠の暴挙に出るかもしれない。幸いにも、これまでそういうチームは表れていないが、現在米国で行われている2次ラウンド(F組)で、ついにそういう事態が起きる可能性だってある。

その点、我が国の競馬には「抽選」という麗しき伝統手法がある。明瞭簡潔であり、なおかつ故意に負けるようなルール上の抜け穴もない。必要とされるのはただひとつ。「運」のみ。そこからノーリーズン(皐月賞)、トールポピー(阪神JF)、ゴスホークケン(朝日杯)のように、頂点に上り詰めた馬もいなくはない。

Noleason 

一方で、こうした抽選組の活躍は、GⅠを勝つだけの力を持ちながら抽選で涙をのんだ馬が多くいた可能性を示唆している。2013年の朝日杯ではモーリスやミッキーアイルが除外の憂き目を見た。いま思えば、JRAも思い切ったことをする。でも、公平な抽選の結果である以上、主催者が文句を言われることにはならない。そこがミソ。「麗しき」というのは精一杯の皮肉だ。分かりにくいと揶揄される失点率でも、少なくともそこには関係者の努力の跡を感じ取ることができる。ルールの欠陥を突くような真似をするようなチームは、きっとWBCの舞台にはいないのであろう。

 

***** 2017/03/16 *****

 

 

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2017年3月15日 (水)

待ちに待った舞台

JRAのオーブンクラスには2100mを超える距離のダート戦は用意されていない。1600万条件でも同じ。ない。重賞ではシリウスSの2000mが最も長い。だが、これにしてもスタート地点は芝コース上にあるから、「ダート1922m+芝78m」と表記したほうが正しい。

だからJRAで走るダートのステイヤーたちは、逆の意味での「距離の壁」に早晩ぶつかることになる。それならと1800m戦線で頑張る馬もいるが、地方への移籍を選択する馬もいなくはない。

今宵のダイオライト記念に出走するユーロビートもそんな一頭。JRA時代はダートの2100~2500mで4勝をマークしたが、準オーブンで「壁」にぶつかった。5歳の夏に大井へ移籍。ここには金盃と東京記念の二つの長距離重賞が用意されている。ユーロビートはこの二つのレースに5回出走して(3,2,0,0)だから凄い。今夜のダイオライト記念、たとえ相手がGⅠホースであっても、2400mでは譲れぬ思いがあろう。

Yuro 

JRA時代のクラージュドールに関して言えば、準オーブンを首尾よく勝ち上がることができたが、オーブンで頭打ちになった。彼が東京の2100mで負けた時、手綱を取ったライアン・ムーア騎手が「2400mなら勝てる。(そんな番組は)ないだろうが……」と言って周囲を笑わせたことを思い出す。JRAはダートのステイヤーに優しくない。そんな話題で盛り上がった。それからしばらくして船橋に移籍してきたクラージュドールは、昨年のダイオライト記念4着。先月の金盃では3着。長距離ではやはり崩れない。彼も今夜の舞台を待っていたに違いない。

Dole 

なので、こんな馬券を買ってみた。

Baken1 

あと、こんなの。

Baken2 

結果は2着と5着だからはずれ。でも人気を考えれば悪くない。3着ウマノジョーも含め、ダートグレードで3頭の地方馬が掲示板に載るなんて、いつぶりだろうか? なにせ昨日の黒船賞ではJRA勢が掲示板を独占した。たとえ勝てなくても上位争いに加わることが大事。いずれ勝つチャンスは巡ってくる。

Yutaka 

もちろん勝ったのはクリソライト。今日が誕生日の武豊騎手は、引き揚げてくるなり3本指を立てて3連覇をアピールした。「7歳だけどまだまだ勝てる」とは武豊騎手。6馬身差の圧勝を見せつけられては、否定のしようもない。この舞台を待っていたという点では、ユーロビートにもクラージュドールにも勝るものがあった。早くも来年の4連覇が気になって仕方ない。

 

***** 2017/03/15 *****

 

 

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2017年3月14日 (火)

プラスマイナス悲喜こもごも

先週日曜のJRA競馬では、前走からの体重変動が大きな馬の活躍が目立った。中山3Rを勝ったタイセイマルスは+22キロでの出走。中京でも、アースライズが+20キロで、シシオウが+22キロで勝つと、4Rのマジェスティハーツに至っては+30キロで優勝をさらってみせた。馬体重をことさら重視する向きの方には、辛い一日だったかもしれない。

Vision 

馬の仕上がりは「馬体重」という客観的な3桁の数字だけで量れるものではないということは重々承知しているが、実際に数字を見れば動揺せずにはいられない。

馬の体重は1日に10キロ以上変動する。20キロ変わることも珍しくはない。それを指標に馬の体調を推し量るのは無意味だという見方もある。パドックで筋肉の状態を見極め、かえし馬で心肺の状態を見極めるのがあるべき姿なのだろうが、それでも具体的な数字というものは、頭の片隅から離れないもの。だから、私は意識的に馬体重には関心を持たぬようにしている―――のだが、それでも+30キロで勝たれるとさすがに気になる。よもや別馬じゃあるまいな。

JRAでは、通常のレースでは出走80分前に、GⅠレースでは90分前に各馬を集めて馬体重を量る。それは発育測定のためではなく、実馬検査や馬装のチェックの一環にすぎない。もし体重が前走から50キロ以上も異なっていれば、それが本当に出走登録している馬であるのかどうかを疑うべきだろう。

最近の馬体重計量の位置付けは、ファンサービスの一環へとシフトしているようだ。GⅠ出走馬の馬体重は女性の声で丁寧にアナウンスされ、上位人気馬の数字に大きな増減があれば、場内にはどよめきが起こる。これはGⅠレース当日にJRAとファンとの間で交わされる一種のセレモニーにも近い。10年ほど前から実施されている「調教後馬体重」の発表なども、ファンサービス拡充を目的に定着した。

だが、調教現場の一部はこうした方向性に懐疑的なようだ。もっとも問題視されているのは、調教後馬体重が各厩舎の自己申告に委ねられている点。出走馬体重はJRA係官立ち会いのもとで行われるが、調教後馬体重は、計測せず見た目で判断してもいいということになっている。中間と当日で体重があまりに違えば、逆にファンの混乱をきたしかねない。客観性にこそ存在価値がある馬体重という指標が、実は曖昧な面を残しているとなれば問題は大きくなる。

実際、馬体重の増減から体調を推理し、馬券購入の参考にするファンは決して少なくはない。私の周囲には「二桁増減は黙って消し」というスタイルを貫く人もいる。そんな人にとって先週日曜は厄日でしかあるまい。なにせ全36レースで馬券に絡んだ108頭のうち、25頭が二桁増減。しかも、その25頭のうちの8頭が、20キロ以上の馬体増減を記録していたのだから。

ちなみに私は馬体重だけでなく、自らの体重もさほど気にしない。それが今の我が身に繋がっているのだとすれば、もう少し体重に興味を持った方が良いのだろうが、それができないらこのザマなのである。

 

***** 2017/03/14 *****

 

 

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2017年3月13日 (月)

菊池寛先生の競馬観

明けて10歳のシーズンを迎えたドリームバレンチノが、明日の高知・黒船賞で節目の50戦目を迎える。

もし勝つようなことになれば、ダートグレードレースでは初の10歳馬による勝利。しかし、それは決して夢物語ではない。なにせ昨秋の東京盃を勝ったばかり。黒船賞の1着賞金2100万円を獲得すれば、生涯獲得賞金も5億円に到達する。まさに「無事是名馬」を地で行く存在だ。

Dream 

「無事是名馬」という言葉は、競馬に限らず世間一般に広く使われている。はるか昔の戦国武将が残した言葉と勘違いされることがあるが、これは作家であり、文藝春秋社長であり、そして何より馬主でもあった菊池寛氏が残した金言にほかならない。

もちろん馬券も大いに楽しんだ菊池寛氏は「無事是名馬」のほかにも、

「情報信ずべし、しかもまた信ずべからず」

「馬券は悟りがたし。大損をせざるをもって、念とすべし」

といった数々の名言を残しており、現代にも通じる馬券哲学の祖をなした偉人である。たしか「穴人気」という言葉を最初にメディアで紹介したのも菊池氏だったはずだ。

しかしながら、氏の「馬運」は「文運」に遠く及ばなかった。東京馬主会への入会が認められず、やむなく新潟馬主会の会員となるが、それも“ハイブレッド事件”により退会の憂き目を見る。自身の所有馬ハイブレッドが新馬戦で2着入線を果たすも、騎手がゴール前で故意に手綱を絞ったとして失格となり、その連帯責任を取らされたのだ。競馬を純粋に愛した氏にすれば、まことに心外極まる出来事に違いあるまい。

氏の競馬を愛する気持ちは、馬券発売もなく、観衆わずか200人で行われた日本ダービー(1944年)を観戦していたという有名なエピソードから察することができる。しかし、さらにそれを遡ること14年前。1930年に読売新聞に寄稿された一文からも、氏の競馬にかける思いが読み取れて、非常に興味深い。以下に引用させていただく。

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競馬に対する誤解がこのごろしばらくなくなって、見るためのスポーツとしてラグビー、野球などと等しく男性的で壮快な競技であることが認められてきたことは、たいへんいい事だと思う。勝ち馬馬券を買うということも鑑定の巧拙に依って、勝敗が定まるのだから、単なる投機や賭博とは違うと思う。また一日、日光に浴しながら場内を右往左往することに依ってゴルフに劣らないくらい、健康にもいいと思う。ただ今まで競馬が賭博類似のように見られていたのは、競馬に対する理解がなかったからである。読売新聞が競馬欄を設けたことで真正の競馬趣味がもっと普及されればたいへんいいことだと思う。英国のダービー日に全英国が熱狂するほどでなくとも、せめてナスノとハクショウとの勝負に全東京の市民が関心を持つ程度になればいいと思う。

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いつか競馬をメジャーなスポーツに―――。そう訴え続けた野平祐二氏の言葉に、どこか通ずるものを感じやしないか。この一文は1930年3月20日付読売新聞10頁に、中山競馬場で行われた追い切りの模様を伝える写真入り記事などと共に掲載されているので、興味のある方は図書館で縮刷版をめくってみるといい。

いずれにせよ、これほどの一文を新聞社に寄せるほどの人物が、不正にくみするとは考えにくい。さぞや不本意であったと察する。「無事是名馬」は、こうした不祥事や故障馬に泣かされた菊池氏の実感から自然に生まれた言葉に違いない。それはいつしか競馬の世界を飛び越え、いまや誰もが使う日常の言葉に昇華した。しかしもっともその言葉が似合うのは、やはり競馬においてであろう。明日のドリームバレンチノの走りに注目だ。

 

***** 2017/03/13 *****

 

 

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2017年3月12日 (日)

競馬場の侍

東京ドームにやって来た。

Dome 

間もなくここでWBC2次ラウンドのオランダ戦が行われる。WBC3度目の制覇を目指す侍ジャパンを応援せんがため、舞い飛ぶ花粉をものともせずやってきた……わけではない。実際に用があったのはもちろんコチラ。

Wins 

ま、そりゃそうですよね。もちろんWBCも見るけど、残念ながらチケットがない。

それでも何かしら侍ジャパンへの応援姿勢は見せておきたい。そんなことを考えながら中京2レースの実況を眺めていると、6番人気のシシオウが芝の2000mを見事に逃げ切ってみせた。デビュー2戦目での勝ち上がり。サムライハート産駒の牡馬である。

flair

Samurai_2 

そうだ、サムライハートの産駒を買おう。つまり馬券で「侍」を応援するのである。我ながらよくぞひらめいた。それで調べてみると、これから中山と阪神で2つのレースに3頭のサムライハート産駒が出走する。

中山4レース
②ブラウンスビト(12人気)
⑦チェリートリトン(1人気)

阪神8レース
①カレンオプシス(4人気)

どちらのレースも勝ち負けになりそう。サムライハートは昨年JRAで13勝しかしていないのに、もし今日一日で3つも勝つことがあれば、これはまさに「サムライデー」であるまいか。千葉(中山)の侍といえば、今宵の先発を任されたロッテの石川投手を思わせる。阪神の侍は言うまでもなく藤浪投手であろう。名古屋(中京)の侍は中日の岡田投手と平田外野手。今夜の試合では、きっと彼らが大活躍するに違いない。

Baken 

馬券も野球もすっかり勝ったつもりで、近所の『水道橋面通団』で「めんたまうどん」(明太子入り釜玉)をすすりつつラジオで聞いた中山4レースは、惜しくもチェリートリトンが2着に敗れた。あれ? おかしいな? と思いつつ迎えた阪神の8レースでも、カレンオプシスは良いトコロなく7着に敗れてしまったのである。

Mentama 

これはひょっとして私の馬券のせいだろうか―――? なにやら背中に冷たいものを感じる。

いや、待て。大一番を前にこんな縁起の悪いことを起こしてしまっては、全国1千万の野球ファンに申し訳が立たない。おかげで夜のTV観戦は、まるで現場に来ているかのような緊張感。石川がバレンティンに打たれた時はヤバっ!て思い、土壇場で則本が同点打を浴びたときは「やっぱりぃ!」と天を仰いだけど、まあ、とにかく勝ってくれて良かった。

 

***** 2017/03/12 *****

 

 

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2017年3月11日 (土)

震災6年

東日本大震災から6年が経過した。

皆さんそれぞれの「3.11」をお持ちであろう。そんな中、競馬の話を書くのは多少気が引けるが、備忘の意味も込めて「3.11からの競馬」の話を書くことをお許しいただきたい。

あの日、大井競馬は開催の最終日を迎えていた。地震発生は14時46分。実はその後も競馬は続き、20分遅れて8レースと9レースの2鞍が行われているのである。そんなことを覚えているのは、私がMXで競馬中継を見ていたから。もし現場にいたらたいへんなことになっていた。ともあれ、地震発生直後に行われた2つのレースを最後に、関東から競馬が消えることになる。

01 

中山競馬場で行う予定だった重賞は、皐月賞を除き阪神で行われた。阪神では連日のようにメインと最終レースに重賞を設定。4月2日の阪神では、メインの日経賞(トゥザグローリー)と最終レースの中山牝馬S(レディアルバローザ)の両方を勝った福永祐一騎手は、史上3人目の1日2重賞勝利を記録している。

02 

皐月賞は春の東京開催開幕週に実施されると、早い段階から発表があった。だが、電力不足に陥った東京で、果たして競馬が開催できるのか。首都圏では計画停電が続いている。鉄道も万全ではない。なので、皐月賞を京都で行うことも想定されていた。ひょっとしたら、オルフェーヴルの1冠目は京都だったかもしれない。

03 

どうにか東京での開催にこぎつけた皐月賞だが、当日はGⅠだというのに、特別な演出やイベントはなし。本馬場入場時のマーチもなく、出走馬はひっそりと入場してきた。勝った池添騎手はウイニングランもガッツポーズもなし。あれほど自粛ムードに包まれた競馬を、私はあの日以外に味わったことがない。

04 

一方、南関東4場の競馬は、震災翌週から船橋、浦和、大井、船橋と4週に渡って開催中止。京浜盃とダイオライト記念は延期され、桜花賞とマリーンCは中止の憂き目を見た。中でも船橋競馬場は、断水に停電が重なった上、液状化した馬場から水が噴き出し、電柱は傾いた。競馬開催はおろか、調教さえもままならない。大井や浦和の中止は自粛感が強かったが、船橋は間違いなく被災地だった。

05 

南関東の競馬が再開したのは、震災から1か月後の川崎。ナイター照明はおろか、ビジョンも、モニターも、スタンドの明かりさえも消されていたのは、節電のためだから仕方ない。

06 

翌週の大井では延期された京浜盃が行われた。勝ったのは牝馬のクラーベセクレタ。彼女にしても、当初の予定では桜花賞から牝馬クラシック路線を目指す予定だった。しかし桜花賞は中止。やむなく出走した京浜盃で牡馬相手に完勝したことで、陣営は自信を持つ。それが羽田盃と東京ダービーの2冠制覇に繋がった。

07 

あれから6年。薄暗い照明に複雑な心境を抱きつつ、しかしそれでも競馬が再開されて味わったあの喜びを、我々は忘れてやいないか。明後日から船橋で今年最初のナイター開催がスタートする。

08 

 

***** 2017/03/11 *****

 

 

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2017年3月10日 (金)

ふるいの感覚

その相手は困っていた。とある企画がまとまらない。なのに締切がそこまで迫っている。言葉少なにそう切り出したのである。

会社務めも長くなると、仕事が進まずに悩む部下はどこにでもいると思えるようになる。それが部下ではなく上司であることも―――悲しいことに―――なくはない。今日は後者の相手をした。場所は神保町の『満留賀静邨』。おかげでブログの更新が遅れた。今、これを書いているのは土曜の朝である。二日酔いがひどい。

Soba 

本心では仕事の相談など受けたくない。柄でもないのは明白。むしろ私は世間一般が抱く「相談相手」とは真逆のキャラクターのはず。馬とうどんのことしか頭にない人間である。なのに、棄てる場所に困ったゴミを抱えるように、みんな私に相談しにくる。私は相談相手には向いてないとは思うが、ゴミ箱としてはちょうど良いであろう。ともあれ、現時点でどんなことをしたいのか、何を作りたいのか、それを相手に尋ねた。

すると相手はとうとうと喋り出す。5分経っても10分経っても終わらない。こうなると私も途中で理解することを放棄して酒を飲む。好きに喋らせておくしかない。

これは考えをまとめられない人物の典型。こういうシチュエーションでなるべく事細かに隅から隅まで喋ろうとするのも、それを端的に表している。それがまず間違い。説明が長ければ長いほど、考えは未整理。よく考え抜かれたものならば、おのずと話の中心は定まり、説明も一言、二言で終わるものだ。

ちなみにこの人物は馬券も買う。だが、あまり上手とは言えない。脇目もふらずに検討し、締切ギリギリに慌ててマークカードを塗って発券機へ走る。結果、ハズれるのは私と同じだが、私と違うのは人気サイドの組み合わせを何点も買ってハズれること。「あんだけ悩んで何を検討していたんだ?」。周囲は笑う。むろんそのスタイルでも、本人が楽しいのなら問題はない。それが馬券というものだ。問題は仕事の方である。

仕事の考えの整理も、馬券検討も、異なるようで本質は似ている。どちらも、その人の持っている知識を“ふるい”にかける作業にほかならない。ふるいの目はその人の価値観によって形や大きさが異なる。目の大きさがバラバラだと、うっかりすると取っておくべき大切なものを捨て、どうでもいいものを残してしまう。

「あれも大事、これも大事」では結論に辿り付くことはできない。問題はそれができない人に、どう説明するか。そんなこと所詮無理ではないか。だから私は仕事の相談を受けたくないのである。とりあえず馬券で“ふるい”の感覚を養ってもらうのが早道であろう。まずは買い目を絞る訓練からだ。

 

***** 2017/03/10 *****

 

 

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2017年3月 9日 (木)

JRA×JBC

来年のJBCを京都競馬場で行うことが発表されて話題となっている。

2001年に始まったJBCがJRA競馬場で行われるの初めてなら、JRAが1日に3つのGⅠレースを実施することも初の試み。さらに、京都競馬場でダートのGⅠレースが行われるのも初めてとくれば、まさに歴史的な一日となることは間違いあるまい。

発表によれば、JBCの魅力をより広く、多くのお客様に伝えることが重要との共通認識から、訴求力の高いJRAでの開催を、“地方競馬主催者の総意として”お願いしたという。実施は平成30年度限り。京都競馬場が選ばれたのは、日没時間が遅く、ゆとりのある発走時刻を設定できるのを考慮しての結果だそうだ。

いくぶん首を傾げたくなる「総意」の背景には、JBC開催に手を挙げる地方主催者の不足がある。JBC開催日の候補は11月3日の「文化の日」だが、この祝日が土日にかかるとJRAの開催にぶつかる。それで平日に開催にしようとすれば、どうしてもナイター設備と体力を兼ね備えた大井になりがち。ただ、今年の開催地が大井である以上、来年も大井というわけにはいかない。それでJRA開催が「総意」となった。実は来年の11月3日は土曜日なのである。関西圏に決まったのは、日没時間云々よりも、今年と再来年の開催場が関東圏であることを踏まえての判断であろう。

Jbc1 

「地方競馬の祭典」などと謳っていながら、賞金の半分はJRA持ち。JBC開催にともなう場内整備に充てる補助金もJRAに頼るところが大きい。だから、1回くらいJRAがやっても良いのでは―――。正直、私はそう考えていた。私が地方馬主だからといって、JRA開催に怒りをみなぎらせたりはしない。なにせ「総意」である。実際、以前から地方側はJRA競馬場での開催を求めてきたが、JRAは首を縦に振らなかった。

おりしも、改正競馬法によって実施されてきた地方競馬活性化事業の延長措置が、今年でその延長期限を迎える。再延長の見通しは現時点で不明。地方のナイター設備やネット投票システムの整備に、資金面で多大な恩恵をもたらした制度が、来年はあるかどうか分からない。そんな微妙なときだからこそ、大きな仕事はJRAにお願いしたい。

私個人は最近増えた若いファンにJBCをアピールするという意味でも、京都開催は良い機会だと捉えている。全国の競馬ファンにGⅠが3レース続けて行われるあの高揚感を味わってほしい。そこで地方所属馬が勝ってくれたりしたら、最高なのだが……。

 

***** 2017/03/09 *****

 

 

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2017年3月 8日 (水)

春眠

どうも寝不足でいけない。

夜の仕事と縁が切れた昨今は、以前に比べて睡眠時間は確保されているはず。なのに寝不足感は増すばかり。厳密に言えば眠りが浅く感じられるのである。花粉症の影響もあろうが、きっとトシのせい。実際、マッサージを受けている時はよく眠れる。特に肩を揉んでもらうと、たちどころに“落ちる”。ならば原因は肩凝りだ。だからトシのせいなのである。

この季節に昼間からうとうとしていると、「春眠暁をおぼえずだね」と言われることがある。春は陽気が良くて眠くなる。周囲はそう言いたいのであろう。

だが、これは半分間違い。冬から春へと季節が進むにつれ、朝の日の出時刻が早くなる。同じ時間に起床しているのに、日の出を見ることがなくなるから「暁をおぼえず」なのである。でも、春が眠い季節であることも事実。

先日競馬場で会った育成牧場関係も眠そうな顔をしていた。聞けば毎朝1時に起床しているという。

「7時?」。私は思わず聞き返した。

「1時。夜中の1時」。うんざりしたように彼は繰り返す。1時は朝早い。いや朝早いというより、それはもはや朝ではない。

南関東の競馬場では午前2時から調教が始まる。それに合わせて、その育成牧場では競馬場と同じ時間に乗り始めているのだそうだ。馬には効果があるのかもしれないが、人間の方はたいへんですな。季節に関わりなく、馬上から日の出を拝むことに変わりはないらしい。「暁をおぼえず」をおぼえず―――といったところか。

Akatsuki 

それを思えば、私は幸せな方だ。熟睡できる朝だって、たまにはある。だが、そんな朝に限って家には誰もいない。すると、犬が私を起こしに来る。うるさいから扉を閉めておくと、今度はその扉を爪でカリカリと引っ掻く。「早く起きて、アタシのエサを用意しなさい」。カリカリカリカリカリカリカリカリ……。

仕方なく起きて、エサを与えてからまた寝ようとする。しかしもういけない。二度寝ができなくなったのもトシのせいではあるまいか。暁をおぼえぬまま、できることなら日没まで泥のように眠ってしまいたい。

 

***** 2017/03/08 *****

 

 

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2017年3月 7日 (火)

競馬場の村上春樹

先日の中山競馬場でのこと。

あまりに馬券が当たらないので、競馬新聞を放り投げてこの本を読むことにした。

Book 

なにせ、上下合わせて1000頁を超える大作である。寸暇を惜しんで読まねばならない。―――なんてはずはもちろんなくて、ゆっくり読めばいい。無理して競馬場で読むものでもなかろう。それでもこの分厚い一冊に逃げ込まねばならぬほど、私の馬券成績は凄惨を極めていた。

このブログは書評ではないので、感想や内容の紹介はもちろん控える。だが、物語の序盤で「オペラ」がキーワードになることくらいは書いても差し支えあるまい。

競馬とオペラ。一見関係なさそうに見えて、実は深い関係がある。テイエムオペラオーやメイセイオペラの話ではない。英国においては競馬と並びオペラは社交界の重要な役割を果たしているし、仏国においては馬術とオペラの融合が、かの有名なカドルノワールを生み出した。

オペラに由来する馬名を持つ馬も少なくない。困ったことにそれが読書への集中を阻害する。「騎士団長殺し」を読み進める中で、「コメンダトーレ」という言葉が出てくるシーンにぶつかった。かなりシリアスな、息をのむような場面である。なのに、「そういえば、コンメンダトーレって馬が昔いたよな。佐賀記念を勝ったんだ。お父さんは誰だっけ?」なんてコトをついつい考えてしまう。

続いて「ジョバンニ」が登場。「ジョヴァンニ」なら、最近の馬だからよく覚えている。アドマイヤムーン産駒の牡馬。ダートで活躍し、2013年のマーチSでは1番人気にもなった。

Jovamni 

さらに読み進めて「ばらの騎士」が出てくれば、ローゼンカバリーを思い起こさずにはいられないし、「魔笛」というオペラのタイトルが登場しても、「そういや、“マテキ”って馬もいたよなぁ」と連想してしまう。かようにオペラにまつわる馬名はことのほか多い。

それでもずいぶん頁は進んだ。ちょっとばかり集中が途切れても、またすぐに没入できる。それだけの面白さを備えている証であろう。気づけば、あっという間に弥生賞が始まる時間になっていた。

ちなみにコンメンダトーレのお父さんはビゼンニシキである。デビューから無キズの4連勝で共同通信杯を制したビゼンニシキが、初めて2着に敗れたのがこの弥生賞。相手がシンボリルドルフなら仕方ない。今ならそう思える。でも、当時はちょっとばかりショックを受けた。なにせ人気ではルドルフを抑えて1番人気に推されていたのだから―――。

という具合に、また競馬に想いが及んでしまう。仕方ない。だって、ここは競馬場なのだ。

 

***** 2017/03/07 *****

 

 

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2017年3月 6日 (月)

先生

JRAサイトの騎手名鑑から「武幸四郎」と「田中博康」の名前が消えていた。あらためて引退を実感する。代わりに掲載された先は調教師名鑑。つまり「先生」と呼ばれるようになったわけだ。いやあ、馴染めませんな(笑)。

Koshiro 

ふと、先日の調教師免許試験で合格した7名の年齢が気になって調べてみた。するとなんと7人全員が30代ではないか。こんなことは過去にあったのだろうか。若い調教師が増えている実感はあったが、30代の若い調教師が一気に7人も合格したことは、少なくとも私の記憶にはない。

田中博康 31歳
安田翔伍 34歳
武英智 35歳
和田勇介 36歳
林徹 37歳
武幸四郎 38歳
高柳大輔 39歳

ひと昔前まで、私が抱く「調教師」のイメージは「おじいさん」だった。むろん私自身が若かったせいもある。だが定年制導入前は、70歳を超えてなお厩舎を切り盛りする調教師は珍しくなかった。弟子として所属騎手も多く抱えていたから、そういう意味では「先生」だったに違いない。

だが、昨今は事情が異なる。31歳はサークル内全体でも若いほうだろう。柴田善臣、横山典弘、武豊、蛯名正義、内田博幸といった一線級の騎手たちは、ひと回り以上も年上の存在となる。それで「先生」はさすがにマズくないか。

よくよく考えると「先生」と言う表現は意味深長である。一般的には「学校の教師」「学徳のすぐれた人物」として使われるが、字義からすれば「先に生まれる」、あるいは「先を取っている」ということであろう。だが、世間では「偉いから先生」だと思われているフシがある。これは間違いであることを意識している人は多くはあるまい。だから、飲み屋のお姉さんは客を「先生」と呼ぶ。呼ばれたほうも喜ぶ。だが、もともとは「先生だから偉い」のである。しかし現代はそれが成り立たなくなった。教師は生徒を殴れないし、うっかりすると父母に怒鳴り込まれる。余計なことをしない、失点を出さない教師が優れた教師。それなら子守りとなんら変わりはないではないか。こうなると「先生」は偉くもなんともない。

実際、調教師の中には「先生」と呼ばれることを嫌う人がいる。共同記者会見でインタビュアーが「それでは××先生にお話を伺います」と切り出すと、「先生と呼ぶな! はい、やり直し」なんて具合に一蹴されることも。それは場を和ませるための冗談でもあるわけだが、若い調教師から「先生ではなく調教師と呼んでください」とお願いされることも最近は多くなった。

私はかつて予備校で講師のバイトをしていたことがある。そのときは「先生」と呼ばれた。真剣に教員になろうかと考えたこともないではない。なんだかんだで教員免許も取得した。しかし結果的に、私が「先生」と呼ばれたのはその時だけ。つい先日、そのときの教え子が市議会議員になったと聞いた。かつての教え子はいまや「先生」である。なんだか不思議な感覚だ。

 

***** 2017/03/06 *****

 

 

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2017年3月 5日 (日)

南京錠が結ぶ絆

中山競馬場は穏やかな春の陽気に恵まれた。スタンド脇の桜は満開。もはやコートは邪魔な荷物でしかない。それもそのはず。なにせ今日は弥生賞である。いよいよクラシックの足音が聞こえてきた。

Sakura 

だが今年の牡馬クラシックは確たる中心馬が不在。レイデオロやブレスジャーニーは復調に手間取り、皐月賞に出るにしても直行と伝えられているし、2歳チャンピオンのサトノアレスにしてもマイラーの可能性を指摘する声がある。期待のサトノアーサーはきさらぎ賞で完敗。アーリントンカップを勝ったペルシアンナイトにしても、2000mの経験がない以上、全幅の信頼は置きにくい。

結局、現時点で「クラシック最有力候補」と呼べるのは共同通信杯を勝ったスワーヴリチャードくらいだろうか。今日の弥生賞では同馬に対抗し得る勢力の台頭を期待したい。なにせ、昨年はマカヒキが勝ったレースである。思えば、そのマカヒキにしても弥生賞では2番人気だった。

そんな今年の弥生賞を勝ったのは1番人気のカデナ。中山の坂をものともせず大外を一気に突き抜けた。

Yayoi 

スタートしてある程度ポジションを取りに行くこと。

初めての中山の坂をクリアすること。

そして何より次にお釣りを残して勝つこと―――。

弥生賞とはいえ、そこはあくまでトライアルである。カデナの手綱を取る福永祐一騎手はいくつかの課題を意識してこのレースに臨んでいた。最初の課題がクリアされたかどうかは微妙に見えたが、レース後は「ゲートも出てくれた」というコメントも残している。まあ、いちおう及第点といったあたりだろうか。

私がそんな言い方になってしまうのも、他の有力馬が走らなかった感が強いからに他ならない。時計も遅すぎた。スローで上がり34秒台の勝負になれば、そりゃあディープインパクト産駒の出番になりますよ。本番がこんな流れになるとは限らない。

ただ、少なくとも福永騎手はそんなこと気にしていないようだ。なにせカデナのオーナーからはダービーまでの騎乗を確約された身である。キズナ以来のダービー3勝目を目指すオーナーサイドからの依頼と思えば、期するところもあろう。きさらぎ賞での落馬負傷で、この弥生賞に乗れるかどうかが危ぶまれた際も、すぐにオーナーは福永騎手に連絡。「もし間に合わなくてもワンポイントの騎手に依頼するから焦るな」。そう言ってくれたという。しかし福永騎手はしっかり弥生賞に間に合わせて結果を出した。カデナ(南京錠)で結ばれた絆を思う。

福永騎手は、ダービーに直結すると言われるこの弥生賞を制すること今回が3度目。今年こそはダービーに手が届くだろうか。

 

***** 2017/03/05 *****

 

 

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2017年3月 4日 (土)

鶯の季節

今年初めてウグイスの鳴き声を聞いた。

だが、声のした方を探してみたが姿は見えない。あまりに綺麗な鳴き声だったので、誰かが江戸家猫八さんのCDか何かを流している可能性はある。でもまあ、わざわざそんなことをするような暇な人もいないだろうから、きっと本物のウグイスであろう。

知られた話だが、3代目・江戸家猫八さんは馬主だった。持ち馬は「キャット」の冠名を付けられ、中でもフィディオン産駒のキャットオーはJRA5勝の活躍を残している。

「26歳で死んだ兄貴は競馬にこりすぎてね。死ぬ間際に遺言で競馬で勝ってくれって。競馬やるなっていう遺言ならわかるけどね。涙ながらに余白でやって、とうとう馬主になっちゃった。(3代目猫八さん)」

ネコではなくウグイスの話だった。

数年前まで、冬の東京開催に「うぐいす賞」というレースがあったはずなんだけど、最近見かけなくなりましたね。

3歳500万の条件戦である。キョウエイタップが大差勝ちを演じて後のエリザベス女王杯の勝利を予感させた当時はダート戦だった。それが芝に替わったのは1999年のこと。するといきなりここを勝ったザカリヤがNZT優勝、NHKマイルC2着と活躍し、2002年の勝ち馬テレグノシスは3か月後のNHKマイルCを優勝してみせた。

Telegnosys_2 

個人的には、ホクトビーナス、ホクトペンダントの母娘が勝ったレースとして記憶に残る。2頭ともこのうぐいす賞を勝って勇躍桜花賞に臨むのだが、いずれもあと一歩のところで大輪を逃してしまった。ともあれ、この時期の東京の3歳特別戦となれば、何年かに一度は未来の大物が登場してくるものだ。

しかし、うぐいす賞は2003年を最後に実施されなくなった。以後、冬の東京開催では、牡牝混合の芝1600mの3歳500万特別は行われていない。というか、3歳牡馬が出走できる芝マイルのレースが少なすぎやしないか。未勝利以外では、平場の500万がひと鞍用意されているだけ。マイルはその馬の基本能力を測るもっとも基本的な距離のはず。3か月後にGⅠが控えている舞台にしては、ちょっと物足りない気がしないでもない。

 

***** 2017/03/04 *****

 

 

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2017年3月 3日 (金)

ちらし寿司を食べよう

ひな祭りなので、今夜は自宅でちらし寿司を作った。ひな祭りにちらし寿司を食べる風習の由来は諸説あってこれだというものはないらしいのだけど、それはそうとして、ちらし寿司を食べる機会は多い。うどんほどの自覚はないのだけど、きっと好物なのだろうと思う。

Sushi 

「握り」といえば全国どこで食べても同じスタイルであるのに対し、「バラちらし」「吹き寄せちらし」「よろずちらし」など全国各地、あるいは個々の店によって種々様々なバリエーションが存在するちらし寿司は、ある意味で寿司店のアイデンティティーのひとつであるに違いない。

「ちらしは握りより格下」と蔑み、あたかもダートグレードレースにおける地方馬の如くハナから相手にしないという態度を取る人も中にはいる。だが、ちらしは「シャリを食わせる」と言われるだけあって、ちゃんとした店なら特別仕様のシャリを作るし、ネタの味がシャリに広く深く浸透するよう、ネタにも工夫を凝らしたひと手間をかけるものである。ちらし寿司に代わって強調しておくが、決して格下などではない。

「ちらし寿司」というのはシャリの上に様々なネタを散らした寿司の総称で、「ばら寿司」は「ちらし」とほぼ同じだが、食べる前にシャリとネタをよく混ぜる(ばらす)ものを指すそうだ。西日本では、家庭で作るのは「ばら寿司」で、店で供されるものを「ちらし寿司」と使い分けたりするが、そう聞けばそれも頷けるものがある。

ところで、私は江戸前のいわゆる「生ちらし寿司」というものを好んで食べることはない。シャリの上に大きなネタの切り身がただズラズラと並べてあるのが苦手なのである。刺身でご飯を食べたいなら刺身定食を頼めば良いのだし、酢飯にこだわるなら握ってもらえば良いと思ってしまう。

シイタケのみじん切りを混ぜ込んだシャリに金糸卵を敷き、きゅうり、エビおぼろ、酢ジメした小肌や春子、蛸の桜煮、そして焼き穴子といった具材を彩りよく飾ったもの。これぞ「散らし」であろう。本来、寿司の美味さというのは、混ぜたり、押したり、締めたりするところから生まれるのであるから、敷き布団(シャリ)の上に掛け布団(切り身)を敷き詰めるだけでは足りない。

ひな祭りになぜちらし寿司を食べるのかは分からぬ私だが、個人的に花見に合う料理といえばちらし寿司がナンバーワンだと思っている。煮切った赤ワインを混ぜて、桜色のシャリに仕上げると見た目も楽しい。今週は弥生賞。桜の開花も、もう間近だ。

 

***** 2017/03/03 *****

 

 

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2017年3月 2日 (木)

【訃報】ホワイトマズル

ホワイトマズルが亡くなったそうだ。27歳。老衰だという。日本の種牡馬としてのイメージがすっかり定着してしまった感も否めない。とはいえ、彼は1993年のイタリアダービー馬である。ダービー馬の訃報となれば軽くは扱えまい。それが輸入させていただいた側の礼儀でもあろう。発表からすっかり時間が経ってしまったが、ここで敢えて取り上げさせていただく。

White1 

ホワイトマズルは2歳時から3シーズンに渡り世界6か国を股にかけて活躍した。その通算成績は17戦6勝。キングジョージや凱旋門賞での惜敗イメージがつきまとう部分もあるが、イタリアダービーが2分24秒5のレコード勝ちだったことは強調しておきたい。現役時代は芝12ハロンでスピードと底力を発揮するタイプだった。

Nihonporo 

種牡馬としては、ランキングのベストテンに入ったことはない。だいたい20~30位台を行ったり来たり。だが、時おり大物を送る。アサクサキングス、イングランディーレ、シャドウゲイト、スマイルトゥモロー、そしてニホンピロアワーズ。5頭ものGⅠホースの父となった。

Smile_2 

だが、種牡馬としての特徴はつかみづらい。メリッサのようなスピードを生かすスプリンターがいれば、アサクサキングスのようなステイヤーもいる。ダートでも同じ。フレアリングマズルはダートのスプリンターで、春の天皇賞も勝ったイングランディーレはダートもこなすステイヤーだ。

Asakusa 

シルポートのように一気呵成に逃げるタイプがいるかと思えば、ビハインドザマスクのように末脚勝負に徹するタイプもいる。ザラストロのように2歳夏から能力全快の早熟馬がいる一方で、マズルブラストは13歳になっても走り続けた。国の内外を問わないことはシャドウゲイトの活躍が証明している。万能タイプの種牡馬は多いが、これほどの万能性も珍しい。

Shadow 

それでも敢えて言うなら「一発屋タイプが多い」というあたりか。突然走るのである。天皇賞・春のイングランディーレ、オークスのスマイルトゥモロー、そして何度かのシルポート―――。自分の「型」にはまれば強いが、「型」が壊れるとモロい。ただしこれは、ホワイトマズルに限ったことではなく、父ダンシングブレーヴ譲りのような気がしてならない。

ホワイトマズルも、その父ダンシングブレーヴも、その数少ない代表産駒のコマンダーインチーフも日本に輸入されて種牡馬生活を送り、いずれもGⅠ馬の父となった。これほどの名馬たちが日本にやってきたことを、我々は感謝すべきなのだろう。

リファールの父系が欧州で必ずしも高い評価を得ていないという事情があるとはいえ、少なくともこの父系発展のカギを握っているのが、我が日本であることは間違いない。幸いにもホワイトマズルはシルポートという後継種牡馬を得た。ダンシングブレーヴの直子という観点では、キングヘイローもいる。かつてテスコボーイの父系を日本で繁栄させたように、ダンシングブレーヴの父系も我が国が着実に繋いでいきたい。それがはるばる日本まで来てくれたホワイトマズルの、なによりの供養でもある。

 

***** 2017/03/02 *****

 

 

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2017年3月 1日 (水)

現代のアーチャー

川崎の金子正彦騎手が現役を退くことになった。1979年にデビューし、2009年には東京ダービーも勝った名手は、あさっての川崎10レース・キョウエイビーナスの騎乗を最後にそっと鞭を置く。

Derby 

川崎のファンからは、“追い込みの金子”の異名で愛されてきた。川崎競馬場の直線は200m足らず。「先手必勝」が鉄則の地方競馬の中でも追い込みにくさは際立つ。それでも金子騎手は愚直に追い込んでくる。それは一発逆転を願うファンの希望でもあった。

Kaneko1 

追い込みを難しくするのは、短い直線だけに留まらない。新聞で重い印が並べば自然とマークもきつくなる。簡単に進路を空けてはくれない。人気馬に騎乗して脚を余して負ければ、ファンから容赦のない野次が飛ぶ。そんなプレッシャーをはねのけて手にした1226もの勝ち星のひとつひとつに、ベテランならではの技術とそして苦労が凝縮されているに違いない。思えば、初勝利も追い込み勝ちだった。初勝利といえば、展開に恵まれての逃げ切り勝ちが大多数。このときから、既に“追い込みの金子”のスタイルは完成されていた。

Kaneko2 

馬上で立ち上がらんばかりの大きなアクション。―――かと思えば、猫のように身体を小さく丸めて馬の背中に密着させる。こうすることで、馬の負担は最小限に抑えられる。

Kaneko3 

これはヨーロッパの騎手たちが得意とする騎乗動作。その独特の猫背の騎乗スタイルから、作家の山本一生氏は「フレッド・アーチャーを彷彿とさせる」と書いていたような気がする。フレッド・アーチャーとは、クラシックレースを21勝し、13年連続でチャンピオンジョッキーに輝いた19世紀の伝説のジョッキー。なんと伝説は現代の川崎に甦っていた。

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佐々木竹見、野崎武司、山崎尋美……。ひと昔前まで、川崎と言えば「うまい騎手がたくさんいる競馬場」というのが私のイメージだったように思う。しかし、そんな彼らも引退したり調教師に転向するなどして、気がつけば川崎の所属騎手は総勢16名しかいない。

Kaneko5 

そして今週末、またひとりの名手が姿を消す。所属騎手15人は南関東4場では最少。32人を擁する大井の半分にも満たない。昨年、南関東の重賞を勝った川崎のジョッキーは、実は山崎誠士騎手ただひとり。川崎所属馬が重賞を勝っても、その背中には他場の騎手が乗っていることも少なくない。こうした状況に寂しさを覚えるのは、ひとり私のみではなかろう。きっと金子騎手も忸怩たる思いを抱いている。

残る騎乗機会は明日が4鞍、そしてあさっては6鞍。「現代のフレッド・アーチャー」の騎乗を見られる機会は残り少ない。時間のある人は競馬場に足を運んで、名手のラストライドを見届けよう。くるっと丸めた背中に込められた男の美学。川崎の若手ジョッキーたちも、それをしっかりと目に焼き付けておいて欲しい。

 

***** 2017/03/01 *****

 

 

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