« うどん界のアライバ | トップページ | 馬搬 »

2017年2月 2日 (木)

それでも場外へ

昨日行われた川崎記念の売得金額は、66年間の川崎記念の歴史の中で最高額を記録したそうだ。これまでのレコードは昨年の951,117,900円であったのが、今年ついに10億円を突破して1,017,655,900円に達したのだという。

最近、主催者のサイトで頻繁にこの手のお知らせを目にするようになった。重賞レースが行われるたびに、「売特金額レコード更新について」という一文がホームページを賑わせる。その大きな原動力は、いまや売上の3分の2を締めるネット投票にある。まず「PATによる地方競馬の発売開始」が売上を押し上げ、昨年秋の「海外競馬の馬券発売スタート」がすそ野を広げた。海外の馬券発売開始を機にPAT加入者が増えたことが、結果的に地方の売上躍進に繋がっている。

ちなみに、私自身はPATの利用者ではない。だから昨日もわざわざ水道橋まで馬券を買いに出かけた。さすがは川崎記念。場外の混雑ぶりもGⅠ級である。

Offt 

そんな私も、ネット投票の経験を持たぬわけではない。その昔は、宝くじより確率が低いと言われる抽選をかいくぐり、貴重な貴重な「電話投票権」を所持していたこともある。だが、そのうちに利用しなくなり、いつしかそのアカウントも自然消滅してしまった。

“電投”をやめた理由はひとつ。面白くない。その一言に尽きる。

私の周囲に麻雀をやらずにネットの麻雀ゲームばかりしている奴がいる。昼夜を問わず、まさに寝る間を惜しんで没頭している。「そんなに麻雀が好きなら、雀荘に行こう」。ある日、そう誘ってみた。だが彼は首をヨコに振る。人と卓を囲むのは気疲れする。わざわざ雀荘に行くのも面倒くさい。手軽がいちばん。だからゲーム。―――彼はそう言うのである。

競馬においても、首都圏や関西圏に住んでいながら競馬場や場外に行った経験も持たず、ただひたすらネットばかりで馬券を買っている人がいるが、そういう人を見ると思わず麻雀ゲームの彼を連想してしまう。ゲームと違ってカネを賭けている。そう言われるかもしれない。とはいえ、レースのたびに財布から出て行くお札を見ることはなかろう。それを「手軽」と喜ぶのは悪くないが、目に見えぬ口座の上で金が出たり入ったりしているだけなら、少なくともプレイ中の感覚はネットゲームと変わりあるまい。それであとから請求(追加入金の必要)がやって来る。

そこだけを切り取ればネット投票とノミ屋には、大差がないことに気付く。ノミ屋も基本は口張り。その場でカネの支払いは発生しない。客はそれを「手軽」と喜ぶが、実はそれは胴元が意図的に仕組んだ手法でもある。手軽だからこそ、客はたいして考えもせずホイホイと馬券を買ってしまう。それであとからとてつもない請求が来る。両者の違いは違法か合法か。大きな違いではあるが、その程度かという気もする。

財布に残った千円札の、その最後の1枚を出す瞬間に脳裏を駆け巡る思い。そして、ごくごく稀に払戻機から出てきた札束を掴んだときのあの感触―――。

バクチを打ち続ける中にあって、もっとも大事なこと。それはカネの有難味を分かっているかどうかではあるまいか。それがなければあらゆるバクチは単なるゲームに成り下がる。と同時に、バクチで身を滅ぼすことも覚悟しなければなるまい。

外出もままならないという方や、遠隔地にお住まいだという方がいることは承知している。誤解のないよう断っておくが、ネットで馬券を買う人すべてがカネの有難味を知らぬと言っているのではない。ただ私がかつてネットや電話で馬券を買ったとき、その欠落を感じた。それだけの話。だから私は寒風の中、場外馬券売り場を目指して歩くのである。

 

***** 2017/02/02 *****

 

 

|

« うどん界のアライバ | トップページ | 馬搬 »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« うどん界のアライバ | トップページ | 馬搬 »