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2017年1月 6日 (金)

トラックマン

明日の京都3レースの新馬戦で人気を集めるであろうダノンロッソを管理する松田国英調教師は、トラックマンの経歴を持つ異色の調教師である。クロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハ、そしてダイワスカーレットといった名馬を管理して名を馳せた名伯楽。3年8ヶ月間に及んだ取材経験は、今でも役に立っていると言う。

King 

“トラックマン募集”の求人広告を出したら、トラックの運転手さんが採用面接に来た―――。

そんな話は列挙に暇がない。「トラックマン」とは、我々が思うよりずっと世間に馴染みの薄い職業なのだろう。大雑把に言えば競馬専門の記者のこと。野球、ゴルフ、サッカー、相撲、……。スポーツ記者の取材対象は数あれど、競馬だけはその特殊性からか完全専門職となることが多い。

そこには「予想」という他のスポーツにはないファクターの存在がある。記者席から声援が飛ぶというも競馬場ならでは。TV解説の放送中にうっかり「そのまま!」と叫んでしまったツワモノだっている。

競馬記者の予想は、本人→会社→読者と影響を広げる。だから彼らが受ける喜びや悲しみの量は、読者一人の何十倍にも膨れあがる。そんなプレッシャーに潰されそうになりながらも、ボディーブローに耐えながらラッキーパンチに望みをつなぐボクサーの如く、予想を絞り出さなければならない。

しかし、これだけ情報量のあふれる現在、JRAのGⅠレースなどでは見逃されている要素などあり得ないのも事実。プロのトラックマンも、競馬を始めて1ヶ月の初心者も、手にしている情報にさほどの差はない。最終的には分析力よりも決断力がモノを言う。

競馬は人生の縮図だと言われる。微妙な選択が大きな明暗を分けるせいだろう。穴場で気が変わって泣きを見ることなど日常茶飯事。「満点のない試験のくり返し」とこぼす記者もいれば、「誰も自分の予想に目を向けなくなる夢ばかり見る」と打ち明けるベテラントラックマンもいる。単なる比喩ではなく、彼らはリアルな「人生」として競馬に対峙してきた。

松田国英厩舎には、取材に訪れたトラックマンのために特別にあつらえた屋根付きのテラスがあるという。それはかつてのトラックマン経験が為せる業。取材する側の苦労を誰よりも知る師ならではの心配りを感じずにはいられない。そんなマツクニ厩舎を取材するトラックマンたちは、明日のダノンロッソに重い印を打っている。父・ダノンシャンティ、母の父・クロフネという厩舎ゆかりの血統。果たしてどんな走りを見せてくれるだろうか。

 

***** 2017/01/06 *****

 

 

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