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2017年1月22日 (日)

【訃報】シングウィズジョイ

今日のAJCCで4番人気に推されていたシングウィズジョイは、直線入口で他馬と接触して転倒。馬は起き上がることができず、ルメール騎手は馬場に叩きつけられた。4コーナーを回って大きな歓声が上がるのはいつものこと。だが、今日の歓声はおかしな響き方をした。おそらく、そこに悲鳴が重なっていたせいであろう。

重賞2勝。エリザベス女王杯でも2着した活躍馬である。競走生活に戻れなくとも、せめて繁殖に―――。そんな関係者の願いは打ち砕かれた。診断は左上腕部の骨折で予後不良。出資者の方を含め、関係者の心中は察するに余りある。私にとっては、この返し馬の写真が彼女の最後の姿になってしまった。

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真っ先に思い出したのは一昨年のフローラS。シングウィズジョイはオークスの優先出走権を賭けて府中の2000mに挑んだ。

実はシングウィズジョイのお母さんのシングライクバードも、オークスへの出走権をかけてフローラSに挑んだ過去がある。それは2008年の春のこと。道中は好位につけて直線に向いたが、前を捉えきることができず5着に終わった。優先出走権のないオークスの出走決定順は19番目。それでも一縷の望みにかけてオークスの追い切りまで行ったが、ついに出走回避馬は現れなかった。

それから7年後。同じ舞台に挑んだ娘は積極果敢な先行策から見事勝利を収めてみせた。シングウィズジョイは母の無念を知っていたとしか思えない。

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そんなことを思い出しつつ、帰宅するなりJRAのサイトでパトロールビデオを繰り返し見た。

4コーナーで密集する馬群。あちこちで接触が起こっている―――。と思った次の瞬間、シングウィズジョイが前のめりで倒れた。上からの映像を見てもそれは変わらない。

裁決レポートにはこのように書かれていた。

「4コーナーで5番ホッコーブレーヴがバランスを崩し、4番シングウィズジョイが転倒する事象がありました。これは馬群が密集する中、複数の馬が接触して外側へ動いたため、最外側の5番ホッコーブレーヴがバランスを崩し、その直後に馬群中央の4番シングウィズジョイが前の馬に触れてつまずき転倒したものでした。この件についての制裁はありません。」

4コーナーで馬群が密集するのは珍しいことではない。それが稀に大きな事故につながることがある。それは分かるが、ラチ沿いを進んでいながら、徐々に外に膨らんで多重接触の原因を作ったクラリティスカイについて言及すべき点はないのか。情報公開が進むことで、逆に膨らむ疑問もある。それを160文字程度の文章で解決できるだろうか。判定は明瞭簡潔でも結構。だが我々はその判定に至る経緯まで知りたい。

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これが昨年ならシングウィズジョイがAJCCに出てくることはなかっただろう。だが今年から大阪杯がGⅠに昇格した。それを見据えてのAJCC出走である。様々な要因が複雑に重なった末に悲劇は起きてしまった。でも、起きてしまってからそれを言ってもどうにもならない。今はただ、才能溢れる牝馬の死を悼むのみだ。

 

***** 2017/01/22 *****

 

 

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