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2017年1月 4日 (水)

【スポーツ紙考③】リストラの嵐の中で

「新聞の斜陽」が叫ばれて久しい。

日本ABC協会が公表した我が国における新聞の発行部数のデータによれば、2000年以降の一般紙の発行部数は右肩下がり。昨年2016年は、ついに4千万部を割り込んだ。

【一般紙】
2000年 47,401,669部
2016年 39,821,106部(▼16.0%)

ところがスポーツ紙はもっとたいへんなことになっている。昨年の部数が2000年対比で45%減と聞けば穏やかではない。朝夕の通勤電車で「スポーツ紙の花」が咲いていたのは、もはや昔の話になった。

「スポーツ紙満開の車中で、一面見出しの比較をして楽しんでいた―――」

そう言っても、若い人にはいったい何のことか分からぬであろう。そもそもスポーツ紙を売る駅の売店が縮小傾向である。かといって無機質なスマホの花など見る気にはなれない。

【スポーツ紙】
2000年 6,307,162
2016年 3,455,041(▼45.2%)

新聞ではコストの大半を用紙費と輸送費が占め、それを広告料金が補う形で今の値段に収まっている。駅売りスポーツ紙なら140円が相場だ。

 コスト=用紙費+輸送費+記事制作費-広告料金

だが、コンテンツ(記事)の制作費は発行部数で割り算するから、発行部数が減れば減るほど一部あたりのコストに占める割合は増大する。2年後に控える消費税10%を見据えれば、いま値上げに踏み切ることもできない。そこで仕方なく記事制作費を抑える。有体に言えばリストラ。そうなれば紙面品質は落ちて、さらなる部数減を招く。これはビジネスモデル崩壊の典型的なスパイラルである。

それでも競馬場に行けば、専門紙よりもスポーツ紙の方が人気は高い。「ひいきの予想記者がいるから」という人もいるだろうが、大半の客が専門紙ではなくスポーツ紙を手に取るのは、ずばり安いからであろう。スポーツ紙が人気を集めるのも仕方ない。

だが、このままスポーツ紙の制作費が削減され続ければどうなるだろうか。

そもそも、スポーツ紙の記者は野球やサッカーなどスポーツ全般を幅広く担当する。競馬だけに多くの人員を割くことはできないし、3~4年すれば別の担当に異動してしまうこともしばしば。専門紙のような細やかな取材を展開するのは土台無理な話だ。

それでスポーツニッポンによる記事盗用事件(1997年)みたいなことが稀に起こる。これは毎週土曜と日曜付のレース面「厩舎ナマ録」の欄に掲載されていた厩舎関係者のコメントすべてが、前日発売の『競馬エイト』から盗用された記事だったというもの。もちろん、エイト側の承諾は得ていなかったわけだが、何より悪質だったのはスポニチ側の担当部長が盗用を承知していたという点にあった。制作費削減が行過ぎれば、再びこのような事件が起きないとも限らない。

Stand 

そんな状況を憂うからこそ、私はこの場で最近のスポーツ紙の劣化を訴えてきたつもりだ。原因が急激なリストラを含む制作費削減にあるのは明らか。だが、それをしなければ新聞発行が維持できなくなる恐れもある。そうなって困るのは土日に競馬場に集まる競馬ファンであろう。安くて良質のメディアを求めることは、そう簡単なことではない。スマホに流れる無料の記事はその典型。タダの情報に有難味を感じてはいけない。それをもっと知っていただきたいのである。

 

***** 2017/01/04 *****

 

 

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