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2016年12月27日 (火)

連携プレー

今年、初めて日本国内でも馬券が発売された凱旋門賞。ダービー馬の誇りを背負って世界に挑んだマカヒキは14着に敗れたわけが、さてその優勝馬を覚えておいでだろうか。

勝ったのはファウンド。馬券発売だけでなくTV地上波による中継もあったから、そのレースぶりに衝撃を覚えたファンもいたに違いない。ファウンドと同じオブライエン厩舎のハイランドリールとオーダーオブセントジョージにレースを引っ張らせ、最後はオーダーオブセントジョージに最内の進路を譲らせた上で、そこを一気に突き抜けてみせた。

連携プレーが日常的な欧州競馬でも、ここまできれいに決まるのは珍しい。なにせ、その3頭で1~3着独占である。今年の凱旋門賞は「チームオブライエンの勝利」として讃えられた。

レース後の解説や観戦記には「日本の遠征馬もペースメーカーを用意すべきだ」「複数頭のチームで遠征してはどうか」という論調が多かったように思う。なかにはペースメーカーを認めない日本の競馬を批判する記事もあった。だから日本馬はいつまでたっても凱旋門賞を勝てないのだ―――と。

Arima 

あれから2か月半が経ち、今度は有馬記念を「サトノ軍団の組織力」「フランス人ジョッキー同士の連携プレー」と回顧する記事が目立っている。どちらかと言えば、その内容はネガティブであろう。武豊騎手が敗因を問われて「あのワンプレーだけがね」とコメントしたことが大きく影響していることは想像に難くない。有馬記念2周目の3角手前、サトノノブレスがフランス語で何やら叫びながらキタサンブラックを突くように仕掛けあがり、その進路をサトノダイヤモンドに譲ったという、そのシーンである。

そもそも、サトノノブレスがキタサンブラックを負かしに行くということは、半ば公言されていたこと。各メディアもそれを前提にした予想を展開していた。サンスポの佐藤洋一郎氏などは、「同一馬主、同一厩舎の複数頭出しは、欧米のように“カップル”(馬券上も獲得賞金上も複数頭を“1頭”として扱う)にすべき」と有馬当日の紙上で訴えている。

それを読んでいた私が実際に有馬記念のレースを見て得た感想は、「言うほどじゃねぇな」というものだった。「連携プレー」と呼ぶほどのものではない。やろうと思えば、もっとやれたはず。現にキタサンブラックは差のない2着に粘ったではないか。いや、サトノダイヤモンドの末脚次第では勝っていたかもしれない。もっとすごいことをするのではないか?―――そんな私の期待(?)は多少裏切られた感がある。

【日本中央競馬会競馬施行規程】

第81条 競走に勝利を得る意志がないのに馬を出させてはならない。

第138条 次の各号のいずれかに該当する馬主、調教師、騎手、調教助手、騎手候補又は厩務員は、本会の行う競馬に関与することを禁止し、又は停止する。
(8) 競走について利益を得、又は他人に得させるため馬の全能力発揮させなかった者

日本の競馬でおおっぴらに連携プレーが認められないのは、これらの規程に抵触するからであるわけだが、2周目の3角と言えば、誰もが知る有馬記念の勝負所。そこで前を行く有力馬のペースを上げさせるのは、勝つために避けて通れぬ道であろう。むしろ、あそこで誰も動くことなく、黙ってキタサンブラックの押し切りを許していたら、他のすべての騎手が上記規程に抵触しかねない。

増加の一途をたどる外国人騎手同士が、ツルんで不公正な騎乗をしているのでは?という疑念を抱いた人も少ならずいるようだ。しかし、私の印象は多少異なる。むしろ外国人騎手が来る前の方が露骨だった。「××騎手がハナを奪ったら誰も競りかけない」とか「○○騎手が声を掛けたら進路を開ける」という不文律があった時代がある。当時は騎手の徒弟制度が花盛り。ファンもそれを踏まえて予想を繰り広げていた。それが馬券テクニックのひとつだったのである。あの当時を知っているファンからすれば、シュミノー騎手の御法など屁でもあるまい。

サトノダイヤモンドもキタサンブラックも来年の凱旋門賞挑戦を口にしたが、果たして「連携プレー」を採用する気はあるのだろうか。向こうはそれが当然のお国柄。だが、有力馬をちょっとばかり突いたくらいで騒ぐ今の日本競馬に、チームプレーはどうも馴染まないような気がする。慣れぬことはしない方が良いかもしれない。

 

***** 2016/12/27 *****

 

 

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