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2016年11月 5日 (土)

繋がらぬ天皇賞とJC

ジャパンカップ35年の歴史の中で一度もなかったことが、今年ついに起きるかもしれない―――。

Special 

先日の天皇賞が終わったあと、漠然とそう感じた。いったい何か。天皇賞(秋)からJCに向かう馬が、今年は一頭もいないかもしれないのである。しかし、それは危惧ではない。なんとも不思議な思いと言うほかはない。

今年の秋天をひと言で表せば、モーリスが距離の壁を克服してマイルと同じ強さを示したレースだった。だが、実は2着のリアルスティールにしても2000m以上の重賞を勝ったことはない。3着ステファノスにしても同じこと。天皇賞上位組は、どの馬も多かれ少なかれ距離への不安を抱えていた。彼らがJCへの参戦意欲が湧かないというのも致し方ない。

しかし、天皇賞で掲示板を逃した面々からもJC参戦に前向きな言葉が聞こえてこないのである。現時点でJC出走を明言している有力馬を列記してみる。いずれも天皇賞には出走していない馬ばかりだ。

キタサンブラック
サウンズオブアース
ラストインパクト
ヒットザターゲット
ゴールドアクター
シュヴァルグラン
トーホウジャッカル

天皇賞出走組の中では、リアルスティールとラブリーデイがJC参戦の可能性を匂わせてはいるものの、どちらも香港カップとの両睨み。特にラブリーデイに至っては「香港カップに選出されなければJCに」と、滑り止め感を隠そうともしない。かねてより「2400mは長い」と陣営も言い続けているだけに、今は香港カップに選出されることを祈る毎日であろう。

1981年にJCが創設された際、それまで11月後半に行われていた天皇賞は、その前哨戦と位置付けられ1か月前倒しになった。日本の最強馬と海外の強豪の激突を演出するためである。なのに、天皇賞を走った強豪馬たちが思うようにJCに参戦してくれない。その理由は、天皇賞の3200mを走った疲労が1か月では抜けぬというもの。日本側の代表たるべき天皇賞組が出走しなければ、JCの国際競走としての価値は半減してしまう。そこで競馬会は大胆な改革を打ち出した。それが秋天の2000mへの短縮である。「伝統のレースを貶めるものだ」と抗議するファンによって、競馬会の電話回線がパンク状態となったのは、今もJRA内部では語り草だ。

とはいえ、それで日本馬のJC参戦が劇的に増えたかと言えば、そうでもなかった。来日する外国馬に勝てない時代が長く続いたせいもある。1996年などは「古馬3強」と呼ばれたサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーの3頭が、秋天を普通に走っておきながら、揃いも揃ってJCを逃げるという醜態を晒して非難を浴びた。国際的なレースの格ではJCの方が上であっても、当時の国内の競馬関係者は天皇賞や有馬記念に重きを置いていた感は否めない

それでも、天皇賞からJCに参戦する馬がゼロだったことは一度としてない。しかも、1993年と95年を除けば、天皇賞で1~3着に好走した馬が少なくとも1頭は参戦していた。じゃあ、かといって今年のJCに出走する日本馬が手薄になりそうなのかと言えば、そうでもない。だから「不思議」なのである。

永らく日本の競馬では2000mと2400mは「ほぼ同じ領域」として扱われてきた。同じ府中コースならなおのこと。だが、両者の間には明確な境界線が引かれ始めているのかもしれない。事実、キタサンブラックもゴールドアクターもラストインパクトも、秋天には見向きもしなかった。折しも、来春には2000mのGⅠ大阪杯が新設される。それでも「2000mでは短いが3200mでは長い」という馬が出てくるに違いない。それならそれで日経賞をGⅠにするとでも言うのか。細か過ぎるカテゴリ分けは、もうたくさんだ。

 

【秋天→JC出走頭数(丸数字は天皇賞1~3着馬の参戦)】

1981 6頭 ①②③
1982 3頭 ②③
1983 4頭 ①③
1984 2頭 ① 
1985 4頭 ①②③
1986 5頭 ①③
1987 2頭 ②
1988 3頭 ①②
1989 6頭 ①②
1990 3頭 ①
1991 2頭 ②
1992 4頭 ①③
1993 2頭 -
1994 4頭 ③
1995 2頭 -
1996 4頭 ①
1997 4頭 ①②
1998 4頭 ②
1999 4頭 ①②
2000 5頭 ①②
2001 4頭 ②
2002 5頭 ①②
2003 4頭 ①②
2004 4頭 ①
2005 8頭 ①②
2006 2頭 ②
2007 7頭 ①
2008 6頭 ①③
2009 8頭 ②③
2010 4頭 ①②
2011 7頭 ①③
2012 6頭 ①②③
2013 6頭 ②③
2014 9頭 ①②③
2015 8頭 ①
2016 ?頭 ?

※1989年オグリキャップはマイルCS経由
※1992年イクノディクタスはマイルCS経由

 

***** 2016/11/05 *****

 

 

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コメント

わざわざルージュバックを天皇賞に回して負けてしまったのですから、ノーザン&キャロットとしては負けられないでしょうねぇ(^^;

投稿: 店主 | 2016年11月 7日 (月) 19時42分

店主様
今晩は。モヤモヤダメダメな馬券考察の後始末を京都12Rのエイシンティンクルちゃんにして貰ったハズが。。。まだモヤモヤ。店主様のおっしゃる秋天→JC問題が自分の中で燻っておりました。寒空の下見守った天皇賞。去年までのようにJCの尺度にはならないのが何だか釈然としなかったのです。こんな事今までもあったのかしら?の疑問点を解決してくださった店主様に感謝でございます。
来週は淀の地で女傑に謁見致しますが、本命マリア様に加えて充実してきたクインズリングが気になっております(´・_・`)

投稿: すかどん | 2016年11月 7日 (月) 01時06分

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