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2016年11月24日 (木)

屈辱を果たして何になる?

東京は朝から雪が舞った。北海道にお住まいの方からすれば、とても「積雪」などと呼べる量ではない。なのに、例によって都内はひとしきり混乱した。

11月の初雪は54年ぶり。積雪となると観測史上初めてだという。それがまた騒ぎを大きくした。だが、極めて個人的なことを書けば、今日は「私がシーズン最初にコートを着る日」でもある。なぜか。かつてはジャパンカップに出走する外国馬の公開調教が行われていたのが、この木曜日だった。この時季、早朝の府中はことさら冷込む。なにせ二十四節季で言えば「小雪」。雪が降ったところで、さほど驚く必要はない。

むしろ、ちょいと早めの雪景色に、そこはかとなく得した気分さえ抱いた。都会の薄汚れた景色が白く染まりゆく様を眺めるのは、悪い気がするものではない。ちなみに「雪ぐ」と書いて「そそぐ」と読む。「汚名を雪ぐ」や「雪辱」のように、「雪」という漢字には「汚れを清める」「恥辱を洗い落とす」といった動詞としての意味がある。だから「雪辱を晴らす」という用法は誤り。晴らすべきは「屈辱」であり、「雪辱」なら「果たす」が正しい。それなのに、この手の誤用は新聞でも後を絶たない。

News1 

昨年5着の雪辱を晴らすため―――。

日本語のプロがこんなザマでは、ホッコータルマエだってがっかりして走れませんよ、そりゃ。

それにしても、気になるのは週末の競馬である。東京競馬場の芝コースは完全に雪に覆われたそうだ。土曜までにはさすがに溶けるだろうが、日曜日には再び雨の予報が出ている。しかも今年に限れば、「妖怪あめふらし」の異名を持つIカメラマン氏が初めてJCの撮影に赴くとも聞いた。道悪競馬になる可能性が高い。

フランスからの遠征馬・イラプトが気になって仕方ないのは、そのせいもある。前走はカナディアンインターナショナルを優勝。時計は遅いが、JCもそんな馬場になるかもしれない。そこからBCを挟まなかったのは、むしろ好材料であろう。昨年もJCに挑んで6着。だが勝ったショウナンパンドラからは0.3秒しか離されてなかった。目指すのは昨年の雪辱。時ならぬ東京の雪は、ひょっとしたらこの「雪辱」が果たされるという天からのサインではあるまいか。

それでイラプトに関する記事を熱心に読んでいたら、さっきと同じ新聞にこんな記載を見つけてしまった。

News2 

昨年の屈辱を果たしたいです―――。

「雪辱を晴らす」の誤用は珍しくないが、その逆の誤用を見たのは初めてだ。「屈辱」を「果たし」たところでいったい何になるのか? こういう記事を読まされては馬券を買う気も失せる。だいたいがインタビューした相手に失礼であろう。屈辱を知るべきはこうしたメディア。さすがの雪をもってしても、これほどの恥辱は雪いではくれまい。

 

***** 2016/11/24 *****

 

 

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