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2016年11月18日 (金)

牛炊が胃に染みる

東京競馬場のお隣、多摩川競艇のスタンド1Fに店を構える『ウェイキー』は、多摩川名物「牛炊」のお店として競艇ファンには知られた一軒。テレビ朝日の番組「怒り新党」でも紹介されたほどから、競艇ファンでなくとも知っているという人はいらっしゃるかもしれない。

Wakey 

「牛炊」とは、ご飯にネギと牛スジを乗せて、その上からスープをかけたもの。雑炊のような一杯だと思ってもらえばいいだろうか。

Gyusui 

味のキモはもちろんこのスープにある。テールスープのように半透明で、口当たりもサラリと軽い。なのに、しっかりと旨味が染み出ている。牛バラ肉と野菜を4時間も煮込むという触れ込みはダテではあるまい。付添えのキムチを入れると全体がピリッと引き締まった。さらりとした旨味と、辛味の調和。これは二日酔いにも効果がありそうだ。

Kimuchi 

―――と、ここまで書いて思ったのだけど、これが多摩川名物として名を馳せた裏には、数多の二日酔いの客の存在があったのではないか。

似たような料理に大阪の「肉吸い」があるが、あれにしても常連客が「二日酔いでうどんは食べられないけど、ダシだけ飲みたい」と言って誕生した経緯がある。実際、二日酔いを思わせる客の割合は競馬に比べて多い。

多いのは二日酔いの客だけではない。なにより年配者が多い。私もいいトシのはずだが、府中本町駅からの連絡バスの車中では、間違いなく私が最年少だった。同じことを先日の場外車券施設「サテライト成田」でも感じたばかり。競馬に比べ、競艇、競輪は客層の高齢化が著しい。これでは将来が思いやられる。

ところで、なぜこの日私は多摩川競艇にやってきたのか?

Boat 

わざわざ「牛炊」を食べに来たわけではない。本当は競馬に行きたかった。だが、昼間はどこもやってないのである。大井、川崎はもとより、船橋までナイター開催が当たり前の南関東では、平日の昼間に競馬を楽しめるのは浦和だけ。その唯一の頼みの浦和にしても、開催日数は南関4場でいちばん少ないのだから、私のような昼間からブラブラしている人間の悩みはなお深い。

仕事をやめたら毎日朝から競馬三昧だ―――。

かつて私はそんな楽しみを抱いていた。高崎や宇都宮にだって行けなくはない。なにせ、時間はたっぷりあるはずだ。

しかし、そんな私のささやかな定年後ライフは既に破綻が決定的になっている。平日の競馬が始まるのは早くても15時。それまで何をして過ごそう。家に居ても疎ましがられるだけ。外に出てもやることがない。競馬場からの帰りにしても満員電車はゴメンだ。ようやく通勤ラッシュから解き放たれたばかりだというのに―――。

そんなことを考えると、競艇や競輪の高齢化は決して他人事とは思えなくなってくる。ナイター開催の増加。場内飲食店の総ファストフード化。若者ばかりを意識したイベント戦略。昨今の競馬が打ち出す施策は、すなわちベテランプレイヤーの締め出しにほかならないのではないか。ベテランに囲まれて牛炊を啜っていると、そんなことを考えずにはいられない。あぁ、旨味の溶け出たスープとキムチの唐辛子が胃に染みる。

 

***** 2016/11/18 *****

 

 

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