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2016年11月27日 (日)

熱狂、贔屓、そして…

いきなり私事で恐縮だが、ヒシアマゾンの引退を最後に特定の馬を熱狂的に応援することはやめている。もう20年も昔のことになる。

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もちろん“贔屓”程度の馬はたくさんいる。だが、“熱狂”というのは

「その馬が走るとなれば、あらゆる予定を差し置いて京都だろうが札幌だろうがアスコットだろうが、世界のあらゆる競馬場にスッ飛んで行き」

なおかつ

「万一その馬が敗地に塗れれば周囲を憚らず号泣する」

―――くらいの熱意を注ぐに値する一頭をここでは指すことにする。ヒシアマゾン以前に私が熱狂したダイタクヘリオスは負けることの多い馬だったから、私はあちこちの競馬場で泣いてばかりいた……というのはちょっと大袈裟だけど、まあそれくらいの気持ちを抱ける馬ということだ。

ちょうど競馬場での撮影にも本腰を入れようかという頃で、撮影業務に影響を及ぼしかねないファクターは排除すべきであろうと自分なりに考え、至極公平に競馬に接するようになった。ラチ下でカメラを構えながら特定の馬の名を連呼し、レースが終わてからは一転嗚咽が止まらないなんてザマでは仕事にならんばかりか周囲に多大な迷惑をかけてしまう。

ただ、クセというのはすぐには治らないもので、1995年の香港国際カップではフジヤマケンザンの快挙に興奮するあまり、世界中から集まったホースマンや報道陣の前でワケの分からない奇声を発しまくった挙げ句、日本人カメラマンに対する国際的な評価を暴落せしめたのである。この時の深い反省から、特定の馬にやみくもに肩入れするのはやめよう、と固く誓った。

Fujiyama 

「特定の馬を好きになることで、その馬をより美しく撮ることができる」という教えもある。私としてもそれを否定するつもりは毛頭ない。むしろ的を得ていると思う。ただ、私の仕事に当て嵌まらなかっただけのハナシ。当時の私の仕事で重要とされたのは均等性と網羅性だから、コンセプトがまるで逆だったというわけだ。

「どの馬にも公平に…」と振る舞うのは思いのほか難儀した。

馬券を買えば公平性は途端に失われるし、たとえ馬券を離れても勝って欲しいと思う馬というのは常在する。馬券は買わなければ済むことだが、後者の思いは簡単に拭い去ることはできない。あとは撮影に影響を及ぼさぬ程度に押し留める努力を繰り返すことになるのだが、それでもたいていの馬は負けるのが競馬。となれば、ひとつのレースが終わるたび「はあ…」と溜め息をつきながらターフビジョンのリプレイを見ることが多かった。

ところが数年前から妙な感覚を覚えるようになったのである。レース後になんとなく良い気分を感じることが増えたのだ。むろん、「勝って欲しい」と思う馬が、突如として勝ち始めたわけではない。

とりたてて思い当たるフシもなく、なんだか気持ち悪いな…とモヤモヤしていたのだが、今日のジャパンカップで久しぶりに顔を合わせたとある作家と会話をするうち、ハタと膝を打った。曰く「長く(競馬を)やってると、勝って欲しいと思う馬より、負けて欲しいと思う馬の方が多くなるよなあ…」と言うのである。

「負けて欲しい馬の方が多い」までは行かぬが、私としてもそういう馬の存在を否定しない。私の中にもそういう悪魔が潜んでいるのである。それが私の競馬をつまらなくしていることは疑いようもないのだが、それを排除する術を私は持たない。

「深いほどに、長いほどに……。避けられんよ、こればかりは」と作家は言った。どうにかして、その悪魔と上手く付き合って行くほか道はないのだろう。それでもジャパンカップを勝ったキタサンブラックが勝って欲しい馬だったことは幸いだった。

 

***** 2016/11/27 *****

 

 

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コメント

それは、ありますねhappy01

投稿: 店主 | 2016年11月29日 (火) 22時26分

私は、次走のレースで本命にしようと考えている馬に
負けて欲しいと思っています。

今回は、キタサンブラックでした...
有馬はどう考えても1番人気だよな〜〜〜。

投稿: tsuyoshi | 2016年11月29日 (火) 13時50分

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